著者
間下 恵介 三宅 翔 山田 遼平 津邑 公暁
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.13, pp.1-10, 2015-05-19

マルチコア環境では,一般的にロックを用いて共有変数へのアクセスを調停する.しかし,ロックには並列性の低下やデッドロックの発生などの問題があるため,これを補完する並行性制御機構としてトランザクショナルメモリが提案されている.この機構をハードウェア上で実現したハードウェアトランザクショナルメモリではアクセス競合が発生しない限りトランザクションが投機的に実行される.しかし,共有変数に対する複合操作が行われるようなトランザクションが並行実行された場合,その際に発生するストールが無駄となる場合がある.そこで本稿では,このような複合操作を検出し,それに関与するトランザクションを排他実行する手法に加え,同一の共有変数に対してそれ以降変更が行われないと判断した時点で,他スレッドによる投機的アクセスを許可する手法を提案する.シミュレーションによる評価の結果,提案手法により 16 スレッド実行時において最大 67.2%,平均 13.9% の性能向上を達成した.
著者
小久保 翔平 伊波 立樹 河野 真治
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.16, pp.1-6, 2015-05-19

本研究室では Code Gear, Data Gear を用いた並列フレームワークの開発を行なっている.Code Gear, Data Gear は処理とデータの単位である.並列実行に必要な Meta な機能を関数型言語における Monad の原理に基づいて,実現する.今回設計した Gears OS では Code Gear, Data Gear それぞれに Meta Code Gear と Meta Data Gear を対応させる.Code Gear が実行されるとそれに対応する Meta Code Gear が実行され,Meta Computation が行われる.Meta Computation は OS が行うネットワーク管理,メモリ管理等の資源制御を行う.本論文では基本的な機能を設計し,CbC(Continuation based C) で実装する.
著者
Masamichi Takagi Balazs Gerofi Norio Yamaguchi Takahiro Ogura Toyohisa Kameyama Atsushi Hori Yutaka Ishikawa
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.1, pp.1-8, 2015-05-19

Processor core count in high-end computing has seen a steady increase during the past decade and next generation supercomputers will likely deploy many-core based systems. At the same time, from a software environment point of view, Linux-compatibility has become wide-spread in the High Performance Computing (HPC) domain. We consider the challenges of operating system (OS) design targeting next generation high-end computing. We believe that the most urging issues to be addressed are as follows. (1) Exploiting deep memory hierarchies, (2) Reducing cache pollution by OS services and minimizing OS noise, (3) Making it easy to design and deploy application specific kernels, (4) Providing a Linux compatible programming / run-time environment and (5) Enabling seamless tracking of upstream Linux kernel changes. We contend that existing approaches to HPC operating systems, which either employ a stripped down Linux environment or a specific light-weight kernel built from scratch, are not feasible to deal with these challenges. In this paper, we discuss the design decisions of our proposed hybrid kernel design for providing a Linux-compatible light-weight kernel.
著者
TONE Kaoru
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.15-05, 2015-05

Slacks-based measure (SBM) (Tone (2001), Pastor et al. (1999)) has been widely utilized as a representative non-radial DEA model. In Tone (2010), I developed four variants of the SBM model where main concerns are to search the nearest point on the efficient frontiers of the production possibility set. However, in the worst case, a massive enumeration of facets of polyhedron associated with the production possibility set is required. In this paper, I will present a new scheme for this purpose which requires a limited number of additional linear program solutions for each inefficient DMU. Although the point thus obtained is not always the nearest point, it is acceptable for practical purposes and from the point of computational loads.
著者
安里 彰 細井 聡 新井 正樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第47回, no.ハードウェア, pp.31-32, 1993-09-27

プロセサの高速化手法の一つであるレジスタリネーミング[1]をハードウェアでインプリメントする場合、Rarc個のアーキテクチャレジスタに対し、それより多いRren個のレジスタを用意して、それらをマッピングするのが普通である。一方、コンパイラがプロセサの性能を充分に引き出すようなコードを生成するためには、レジスタの個数がRarc個では不足に感じることが多い。特に、スーパスカラやVLIWプロセサ等の実行並列度を向上させるためのコードスケジューリングを行なう場合この傾向は顕著になる。我々は、レジスタリネーミングのために用意された余剰なRren-Rarc個のレジスタを有効に活用して、コンパイラが使用できるレジスタ数を実質的に増やす方式である、多重レジスタリネーミング方式を本論文で提案し、その効果について議論する。
著者
IKEDA Shin S.
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.15-04, 2015-05

