著者
加賀 佳美
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.243-249, 2017

<p> 注意欠陥・多動性障害 (attention deficit/hyperactivity disorder; ADHD) は, 近年症例数の増加に伴い, 均てん化された診断と治療や介入法の確立が急務となっている. 現状のADHD診断は質問紙などを用いて保護者から聞き取り, 問診や診察を通して下される. しかし質問紙は主観的な評価に基づいているため信頼性に乏しい. 従って客観的評価が可能な神経生理学的バイオマーカーの開発が重要と考える. 本稿は非侵襲的脳機能検査法のうち頭皮上脳波の周波数解析, 事象関連電位 (ERP) や近赤外線スペクトロスコピー (NIRS) の研究成果がADHD診断におけるバイオマーカーに活用可能であるかどうかをまとめた. その結果, ①覚醒安静時脳波でADHDのθ/β帯域パワー値の比率増大を診断に利用する試みがある一方, 信頼度に賛否がある点も事実である. ②ERPのうちP300, NoGo電位やmismatch negativityはADHDの診断や薬物効果判定に用いられている. ③NIRSは装着が簡単で, 特に前頭部皮質の計測が行いやすい. 幼児から学童の前頭葉機能評価に適しており, ADHDの認知特徴 (不注意, 実行機能) の評価に長けている. 以上のように, 脳波, ERP, NIRSはADHDの神経生理学的state markerとしての可能性があり, 診断補助, 重症度判定, 治療効果判定等に活用されると考えられる.</p>
出版者
京都大学新聞社
雑誌
京都大学新聞
巻号頁・発行日
vol.2219, 1998-05-16

新入生歓迎号 その3
著者
京都大学広報委員会
出版者
京都大学広報委員会
雑誌
京大広報
巻号頁・発行日
vol.471, pp.820-837, 1994-09-15

大学における性差別の問題をめぐって 総長 井村裕夫
著者
小野 次朗
出版者
ミネルヴァ書房
雑誌
別冊発達 (ISSN:0910335X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.1-5, 2011-08
著者
小倉 宗
出版者
京都大学 (Kyoto University)
巻号頁・発行日
2008-07-23

新制・課程博士
著者
髙橋 香央里 笠原 諭 福田 謙一 一戸 達也
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.85-90, 2021

<b>症例の概要</b>:40歳,女性.左側下顎第一小臼歯部に相当する舌側縁のピリピリ感に対して,薬物療法について説明したところ,過去の経験から薬物療法の実施に理解が得られなかった.そこで,舌側縁が歯に触れてしまうという訴えに対し,ソフトタイプのオーラルアプライアンスを作製したが,効果は装着時のみであった.<br>症状が長期に渡っていたことや,診察中に注意欠如多動性障害(ADHD)の行動所見を認めたためADHD尺度によるスクリーニング検査を行ったところADHDの可能性が示された.患者の希望もあり精神科医へ加療を依頼したところ,身体症状症と混合型ADHDの診断がなされた.診断により,日常生活で自覚している自責感が減り薬物療法を受け入れることが可能となり抗うつ薬の内服により疼痛軽減の効果が得られて経過良好である.<br><b>考察</b>:舌痛症患者の中には難治性を呈することもあり歯科領域を超えた加療も必要となることがある.本症例ではADHDスクリーニングを行い,医科への紹介となった.今回の結果から今後も難治性を呈する舌痛症患者の評価の一つとして検討していく必要性が考えられた.<br><b>結論</b>:舌痛症の診断をしていくうえでADHDスクリーニングを今後検討していく必要性及び精神科医との連携が重要であると思われた.
著者
秋元 誠 鈴木 和春 遠藤 幸江 五島 孜郎
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.79-86, 1986 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
4 4

過剰P食投与による変化を, 初体重約110gの Wistar 系雄ラットを用いて40日間観察したところ, 体重増加量および飼料摂取量は, 過剰P食の影響により, 過剰P食群 (EP) が正常P食群 (NP) に比し低値を示した。EP食によりPの吸収率は増加し, Mgのそれは逆に低下した。尿中のCa, PはEP食で明らかに高い排泄率を示した。飼料を交換することによる変化は, P, Mgについては交換直後にみられ, Caは10日から15日間ぐらいの日数を要した。腎臓Ca濃度は, EP群がNP群の約160倍, P濃度は約3倍という高値を示した。EP群の血清P濃度は, NP群に比し上昇傾向を示し, CaおよびMg濃度は低下した。
著者
山下 太郎
出版者
京都大学西洋古典研究会
雑誌
西洋古典論集 (ISSN:02897113)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.118-135, 1994-03-30

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
小野 あけみ
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.236, 2016

