著者
下里 直生 菊地 俊夫
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.9, pp.33-39, 2016-01-31

本研究は,白山手取川ジオパークの活動を対象にして,時空間的ジオストーリーが地域融合にいかに貢献できるのかを検討した。ジオパークが発展するためには,地形・地質遺産などに基づくジオポイントやジオサイトを複数組み合わせることによりジオストーリーが地域の内発的な活動に基づいて構築されなければならない。その場合,地質学的なストーリーと地理学的なストーリーを組み合わせた時空間的ジオストーリーの構築が重要になる。この時空間的ジオストーリーを構築することにより,ジオポイントやジオサイトの組み合わせだけでなく,それらのまとまりからなるジオエリアの組み合わせも可能となり,地域のつながりや一体性が強調できるようになる。つまり,時空間的ジオストーリーは地域融合に貢献する可能性が高い。
著者
三条 将明 今野 博信 阿知良 洋平 前田 潤
出版者
室蘭工業大学
雑誌
室蘭工業大学紀要 = Memoirs of the Muroran Institute of Technology (ISSN:13442708)
巻号頁・発行日
no.68, pp.83-95, 2019-03-22

The purpose of this study was to clarify the differences about a sense of incongruity between the persons with developmental disorders and the typically developing. The first we investigated about "disorder is personality" and "ordinary" by the questionnaire survey. The persons with developmental disorders showed trend that they had a sense of incongruity to "ordinary". Next, we conducted an individual survey using PAC analysis. The results of it were as follows: (a) Developmental disorders showed higher conflict level. (b) They talked about unpleasant and concrete memories about "ordinary".
著者
金目 哲郎
出版者
弘前大学大学院地域社会研究科
雑誌
弘前大学大学院地域社会研究科年報 (ISSN:13498282)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.45-56, 2021-03-24

本稿の課題は、新型コロナウイルス感染症がもたらす日本経済および地域経済へのダメージに対して、地方自治体がどのように対応していくのかを検討し、ポスト・コロナ時代における地方自治体の政策課題を提示することにある。本稿の構成は次のとおりである。第1節では、新型コロナウイルス感染拡大がもたらしている日本経済や地域経済の悪化の現状を、いくつかの指標で捉える。第2節では、近年に経験した経済的危機と、新型コロナウイルス感染症とでは、危機の性質が異なり、ゆえに地域経済の活性化に向けた、地方自治体の対応のしかたも異なることを指摘する。そのうえで、コロナ禍にあって、まずは地域経済の崩壊を防ぐための初期対応として緊急的に打ち出された地方自治体の政策の事例を紹介する。第3節では、現在のコロナ禍で、人びとや企業が大都市圏に集中する「東京一極集中」に変化の兆しがあることに言及する。ポスト・コロナ時代では、人びとや企業が地方圏に分散する、「地方分散型社会」に向かっていく可能性を指摘し、これを後押しするための地域経済活性化政策のあり方や、国と地方自治体との財政関係をめぐる課題を展望する。
著者
上野 和昭
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.73-83, 1978-10-30
著者
越智 啓太
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.67-78, 2012-03-15

ビールを飲むと異性が美しく見えるようになるというビアゴーグル(beer goggles) 効果についての研究の現状について解説した。ビアゴーグル効果には, 閉店時間が近づくにつれて異性が魅力的に見えるという閉店効果と, アルコールの影響によって異性が魅力的に見えるという効果の両方がかかわっており, それぞれ実証的な証拠が存在することが示された。
著者
酒井 昭
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科學. 生物篇 (ISSN:04393546)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.47-76, 1977-03-15
著者
井上 尊寛 竹内 洋輔 荒井 弘和
出版者
法政大学スポーツ健康学部
雑誌
法政大学スポーツ健康学研究 = Bulletin of Faculty of Sports and Health Studies Hosei University (ISSN:21853703)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.27-31, 2014-03-30

