著者
西田谷 洋
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.59-66, 2017-03-31

As part of the Haruki Murakami studies, I take up Makoto Shinkai,s anime with deep Haruki novel and relation, arrange the Shinkai style, analyze correspondence with each anime and the Haruki's novel, and consider Makoto Shinkai’s novel, the relation of anime, and the locus of anime.
著者
菊池 浩光
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.83-111, 2012-12-26

人が衝撃的な出来事に遭遇すると心的外傷を生じることがある。心的外傷は,被害者と社会との間に理解が困難な裂け目をつくり出す。1980 年に心的外傷の特徴的な症候群がPTSD と診断されるようになり,心的外傷被害者の認知や救済に大きな役割を果たしてきた。しかし,被害者は医学的な症状だけに苦しんでいるのではなく,社会から正当に理解されず,孤独に追いやられて重い気持ちでひっそりと生きなくてはならないという生きづらさにも苦しんできたのである。 心的外傷が社会に正しく認知されないのは,外傷の伝達の困難性に由来している。それは,伝える側に「語ることの抵抗や困難」があるだけではなく,伝えられる側にも「聴くことの抵抗や困難」といった問題がある。双方の伝達困難な理由を明らかにして,改めて被害者の苦悩を考えたときに,外傷がもたらす「過去の自分との離断」と「社会との離断」という二つの離断が生きづらさの根底にあると考えられる。
著者
鈴木 亘
雑誌
學習院大學經濟論集 (ISSN:00163953)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.15-47, 2015-04-01

本稿は,富山県における65歳以上の国民健康保険加入者の1998年4月から2003年3月の5年接続レセプトデータを用いて終末期医療費の現状を確認し,その上で,終末期医療費の削減可能性を考える上で基礎的な知見となる分析を行った。具体的には,①終末期医療費について,患者属性や医療機関側の特性を考慮した上で分布の幅を求めた。その結果,終末期医療費の平均値と95%下限の差の割合は5%~8%と小さく,標準化・地域格差縮小による削減可能性は意外に低いことがわかった。②次に,身体的な差異が小さいものの,自己負担率が大きく異なる69歳と70歳の人々に対して,老健移行前後で終末期医療費がどのように変化したかを比較した。その結果,死亡前12ヶ月から3ヶ月までの入院状況の差異を主因として,老健移行後に終末期医療費が20~40%程度大きくなることが分かった。③最後に,介護保険開始前後で終末期医療費を比較したところ,介護保険開始後に入院死亡率,死亡者の入院率は下がっており,年間医療費に占める死亡者の医療費割合は減少したことが分かった。ただし,一人当たりの死亡前医療費は3~10%ほど介護保険開始後の方が増加しており,在宅医療・介護推進によって医療から介護にシフトした分の終末期医療費は,一人当たり終末期医療費の低い人々のものであったと想像される。
著者
坂本 旬
出版者
法政大学キャリアデザイン学部
雑誌
法政大学キャリアデザイン学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Lifelong Learning and Career Studies (ISSN:13493043)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.171-196, 2016-03

The aim of this study is survey on possibility that introduction of Mediaand Information Literacy (MIL) program to Education for Sustainable Development (ESD) program in Japan. Though both of them are UNESCO education programs, there have not been such combined programs in the world. As Japanese National Commission for UNESCO (JNCU) and Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (NEXT) have been focusing to ESD and promoting UNESCO associate schools, there is not a MIL policy in Japan. But Hosei University joined in UNITWIN MILID (University Twinning of Media and Information Literacy and Interculturaldialogue) network as a associate member in 2014 and applied and adopted for ESD consortium for fostering global citizenship project which JNCU and NEXT made a public offering in 2015. Both of MIL and ESD programs share common principles like convergence approach, empowerment approach, cultural and linguistic diversity approach,gender and development based approach, and human rights based approach. MIL program will theoretically add or emphasize knowledge societies based approach and practically media literacy practice and inquiry based learning approach using school library as a learning center to ESD program. In 2015 Fukushima ESD consortium and Hosei University are introducing video production practices to 2 elementary schools that are UNESCO associate schools for presentation of ESD practice. One of them is exchangingvideo letter with a Nepali school which sustained damage from the earthquake. The other school will start exchange video letter program with the Japanese school in Phnom Penh in 2016. Fukushima ESD consortium and Hosei University are planning to strengthen the support system of MIL andESD programs to schools that will engage in them.
著者
中嶋 哲也
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2011-01

