著者
岡田 昌彰
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.603-606, 2000-03-30
参考文献数
17
被引用文献数
3 1

本研究では, 構築効率や規模の経済を図った部材生産過程などを経るテクノスケ-プにおいて顕著な単純反復の形態の修辞的意義を究明することを目的としている。これを扱った庭園, 日本の伝統的デザイン, 現代芸術の解釈法を手がかりとして, その及ぼす視覚的・意味的効果を明らかにし, さらに具象像・抽象像の規則反復・任意反復について実験を行いその効果を確認した。その結果, 単純反復によって構成要素の記号内容の希薄化, 及び形骸・反復秩序の強調が効果として指摘された。さらにテクノスケープにおいてこの特長が生起する事例をその形成プロセスに着目して総括し, 本レトリック論の景観形成創作論としての発展的可能性を提示した。
著者
小山 誠次
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.63-69, 1996-07-20
参考文献数
32
被引用文献数
2

〓苡仁は, 往古は不老延寿の薬であった。『黄帝内経素問』には真心脉を〓苡仁に例えて形態的特徴が記され, また『金匱要略』には〓苡仁を含む四処方が記載されている。〓苡仁の治疣作用については,『本草綱目』や『能毒』にも記載なく, 江戸時代の治疣療法としては艾灸もよく用いられた。〓苡仁の治疣作用を最初に記載した文献は『大和本草』であるとされているが, その病変の記述からは疣贅とは即断できない。従来はその後の『松蔭医談』の〓苡仁の治疣記載を経て,『青嚢瑣探』の治疣神方が最初の治疣処方とされて来た。しかし今回の独自の調査で『青嚢瑣探』の20年前に, 山田元倫撰『名家方選』に「治疣方 〓萩三銭甘草一分」という内服のみならず外用にも用いる処方の記載を見出した。治疣作用の発見は恐らくチョウセンムギの菓子としての摂食よりも〓苡飯, 〓苡粥による大量摂取によって著効例を多数経験したことによるものではないかと考按した。
著者
島村 宣男
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.116, pp.95-106, 2009

アメリカン・コミック界を代表して、いまや「アメリカのイコン」(the American icon)と化した《バットマン》、1989年から本格的なシリーズ化が始まったハリウッド映画界では、2005年からはよりリアルなヒーロー像をという期待に応える新シリーズがコア・ファンの熱烈な支持を獲得、第一作 Batman Begins(2005)に続く続編 The Dark Knight(2008)が記録的な興行収益を挙げたことはまだ記憶に新しい。アメリカ国内ではシリーズ三作目の期待がいよいよ高まるばかりだ。《バットマン》がなぜアメリカ人をかくも熱狂させるのかについては、筆者はここ20年にわたって計5篇の論文を公表し、「言語文化論」を意識した近著『新しい英語史』(2006)をはじめ、他の場所でも多少とも言及する機会があった。本稿は、先稿「"Why so serious?"--映画 The Dark Knight の倫理学」(2008)において、紙数の関係から論及を割愛した部分の考察にかかる。
著者
河野 敬一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.256, 2008

