著者
田村 佳愛 渡辺 晴美
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2017-EMB-45, no.5, pp.1-2, 2017-06-23

本稿では,開発時の各メンバーの共通理解を築くために,感情推移の可視化 ・ 共有 ・ 記録を行うシステムについて述べる.思考の共通理解を容易にするユーザーストーリーマッピングという技術があるが,共通理解が合意まで結びつかないという課題がある.本稿では,これらの課題を解決するために,感情推移を可視化させるシステムについて提案する.
著者
福田 アジオ
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.195-227, 1992-03-31

本稿は、今回の研究計画の定点調査地の一つである静岡県沼津市大平において継続的な調査を行なってきた結果の報告である。個別地域の個性は、自らの地域の歴史認識によって大きく支えられ、あるいは形成されるものと予想しつつ、調査を行なった。人々の自分たちの社会に対する認識が歴史を作り出すと言ってもよいであろう。史実としての歴史だけでなく、意識される歴史、あるいは時には作り出される架空の歴史的世界も含めて、民俗的歴史世界を文字資料と現実の民俗事象の双方から追いかけることを意図した。幸いにして大平には前者の問題を究明するに適う年代記という興味深い人々の作り出した歴史書がある。大平を対象村落としたのも、この年代記が存在したからである。調査はこれを基点にして、その内容と現実の豊富な民俗との関わりを考察することに主眼を置いた。なお、大平の民俗については、本調査とほぼ同じ時期に並行して別の調査が実施され、民俗誌の形式での調査報告書が刊行されている(静岡県史民俗調査報告書『大平の民俗』)。本稿では、それとの重複をできるだけ避けて、大平の民俗的な特質を把握すべく内容を絞ったので、大平の具体的な民俗については網羅的には記述していない。大平の民俗的特質は以下のように理解することが可能であろう。大平の開発過程とその後の狩野川との戦いの連続が、大平の現在まで伝承されてきた民俗を作り出したと言えよう。道祖神祭祀自体は駿東から伊豆に大きく展開しているものであり、大平もその分布地域内の一村落に過ぎない。また道切り行事も全国的に行なわれているもので珍しいものではないし、大平のように札を笹竹に挟んで立てることもごく一般的な姿である。しかし、その道祖神祭祀や道切り行事を夏に重点を置いて行なっているのは必ずしも一般例とは言えない。大平が開発形成過程で背負った条件がこのような特色ある領域をめぐる民俗を作り出し、維持させてきたものと理解できる。そして、その歴史の重みが現在なお近隣の諸村落では見ることのないほどの熱心さでこの二つの民俗を保持しているのであろう。
著者
濱 翔平 平井 諒 高橋 城志 山田 浩貴 尾形 哲也 菅野 重樹 金 天海
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.367-368, 2016-03-10

力学系学習木により効率的な動作学習法を確立することを目的として,力学系学習木の持つ階層性を活用した入力ベクトル決定法を提案する.実験では,力学系学習木に柔軟ロボットアームの軌道学習をさせる際に,手先座標に対する影響度の大きさを考慮して入力ベクトルを構成することで,影響度を考慮しない学習法よりも高速に学習できることが分かった.
著者
野田 五十樹
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.568-569, 2017-06-15

人流をはじめとする社会現象のシミュレーションは,高度化した社会システムの工学的な設計原理を提供すると期待されている.本特集では,さまざまな切り口で人流に関する先端的研究を行っておられる方々に執筆をお願いした.その結果,理論的側面から防災あるいは平時のイベント対応,実データからのシミュレーション構築や網羅的シミュレーションに寄る分析,人流のセンシングなど幅広いトピックをカバーすることができた.本特集を参考に,さまざまな人流・社会シミュレーションの研究が広がっていくことを願いたい.
著者
小松 文子 高木 大資 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1711-1725, 2010-09-15

情報セキュリティ対策は,安全なネットワークを使用するうえで必須である.これまで情報セキュリティ対策は,技術対策と組織などのマネジメントの局面から推進されてきたが,実行主体である利用者の実行がともなわないという現象が見られる.これを解決するためには,個人の意思決定のメカニズムを明らかにすることが有効であると考えられる.本研究では,情報セキュリティ対策を必要とするネットワークを社会的ジレンマ状況ととらえ,利得構造と個人の認知構造について実証調査分析をした.この結果,利得構造では,協力率が低い状況を説明できず,認知構造の調査では,社会的ジレンマ状況であることを支持する結果は得られなかった.しかし,利得構造は対策実行意図と整合し,また認知構造では特定の要素が実行意図へ影響を与えていることが分かったので報告する.
著者
松岡 尚敏 渡邊 淳一
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.46, pp.15-29, 2011

