著者
村上 志保
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第54回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.E20, 2020 (Released:2020-09-12)

本発表では、習近平政権が宗教政策の柱として掲げている「宗教中国化」について、グローバル化とともに推移する民族・文化をめぐる解釈という視点から中国プロテスタントにおいて実際に生じている事例に基づき考察する。具体的には、活発なグローバル・アクターとなりつつある中国において、プロテスタント信者たちが経験し認識する「中国」が、「宗教中国化」示す「中国」とは大きく異なりつつある状況について議論する。
著者
中俣 恵美 岡本 加奈子 横井 賀津志 甲斐 悟
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1339, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】高齢化や認知症患者の増加に伴い,医療・福祉現場では要介護高齢者の重度化が目立つ。経口摂取が困難な終末期を迎えると,生活の大半を静的姿勢が占めることになる。このような状況において,ポジショニングは,重要な介入方法の一つとなる。ポジショニングの目的として褥瘡予防や拘縮予防はもちろん,重度要介護高齢者では積極的な姿勢ケアによるリラクセーションは特に重要であると考える。しかし,終末期を迎えると言語機能も損なわれ,自身の要望や苦痛を訴えることができないため,そのケアは支援者の能動的なものに移行する。それゆえに,ポジショニングによる主観的満足感を確認,評価することが困難となる。そこで我々は,ポジショニングの有無による心拍数と自律神経活動を測定し,安楽の状況を評価できるか検証した。【方法】研究に同意を得られたポジショニングケアを必要とする症例3名(障害高齢者の日常生活の自立度B2:1名,C2:2名)。ポジショニングなし(背臥位)とポジショニングあり,それぞれの状況で体圧分布〈ニッタ社,BPMS〉,および5分間,自律神経活動と心拍数を測定した。ポジショニングの設定は①接地面積を広くする,②体圧をできるだけ分散する(除圧),③肩甲帯,骨盤帯,体幹での回旋(捻じれ)の改善を基本とし肢位の決定を行った。自律神経活動は,MemCalc Bonaly Light(GMS社)を用い,スペクトル解析から低周波成分(LF:Low frequency,0.04~0.15Hz)と高周波成分(HF:High frequency,0.15~0.40Hz)を計算し,HFを副交感神経活動指標に,LF/HFを交感神経活動指標にした。【結果】A氏:ポジショニングなしからありへの副交感神経活動の変化は,30.8±6.3から43.2±11.2に上昇,交感神経活動の変化は0.4±0.3から0.6±0.6に低下した。心拍数の変化は,60.9±0.8拍/分から58.1±0.3拍/分に低下した。B氏:ポジショニングなしからありへの副交感神経活動の変化は,296.2±197.2から373.4±508.4に上昇,交感神経活動の変化は8.2±14.7から0.8±0.6に低下した。心拍数の変化は,96.7±7.8拍/分から95.2±1.4拍/分に低下した。C氏:ポジショニングなしからありへの副交感神経活動の変化は,2732.4±1949.7から985.7±735.2に低下,交感神経活動の変化は,2.1±2.7から0.5±0.3に低下した。ポジショニングなしのときの副交感神経活動および交感神経活動の変動は激しく,安定しなかった。【結論】リラックス状態と副交感神経活動には,密な関係があるといわれている。今回の研究においても同様の傾向がみられ,重度要介護高齢者においてポジショニングの有無によって心拍数と自律神経活動に変化が生じた。この変化は,リラックス状態を反映していると考えられ,安楽の状況を評価できる可能性が示唆された。そして,自律神経活動として可視化することで尊厳あるケアにつなげることが可能となると考えられる。
著者
小森谷 浩志
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集 日本経営診断学会第53回全国大会
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2020-09-27 (Released:2021-03-11)
参考文献数
10

資本主義は,現代的な企業経営手法と相まって,効率と生産性の向上に寄与したことは疑うべくもない。資本主義とは,単に利潤を得るシステムを表現する言葉であったはずが,問題は,いつの間にか最高の目的へと転化してしまったことではないだろうか。本論文は,地球上の多くの人が急き立てられるように,競争相手を打倒し,物欲を刺激し,生産して,消費するという人間観をベースとする経済学の教義とは異なる立ち位置をとる。仏教思想を援用し,経済価値を第一とする資本主義を問い直し地球と人間が持続可能性を加味した開発のあり方を検討した。仏教思想の中核「四法印」などから,無執着,知足,感謝,慈悲の4つエッセンスを抽出,経済成長は必ずしも人間らしい,健全な生き方につながらないことを明確にした。そして,経済価値一辺倒ではなく,多元的な価値が尊重される社会のあり方を考究した。
著者
野村 亮太 丸野 俊一
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.12-23, 2009-07-11 (Released:2017-07-21)