Historical data of system prices and traded quantities of electricity over the 48 half-hour intra-daily intervals in the Japan Electric Power Exchange are analyzed. Viewed as a panel dataset of the 48 different commodities in 7 different markets (days of a week) or 336 different contracts over 288 weeks, the data allow me to compute two representative measures of illiquidity, namely, Amihud's price-impact measure and Roll's implied spread cost measure from November 2006 to April 2012. These measures are based on the absolute weekly returns of each of 336 contracts divided by the corresponding volume of traded electricity, and on the first-order serial covariance of weekly returns, respectively. Two measures closely comove but they contribute to the returns in different magnitudes, suggesting that each of them captures both common and distinctive aspects of illiquidity in the JEPX market. Once the lagged returns are controlled for in a dynamic panel framework, the influence of price-impact measures on returns dominate that of spread measures. The price-impact measure and traded volume contribute the return variations in opposite signs, i.e., positively and negatively. It suggests that the assessment of illiquidity requires a careful treatment of these confounding factors.
著者
土田 耕司
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.269-273, 1999-12-25

社会リハビリテーションにおいての援助課程で, 自らの余暇活動を自分の能力のみで実現することが比較的困難な障害者などを対象として, その実現のための諸条件を整備する営みの援助技術がセラピューティック・レクリエーション・サービスである.障害者の余暇活動を, 障害者の自立生活の視点から「見つけだす余暇活動」としての援助を試み, 余暇活動を獲得することができた.障害者が余暇活動を獲得することは, 社会リハビリテーション過程での様々な訓練や援助の相互的関係のうえに成り立ち, 自由時間としての余暇活動の充実に止まらず, 障害者の生活自立や社会参加へと発展していくことが確認できた.
著者
黒川 茂莉 石塚 宏紀 渡邊 孝文 村松 茂樹 小野 智弘 金杉 洋 関本 義秀 柴崎 亮介
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2014-MBL-71, no.18, pp.1-6, 2014-05-08

携帯電話通信時の位置情報履歴は,全国を網羅的に人々の移動が把握可能であるため,都市交通施策などへの応用が期待されている.都市交通施策のあり方を検討するために国士交通省を始め各自治体で実施されているパーソントリップ調査では,人々の滞在地,滞在時間だけでなく滞在目的も重要な調査項目となるが,滞在目的推定の研究はいまだ不十分である.そこで本稿では,携帯電話通信時の位置情報履歴から,個人の滞在地及び滞在時間を検出し,自宅,職場,お出かけ先などの各滞在地に対する滞在目的を推定する手法を評価する.評価では,利用同意を得た 1250 名の 4 週間の位置情報履歴と行動に関する Web アンケート結果を用いた.
著者
伊藤 毅志 古郡廷治
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.93(1996-CE-041), pp.49-56, 1996-09-20

本稿では、自立的学習を支援する新しいCAIシステムのための基礎研究について説明する。このシステムは、間接指導と自己観察の二つの指導法を組み込んだシステムである。まず、間接指導と自己説明について説明し、実際の教育実践活動の結果をもとに、さらに考察していく。また、これまで提案してきた間接指導に基づいたCAIシステムについても説明し、自己観察をこのシステムに組み込んだ新しいシステムの全体像を紹介する。
著者
浅沼 仁 川本 一彦 岡本 一志
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2015-CVIM-195, no.59, pp.1-4, 2015-01-15

全方位画像では位置による物体の見えの変化が大きく,従来の見えに基づく特徴による分類では人の識別が難しい.本研究では,Deep Convolutional Neural Network を全方位画像からの人検出に応用する.Deep Learning では学習に大量の学習サンプルが必要となるが,手作業で作成することは時間的な問題から現実的でない.少ない学習サンプルから大量の学習サンプルを生成し,生成された学習サンプルでも学習が行えることを示す.また,実環境下で HOG 画像特徴量と Real AdaBoost を用いた人検出法と比較し,識別率が向上することを示す.
著者
山本 将士
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.153-170, 2008-12-23

