著者
浜田 篤至 板花 俊希
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.28-31, 2020

東京パラリンピック開幕を控え世界へ戦いを挑む選手はもちろんのこと,その選手の文字通り手足となる義手・義足・ 装具をサポートする義肢装具士やパーツメーカーも同じ思いでスタートラインに立っている.パラ陸上競技の成績は1964年 の東京大会から年々向上しており,特に膝下での切断者が義足を使用して参加するクラス(T61-64)では短距離種目や跳躍種 目において健常者の競技記録に迫る勢いである.走行用義足部品における代表例の「板ばね」について,その形状がもたらす 走行動作への影響を考察する.
著者
鈴木 裕明 青柳 泰介 福田 さよ子 高橋 敦 馬 強
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

三次元レーザー計測を駆使した木製樹物の調査研究によって、古墳時代王権中枢では中期段階までのコウヤマキ大径木の大量消費によって、後期に入ると中小径木利用が主体となり、そのなかで良質な材は大規模古墳に、質の劣る材は中小規模古墳に供給されていた実態を明らかにした。また古墳時代王権中枢の木材生産・流通の把握を目的として、奈良盆地東山間部の遺跡出土針葉樹残材の調査研究を実施し、針葉樹製品の製作が山間部で行われ、盆地へ供給された状況を確認した。さらに古代中国・朝鮮半島の木材資源と王権との関わりについて関連資料の調査も実施し、中国では漢代には王権中枢周辺地域で有用木材の枯渇が始まっている可能性を指摘した。
著者
Atsushi SAITO Takashi INOUE Shinsuke SUZUKI Masayuki EZURA Hiroshi UENOHARA Teiji TOMINAGA
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
pp.oa.2020-0131, (Released:2021-01-28)
参考文献数
20
被引用文献数
6

Few studies have reviewed the roles of perfusion magnetic resonance (MR) imaging in the histopathological examination of meningiomas. We analyzed the relationships between radiological findings on perfusion MR imaging and pathological characteristics such as origin of the tumor, mitotic activity, pathological subtype, and perifocal edema formation. The subjects were 21 surgical cases of meningioma preoperatively evaluated by perfusion MR imaging. A region of interest (ROI) was set inside of the tumor, and perifocal edema of the same size, cerebral blood volume (CBV), and cerebral blood flow (CBF) on perfusion MR and diffusion-weighted (DW) imaging were analyzed. These radiological data were evaluated in comparison with histopathological characteristics. On perfusion MR imaging, the average ratio of CBV against the contralateral side was 6.43 (1.13–20.0) and that of CBF was 7.73 (1.34–11.3). There was no significant relationship with perfusion MR imaging data, tumor volume, or perifocal edema volume. However, the large peritumoral edema group often had a higher CBV and CBF than the non-large peritumoral edema group. The skull base group had a significantly higher CBV and lower signal intensity on DW images than the non-skull base group. Signal intensity on DW images was higher in grade II or III than in grade I. Perfusion MR imaging data revealed that the higher ratio of peritumoral edema against tumor size was associated with higher blood flow and blood volume under intratumoral circulatory conditions, and that skull base meningioma had a higher blood volume than non-skull base meningioma.
著者
木庭 啓介 木下 桂 大西 雄二 福島 慶太郎 尾坂 兼一 松尾 奈緒子 舟川 一穂 瀬古 祐吾 目戸 綾乃 平澤 理世 小川 奈々子 兵藤 不二夫 由水 千景
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.291-299, 2021-07-15 (Released:2021-07-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2

微量試料での炭素窒素安定同位体比を測定可能とする連続フロー型元素分析計連結式安定同位体比質量分析計(EA-IRMS)への改良について検討を行った。通常使用されている反応管の口径を小さくするなどの簡易的な改良を実施することで,通常の約1/5の試料量(約6 µg窒素,10 µg炭素)で十分な精度と確度を得られることが明らかとなった。
著者
赤澤 紀子 赤池 英夫 柴田 雄登 山根 一朗 角田 博保 中山 泰一
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.261-268, 2021-08-21

2022 年より,高等学校の「共通教科情報科」は,必履修科目の「情報 I」と選択履修科目の「情報 II」が設置され,すべての高校生が,プログラミングなどを含む情報の科学的な理解を主とした「情報 I」を履修することになる.また,2025 年から「情報 I」が大学入学共通テストで出題されることが正式に決定した.これにより,各大学の個別入試においても入試科目に「情報」が設置される可能性が増してきた.大学入学試験として情報を出題するためには,大学など出題する側と,受験する高校側で,出題内容や範囲,用語などの共通な知識体系が必要となる.しかし現在はまだ,「情報」の知識体系は明確に定められていない.そこで,本研究では,知識体系の明確化を目標として,「情報 I」の教科書で用いられる用語から知識体系に関する考察を行う.
著者
片山 透 上司 裕史
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.1055-1059, 1991

