著者
渡部 輝久
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.221-233, 2006 (Released:2010-08-05)
参考文献数
25

Environmental protection is one of the key issues in the prospective policy and strategy of radiation protection. In this context, numerous efforts have been made for developing the framework for the protection of non-human species from ionizing radiation, especially in European countries and Unite States. The present report summarizes knowledge so far attained on the assessment of doses and radiation impact on marine organisms. Special attention was directed to the methodology for calculating absorbed doses of marine organisms, based on which a case study was also carried out for estimating absorbed dose rate of several species of marine organisms inhabiting in the coastal sea off Rokkasho-Mura, Aomori Prefecture where a spent nuclear fuel reprocessing plant came into operation.
著者
田中 秀和 Tanaka Hidekazu
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.80-87, 2012-11

Yuki Honda, the educational sociology person, did the following opinions. 1 Employment from a school, 2 Hyper- meritocracy, 3 Educational professional meaning 4 NEET theory. This paper performs these arrangement. Her idea will have influence good for a future argument.近年、日本社会において若年者をめぐる動向は激変期を迎えている。格差社会の進展や貧困の深刻化が進行している中、若年者もその影響を受けている事実を否定することはできない。そのような中、教育社会学者の本田由紀は、若年者を取り巻く環境を学問的に整理し、「学校経由の就職」を廃止することや、教育の職業的意義をより高めるような教育を行っていく必要性を主張している。本稿では、ひとりの学者である本田由紀に焦点を当てて、その主張点を洗い出し、今後、よりこの領域の議論が活発化することを目指す。
著者
寺田 暁彦 日野 正幸 竹入 啓司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.8, pp.503-509, 2006 (Released:2006-12-02)
参考文献数
25

御蔵島火山ヤスカジヶ森溶岩ドームに分布する「冬に白煙を上げる穴」の成因を明らかにするため,2005年~2006年にかけて温度,湿度計および観測カメラによる連続観測を行った.その結果,冬季には外気より最大で17℃高い温度の空気が穴から噴き出ていること,夏季には逆に外気が穴内部へ吸い込まれていることを確認した.見積もられる放熱量は冬期間で合計約22 GJ程度で,一般的な火山性噴気孔からの年間放熱量に比較して数桁小さい.穴周辺での地中温度計測,周辺河川での水温,電気伝導度およびpH計測からも,火山性の熱水活動の活発化を示唆する値は得られなかった.以上の結果は,穴が火山の熱活動とは無関係な温風穴であることを示唆する.高感度カメラ等の整備が進み,活火山表面の常時監視能力が高まりつつある現在,火山の熱活動とは無関係に白煙を上げる温風穴について,その分布を把握しておくことが重要である.
著者
田上 恵子 内田 滋夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.71-78, 2006-02-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
6 11

日本全国から採取した農耕地土壌82試料 (水田土壌37, 畑土壌45) のウラン (U) 及びトリウム (Th) の定量をICP-MSで行った結果, 水田土壌中のU及びTh濃度の幾何平均値はそれぞれ2.75mg kg-1及び5.56mg kg-1, 畑土壌中ではそれぞれ2.43mg kg-1及び5.17mg kg-1と, これまでの測定値の範囲内の濃度であり, かつ水田土壌と畑土壌間では有意差はなかった。更にU/Th比を計算すると, 水田土壌で0.53, 畑土壌で0.49となり, 日本の地殻 (0.28) , 非農耕地土壌 (0.23) や河川堆積物 (0.20) に比べて有意に高いことがわかった。主に農耕地土壌に施肥されるリン鉱石を原料とするリン酸肥料に含まれるUが全U濃度上昇に影響していると考えられた。そこでその寄与分を施肥が行われていない非農耕地土壌のU/Th比を用いて算出したところ, 現在の日本の水田土壌中のUは平均50% (4~78%) が, 畑土壌では平均48% (4~74%) となり, 日本の農耕地の半分は施肥により人為的に添加されたUであることが推定された。
著者
西村 公雄 後藤 昌弘
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.713-721, 1999-07-15
被引用文献数
1

