著者
内貴 正治
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.70-85, 1980-03-01 (Released:2010-10-21)
参考文献数
162

糖脂質はアシルスフィンゴシンおよびジアシルグリセロールに糖鎖が結合した物質群で動物の細胞膜に局在する. 中性糖脂質は40種以上同定されており, その主な生物活性は細胞の特異抗原性である. 中でも, 血液型抗原活性をもつ糖脂質の研究は盛んでABH抗原, LeaLeb抗原, PIPPk抗原, Ii抗原の化学構造が同定されている。なお諸種の細胞抗原性を荷うと思われる分子量数万の糖脂質の存在も明らかにされ, 膜糖タンパク質との分離および分析手段が要求されている. 酸性糖脂質はシアル酸をもつガングリオシドと硫酸化糖をもつスルポ糖脂質に分類される. 共に酸性基を介してイオンと結合することが重要な機能として考察されている. ガングリオシドの種類は脳で18種以上, その他の臓器も入れれば30種以上同定されている. その主な機能は細菌毒素, ホルモン, 刺激伝達物質に対するレセプター活性である. 最近諸種抗原としての役割も少しずつわかってきた.
著者
大久保 研之
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.177-179, 2000-07-01 (Released:2011-03-04)
参考文献数
5
著者
内貴 正治
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.267-276, 1978-05-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
117

1 0 0 0 IR 弔辞

著者
長岩 寛
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
vol.223, pp.viii-ix, 1989-03-01

八角さん 明治大学教養論集の編集の仲間として、いまここにこうして立っている自分が何かの錯覚であるような気がします。 本年度もまた厄介な編集上の問題が起こって、種田美智子さんを交えて色々と相談したのは、今月のはじめだったではありませんか。 貴方はほんとに長い間、教養論集の編集者として、更には最も煩雑な役割である庶務の仕事を引き受けて、貴方の心血を注いで来られました。また和泉会の役員として明大和泉校舎五十年史の編纂に力を注ぎ、また教養論集総目次作成の大変な仕事を完成されたばかりでした。そしてまた、よりよき教養論集のために、新しい提案をしようと話し合ったのはこの間のことではありませんか。
著者
島澤 ゆい Yui Shimazawa
出版者
金城学院大学大学院人間生活学研究科
雑誌
金城学院大学大学院人間生活学研究科論集 = Annual report of Graduate School of Human Ecology Kinjo Gakuin University (ISSN:1346597X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.27-34, 2016-03-18

Attachment and hospitalism theories suggest that mothers greatly influence their child’s development. However, in recent years, there has been a noted increase in problems such as child abuse and maternal depression in the child rearing period and these issues pose a huge social problem. Thus, parenting support has begun to be emphasized as a necessity. Therefore, this study examines the relationship between maternal consciousness stress coping abilities, and parenting stress. Furthermore, the study focused on understanding whether maternal stress was related to maternal consciousness and how that relation should be addressed. The results of this study indicate that parenting stress and maternal consciousness are interrelated.
著者
富田 英典
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.57-80, 2020-10-31

