著者
大竹 文雄 加藤 大貴 重岡 伶奈 吉内 一浩 樋田 紫子 黒澤 彩子 福田 隆浩
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.32-52, 2020-08-25 (Released:2020-08-25)
参考文献数
6

本論文では,骨髄バンク登録者のうち移植患者との適合通知を受け取った人へのアンケート調査と大阪大学の一般の人へのアンケート調査を用いて,骨髄バンク登録者,幹細胞提供者と一般の人との特性の違いの有無を検証した.主な結果は,つぎの通りである.第一に,骨髄バンクに登録する人や幹細胞を提供する人は一般の人と比べると,利他的で,時間割引率が低く,リスク許容度が高い.第二に,定期的献血者や臓器提供の意思表示者は幹細胞提供確率が高い.第三に,有給ドナー休暇や有給休暇が取りやすい環境で,幹細胞提供確率が高い.第四に,同調性が高い人は骨髄バンクに登録する可能性が高いが,幹細胞提供の依頼があった際に提供をしない傾向にある.第五に,登録者と提供者の時間割引率と現在バイアスは阪大サンプルと比較して低いが,現在バイアスを含む時間割引率が高い人が幹細胞を提供する確率が高い.
著者
佐伯 胖
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.38-49, 2014

「学習」をめぐって,行動主義心理学,認知心理学,認知科学,さらに状況的認知論がどのように扱ってきたかの歴史を振り返り,行動から認知,さらに社会との関連へと関心が移ってきた経緯を展望した.しかし,人が他者と共同的活動に参加するには,本当に人と人が「かかわりあう」ことが必要だが,その点が従来なおざりになっていることを指摘し,新たに「二人称的かかわり」を見直すことを提言する.
著者
延 恩株 Eunju YON
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 = The journal of J. F. Oberlin University. Studies in language and culture (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.83-100, 2011-03-01

本稿は古代新羅の始祖神話と日にっしん神信仰の考察である。古代の韓国には壇君(タングン)神話・朱蒙(チュモン)神話などの建国の始祖神話が多くあるが、これらの神話も視野に入れて、本稿ではまず、新羅の始祖と見なされている、朴・昔・金という三氏の始祖神話の特性を分析している。高句麗の始祖神話には、東北アジアの民族に特徴的である日光感精説話が見られるが、新羅の三氏の始祖神話にはこれが明確には現れていない。新羅では日神信仰は日光感精などの神話よりも海洋型・水平型の太陽崇拝にその源泉を有する傾向が強い。その意味では三氏のうち昔氏の脱解(タルヘ)神話に最も多く日神信仰が反映しているように思われる。しかし三氏の神話は新羅の始祖神話の全体像を構成しているとは言えない。これに、赫居世(ヒョッコセ)やその王妃閼英(アリョン)を生んだとされる、慶州の仙桃(ソンド)山(西岳)の神、娑蘇(サソ)神母説話ないし神話と、延烏郎(ヨノラン)・細烏女(セオニョ)説話とを加えて総合的に考察することによって、初めてその全体像を知ることができるであろう。本稿では娑蘇神母に特に注目し、まず新羅の始祖女神としての神母を『三国史記』(12世紀。本稿では「國」はすべて新字体に直した)と『三国遺事』(13世紀)に則して取り上げ、その後で、中国の伝説上の神仙である西王母に娑蘇の神話的ルーツを探っている。なお延烏郎・細烏女説話については紙幅の制約があり、後日の発表を期すことにした。
著者
森,弥広
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文集
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, 2003-07-01

太平洋戦争末期に建造され,戦後は瀬戸内海の漁港において防波堤の役割を果たしている,2隻の鉄筋コンクリート貨物船についての調査結果を報告する。船体から採取したコアについて,中性化,圧縮強度,塩化物の浸透状況,鉄筋腐食などを調べた。その結果,高濃度の塩化物を含んでいる鉄筋コンクリート部材であっても,コンクリートの組織が密実であれば海洋環境下においても,優れた耐久性を示すことを確認した。
著者
二木 文明
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
no.17, pp.13-34, 2020-03-31

