著者
小野 令美
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.399-404, 1979-09-15

高次方程式の数値解法で最近注目されてきたものに全根同時反復型解法Durand-Kerner法とAberth法がある(DKA法と略す).例としてChebyshevの数値積分公式の分点を与える高次方程式をとりあげ 1000次以上におよぶ超高次方程式をこの解法で解いた.さらに低次のものについてはsystem に備えられているsubroutine libraryとも比較してみた.その結果次数が高くなるにつれ従来の解法では得られた解の精度が正しく評価できなかったが DKA法ではGerschgorin circle半径の範囲内で正しく求められた.超高次方程式についてはDKA法でも桁落ちのため必要な桁数の解が得られなくなるので 一部多倍長演算が必要になる.このようにして最高1024次のものまでについてGezschgorin circIe半径が完全に分離した解を得た.その結果解はn→∞極限で根が並ぶと予想されている曲線に近づくことが数値的に確かめられた.これらの結果を述べる.さらにこの数値実験を通して得られたこの種の大規模計算を行う際に注意すべきことがらを述べる.このう3.1問題の特殊性の利用3.2多倍長演算の効果的使用(計算の各段階での必要な計算桁数の解析)3.3計算法の手間の検討などが特に重要な知見である.
著者
浅野 日登美 橋本 直
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2020-EC-55, no.15, pp.1-8, 2020-03-11

アクションゲームでは難易度の高いステージにおいて正確なボタン操作が要求されることがある.正しいボタンを正確なタイミングで入力することは初級者にとって困難となる場合が多く,上級者でもクリアまでに多くの時間を要することもある.本研究では,手本プレイ動画を見ながらゲームコントローラへの模倣入力を行うことでボタン操作を学習するシステムを提案する.提案システムでは,手本プレイ動画の再生と連動した手本のボタン入力状態表示と,手本と学習者のボタン入力の一致度の提示を行う.本稿では,2D アクションゲームを対象に行ったシステムの実装と評価実験の結果について報告する.
著者
秋山 哲雄
出版者
国士舘大学日本史学会
雑誌
国士舘史学 = Kokushikan shigaku
巻号頁・発行日
vol.25, pp.105-123, 2021-03-20
著者
行田 稔彦
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.212-222, 2019-03-08

算数の学び直しを通して「算数の内容と構成」(講義項目名)の理解を深めるとともに、子どもとともに算数教育をつくる、未来の教師の主体を育てたいと考えた。「算数・数学が苦手」と、算数・数学にネガティブな思いを持つ学生が多い。こうした大学生の声を聞くと、日本の若者の多くが「算数の“わけ”がわからない」まま青年期を迎えているように察せられる。算数嫌いの若者が心を動かした「算数の学び直し」には、現代の算数・数学教育改革のヒントがある。「算数の学び直し」は、単に「小学校に戻って学び直すこと」ではない。「なぜそうなるのか」のわけがわかることである。学び直しを通して、学習者自身の算数観の転換となる新たな「算数の発見」である。もう一つの意義は、算数授業観の転換である。「算数・数学は先生が教科書の問題を解かせるだけの教科」であり、「点数によって人間の優劣を順序付ける教科」だとこれまでの授業経験から思いこんでいる授業観の転換をはかることである。
著者
掛下 哲郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.16-19, 2021-12-15

本稿では情報処理学会が策定したデータサイエンス(DS)を専攻する大学レベルの教育に関するカリキュラム標準および今後の構想について紹介する.本カリキュラム標準は,ACMのDSカリキュラムや欧州Edison DS Frameworkを参照して策定されており,国際的互換性を有する.さらに,データサイエンティスト協会が作成したDSスキルチェックリストを参照することで,本会のDS資格とも連携している.本カリキュラム標準は約60単位の規模であり,データサイエンスを専攻する学生が必要とする知識およびスキルを網羅している.また,数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムのモデルカリキュラム(リテラシーレベル)の履修を前提としている.
著者
福田 一史 井上 奈智 高倉 暁大 高橋 志行 橋崎 俊 日向 良和 藤倉 恵一 松岡 梨沙
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.275-282, 2020-12-05

近年,多くのテーブルトップゲームが創作され消費されるようになった.また図書館でのボードゲームの活用が進むなど文化資源として注目が集まっている.すでにいくつかの民間のデータベースなど実践が存在するが,体系的な目録作成や利用には課題がある.本研究は,1) 既存DBの記述要素分析,2) サンプル資料の分析,3) 産学で組織したワーキンググループでの検討,を通じて概念モデルを策定した.記述テストにより本モデルの有効性が確認できたものの,その妥当性検証や精緻化などの課題が示唆された.
著者
渡辺 俊哉
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 = Kunitachi College of Music journal (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.245-251, 2021-03-31

初の作品集のCD作成にあたり、まずコンサートのライヴ録音とCD録音との違いを考察して、それぞれの特長を述べる。そしてそこから導き出された考察の結果、全曲新しく録音するという結論に至った経緯と、今回の収録にあたって作曲した新曲について、更に他の収録曲について述べる。日本語の詩を用いた新曲に関しては、その中で試みたことや、詩の選択に関して考えたこと、その狙い、また器楽曲の作曲との違いなどを述べる。最後にCD発売後の反響や、石川星太郎(指揮)、星谷丈生(作曲)、筆者によって結成された「庭園想楽」の第1回オンライン・レクチャー、「渡辺俊哉自作を語る」の講演において新曲について触れた際に、石川星太郎より指摘された箇所の考察を通して、作曲家側と演奏家側の視点の違いを紹介する。
著者
近藤 信彰
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1・2, pp.053-083, 1994-10

It has been pointed out that local elites who de facto ruled provinces played the important role in Iranian society during 18th and 19th centuries. The purpose of this paper is, as a case study of these elites, to analyze public buildings and Vaqf endowments of Moḥammad Taqī Khān and his family in Yazd province and to examine their contribution to the local society and their social and economic background.Public buildings of Moḥammad Taqī Khān who ruled Yazd from 1748 to 1798 fall into three categories: (a) buildings in the suburb of Yazd city, like qanāts and baāhs (gardens), (b) buildings in the bazar area of Yazd city, like a madrasa, commercial establishments and a public square, (c) buildings in Taft, like qanāts and agricultural land. These buildings became political, economic and cultural center of Yazd city and promoted the city expansion to the suburb. His 1755’s vaqf endowment covers the expense of the madrasa which he built and by 1797-8’s vaqf deed he decided the terms for maintenance of qanāts. His children succeeded his activities and built a lot of qanāts, bāghs, and agricultural land. At last his family’s endowments reached about 40% of all vaqf endowments in Yazd. These activities not only sound investments and means to hold estate but also good deeds for local society and means to get local support to their government in Yazd. The fact that they controlled the finance of local government and employed it freely made these activities possible.We may, therefore, reasonably concluded that Moḥammad Taqī Khān and his family had a solid social and economical base in the local society as a result of these activities. And I suppose that the existence of such local elites as Moḥammad Taqī Khān had a strong influence on the structure of Qajar dynasty that united Iran again.