著者
金岡 弘記 高木 浩光 有田 隆也 川口 喜三男
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.121-122, 1994-03-07

VLIWプロセッサの問題点として、コード量が増加することと実行時間変動に対して弱いということが挙げられる。それらに対する解決手段として規定型再構成と適応型再構成を用いた、V++プロセッサアーキテクチャを我々は提案している。V++では、この2つの再構成の効果的な融合が重要となる。本稿では、適応型再構成のための同期方式として重複可能バリア同期を用いた場合について、ソフトウェアパイプライニングと同様の効果をコード量を増加させないで実現する方法、基本ブロックの境界における同期タグを実現する方法、及び基本ブロックの境界における投機的実行の実現の方法について述べる。
著者
有田 隆也 高木 浩光 河村 忠明 曽和 将容
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1896-1897, 1989-10-16

機械語命令レベルからレジスタトランスファレベル程度の細粒度における並列実行方式であるPNアーキテクチャでは、プロセッサ内の複数の処理ユニットにそれぞれ命令流を独立に与えることによって並列実行を行う.各処理ユニットが独立に動作し、必要に応じて高速通信を行うので、VLIW方式のようにコンパイラで完全にスケジューリングを行い実行時には同期を行わない方式より、きめの細かな並列度を抽出する可能性かあり、またタイミングの不安定なメモリなどのハードウェアを組み込むのも容易である.処理ユニット数を3としたプロトタイプモデルは、従来の逐次的な機械語命令を、(1)データ転送命令(2)演算命令(8)フロー制御命令、の3つに分類し、制御フロー計算モデルに基づいた通信を行いながら、それぞれを専用の処理ユニットで実行する・フロー制御を行う処理ユニットに独自の命令流を与えたことにより、分岐判断の先行実行が可能となり、分岐処理に要する時間を大幅に減ずることも特長のひとつである.本稿では、PNアーキテクチャの分岐命令の処理方式について比較検討する.
著者
高木浩光 有田 隆也 川口 喜三男 曽和 将容
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告
巻号頁・発行日
pp.73-80, 1994
被引用文献数
1

効率的な並列実行のために,タスク間のデータ依存関係などにより必要となるプロセッサ間の同期操作を,高速に実現することが重要である.同期操作のソフトウェアによる実現では,同期操作自体に浪費される時間が無視できないほどに大きいものとなりうるのに対し,バリア同期の専用ハードウェアによる実現は,高速でしかも実現コストが小さいという特長を持っている.本稿では,ソフトウェアによる同期操作を一切併用することなく,バリア同期のみによって,与えられたプログラムの正しい実行を保証するような,バリア挿入位置を求めるアルゴリズムについて議論し,プロセッサの実行タイミングを推定しながらタスク割当てと同時にバリア挿入位置を決定することで,できるだけ全体の処理時間が短くなるような割当てを決定するアルゴリズムを示す.
著者
高木 浩光 松岡 聡 中田 秀基 関口 智嗣 佐藤三久 長嶋 雲兵
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.2203-2214, 1999-05-15
参考文献数
23
被引用文献数
1

地球規模の広域分散計算システムを魅力的なものとするためには 不特定の者に対して システムの利用だけでなく応用プログラムの作成をも解放する必要があると考える. その実現のためには 安全性を保証しながら任意のプログラムを実行できる仕組みが必要である. そこで Javaのセキュリテイ機構を活用してこれを実現した 大域的並列計算環境「Ninflet」を提案する. これを用いることで 任意の計算を他人が所有する計算機上でさせることが可能となる. このシステムは 夜間利用されていない計算機を地球の裏側の昼間の地域に貸し出すといった 地球規模の共同利用メタコンピュータシステムを実現するためや また ワークステーションクラスタ上に並列処理環境を構築するためにも利用することのできるものである. 本論文では Ninfletシステムのアーキテクチャを提案するとともに 並列処理環境として利用する場合の予備的な性能評価を行う.To make global-wide distributed computing system attractive, the system should be open to an arbitrary individual not only for its usage but also for construction of wide variety of application programs. For this purpose, the system must supply a secure environment for safely executing arbitrary programs. Our proposed global computing environment "Ninflet" fulfills such a requirement by exploiting the security mechanism of the Java language, allowing computation to occur on machines not owned or administered by the individual invoking the computation. Ninflet realizes a globally-shared metacomputer which would allow "lending" of computing cycles of machines which would be otherwise unused at nights to the other side of the globe, or to simply build a parallel execution environment on a heterogeneous sets of workstation clusters. We present the system architecture of Ninflet and a preliminary performance evaluation when used as a parallel execution environment.
著者
有田 隆也 伊藤 広明 高木 浩光 曽和 将容
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.145-146, 1990-09-04