Chiron社が開発したC100-3抗体検査法は, C型肝炎ウイルスの診断薬として一応定着した. 赤十字血液センターは, すでに1989年11月から, この検査を献血のスクリーニングに追加している. ウイルス遺伝子の非構造部分から作られたC100-3を第一世代の検査法と名付ければ, 内外のその後の研究進展により, すでに第二世代の検査法というべきものが検討されており, 正式承認も間近い. 東京病院で手術に際して輸血が行われた症例において, 1984年から1989年までの輸血後非A非B型肝炎発症率は12.4%であり, そのうちC100-3抗体陽性の血液の輸血後の発症は56.3%を占めた. しかし1990年には肝炎発症率は5.6%に下がり, このことは従来の輸血後肝炎発症例のうちの54.8%が発生しなくなったということで, 上述の56.3%に近似する. この数値は第二世代の検査法によりさらに下がるであろう.
著者
池田 裕明
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.716-722, 2019

<p>近年のがん免疫療法の発展は目覚ましく,免疫チェックポイント阻害療法に続いてT細胞輸注療法が実用化の段階に入り始めている。B細胞抗原であるCD19に対するキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor, CAR)遺伝子導入T細胞であるCD19-CAR-T細胞の輸注療法が2017年に急性リンパ球性白血病,びまん性大細胞性リンパ腫の治療法として立て続けに米国FDAに承認され,我が国においても本年2月にこれらの疾患について承認が了承され,近く正式承認されることになった。CAR-T療法に続く腫瘍特異的T細胞の輸注療法として腫瘍特異的T細胞レセプター(T cell receptor, TCR)遺伝子を導入したリンパ球の輸注療法が大きく期待されている。本稿ではTCR遺伝子導入リンパ球輸注療法の開発の現状と課題について概観し,我々の取り組みについても紹介する。</p>
著者
豊田 輝 田中 和哉 平賀 篤 佐野 徳雄 菅沼 一男 西條 富美代 安齋 久美子 渡辺 長 相原 正博 渡邊 修司 青栁 達也 新永 拓也 中山 彰博
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.657-664, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
12

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックへの対応経験を理学療法士(PT)養成課程における一つのモデルとし,今後の備えとなる事業継続マネジメント(BCM)の在り方を検討した.具体的には,BCMプロセスに沿って本学科のパンデミック発生後からの対応を振り返り検討した.結果,BCMプロセスごとに8つの問題点が抽出され,その対応策としてパンデミックに対応する業務継続計画を策定した.今回,BCMプロセスに沿った検討により,本学科における全業務の洗い出しと業務優先度の選定,それに必要な組織体制の見直しが可能となり,さらには今後の課題も明確となった.今後も,社会の要請に応えるべく,パンデミック発生時においても質の高いPTの養成が継続できる組織であるため再考を続けたい.
著者
黒田 正博 原 晋介
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1084, pp.83-90, 2012-06-11

近距離無線の標準化を進める米IEEEの802委員会は、2012年2月に「IEEE802.15.6」規格を正式承認した。主に医療・ヘルスケア分野で期待されている、「BAN(body area net??work)」と呼ぶ人体周辺の無線ネットワークに向けた規格である。同規格の標準化作業にも関わったNICTの黒田氏と大阪市立大学の原氏に、規格の概要などについて解説してもらう。
著者
飯山 敏道
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.309-311, 1987

日本学術会議地質学研究連絡委員会は, 1982年いらい国際地質学会議 (IGC) を1992年に日本で開催することについて, その学問的・社会的意義とその可能性などを検討する小委員会を設け, 審議をかさねました。その結果, IGCはその開催方式や内容をいままでのIGCの慣例に固執することなく, 日本独自の方式を開拓し, 準備を周到におこなえば, 技術的にも可能であり, 意義深いものにすることができるとの結論に達しました。そこで, 1984年モスクワのIGCにおいて, 日て本誘致を提案いたしました。このとき, 中華人民共和国も誘致を提案したため, 1985年2月に, IUGS・IGC共催のSteering Committeeは, 1992年日本開催に同意し, 1996年中国での開催を勧告いたしたした。正式には1989年のワシントンのIGCで決まることですが, 1985年4月IGC検討小委員会は発展的に解散し, 地質学関連の大学・官庁・企業から派遣された委員によって, 日本学術会議からは独立したIGC準備委員会が発足いたしたした。この委員会は1989年ワシントンで開催される第28回IGCにおいて, 日本開催が正式に決定され, IGC組織委員会が発足するまで機能し, 準備を整える役割をもっています。正式承認まえの準備会であるため, 公的な機能をもつことができませんが, 準備委員会内に設けられた総務・プログラム・巡検・会場・経理・出版の各小委員会が準備を進めておりますので, ここに, 活動状況を報告します。正式承認後開催まで3年の歳月しかありません。準備委員会は可能なかぎり準備を整えて1989年に発足するはずの組織委員会に引き継ぎたいと考えています。準備委員会の活動に御意見をお寄せくださるなど, 各位の絶大なる御協力をお願いいたします。
著者
夏野 剛
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.984, pp.30-32, 2008-08-11

