出版者
国鏡社
巻号頁・発行日
vol.第17編, 1904
著者
榊原 隆次
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.176-180, 2020 (Released:2020-10-16)
参考文献数
31

パーキンソン病(PD,大脳皮質に広がった形はレヴィー小体型認知症[DLB])は,ときに高度の便秘をきたす場合があり,消化器科救急として偽性腸閉塞/麻痺性イレウスをきたす場合もある.さらに最近,PD患者の便秘が,運動症状などをほとんど伴わず,初発症状となりうることが明らかとなってきた(レヴィー小体型便秘Lewy body constipation).その機序として,腸管壁内(Auerbach)神経叢の変性・レヴィー小体出現を反映しているものと思われ,一部,大脳黒質・青斑核の病変も関与していると考えられる.救急受診を予防するためにも,PDの便秘に対して,十分な治療が望まれる.とくにレヴィー小体型便秘の患者さんは,内科・消化器内科を初診することが少なくないと思われ,脳神経内科と消化器内科の協力が重要と思われる.
著者
志賀 淑之 杉本 真樹 安部 光洋 錦見 礼央 米岡 祐輔 井上 泰 吉松 正 日下部 将史 亀山 周二
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.138-144, 2020 (Released:2020-07-01)
参考文献数
15

【目的】複合現実 (MR), 拡張現実 (AR), 仮想現実 (VR) 技術は, 医療画像解析における不可欠な技術として空間認識を改善させる有用なツールである. この技術を応用して術前患者画像を3Dホログラム化して, 泌尿器科手術におけるナビゲーション手術と手術教育の可能性を検討した. 【対象と方法】ロボット腎部分切除術を対象とした. HMD方式のHoloLens (Microsoft社) を使用した. 【結果】これまでの手術に比べて, VRならびにMRは腎部分切除術における腫瘍切除時間の短縮と出血量の低減に寄与した. 術者は腫瘍や血管周囲を含めた臓器解剖の距離感を直感的に体感でき, 周辺臓器の空間認識が改善された. HoloLensは術者目線の録画もできるため, 手術教育にも役立った. 【結論】VRならびにMRは手術ナビゲーションだけでなく, シミュレーションや教育にも有用なツールである.
著者
大阪鉄道局 編
出版者
大阪鉄道局
巻号頁・発行日
vol.昭和9年度, 1937
著者
高橋 雄太 音田 恭宏 藤本 まなと 荒川 豊
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.44-51, 2017-06-21

超高齢化社会の到来によりリハビリテーションでの人手が不足し,効果的なリハビリ支援が行えなくなる可能性がある.効果的なリハビリテーションを行うには,大がかりな装置や専用の環境による歩行評価が必要になるが,人手不足などの要因により高齢者や片麻痺患者のようなリハビリ患者の歩行評価を定期的に行うことは難しい.本研究では日常の歩行をセンサデバイスによってセンシングすることで歩行能力の評価を人手を介さずに行うシステムの構築を目指す.日常の歩行から歩行能力の評価が行えれば,歩行能力の低下の検知,歩行能力の改善度の把握,効果的なリハビリテーション計画が可能となり,リハビリテーションの支援に繋がる.日常の歩行をセンシングするにあたってセンサデバイスの装着位置が重要となるが,我々は利用者の装着時の負担が少なく,片麻痺患者のような非対称な歩行を行う患者の歩行動作の検出が容易となる理由から杖にセンサデバイスを装着することにした.杖に装着したセンサデバイスで歩行評価を行うため,本稿では歩行動作の検出をリアルタイムに行うアルゴリズムと歩行距離を推定する重回帰モデルの構築を行った.構築した歩行動作検出アルゴリズムと歩行距離の推定モデルを評価したところ,歩行動作の検出率は95.56%で,歩行距離の推定精度は83.79%となった.この結果から,杖に装着したセンサデバイスにより歩行動作をある程度の精度で認識できることがわかった.
著者
成瀬 敏郎
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.75-93, 2014
被引用文献数
1