細粒度の並列度を効率的に抽出するプロセッサアーキテクチャとして、我々はPNプロセッサを提案し、開発を進めている。PNプロセッサには、1)命令の種類に応じたプロセッサの機能分割、2)シンプルで高速な命令実行順序制御方式の採用、などの特徴がある。プロトタイプモデルでは、プロセッサの処理を、1)転送、2)演算、3)フロー制御(分岐)、の3つに分割して、スカラ処理を細粒度並列実行化している。本稿では、シミュレーションに基づき、上記の特徴について評価する。
著者
高木 浩光
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ARC,計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.31-36, 1996-10-31
参考文献数
17

細粒度並列処理においてオブジェクトコードの最適化は避けることのできないものである。最適化の対象としては命令パイプラインの最適化、レジスタ割り当ての最適化、機能ユニットへの割り当てと実行順序の最適化、通信スケジュールの最適化、同期スケジュールの最適化、各命令について投機実行をさせるべきか否かの最適化、条件実行すべきか/分岐すべきかの最適化、などがあり、これらは互いに複雑に影響しあっていてもはや発見的な手法の積み重ねによる経験によってしか解決は困難である。今こそこれらを統一的に同じ条件の下で評価するための枠組が必要である。本稿ではこのような細粒度最適化方式研究のためのオープンな評価システムについてその概略を紹介する。
著者
小林 弘明 高木 浩光 有田 隆也 川口 喜三男 曽和 将容
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.285-286, 1994-03-07

知識モジュールやシステムが状況変化に対して柔軟に適応できるかどうかという、柔らかさと呼ばれる概念が注目を集めはじめている。我々はプログラムを柔らかく記述する方法として概念制約式と呼ぷプログラム記述要素を提案している。本稿では概念制約式を用いて表現されたプログラムから実行可能なプログラムを生成するコンパイル手法について述べる。
著者
中田 秀基 高木 浩光 松岡 聡 長嶋 雲兵 佐藤三久 関口 智嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1818-1826, 1998-06-15
参考文献数
7
被引用文献数
4

ローカルなネットワーク上でのメッセージパッシングライブラリを用いた分散並列計算はすでに広く行われている.しかし,ネットワークの高速化によって現実的になりつつある広域ネットワーク上での分散並列計算については,ソフトウェアの枠組みがいまだ十分に整備されていない,我々は,広域分散並列計算に適した分散計算の枠組みとして「Ninf」を提案している.Ninfは広域分散環境でのマクロデータフローによる並列実行を支援するシステムで,広域での動的負荷分散とスケジューリングを特徴とする.メッセージパッシングライブラリを用いた手法と比較して,(1)広域ネットワークに適した通信パターンを用いる,(2)ユーザにとってプログラミングが容易でかつ再利用性が高い,(3)既存のライブラリの再利用が容易,(4)ネットワーク上の資源の利用が可能,といった特長を持つ.Distributed computing using message passing libraries in a LAN(Local Area Network) environment is already accepted as an effective supercomputing methodology.On the other hand,although distributed computing in WAN(Wide Area Network) environment is becoming practical due to recent development of high-speed network facilities,software framework for supercomputing in WAN is yet to be established.We propose 'Ninf',a distributed computing framework for globally distributed computing environment.Ninf enables parallel computing in WAN based on the macro dataflow model,and facilitates automatic dynamic load distribution and scheduling.Ninf has the following advantages over using existing message passing libraries in WAN supercomputing:(1) communication protocol suited for globally distributed environment,(2) ease of programming (3) reuse of existing libraries,(4) integration with existing data resources on the Internet.
著者
高木 浩光 有田 隆也 曽和 将容
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.1583-1592, 1991-12-15
被引用文献数
7

並列計算機において高い性能を得るためには 高速な命令実行順序制御機構の開発が重要である本論文では単純なハードウェアによって構成できる 命令のプロセッサ割り当てをコンパイル時に決定する静的順序制御方式について議論する従来の単純なハードウェアによる静的順序制御機構としてバリア型同期が挙げられるバリア型同期機構は構成が単純なため高速な制御が可能であるが すべてのプロセッサが一斉に待ち合わせを行うという同期の性質上 本質的に不要な待ちが生ずるという欠点を持つ本論文では 静的順序制御方式による実行を並列コントロールフローモデルによって抽象化し その特性を示すとともに その特性を利用することによってはじめて可能となる 単純で かつ 不要な待ちを生じない静的順序制御機構を提案する提案する制御機構は一般化静的順序制御機構と呼び プログラムカウンタのほかに それと同程度に単純なカウンタを任意のプロセッサ間に設け これらを協調的に動作させることによって実現される
著者
中田 秀基 高木 浩光 松岡 聡 長嶋 雲兵 佐藤 三久 関口 智嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HPC,[ハイパフォーマンスコンピューティング]
巻号頁・発行日
vol.65, pp.9-14, 1997-03-06
参考文献数
5

