著者
Rofiqul Umam Masaharu Tanimizu Hitomi Nakamura Yoshiro Nishio Ryo Nakai Naoto Sugimoto Yasunori Mori Yuuki Kobayashi Akane Ito Shigeyuki Wakaki Kazuya Nagaishi Tsuyoshi Ishikawa
出版者
GEOCHEMICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
GEOCHEMICAL JOURNAL (ISSN:00167002)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.e8-e17, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
28
被引用文献数
3

Slab-dehydrated fluid is considered to be involved in island arc magmatism. In this study, Li isotope ratios were determined for deep groundwater samples from the non-volcanic forearc region of SW Japan. The contribution of the slab-dehydrated fluid from the Philippine Sea Plate (PHS) was investigated in the Arima area and the eastern Kii Peninsula area, corresponding to the slab depths of ~60 km and 20–30 km, respectively. In the Arima area, the high-temperature thermal waters with high salinity called the Arima-type fluid were clarified to have low δ7Li values of +1–+3‰. The low δ7Li values with high Li concentrations are thought to be the result of fluid-rock interactions at high temperatures, which is consistent with the characteristics of the slab-dehydrated fluid. On the other hand, the δ7Li values of deep groundwaters in the eastern Kii Peninsula showed a wide range of +2 to +29‰. Several groundwater samples had a similar chemical property to the Arima-type fluid: low δ7Li values, low Cl/Li ratios, and 87Sr/86Sr ratios around 0.708–0.710. They are distributed along the Median Tectonic Line (MTL) and within about 20 km south of the MTL. These results indicate a common supply of slab-dehydrated fluids to the non-volcanic forearc region in SW Japan from PHS along the large faults, and Li isotope ratios will be a useful indicator to detect their contribution.
著者
越智 亮太 多川 孝央 山田 恒夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-167, no.10, pp.1-8, 2022-11-26

現在,若年層をはじめとして,様々な健康被害へつながりうるインターネット依存傾向が問題とされている.そこで,本研究では,インターネット依存傾向の対策方法としてインターネット上の利他的情報発信に着目し,研究目的としてインターネット依存傾向のリスク要因となるインターネット利用動機を明らかにし,インターネット上の利他的情報発信に対する態度が大きなリスク要因である逃避動機の改善につながる可能性について検討するために,事前調査にて絞り込んだ質問紙項目を利用して,九州大学の大学生 121 名を対象に調査を行った.まず,インターネット依存傾向の分布を調べたところ,突出して高いとされる人は少なく,今回の調査は一般的な大学生の傾向を示す調査として考えられた.インターネット利用動機とインターネット依存傾向との関連性を調べたところ,逃避動機が p<0.01 で有意にインターネット依存傾向との有意な正の関連性が見られ,その関連性は大きく,インターネット依存傾向へのリスク要因として影響が大きいことを確認した.一方で,知的動機,コミュニケーション動機,利他動機は有意な関連性は見られず,インターネット依存傾向へのリスク要因ではないことが示唆された.次にネット利他発信態度とインターネット依存傾向やリスク要因との関連性について調べたところ,ネット利他発信態度の尺度においてはインターネット依存傾向や逃避動機との関連性の可能性が考えられたが,特定の項目(行動)においてはリスク要因である社会的スキルの改善やインターネット利用動機の変化につながり,インターネット依存傾向のリスク改善につながることが示唆された.ネット利他発信態度の高群は,低群と比較してインターネット依存傾向の大きなリスク要因である逃避的インターネット利用動機の割合が小さいことからもリスク要因の改善につながる可能性があることが示唆された.
著者
久保 亮五
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.1032-1039, 1979-12-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
41

Einsteinとブラウン運動の結び付きは一応は誰でも知っている. しかし, 光量子仮説, 固体比熱理論等々の仕事が, Planck以後, 量子力学の誕生までの四半世紀のあいだ, 立ちふさがる幾重もの壁を打ち破る作業としてもった意味は, 今日ともなれば忘却の中に埋れ, ひとびとは必ずしもそれを理解してはいない. その作業を貫く類い稀な洞察力は, Gibbsを知らないEinsteinの若き日に自ら作り上げた統計力学に深く根ざしたものであった. 原子像の実証をさぐる鍵は, ゆらぎの問題にあった. Einsteinをブラウン運動論に導いた根本の思想は, 量子力学への展開の過程にきわめて重要な役割を演じたが, それは現代の統計力学にひきつがれ, さらに将来に生きつづけるであろう.
著者
杉本 圭相
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.112-118, 2017 (Released:2017-11-15)
参考文献数
41

ネフロン癆(nephronophthisis: NPH)は,腎髄質に囊胞形成を認める進行性の囊胞性腎疾患の代表であり,小児期の末期腎不全の約5%を占める。組織学的には,進行性の硬化,硝子化糸球体を伴う尿細管間質性腎炎像を呈する。遺伝形式は主として常染色体劣性遺伝を示す。NPH の初期症状は,多飲,多尿,尿最大濃縮能の低下,二次性の遺尿や成長障害であるが,病勢がかなり進行した末期腎不全の状態で発見されることも少なくない。低比重尿や低分子蛋白尿は特徴的な検査所見である。また,NPH は眼や顔貌・骨格異常といった腎外症状を合併するため,診断の手がかりとなる。NPH 発症に関与する責任遺伝子はNPHP であるが,その同定率は約30%にすぎない。近年,全エクソーム解析の進歩により原因遺伝子が増加している。本邦ではNPH の診断基準が作成され,今後,NPH 未確定診断例の確定診断への指針となると思われる。
著者
野田 直紀
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.117-118, 2022-04-01 (Released:2022-06-09)
参考文献数
7
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 古舘 佐起子 岡 晋一郎 西尾 信哉 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.137-141, 2021 (Released:2021-11-25)
参考文献数
11

特発性両側性感音難聴のうち,加齢性難聴とは明らかに異なる40歳未満の遅発性難聴を発症する7つの原因遺伝子が同定され,若年発症型両側性感音難聴と定義された.診断基準は①遅発性,若年発症,②両側性,③原因遺伝子が同定されており,既知の外的要因が除かれているものである.現在,ACTG1,CDH23,COCH,KCNQ4,TECTA,TEMPRSS3,WFS1遺伝子が原因遺伝子として診断基準に示されており,70 dB以上の高度難聴であれば指定難病の申請ができる.ACTG1症例,TEMPRSS3症例のように,次世代シークエンサーによる遺伝学的検査および遺伝カウンセリングにより補聴器から人工聴覚器手術への自律的選択が可能となり,大きな福音となっている.
著者
伊沢孝雄 編
出版者
三叢館
巻号頁・発行日
vol.[正編], 1894