制度:新 ; 報告番号:甲3202号 ; 学位の種類:博士(スポーツ科学) ; 授与年月日:2011/1/18 ; 早大学位記番号:新5498
著者
上山 浩次郎
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.138, pp.195-209, 2021-06-25

本稿では,教育機会の不平等における地域と社会階層の関連構造を検討した。地域による教育機会の不平等に関する研究は,これまでコンスタントに行われてきた。ただし,地域的要因が社会階層などの他要因に還元できると解釈されうることから,地域を属性的な要因として位置づけることには批判も存在してきた。そこで,本稿では,進路選択に対して,地域変数と社会階層的変数が,どのように関連しているのかを計量的に把握することを試みた。分析の結果,たしかに,進学行動に対して,地域変数は社会階層的変数を通して格差を生成していた。だが,社会階層的変数に還元できない形でも地域変数は格差を生成していた。さらに,両者を比べると,社会階層的変数を媒介しない形の方が,格差を生成する度合いが大きい。ここからは,地域的要因は,社会階層的要因とは相対的に独自に教育機会の不平等という現実を生成していることがあらためて示唆される。
著者
和田 弥恵子
出版者
北海道大学留学生センター
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-57, 1998-12

日本語の発音指導において、学習者の母語の音声に関する知識は非常に重要である。音声を表記するためには、国際音声字母(IPA)が現在世界で使用されているが、語学書や辞書の中にはIPAと一部異なる記号で発音表記されているものもあり、複数の言語の発音比較の際や、教師が精通しない文字の発音を調べる際に不便である。また、仮名習得を必要としない学習者に対する日本語教育では一般にローマ字表記が用いられているが、日本語ローマ字表記の文字と音声の対応関係が、学習者の母語と異なることもあり、その場合には学習者に誤った発音を想起させる結果を招くこともある。より効率よく日本語の発音を把握させるためには、学習者の母語の文字表記習慣に則った音声表記が有用であろう。本稿では、スラヴ語の中からポーランド語を取り上げ、まずスラヴ語全般に関する背景知識について述べた後に、ポーランド語の音をIPAで確認し、音声的特徴をまとめた。最後に、ポーランド語話者のための日本語音声表記を試みた。
著者
リー サンベック
出版者
明治学院大学国際学部
雑誌
明治学院大学国際学研究 = Meiji Gakuin review International & regional studies (ISSN:0918984X)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.29-60, 2019-03-31

本稿ではまず幾つかの代表的なステーブルコイン(法定通貨へのペッグを掲げる暗号通貨)の仕組みと問題点を検証し,次に,その検証を踏まえた代案を提示する。その代案とは,ユーザーの資金を預かった発行体が資金を FX 取引で買い・売りポジションのポートフォリオに換え,それを担保にした暗号通貨を発行するというものである。それは次のメリットを持つ。①FX 取引は差金決済で行われるため,担保を用意するコストが低い。②ポートフォリオの担保価値を反映してその暗号通貨の価値が増減するため,担保と暗号通貨の交換性が保たれる。③低リスクのポートフォリオを担保にした場合は暗号通貨のボラティリティが低い。④高リスクのポートフォリオを担保にした場合は暗号通貨が魅力的な投資対象になり得る。⑤ポジションを決済せずにそれと同額の暗号通貨を決済手段に使える。⑥FX 取引を利用するため,金融商品取引法などの適用によりカウンターパーティーリスクが下がる。⑦経済政策の負の効果を軽減する。
著者
井上 純一
巻号頁・発行日
2004

2004年度に工学部情報工学科2年生を対象に開講された「情報理論」の講義ノートです。この科目の目的は我々が普段何気なく口にしている「情報」を数式を用いて定量化し、それに基づき理論が展開される「情報理論」という体系を学ぶことであり、 ここで学ぶ事柄、 とりわけ「エントロピー」や「相互情報量」などは現在の情報通信技術の根幹を成すのみならず、 パターン認識や人工知能、あるいは統計物理、遺伝情報学など、多くの異なる分野において共有される極めて重要かつ有用な概念となっている事実を考えると、情報工学科の学部学生のみならず、かなり広域な専門課程の学生に対し有益なのではないかと考えます。 当講義ではこの理論の基礎を体系たてて理解することに重点を置いてあります。なお、今年度版は担当1年目ということもあり、この版の講義ノートの完成度は高くはないですが、2005年度以降、計算機シミュレーションなど、直観的理解を助けるような演習問題を加え、逐次改訂していく予定です。