本研究の目的は、自然言語処理技術を援用して、熟達した噺家の語りに〈核〉として現れる中心的な概念を明らかにすることである。インタビューの逐語記録(芸談)をデータとし、複数の語が同一の文に同時に含まれるという共起情報を利用して、語によって表現される信念どうしの相互関係を推定し、信念地図を作成した。この手法は、先入観によるバイアスや見落としの危険性を低減させ、噺家の信念地図の時系列的な変化や師匠と弟子とのあいだの信念地図の類似性を客観的・定量的に検討することを可能にするものである。

1 0 0 0 現代の眼

出版者
現代評論社
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, 1977-06

1 0 0 0 OA 人権と基本権

著者
工藤 達朗
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.105-111, 2016-06-30
著者
磯田 桂史
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2009-03-25

近代化には工業が大きな役割を果たすこと、その工業の発展には優秀な技術者の存在が不可欠であり優秀な技術者を大量に生み出すには、高等教育が必要であることから、本研究では熊本の明治期における工場建築と工業教育建築に焦点を当て、それらの建物の持つ建築的特徴及びその建設経緯を解明し、熊本県の近代建築の歴史の一端を明らかにすることを目的とする。

1 0 0 0 OA 七勇士物語

著者
水野和一 編訳
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1909
著者
佐藤 隆彦 三浦 啓太 藤倉 俊幸 安積 卓也
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2020-EMB-53, no.46, pp.1-9, 2020-02-20

自動車の運転手不足や高齢者による運転操作ミスが社会問題になっている.そのため,自動運転システムの開発が急がれており,自動車業界ではモデルベース開発が盛んに行われている.自動車機能安全規格ISO 26262 では,モデルベース開発において,Back-to-Back テストを行うことが要求されている.そのため,製品の動作環境に組込む際に,制御仕様と動作が一致しているかの検証をする必要がある.本研究では,自動運転ソフトウェア向けの Back-to-Back テストフレームワークを提案する.既に正しく動作しているモジュールと,その機能を移植したモジュールの入出力結果を保存・比較する.本論文では,MATLAB/Simulink で作成したモデルが正しく動いているかを,自動運転ソフトウェアである Autoware のモジュールを用いて Back-to-Back テストで評価する.
著者
山本 洋平
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.219-230, 1975-04-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
5

So far cold from LNG imported into Japan has been used only for the production of liquid oxygen, liquid nitrogen and at the refrigerated warehouse at Tokyo Gas's Negishi works.Similar projects are currently planned at Sodegaura, Chiba, and at Semboku, Osaka.However even if all these planned projects are realised, they will together use only a very small percentage of the LNG cold which is available.Therefore in the interests of energy and resources conservation, it will be desirable to develop other projects which can use LNG cold in applications such as freezing of food stuffs; crushing of metal wastes; and sea water desalination.
著者
西澤 栄美子
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.9-15, 1982-03-31 (Released:2017-04-25)
参考文献数
6

Si les letters sont utilisées dans une affiche ou un imprimé, en couleurs ou en figures ornementées, ces qualités visuelles fonctionnent: d’une part, comme signifiants et perdent leur transparence envers les signifiés définis, c’est-à-dire, envers les signifiés du signe linguistique. D’autre part ces qualités visuelles des letters deviennent quasi-autonomes. Alors, ces signifiants peuvent s’attacher arbitrairement à n’importe quels signifiés. Autour de ces qualités --- signifiants sans signifiés définis ou signifiants suspendus ---, nous pouvons développer presque infiniment notre sphére d’imagination. Et cette sphére, différente de celle qui est formée par des signes linguistiques, se rapprocherait plutôt de la sphére esthétique --- le poéme concret ou la calligraphie par exemple.
著者
杉本 早奈美 Sanami Sugimoto
出版者
金城学院大学大学院人間科学研究科
雑誌
金城学院大学大学院人間生活学研究科論集 = Annual report of Graduate School of Human Ecology Kinjo Gakuin University (ISSN:1346597X)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.21-30, 2022-03-17

The purpose of this study was to examine how obsessive-compulsive tendencies, social skills, and difficulties in controlling emotion impact the process of private speech expression in adults. A questionnaire survey was conducted in 182 university students. To examine private speech in a broader sense, items regarding thinking process and unpleasant emotions were added to the speech tendency scale. Correlation analysis and multiple regression analysis of the results found that self-control, which is a subfactor of social skills, has negative impacts on all factors in private speech tendency. Private speech appeared to be the outcome of interactions among obsessive-compulsive tendencies, social skills, and difficulty controlling emotion. These results suggest that private speech is influenced by one’s emotional awareness and degree of control. Private speech tends to occur when one is unable to control oneself while thinking about something or does not have sufficient skills to do so. Therefore, private speech in adults is not only related to thinking but also has emotional and intellectual aspects. This suggests that there are various types and functions of private speech depending on the behavioral and emotional aspects.