90℃加熱中に生じる鶏もも肉浸出液によるホワイトソースの分離は,2.4 m_M N-ethyl-maleimide (NEM)または,10 m_M ethylendiaminetetraacetic acidの添加により抑えられた.一方,浸出液中のタンパク質は,ホワイトソースのクリーム層と結合せず,また,加熱凝集した浸出液をホワイトソースに加えて再加熱しても分離は生じなかった.以上のことは,加熱中に浸出液中のタンパク質分子間にSS結合と2価カチオンが関与する相互作用が生じ,その結果ネットワークを形成する際にカゼインミセルや油滴をトラップすることが,分離の原因であることを示している.さらに,浸出液中のタンパク質表面疎水性の加熱による増加にNEMは影響を与えなかった.このことは,NEMが存在してもしなくても,浸出液中のタンパク質の凝集が同程度であることを示している.
著者
藤盛 啓成 大内 憲明 里見 進 土井 秀之 宮田 剛 関口 悟 大貫 幸二 宮崎 修吉
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

マジュロにて2006年2月20日〜3月22日の期間、自発的に受診希望した者1386名(女性888名、男性498名、平均年齢50.9±12.34才)を対象に問診、エコー検査を行い、結節性病変275名に細胞診を行った。全検診者中608名に検診既往があり、386名がBRAVO cohort、ブラボー事件時0〜5歳であった者は322名であった。全検診者中、エコーで悪性疑い36名2.6%であり、細胞診でPTC or PTC疑いが10名0.72%であった。目的とした対象(BRAVO cohort中ブラボー事件時0〜5歳)では4名1.2%であり、設定したcohort 1055名でみると、その時点で甲状腺癌と診断された9名を除いた1046名中4名(男1、女3)0.38%(3.82人/年/1万人)が甲状腺癌を新たに発症したと考えられた。甲状腺機能、抗体検査では採血した1186名中1153名で検査結果が得られた。以前の結果と異なり、甲状腺自己抗体陽性率は20%程度で特に低くはないと思われた。マーシャル諸島政府が保管するデータベースから、以前の検診者7162中の死亡者数、死亡原因を調査した。3714名のBRAVO cohort、のうち2003年12月31日までの死亡者は642名、死亡時平均年齢63.9才であった。BRAVO cohort中癌死は107名で、最も多かったのは肺癌(男23、女性9)であった。死亡時平均年齢は男性、女性それぞれ62.8才、71.2才であった。男性の死亡診断書には全員heavy smokerの記載があった。BRAVO cohort中乳癌の死亡例は、6名であった。甲状腺癌の死亡例は2名であった。その他、消化管、肝臓、膵臓、子宮の癌死が多かった。癌死以外の死亡は392名であった。肝硬変・肝不全、肺炎・肺気腫の呼吸不全、循環器障害、脳血管障害、腎不全、糖尿病・下肢壊疽・敗血症、自殺・事故が主なものであった。以上より、マーシャル諸島における癌発生、死亡の実態が把握され、BRAVO cohort中0-5才の間に被曝した集団のデータベースが完成した。肺癌については喫煙の影響が大きく、被曝の影響は少ない可能性が示唆された。今後このデータベースを基に解析を進め、甲状腺癌の発生と被曝の関係を明らかにすることが可能となった。
著者
Susumu IKEDA Takuma DOI Keizaburo UCHIKAWA Yoshiharu KURITA
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.245-252, 1993-03-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
8

The existence of intrinsic vertical effects of spinning gyroscopes was examined systematically from the viewpoint of precise measurement, using three types of gyroscopes with largely different characteristics. The most precise weighing techniques, such as a reference tare system and various countermeasures, were applied. Slight and symmetrial mass changes observed in the experiment were explained as the parasitic effect of the balance due to the torque of the spinning gyroscopes, utilizing the attenuation constant change under atmospheric conditions. Consequently, the intrinsic vertical effects were found to be virtually zero in this experiment, and even if existent, were estimated to be neither greater than +0.7mg nor less than -0.5mg at a 99% confidence level for the angular momentum of 0.936kg·m2/s.