ローカルなネットワーク上でのメッセージバッシングライブラリを用いた分散並列計算はすでに広く行なわれている。しかし、ネットワークの高速化によって現実的になりつつある広域ネットワーク上での分散並列計算については、ソフトウェアの枠組が未だ十分に整備されていない。我々は、広域分散並列計算に適した分散計算の枠組として「Ninf」を提案している。Ninfは広域分散環境でのマクロデータフローによる並列実行を支援するシステムで、広域での動的負荷分散とスケジューリングを特徴とする。メッセージパッシングライブラリを用いた手法に比較して(1)広域ネットワークに適した通信パターンを用いる、(2)ユーザにとってプログラミングが容易でかつ再利用性が高い、(3)既存のライブラリの再利用が容易、(4)ネットワーク上の食源の利用が可能、といった特長をもっている。
著者
竹房 あつ子 小川 宏高 松岡 聡 中田 秀基 高木 浩光 佐藤三久 関口 智嗣 長嶋 雲兵
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1827-1838, 1998-06-15
参考文献数
14

広域ネットワークの整備につれ,高性能広域分散計算を実現する試みが我々のNinfを含めていくつか行われている.しかしこのような広域計算システムの,特にWANにおいて複数のクライアントが複数のサイトに分散している状況下での性能特性に関する議論は十分になされていない.本稿では,Ninfおよび類似のシステムの実現可能性を調査するため,LAN/WAN環境でLinpack/EPベンチマークを実施し,次のような結果を得た.1)十分なバンド幅があれば,Ninfを用いた方がLocal実行するより高速になる.2)既存の高性能計算機は性能や耐久性の点で広域計算システムの運用に十分なプラットフォームである.3)ベクトル並列計算機(Cray J90)では,高性能並列ライブラリが有効利用できる,すなわち既存の高性能ライブラリの再利用性がある.4)計算主体の計算(EP)では現状の広域計算システムで十分に運用できる.5)通信主体の計算(Linpack)では,LAN環境ではサーバの稼働率が性能を支配し,WAN環境では通信性能と設置条件によって性能に与える影響に一定の傾向がある.Rapid increase in speed and availability of network of supercomputers is making high-performance global computing possible,including our Ninf system.However,critical issues regarding system performance characteristics in global computing have been little investigated,especially under multi-client,multi-site WAN settings.In order to investigate the feasibility of Ninf and similar systems,we conducted benchmarks under various LAN and WAN environments,and observed the following results:1)Given sufficient communication bandwidth,Ninf performance quickly overtakes client local performance,2)current supercomputers are sufficient platforms for supporting Ninf and similar systems in terms of performance and OS fault resiliency,3)for a vector-parallel machine (Cray J90),employing optimized dataparallel library is a better choice compared to conventional task-parallel execution employed for non-numerical data servers,4)computationally intensive tasks such as EP can readily be supported under the current Ninf infrastructure,and 5)for communication-intensive applications such as Linpack,server CPU utilization dominates LAN performance,while communication bandwidth dominates WAN performance,and furthermore,aggregate bandwidth could be sustained for multiple clients located at different Internet sites;as a result,distribution of multiple tasks to computing servers on different networks would be essential for achieving higher client-observed performance.
著者
山田 貴之
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.38-44, 2017 (Released:2018-10-29)
参考文献数
20

本研究の目的は,中学校第2学年「動物の体のつくりと働き」における「生命を維持する働き」において,ブタ心臓の解剖実験を取り入れた授業実践が,「心臓の各部位の同定」,「動物の生命に対する意識」および「解剖に対する意識」に与える効果について明らかにすることである.この目的を達成するために,ブタ心臓の解剖実験を取り入れた授業を行い,作成したワークシートおよび質問紙を分析したところ,以下の3点のことが示唆された.第1に,「心臓の各部位の同定」については,85%以上の生徒が8点以上(10点満点)を獲得するとともに,個人の合計得点の平均値が9.07点と大変高かった.特に,心臓の8ヶ所の部位の観察事実に基づく同定に効果があった.このことから,ブタ心臓の解剖実験は,「心臓の各部位の同定」に効果がある.第2に,「動物の生命に対する意識」については,解剖実験を基点に変容が促進されるとともに,授業実施から約4ヶ月後においても高い割合で維持できることが示された.このことから,本単元「生命を維持する働き」において,ブタ心臓の解剖実験は,生徒の「動物の生命に対する意識」の変容とその維持に効果がある.第3に,「解剖に対する意識」については,解剖実験後の平均得点が,解剖実験前のそれよりも有意に上昇した.このことから,ブタ心臓の解剖実験は,「解剖に対する意識」の変容を促進する.