これまで著者は,乾燥地域や氷河末端から風で運ばれる風成塵とその堆積物であるレスについて,日本列島をはじめ,中国,韓国,ヨーロッパ,イスラエル,アメリカ合衆国,ニュージーランドなどのレス地帯を調査し,レスの分布,研究史,堆積時期,気候変動とのかかわりを研究してきた.本論では,レスの研究史,レスの分布と堆積時期,風成塵の同定に ESR 酸素空孔量(以下,酸素空孔量とする)分析が有効であること,風成塵・レスの堆積量や粒径などが過去の風の強さを復元するのに有効であること,完新世土壌の母材に占める風成塵の役割の重要性について述べた.さらに中国と韓国の旧石器編年・対比にレス-古土壌による編年法が有用であること,日本列島において MIS 6 のレス層に前期旧石器が包含されていることを述べた.
著者
加茂 徹
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.451-458, 2020 (Released:2020-10-07)
参考文献数
27
被引用文献数
1

プラスチックは素材として非常に優れていたため,20世紀後半から生産量は飛躍的に拡大し,世界で4億t以上が生産されている。感染症が蔓延する世界において,清潔な水や医療品を途上国や貧困な地域の人々に届けるため,安価で軽いプラスチックの担う役割は大きい。一方,不法投棄された廃プラスチックの一部は海洋に流出し,海洋生態系に深刻なダメージを与え,人間の健康へも影響を与える可能性が指摘された。廃プラスチックは,重要な環境問題の一つと見なされるようになった。廃プラスチックのリサイクルでは,対象物の品質と量を考慮し,マテリアルリサイクル,ケミカルリサイクル,エネルギー回収から最適な手法を選択することが望ましい。現在,プラスチックは主に化石資源から製造されているが,将来,再生可能資源が主な原料となる。新たに市場に投入される貴重な有機資源を最小化するため,廃プラスチックの循環利用を促進すべきである。SDGs が目指す世界では,価格や品質だけでなく,環境保全および生物多様性や人権への配慮などの社会倫理性が求められている。
著者
柏戸 佑介 吉田 健志 押領司 健介 鎌田 一億 水木 伸一 横田 英介
雑誌
松山赤十字病院医学雑誌 (ISSN:03853888)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.69-74, 2013-12

trisomy 8の出現に伴って腸管ベーチェット病様の病態を呈したと考えられる骨髄異形成症候群の一例を経験した。手技的に止血困難な大腸の潰瘍性病変に対してadalimumab(ADA)の投与を行い、潰瘍性病変の改善傾向と下部消化管出血の改善を認めた。腸管型ベーチェット病に対するADAの有効性は報告されているが、骨髄異形成症候群に合併したベーチェット病に対するADAの投与報告はない。最終的には感染症で死亡したが、治療反応性を認めており、選択肢の一つとして検討可能と考えられた。(著者抄録)
著者
竹下 正哲 中西 一弘 高橋 丈博 蓑原 隆 前山 利幸 戸祭 克 益満 ひろみ 後藤 元
出版者
日本農作業学会
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.183-194, 2018
被引用文献数
2

ドリップ灌漑はヨーロッパ,イスラエルなどを中心に世界に普及しているが,日本では全灌漑地の2%でしか使用されていない.その理由は,日本は四季を通じて十分な降雨があるため,露地栽培でドリップ灌漑は必須ではないとみなされてきたためと考えられる.本研究では,降雨が十分にある日本の露地において,ドリップ灌漑を導入することで,ピーマンの単位面積あたり収量を増加させることができるのではないかという仮説を検証した.「ドリップ灌漑の有無」「固形肥料・液体肥料の違い」の2要因を設定し,そのどちらが影響しているか,あるいは交互作用があるかを検証するために,ピーマンを用い,二元配置の分散分析実験を行った.結果は,「固形肥料・液体肥料の違い」に関わらず,ドリップ灌漑をした試験区の方が,ドリップ灌漑をしなかった試験区(天水のみ区)より収量(生重量),乾燥重量,着果数が増加した.とくに収穫量が落ちてくる9,10月の収量が,ドリップ灌漑区で多くなっていた.その差の要因は多頻度灌水にあると考えられ,日本の露地のように十分な降雨がある耕地においても,ドリップ灌漑により毎日定期的に灌水することで,ピーマンの着果数を増やし,収量を増加させることができることが示唆された.