はじめに重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は、様々な疾患を持ち、重度の脳障害による認知発達の遅れや言語発達の遅れなどから、有効なコミュニケーションが成立しにくい特徴がある。今回、頻繁な泣きがみられた重症児(者)において、泣きが重要なコミュニケーション手段であるととらえ、関わり方を工夫した結果、情緒が安定し、職員との人間関係がより深まる経験が得られたので報告する。対象A氏60歳代女性。医学的診断:脳炎後遺症(横地分類B1)、知的障害、両下肢運動機能障害、高血圧、糖尿病。方法泣きが起こりやすい状況を把握するため、観察調査を行い、その分析結果から、看護目標を、1)不安が軽減し、安心感をもつことができる、2)要求に適切に対応することで満足感を得ることができる、3)注目されたいという気持ちを大切にすることで職員との円滑なコミュニケーションを取ることができる、と設定した。実施に際して、安心できる環境を作り、職員の関わり方を統一した。結果2カ月後には、あいさつのときに職員が手を差し出すと職員の手に触れる行動が増え、3カ月後には職員を自分の近くに手招き、職員が近づくと触れて笑顔をみせるようになった。泣きがあるときには手浴や手指マッサージを行うと泣き止み、本人から「手洗う」「クリーム」「こっち」等の言葉での要求が多くなり、職員と一緒に過ごす作業時間には言葉と笑顔が見られる様になり、泣きの時間は介入後ほぼ半減した。考察A氏の意思に添う関わりや環境を作り、職員が対応を統一したことにより、A氏から職員にスキンシップを求めたり笑顔になる場面が増え、泣き以外に言葉や態度で意思や要求を示すようになった。言葉で伝えることが出来ない重症児(者)の要求を知るために、行動観察によって行動の意味や身体的影響を把握し、その人らしさを理解することは生活の質の向上において重要である。
著者
松木 洋人
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.52-63, 2013-04-30 (Released:2014-11-07)
参考文献数
38
被引用文献数
4

1980年代後半以降,主観的家族論と構築主義的家族研究は人々が使用する日常的な家族概念に注目することの重要性を論じてきた.しかし,これらの研究に対しては,専門的な家族定義の意義や可能性を否定するものであるとの批判もなされている.本稿では,主観的家族論と構築主義的家族研究およびその批判のいずれにおいても看過されてきた日常的な家族概念の家族社会学研究にとっての含意を明らかにする.まず,主観的家族論と構築主義的家族研究およびその批判において論点となっていたのが,専門的な家族概念と日常的な家族概念との関係であることが確認される.そのうえで,この論点を社会科学における記述の適切性についての議論と関連づけることによって,日常的な家族概念は,家族定義の間の齟齬をめぐる問題を脱問題化するものとして,そして,個別の経験的研究においては専門的な家族定義の適切性の条件となるものとして理解できることを主張する.
著者
中島 徹
出版者
東北大学法学会
雑誌
法学 = HŌGAKU (THE JOURNAL OF LAW AND POLITICAL SCIENCE) (ISSN:03855082)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.101-123, 2020-01-28
著者
楠 明子 Kusunoki Akiko
出版者
名古屋大学英文学会
雑誌
IVY (ISSN:09142266)
巻号頁・発行日
no.41, pp.21-42, 2008-11-30

In contrast to Urania and her sonnet sequence,the aspects of Love's Victory, Mary Wroth's only extant play, which have hitherto attracted the most critical attention are the constraints on Wroth's expression of her views of female agency. Yet Wroth's representations of women's sense of self in this play need to be further explored in terms of her response to dramatic representations of womanhood in other English Renaissance plays, in particular to the plays of Shakespeare. Insightful comparisons of Wroth's works and Shakespeare's plays were made in pioneering studies by Josephine Roberts, Barbara Lewalski and Naomi Miller, but since then not much critical work on Wroth's play has adopted this perspective. It is almost certain that Wroth knew Shakespeare, probably even personally, through William Herbert, who was her lover/cousin and one of Shakespeare's patrons. She must have been quite familiar with Shakespeare's plays; indeed, she may have seen almost all the court productions of Shakespeare. This essay will explore the concerns expressed by Wroth in Love's Victory in relation to a number of problems left unresolved in Shakespeare's plays, as well as with reference to the representations of these concerns in Urania Part I and Part II. These issues will include the problems of male jealousy, the changeability of men's emotions, and women's awareness of gender ideologies in society, especially those related to their ageing and their powerlessness. Among Shakespeare's plays, the discussion will centre on Othello (1604) and The Winter's Tale (1611), referring also to Romeo and Juliet (1593) and Twelfth Night (1600). As Alison Findlay has demonstrated, Love's Victory was probably performed in some part of the Garden or the Great Hall of Penshurst Place. Most critics find Wroth's attitude to gender ideologies in Jacobean society in the play less challenging than is the case in the two parts of Urania and the sonnet sequence. Explanations for this are usually linked to the likelihood that the play was most probably intended or performed for the Sidney inner circle. And yet, many of the members of that circle must have known Shakespeare's plays extremely well. The essay thus argues that, for an audience who had knowledge of Shakespeare's treatments of women's issues, Love's Victory constituted a challenging response to social assumptions about gender boundaries. Through the delicate manipulation of Shakespeare's treatments of women's issues, and their revision from female points of view, Wroth in fact offered to her audience of the Sidney circle not the happy traditional pastoral comedy which Love's Victory at first sight appears to be, but a quite radical view of gender distinctions in Stuart England. Wroth's challenging attitudes even to the familial discourse of Sidney/Herberts has been discussed in Marion Wynne-Davies' recently published, ground-breaking study of Love's Victory (Familial Discourse 89-103). Though not paying much attention to the relationship of Wroth's play to Shakespeare, Wynne-Davies discusses the significance of Wroth's play for the genre of tragi-comedy, a popular literary form at the time, in the political context of 1612-1619. This essay will finally discuss Wroth's challenge to contemporary gender assumptions in the light of Wynne­-Davies' reading of the play as "the emergent politicisation of tragi-comedy (Familial Discourse 103).本論は2007年度名古屋大学英文学会サマーセミナー(2007年7月20日)における講演に基づくものである。