ウィリアム・インジ(1913-1973)は1950年代を中心に活躍した米国の作家であり、舞台劇『ピクニック』や映画『草原の輝き』の脚本などで知られる。60年代以降、ヒット作に恵まれず、劇作から小説へと軸足を移したが、いずれも不評で、最後の作品は出版を拒否された。彼は若い頃からうつとアルコール依存に陥り、また、同性愛者であったがそのことを恥じ、60歳で自ら命を絶った。インジの作品の主要なテーマは"現実を受け入れること"や"妥協"であると評されるが、これらは人生訓というよりも彼の性格に由来するのだろう。家族関係をみるならば、父親はセールスマンで一年のほとんどを留守にしていたため、インジは神経質で過保護な母親と14歳年上の兄の影響下で成長した。彼の性格傾向と同性愛は、主としてこの2人との心理力動的関係の中で培われたと考えられる。インジにあっては、作家の道を選ぶ以外、性格に由来する生きづらさと同性愛の苦悩から逃れるすべはなかったこと、しかし、創作能力が次第に衰退していったが故に自殺へと追い込まれてしまったことなどについて考察した。
著者
芳之内 雄二
出版者
北九州市立大学文学部
雑誌
北九州市立大学文学部紀要 (ISSN:13470728)
巻号頁・発行日
no.74, pp.47-61, 2008

ソ連崩壊後独立した新興独立国家では、それまで公用語、教育言語として優位な立場を占めていたロシア語に代って民族共和国の言語が国家言語と規定され、ロシア語の社会的地位が低下している一般的な傾向がある。そうしたなかで、ロシアの歴史要素や文化要素が大きなウクライナでは、家庭内での使用言語や図書出版、読書、マスコミの分野で依然としてロシア語の優位性が維持されている。

7 0 0 0 OA うたのほん

著者
文部省 著
出版者
文部省
巻号頁・発行日
vol.下, 1941
著者
鈴木 英之
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.711-733, 2008-12-30

浄土宗や浄土真宗などの浄土系諸派が「専修念仏」「礼拝雑行」という教理上の制約から、神に対して消極的な態度をとらざるをえなかったことは良く知られている、しかし中世浄土宗の礎を築き、後に浄土宗中興の祖と称えられた了誉聖冏(一三四一-一四二〇)は、日本の神々に強い関心を抱き、盛んに研究を行った。聖冏は、中世最重要の両部神道書『麗気記』の註釈書である『麗気記拾遺鈔』を著し、浄土教学上に神々を位置づけていった。まず、仏教教理から法相宗や天台宗など諸宗派の神体を明らかにし、聖冏独自の教相判釈説「二蔵二教二頓判」を応用することで浄土宗の神体の優位性を主張した。また大元尊神という法や理といった性格をもつ中世独特の神観念を導入し、さらに法然の教説を敷衍して用いることで、神の力を念仏の功徳と同一とし、理論的に阿弥陀仏と神との完全な同体を示した。それは、浄土宗における神道論のひとつの完成形として重要な意義をもつと考えられるのである。
著者
児玉 望 コダマ ノゾミ Kodama Nozomi
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-40, 2008-03-30

児玉(2007)では、川上秦氏の「句」を、階層的な日本語音韻構造におけるアクセント句の上位の構造(音韻句)として位置づけることを提案した。本稿では引き続き、この「音韻構造の階層性」について、主として鹿児島方言と東京方言を中心に考察する。

7 0 0 0 OA 群書類従

著者
塙保己一 編
出版者
経済雑誌社
巻号頁・発行日
vol.第拾四輯, 1902

7 0 0 0 OA 白隠墨蹟

著者
草村松雄 編
出版者
竜吟社
巻号頁・発行日
1922