本稿の目的は,笠地蔵の教材価値の再発見,笠地蔵の変容過程に関する調査研究,絵本として再話された作品分析である。比較研究の結果,民話「笠地蔵」絵本は,本来「貧乏な爺が満足な正月を迎えたいという願望を叶えるために町へ買い物に行く。しかし町へ行く途中に,地蔵が雪を被っているのを見つけて,爺が2人でこしらえた売り物の笠を地蔵にかぶせるが,笠が1つ足りないので,自分の笠(手ぬぐい,ふんどし)を地蔵に被せてあげる。爺が家に帰って,何も持っていない理由を説明すると,婆も一緒に喜んでくれるが,大晦日に食べものが何もないために,そのまま2人とも寝てしまう。夜中に地蔵が賽物,金銀,米,餅を運んで来てくれる翌朝外を見ると,地蔵が立ち去る後姿が確認できた。そして,爺婆は良い正月を迎えることができた。」が,理想の物語であるとことを示すことができた。また,上述した条件に,最も近似する笠地蔵の採話が,『日本昔話名彙』(柳田國男,1951)であった。さらに,これまでに出版された58冊の絵本を評価した結果,(稲田・梅田,1978) 『かさこじぞう』,(瀬田・赤羽,1966) 『かさじぞう』の2冊を優れた民話絵本であることを示すことができた。
著者
松尾 治幸 大野 和彦 中島 浩
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.855-865, 2002-04-15

共有メモリ型並列計算機における同期処理オーバヘッドを削減する手法として,我々は同期操作に後続するメモリアクセスを同期成立確認以前に実行する機構specmem を提案してきた.この機構の特徴は,投機失敗の検出やそれに伴う計算状態の復元を,機能メモリを用いたコヒーレント・キャッシュの簡単な拡張により実現することにある.これまでの評価では,負荷の変動によって同期区間が伸縮するようなプログラムに対してspecmem が有効であることが確かめられている.しかし同時に,投機によりキャッシュ・ミスペナルティが増加し,プログラムによっては性能が低下してしまうことも明らかになっている.そこで本報告ではspecmem の改良方式として,投機的更新を示す新たな状態の追加と,通常のメモリで構成される2次キャッシュの導入を提案する.SPLASH-2ベンチマークを用いた評価を行った結果,Radix Sortでの性能劣化を8.6%から0.7%まで削減できることや,LU分解の性能向上率が14%から16%に増加することが明らかになった.
著者
森本 有紀 高橋 時市郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1329-1338, 2015-05-15

本稿では,自由形状のイラストをデザインの原理に基づき美化する手法を提案する.直線や楕円による単純な描画を美化制約に基づき美化する手法はこれまでにさかんに研究されてきた.しかし,それらの美化制約の自由形状への適応は挑戦的な課題である.本手法では,制約付きドロネー三角形分割を用いて,自由形状における局所的に関連の強い部分を効率的に探索する.また,本手法では,平行・滑らかさ・形状類似性・共曲線性,のデザインの原理を美化制約として用い,自由形状を評価する.本手法は,形状評価,特徴保存平滑化,形状あてはめの3つのステップによって成り立つ.まず制約付きドロネー分割を行った入力に対して,デザインの原理に基づき形状を評価する.次に,形状評価値に,特徴保存の平滑化処理を行う.最後に,形状あてはめでは,複数の異なるデザインの原理に対して形状エネルギーを最小化し,最適な形状を生成する.既存手法との比較アンケートからは,本手法はより適切な美化ができることが分かった.
著者
高橋 研介 高橋 一志 大山 恵弘
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2015-CSEC-69, no.20, pp.1-8, 2015-05-14

近年,代表的な Web ブラウザの一つである Firefox の拡張機能を悪用した攻撃の危険性が認識されており,悪意を持つ拡張機能による脅威が増している.一方,Firefox では拡張機能をインストールする際,その拡張機能がどのような操作を実行するのか一切通知されない.そのため,無害に見える拡張機能がバックグラウンドで悪質な操作を行っている場合,それを発見することは極めて難しい.本稿では,そのような状況への対策として,Firefox 拡張機能が実行しうる操作をユーザに通知するシステムの提案を行い,インストールする拡張機能が悪意を持つかどうかを判断する材料を提供する.また,セキュリティ対策の一環として 2015 年に導入される予定である Firefox 拡張機能の署名が,本システムに与える影響を考察する.
著者
正木 彰伍 五十嵐 大 菊池 亮 齋藤 恆和 千田 浩司 廣田 啓一
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2015-CSEC-69, no.28, pp.1-6, 2015-05-14