夏野氏はNTTドコモのiモード事業を立ち上げたメンバーの一人であり,「iモードの顔」としてこれまで同事業を引っ張ってきた。また,不振だったFOMA事業を立て直し,「おサイフケータイ」,クレジット・サービス「DCMX(iD)」といったサービスを世に出した。その同氏が2008年6月にドコモを退社。現在の立場からメーカーや話題のiPhoneをどう見ているのか,忌憚のない意見を聞いた。
著者
森 悦子
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.p553-570, 1993-07

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著者
桑野 泰光 佐々木 重行 廣田 篤彦 猪上 信義
出版者
福岡県森林林業技術センター
雑誌
福岡県森林林業技術センタ-研究報告 (ISSN:13418092)
巻号頁・発行日
no.11, pp.11-15, 2010-03

福岡県における再造林放棄地の実態を把握するために,時系列衛星データを用いた再造林放棄地の抽出および現地調査による再造林放棄地の現況について調査を行った。福岡県において時系列衛星データより抽出された抽出伐採地は596点で,その内実際に森林が伐採されていた森林変化点は459点であった。森林変化点の約55%は転用地であり,44%が人工林伐採跡地であった。人工林伐採跡地の約10%が放棄地であることが確認され,英彦山周辺に多かった。九州全体では,人工林伐採跡地の約24%が放棄地となっており,福岡県は九州の他県と比較すると放棄地の割合は少なかった。調査したすべての放棄地が,未立木地化することなく植生が回復していた。しかし,一部の林地についてはシカやタケ類といった植生回復阻害要因が認められ,今後注意が必要だと考えられた。放棄地の土壌浸食・崩壊状況は未立木地化した放棄地がなかったこともあり,現時点では特に問題はみられなかった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1545, pp.58-60, 2010-06-14

黒髪、茶髪、金髪が一堂に並ぶ東京都内のホテルの大広間。ロシア、カザフスタン、リトアニアなど様々な国から来た若者たちが、日本と欧米の商習慣の違いに関する研修を受けていた。 25人の参加者のうち10人は日本人だ。活発な議論が交わされる中、多くの日本人はほとんど発言できなかった。好き勝手に話す外国人の勢いが、日本人を怖気づかせてしまう。
著者
加藤 暁子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
no.49, pp.149-161, 2019-02-28

昨今のグローバル社会の中で、日本のエンターテイメント業界も世界に通用する質が求められてきている。その中で世界的にも類を見ない女性だけの劇団として広く知られる宝塚歌劇団は2019年で創設105周年を迎える。異彩を放つその劇団の歴史などが記された書物は多く存在するものの、特色ある歌劇団についてこれまで公演提供者側からの視点で特長を記している論文記述は多くない。そこで本稿では公演提供者側の角度から歌劇団の特長を整理・探求してみることとした。具体的にはほぼ毎回のように鑑賞券を完売させる公演を創り出すマネジメントに注目した。そのマネジメント要素を掘り下げるにあたっては、公演もひとつのプロジェクトとして捉えることが可能と考え、近年注目が集まるプロジェクトマネジメントの視点で探求した。個別マネジメント群については国際規格策定機関である国際標準化機構(ISO)が2012年に発行したプロジェクトマネジメントに関する国際規格ISO21500の"10の知識エリア"のうち8つの知識エリアを利用した。その結果、ステークホルダーとしての「コアファン」やスコープとしての「全て歌劇団専属」など、本稿の目的であるプロジェクトマネジメントで押えるべき重要なポイントかつ歌劇団ユニークで特長的な要素を8項目ほど表出化することが出来たものと考える。
著者
胡 逸蝶
出版者
広島大学大学院文学研究科総合人間学講座
雑誌
比較日本文化学研究 (ISSN:18828701)
巻号頁・発行日
no.10, pp.114-131, 2017

本研究は中国国家建設高水平大学公派研究生項目の助成を受けたものである。