<BR>1.はじめに<BR> 本報告では、近代日本の地域の再編成の過程において、地方の対応やその果たした役割がどのようなものであったのか、具体的な個人や一族の動きを分析することによって予察していきたい。<BR> 地方有力者は、明治期以降の議会制や地方制度が確立していく中で、市町村長や、地方政治・国政へ参画をする例が多いが、その関わり方については、従来、個人の経歴・事蹟から、その政治活動等を通じて果たした役割について間接的に把握されるにとどまり、個人やその同族集団が、具体的にどのような認識をもって政治に参画し、その結果として家業や地域社会に何をもたらしたかといった具体的な検討は、資料の制約などもあってあまりなされてこなかった。本報告では、まず明治期以降比較的多く作成された「同族会記録」、家や同族の「家憲・家訓」などを分析することによって、地方有力者およびその一族の認識の実態を明らかにしていきたい。<BR><BR>2.地方同族集団の政治へのスタンス<BR> 長野県小諸の小山家は、江戸時代から味噌醤油の醸造業を経営し、幕末から明治初期にかけて小諸荒町町内に親族分家による商店を輩出しながら事業を拡大した。一方で明治20年代に、当主・小山久左衛門正友は、渋澤栄一らとの知己も得て製糸業に乗り出し「純水館」を設立したり、小諸義塾の創立に際して資金的援助をするなど新しい産業への進出や地域の教育といった社会活動にも理解を示した。小諸は関東平野と北陸方面を結ぶ交通の要地であると共に佐久平の玄関口という地理的優位性もあって、小諸商人は信州の中でもとりわけ「進取の気質に富む」とみられていたが、実体としてはどうだったのであろうか。<BR> 正友の長男・邦太郎は、純水館長を継ぎ製糸業と家業の醸造業を兼営したが、その後、県会議員、衆議院・参議院と国政に参画し、国政の場で「蚕糸業国策論」を唱え、蚕糸業の発展に力を尽くした。政界進出の経過を小山家に残る「小山同姓会記録」や「小山一族会日誌」によって詳細にみてみると、政治への参画に至るまでの以下のようなプロセスが明らかになる。<BR> 邦太郎は、地域社会のなかでの人望が篤く、地域代表・業界代表として政治への関わりを周囲から強く求められた。一方、小山同族団としては、当主が政治活動への傾注することによって家業の発展の妨げになることをおそれて、大正期から昭和戦前期に起こった政界への邦太郎擁立への動きに一族会において再三の反対決議を行った。<BR> もう一つの例として、山形県酒田の本間家を挙げたい。本間家は、明治期以降、江戸時代以来の蓄財をもとに信成合資会社を設立し不動産管理と貸金業で資産を拡大させた。しかし、新規事業への進出には消極的で、大正期には所有地1,800町歩を超え、当時の『資産家一覧』においても、地方資産家として五指に入る1千万円を超える資産額を誇ったものの、いわゆる「地方財閥」にはならなかった。これは、本間家の株式投資を禁止した「家憲」の存在に依るものと思われる。また、明治24年の「(本間)光美日記」によれば、7代当主・本間光輝に対する酒田町長への強い推薦に対して、家業への影響をおそれて一族が反対した記録があるなど、小山家と同様の姿勢を示している。<BR> この2つの例は、地方有力者の政治参画への消極性や、土地への執着を示している。同族や地域社会との緊密なつながりを持っていることは、とくに地方における事業の存立の重要な要件になりうる。反面、共同体的な心情と人間関係に基づいて地域社会から求められる政治活動や社会活動への参画が、規模の限られた同族経営では、政治的活動に関わる人材にも時間にも限界があるため、むしろ事業の拡大・発展への力の集中を阻害する要因となる。また、土地所有を媒介とした地縁が、他事業への投資を阻害する心理的要因になったことも考えられる。<BR> こうした「保守性」から脱皮しようとする動きのひとつが中央への進出であり、事実、財閥形成をなしたグループの多くが中央を志向した。一方、地方に根ざし事業を保持しようとした有力者たちは、特定の業界や地域を反映した限定的な政治へのかかわりを通じて、地方の地域形成に一定の役割を果たしていった。彼らの政治的な関わりが、どのようなプロセスによって地域形成に反映されていったか、より具体的に検討をしていきたい。
著者
橋本 大輔
出版者
東京藝術大学
巻号頁・発行日
2020-03-25

令和元年度
著者
中西 謙二 桑原 正章
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.251-258, 1996-03-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

チロシン分解酵素を有する乳酸菌を利用したタケノコチロシンの分解技術を開発する目的で,チロシン分解乳酸菌のスクリーニングを行い,分離菌によるタケノコチロシンの分解方法について検討した結果つぎの知見を得た.乳酸菌35株からチロシン分解活性を有する乳酸菌7株を分離した.この中でEnterococcus sp. 4株及びLactococcus lactis subsp. cremoris IFO 3427株に強い分解活性が認められた.Enterococcus faecalis IFO 3971株を添加培養することにより,スライスタケノコで2日間,1/2切断の場合は5日間で肉眼的に認められない程度に白色固形物は分解された.また,Lactococcus lactis subsp. cremoris IFO 3427株についても同等の結果が得られた.乳酸発酵にともなう成分変化は,乳酸と酢酸の増加及び糖の減少は大きかったが,他の成分については大きな変化は認められなかった.
出版者
大学入試センター
巻号頁・発行日
vol.2013年度, 2013-06
出版者
国立文化財機構
巻号頁・発行日
vol.平成23年度,
出版者
国立文化財機構
巻号頁・発行日
vol.平成25年度,
著者
国立文化財機構
出版者
国立文化財機構
巻号頁・発行日
vol.平成21年度, 2011-03-31

1 0 0 0 音楽現代

出版者
芸術現代社
巻号頁・発行日
vol.16(7), no.183, 1986-07

1 0 0 0 OA Newsletter

出版者
国際音楽資料情報協会日本支部
巻号頁・発行日
no.(44), 2012-05-25
著者
Akiyo HIRAI Yusuke KONDO Ryoko FUJITA
出版者
The Japan Association for Language Education and Technology
雑誌
外国語教育メディア学会機関誌 (ISSN:21857792)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.17-41, 2021 (Released:2021-08-18)

This study examines the accuracy of an automated speech scoring system. The system graded English language learners’ retelling performances according to five features, and its scores were compared to those given by both non-native and native English-speaking (NNES and NES) raters. The results show that, of the five features, words per second was the most consistent predictor of both NNES and NES evaluations. However, the NNES rater tended to pay more attention to exact word similarities between the speech utterances and the original text, while the NES raters focused more on similarities of meaning and gave credit to rephrased expressions. Additionally, the correspondence between the automated scores and those given by human raters was moderate (exact agreement = 48% to 65%; rs = .48 to .52), though less than that between the NNES and NES scores (rs = .70). These results indicate that the automated scoring system for retelling performances may be applicable to low-stakes tests if the speech transcription of learners’ utterances is obtained.