パーソナルデータの安全な利活用には,データの安全性と有用性の両立が必要である.安全性については代表的な k-匿名性や,k-匿名性を確率的な指標に拡張した Pk-匿名性が提案されるなど,匿名化技術が広く研究されている.一方で,匿名化データの有用性についての議論は未だ限定的である.特に,レコード数などのデータの特徴と有用性の関係性を明らかにすることは,実用上非常に有益である.しかし,これまで行われてきた,ウェブ上で公開されている実データなどを用いた実験では,用いるデータの特徴が限定的になり,議論が困難となっていた.そこで本稿では,多くのデータを包含する一般的な模擬データモデルを利用した評価法を提案し,この模擬データに,Pk-匿名化を適用した実験を行う.さらに実験結果から,有用性と模擬データモデルのパラメーターの関係について調べ,特定のパラメーターから有用性を予測できることがわかった.
著者
藤若 雅也
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.570-574, 2015-05-15

ビックデータ分析において,一般に参加者を募集して参加者同士でその分析・予測精度を競わせる機械学習コンテストが広がりを見せている.また,機械学習コンテストの場をプラットフォームとして提供する企業も登場しており,MiscrosoftやAmazonといったトップ企業も活用している.コンテストでは,単に参加者が結果を競うだけでなく,情報交換フォーラムやチーム形成によりお互いが切磋琢磨できる場にもなっている.本記事では,その背景やコンテスト参加のメリットについて解説するとともに機械学習コンテストの場として世界最大であるKaggleにフォーカスを当て,具体的なコンテスト事例や参加方法を紹介する.
著者
井田 明男 金田 重郎 熊谷 聡志 藤本 明莉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1340-1350, 2015-05-15

今日ビジネスアプリケーション開発の現場では空前のアジリティが求められている.また,システムはよりいっそうデータ指向的になってきている.そのため,アプリケーションの中核となるモデルとして構築されるドメインモデルは,1)問題領域を端的に記述し,2)ドメインの専門家と開発技術者との意思疎通を促進し,3)ドメインの論理要件を満たして,4)データベース設計のデータモデルへの変換もストレートフォワードに行えるようなモデルであることが要求される.しかしながら,オブジェクト指向の発想だけでは,このようなドメインモデルを構築することは難しく,かといってデータ項目主導型の正規化理論をそのまま持ち込むことは困難である.そこで,本稿では,存在従属性に着目したドメインモデルの構築手法とUMLのクラス図をベースとした表記法を提案する.ホワイトボードに手書きできるくらい簡潔でありながらも識別子の関係が手に取るように理解できるモデルを目指す.存在従属性の概念は理解しやすく,ドメイン中のいたるところで見出されるため,提案手法により,第4正規形と同等以上の正規化レベルを持ったドメインモデルが自然に構築できる.提案手法がオブジェクト指向手法において正規化に似た役割を果たし,ドメインエキスパートとシステムエンジニアが共同で参加するモデリング作業の一助となれば幸いである.
著者
渡部 孝幸 宮崎 佳典
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1417-1427, 2015-05-15

数式は多くの科学分野において広く用いられているものであり,電子的な文書中に記述されることも多い.電子的な文書の特長として,検索を行うことができるという点があげられる.しかし,数式の検索を行うことは容易ではない.なぜなら数式では,通常の言語とは異なり,文字が二次元的に配置されるためである.そこで本研究では,二次元的な文字の構造に対して文字列のパターンマッチング(文字列探索)に基づく検索を行うことで,文書から特定の数式が記述された箇所を見つけ出す,文書内検索の機能を実現する手法を提案する.また,本研究で提案する手法は,数式のパターンマッチングにおいて正規表現を利用することも可能である.正規表現を用いることで,複雑なパターンを処理することが可能となり,検索の利便性が飛躍的に向上する.さらに,パターンにマッチした数式のハイライト表示および数式の置換の実装についても述べる.
著者
亀井 邦裕 児玉 公信 細澤 あゆみ 成田 雅彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1351-1362, 2015-05-15

企業情報システムは変化する企業環境に対し,柔軟で機敏な対応を迫られている.そこで稼働するビジネス系アプリケーションは短期間での構築が可能で,なおかつ変化に強い構造を持っており,再利用開発が可能でなければならない.それは経験に裏打ちされた合理的な概念構造を持ち,変化する部分と固定部分が明確に分かれた実装構造となっているはずである.本論文は,そのようなアプリケーションを開発するための1つの取組みとして,概念モデルに基づく実装方法を試行し,消費税計算などの公開可能な題材を用いた概念モデル,実装モデルなどを成果として提示する.