本研究は、平成20年に告示された中学校学習指導要領の社会科歴史的分野において新設された「各時代の特色をとらえる学習」に関して、近代という時代に焦点をあてて考察するとともに、指導計画試案の作成を試みたものである。まず、「各時代の特色をとらえる学習」の趣旨および指導計画を設計する際の留意点について整理したのち、次に、日本近代史の特色について数個のキーワードで表現する作業を行った。その後、抽出された4つのキーワード、すなわち「中央集権的な近代国家の形成」「『国民』概念の創出」「帝国主義と植民地の領有」「工業化と資本主義の発達」に留意しながら、単元全体の指導計画(40時間扱い)およびその中で核となるいくつかの本時の指導計画について、試案という形で作成を試みている。
著者
東野 裕人 ヒガシノ ヒロト Higashino Hiroto
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.97-107, 2017-03-31

I have analyzed the 1985 Plaza Accord as the main cause of the Japanese bubble economy of the late 1980s in the previous paper. However, this analysis might be too simplistic unless a close examination of land prices before the Plaza Accord is taken into account, because the prices had already risen before 1985. The sharp rise in land prices preceded the depression due to the yen appreciation after 1985 and to a series of reductions in the official discount rate after 1986. Thus, this essay discusses the rise in land prices and the land policy leading to this rise during the Nakasone administration in an attempt to offer a unique perspective on the Plaza Accord and the bubble economy by evaluating the land policy of the administration.
著者
楊 海程
出版者
麗澤大学大学院言語教育研究科
雑誌
言語と文明 = Language & Civilization (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.55-64, 2012-03-30

筆者は、1910 年代の21 ヶ条要求交渉から1930 年代の日中全面戦争が勃発するまでを対象とし、日中間の矛盾や軋轢がどのようなメカニズムで生成され、どのようにして関係悪化を引き起こしていったかについて、明らかにすることに関心を持っている。本稿は、「川越・張群会談」を対象とし、1936 年後半における日中国交調整交渉問題を取り上げた研究である。
著者
釜江 尚彦 小杉 信
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, 1971-12-15
著者
宇田川 佳久
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.31(2009-SE-163), pp.263-270, 2009-03-11

CMMI などの開発標準では,品質向上のため工程を跨る設計項目の来歴管理を義務付けている.多くのシステム開発における設計項目数は数百以上であることから,来歴管理を実施するためには,網羅的,客観的かつ効率的な設計項目の抽出が前提となる.一方で,設計書は,設計の目的に最適化した記法によって記述されており,設計書間の整合性の確保を難しくしている.本文は,Web システムの外部設計と内部設計を対象とし,各種の設計書から設計項目を木構造として網羅的に抽出する方法について論じている.また,来歴管理の一手法として提唱されている設計項目間の “トレース関連” を一括して定義する方法を述べている.
著者
得丸 公明
雑誌
研究報告 自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2011-NL-200, no.1, pp.1-8, 2011-01-21

「ヒト話し言葉がデジタルであるという事実は,ヒトの言語と意識の起源を理解する上できわめて重要であるのに,まだあまり理解されていない.(1)」 そもそもデジタルという概念がきちんと定義・検討されていない.通信回線上の雑音が信号の量子エントロピーを増大させるときに,デジタル信号の離散性が信号対雑音比 (S/N 比) を高めることによって,信号誤りの確率を大幅に下げることもあまり認識されていない.本稿において筆者はデジタルを 「(有限個の離散信号によって表現される) 情報」 として定義づけ,それがアナログ信号に比べて桁違いに多くの符号語を生みだすことや,信号の確達性を高めたことによって,開始信号と終止信号の間で一次元状に配列される信号の位置や結びつきが意味をもつようになった (文法が生まれた) ことを指摘する.我々はこの言語情報を脳内に貯蔵する.それがいったい何でどのようなメカニズムであるのか,まだまったく解明されていない.言語記憶について心理学・脳神経生理学に照らして考えてみる.
著者
丸地 康平 酒井 政裕 進 博正
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013-SE-179, no.17, pp.1-8, 2013-03-04

本論文では,シーケンス制御プラグラミング言語に適した新しいカバレッジ基準 MTC を提案する.MTC は,必要となるテストケース数を抑えつつ,効果的なテストを実現するためのカバレッジ基準であり,論理回路におけるトグル網羅とソフトウェアにおける MC/DC 網羅の両性質を併せ持つことを特徴とする.ミューテーションテストによる評価実験により,MTC の有効性を確認した.
著者
中山 晃 高木 正則 勅使河原 可海
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2011-CSEC-52, no.33, pp.1-6, 2011-03-03

本研究では,CollabTest と呼ばれる WBT システムの相互評価活動に関する問題に着目している.このシステムでは,学生が問題を作成する事や,作成された問題を相互に評価する事が可能である.授業外の時間に行われたこの相互評価活動は,約 70% のグループで非常に低い活動レベルの相互評価やコメント活動が行われていた事がわかった.そこで,相互評価活動への参加の偏りを解消するための方法として,グループ編成方法の改善に着目した.グループ学習におけるグループ編成の研究では,学生の性格特性がグループ編成において考慮されていた.我々は代表的な性格検査法であるビッグファイブによって抽出された学生の性格と,学生のコメント数との関係性を分析することで,いくつかの性格因子が相互評価やコメント活動の活動レベルに関連する可能性があることがわかった.