本研究は、NHK杯国際フィギュアスケート競技会にて調査をおこない、フィギュアスケート観戦者の観戦行動およびフィギュアスケートの採点基準から観戦者が重要視するコア・プロダクトの構成因子を設定し、測定を行った。結果からは、ジャンプやスピンといった技術的な要素よりも、スケーティングや音楽との調和などの芸術的な要素を重要視する傾向がみられた。また、観戦者は女性の構成比が高く、国内で開催されている国際大会の観戦はしているが、国内競技会への観戦頻度は高くないことが分かった。これらのことから、音楽との調和や優雅さ、審美性などの美的要素に着目したプロモーションや、スコアの低かった因子についての理解を促すプロモーションの有用性が示唆された。
著者
渡辺 謙仁
出版者
天文教育普及研究会
雑誌
天文教育 (ISSN:1346616X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.39-42, 2019-03

日本のアニメなどは国内のみならず海外からも注目され、アニメキャラクターなどに扮するコスプレもまた、オタク趣味やハロウィンの一般化に伴って、若い世代を中心に普通の行為になってきている。発表者は、近年の参加者数が5 万人を超えるTOYAKO マンガ・アニメフェスタ(以下、TMAF)において、過去6 回にわたりアニメファンやコスプレイヤーに向けた観望会などの天文イベントを実施してきた。他方、アウトドア市場の中でも特にキャンプが好調という社会的背景も存在する。外岡は次のように報告している。2016 年の国内アウトドア市場規模は4,274 億3000 万円と推計されることが、矢野経済研究所の調査より明らかになった。キャンプやハイキング、釣りなど自然環境と関わる「ライトアウトドア分野」が市場全体の半分以上を占めている。(中略)キャンプは、メディア露出の増加やキャンプ場設備の整備、用品の改良などによりハードルが低下し、若年層からファミリー、シニア層まで幅広い世代で関心が高まっている。加えて、天体観望はキャンプにおけるアクティビティとして人気がある。このような社会的背景から、発表者は2018 年のTMAF において、キャンプ気分を味わいながら天体観望などができる天文イベントを実施することにした。本発表では、この天文イベントについて報告する。
著者
志水 廣
出版者
愛知教育大学数学教室
雑誌
イプシロン (ISSN:0289145X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.59-75, 1996-03

本研究は,教材開発のマニュアル化,授業づくりのマニュアル化の延長上にある研究である。マニュアル化に関するこれまでの私の論文は,理論的な部分が多く,実践的な部分が少なかった。今回の研究は,算数科の実際の授業例を分析することによって,問題解決型の授業づくりのマニュアル化のモデルを示した。第I章では,「小数のかけ算」の授業例を紹介し,その授業の技術について分析した。第II章では,この授業例をもとに私ならどのように授業を構成するかについて述べた。このモデルによって問題解決型の授業づくりのマニュアルを理解してほしいと願うものである。
著者
与謝野 有紀 林 直保子
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.73-104, 2018-03-31

本稿では、絵画鑑賞のために美術館に行くという行為を大衆的な贅沢消費行為として位置づけ、美術鑑賞後の感想や一般的な美術鑑賞態度に関するデータから、美術鑑賞行為の類型の析出を試みた。ここで用いたものと同一のデータから、林・与謝野(2017)は、共分散構造分析をもちいて、美術館に行く人々がいくつかの類型に分けられる可能性を指摘しているが、その分析手法では類型を直接に識別することはできない。ここでは、クラスタ分析と潜在クラス分析という異なる分析視野をもった手法を並行で用い、計量社会学的にこの課題にアプローチした。クラスタ分析では、感想について2 つのクラスタが、態度については6つのクラスタが析出された。また、潜在クラス分析では、感想、態度ともに3つの潜在クラスが識別された。さらに、それぞれの類型に属する要因を、性別、年齢、美術館に行くきっかけ、他者に話す程度、メディアや権威への追従傾向を説明変数とするロジスティック回帰分析および回帰分析で検討した。これらの検討の結果、クラスタ分析と潜在クラス分析の両者で、「積極的評価型」と「消極的評価型」の二つの類型が共通に析出された。さらに、態度に関する潜在クラス分析の結果からも、感想と対応するような「能動的鑑賞型」と「受動的鑑賞型」の二つの類型が析出された。また、「積極的評価型」、「能動的鑑賞型」の類型の人々は、要因分析の結果、大衆的贅沢消費をしている人々と見做しうる特徴を示した。一方、「消極的評価型」、「受動的鑑賞型」の人々では、大衆的贅沢消費や誇示的消費概念だけでは理解することが難しく、その行為の背後にある意図の解明が今後の課題となっている。