電子メディアによって電子メディアによってふたつの場所が重なっている。Paddy Scannell (1996) やShaun Moores (2004,2012, 2017) は、それをDoubling of Place と呼んだ。時間も電子メディアによって重なっている。ここでは、それをDoubling of Time と呼ぶ。本論文は、ミュージアム公式ARアプリを取り上げながらDoubling of Time の可能性について検証するものである。まず、世界中のミュージアムを対象に公式アプリの有無、アプリ機能の種類について調査を実施した。その結果、42か国のミュージアムに304の公式アプリがあることが分かった。そして、「インフォメーション」「館内マップ」「音声案内」「文字案内」「写真」などの機能が定番であり、ARやVRなどの新しい機能が登場していることが分かった。そこで、ARミュージアムアプリに焦点を合わせ、その内容を分析し4種類に分類した。次に、ミュージアムにおける歴史的価値のある展示物に対するAR利用の有効性に注目し、時間とARの関係について考察した。丸田一(2008)によれば、通信技術によって生まれるのが「同期」であり、複製技術によって生まれるのが「同位」である。この丸田の研究に依拠しながら、通信技術と複製技術、場所と時間の関係を分析する枠組みをつくった。通信技術による「同期」とは時間を共有することであり、時間の共有は同じ場所にいるような感覚を生み出す。それを本研究ではDoubling of Place と呼ぶ。これを可能にするAR技術が、その場所にはないコンテンツを重畳してくれる「場所AR」であると言える。それに対して、複製技術による「同位」とは場所を共有することであり、場所の共有は同じ時間にいるような感覚を生み出す。それを本研究ではDoubling of Time と呼ぶ。これを可能にするAR技術が、その時間にはないコンテンツを重畳してくれる「時間AR」であると言える。この枠組みからARミュージアムアプリについて分析し、Doubling of Time とDoubling of Place を同時に可能にするAR Door などのアプリが登場していることを明らかにした。
著者
ヴント ヴィルヘルム ジャッド チャールズ・H 後藤 将之
出版者
成城大学大学院文学研究科
雑誌
コミュニケーション紀要 = Seijo communication studies (ISSN:02887843)
巻号頁・発行日
no.31, pp.201-210, 2020-03-10

本論は、教育心理学者チャールズ・ジャッドが著者 (ヴィルヘルム・ヴント) と共同で英訳したとされる『心理学概論』 (1896 ドイツ語版初版, 1897 英語版初版) の第21章「精神共同体の発達」を英訳から和訳 (翻訳: 後藤将之) したものである。
著者
須永 将史
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.194-209, 2020-09-30 (Released:2020-10-07)
参考文献数
27

本論文は,在宅マッサージの場面において,施術者と患者が「痛み」をどのように扱うのかを,会話分析の方法によって明らかにする.マッサージの活動手順の進行中に生じる患者の痛みを,施術者がどのように尋ねるのか,そのやりとりがマッサージの進行にどのように影響するのか.以上を問う.まずは,痛みについての質問を検討する.痛みについての質問のなかでも,とりわけ,患者の身体に触れながらなされる「施術進行のための質問」を検討する.そのとき,この質問が「否定疑問」で尋ねられるのか,「肯定疑問」で尋ねられるのか,に注目する.そして,同じ「施術進行のための質問」であっても,痛みが否定疑問で尋ねられる場合を最適化された質問デザインとして特徴づける(Boyd & Heritage, 2006).また,肯定疑問は患者による痛みの報告をしやすくするためのデザインとして特徴づける.続いて,このように質問を状況に依存しながらデザインするための資源として,患者の表情を検討する.施術者が,質問デザインする際におこなうプラクティスのひとつとして,患者の顔のモニタリングを挙げる.
著者
山本 敦 古山 宣洋
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.84-99, 2020-09-30 (Released:2020-10-07)
参考文献数
29

演奏表現は,楽曲の解釈や表現意図に沿って,楽譜に示されていない細かな音のゆらぎを付与することで達成されるが,その指導において,このゆらぎの構造は学習者によって概念的・聴覚的に把握されるだけでなく,学習者の知覚–運動の調整を通して,実際の演奏として達成されなければならない.本稿では,音楽大学の学生と教授であるプロの演奏家による1対1のピアノレッスンを録画したデータを対象に,指導の相互行為におけるマルチモーダルな資源が組織化される過程を分析することで,演奏表現が学生と教師によって協働的に構築,産出されていることを明らかにした.教示においてゆらぎの構造は,発話や演奏,歌,ジェスチャなどの組み合わせによって知覚的に構造化され,音楽概念と結びつけられて呈示されていた.その結びつけの構造が維持されたまま,学生,教師双方によってジェスチャ–楽曲の組み合わせが実際の演奏の中で反復・同期されることで,理解の例証,調整の求め,確認の与えといった相互行為上の機能を果たしていた.さらに,このマルチモーダルな呈示の同期を通して,学生の演奏運動それ自体が同時的かつ即興的に調整を受けることで,演奏表現は協働的に達成されていた.これらの結果は,専門的な実践における知覚の相互行為的な調整および音楽教育の観点から考察された.