著者
長谷川 達人 越野 亮
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.2186-2196, 2016-10-15

本研究では,スマートフォン標準搭載のセンサを複合的に用いてDNN(Deep Neural Network)で学習させることで,スマートフォンが利用者の身体上のどの位置に所持されているのかを推定するシステムを開発する.スマートフォンの所持位置が推定できることで,ポケットの中での誤動作防止や,位置に応じた通知方法の自動変更など,様々なコンシューマサポートが実現できる.本研究では,利用者がスマートフォン所持中に最もとりやすい動きである歩行を対象に,ズボン前ポケット,ズボン後ポケット,胸ポケット,内ポケット,ジャケットポケット,鞄,手という所持位置7種類の推定を行う.被験者16人に対して実験を行い,Leave-one-subject-out Cross-Validation(LOSO-CV)で推定精度を評価した結果,81.7%の精度で所持位置7種類を推定し,胸ポケットと内ポケットを区別しない6種類の推定では86.7%の推定精度を達成した.また,センサを複合的に用いることで推定精度が向上するという点や,加速度センサの値の扱い方によって推定精度が向上することを明らかにした.
著者
髙橋 文 田中 健太郎
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.183-190, 2019 (Released:2019-12-24)
参考文献数
69

生殖的隔離機構が生じる遺伝的メカニズムについては、Bateson-Dobzhansky-Mullerモデルで示されたように遺伝的要素間の不適合に起因することが古くから概念化されている。モデル生物であるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)やその近縁種を用いた研究では、交尾後に生じる不適合性に関与する遺伝子が複数同定されている。また、外部生殖器形態の種間差のような量的形質についても原因となる遺伝領域に迫るツールを駆使することができる。このような不適合性の生起には、自然選択が関与している場合としていない場合があるが、交尾後の生殖的隔離に寄与する遺伝子が同定されたケースの多くで、アミノ酸の置換速度が速いなど、正の自然選択が関与した痕跡が見られる。特にショウジョウバエでは速い進化の原因として、ゲノム内コンフリクトから生じる強い正の自然選択の関与が多く報告されているが、環境適応による自然選択が不適合性の生起に関与するケースがもう少し見つかってもよいのではないか、またそれを明らかにするためにモデル生物を用いる利点や難点は何か、今後の展望について考察する。
著者
Wang Jenny
出版者
奈良女子大学大学院人間文化研究科
雑誌
人間文化研究科年報 (ISSN:09132201)
巻号頁・発行日
no.24, pp.37-50, 2008

筆者前稿針對日語中「気」的慣用句做了語意分析探討,研究結果顯示;「気」的憤用表現中語意與情緒、注意力、意志、精神等,人内心的状態和變化有很大的關連,並且具有消極和負面語意的擴張現象。基於此一結果本稿進一歩探討「心」和「気」兩字在後面接相同的格助詞和活用語時,慣用表現的語意上有何異同做對照研究。結論是「心」和「気」的慣用表現在語意上的相同點很少,相異點是日語的現代語中「心」的名詞慣用表現幾乎不被使用,但是日語的古語中卻存在許多「心」的名詞表現。其次是「心」字當作詞頭,無論在古語中或現代語中都形成許多複合形容詞。並且〔心+が+形容詞〕不像〔気+が+形容詞〕那檬具有豐富的自由變形力及造語力。另外在〔心/に/を/が+動詞〕的慣用結構中,「心」字可以代換成其他字,具有多元的類似表達,這是「気」的動詞慣用句所沒有的特點。同時發現「心」的慣用表現多與主體的主觀精神状態的語意有關,負面語意並不多,並不具有「気」的慣用表現那樣負面語意的擴張現象。
著者
リュッターマン マルクス
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.28, pp.13-46, 2004-01-31

「畏まりました」「恐れ入ります」の類の言葉を日本列島ではよく耳にする。拝して曲腰をして恐縮する姿を型としている作法に合わせて「恐れ」の感を言い表わす礼儀は依然として根強く育まれている。「型」である。拙論では、仮にそれを「恐怖の修辞」と呼び、観察の焦点を挨拶の言葉に限定し、その普及と徹底的な定着の所以を問う。要するに「恐怖の修辞」形成過程の復元と、その由来の歴史的考察とを五段階を経て行いたい。一説では「恐れ」を言い表す主な古語である「恐る」や「畏む」や「憚る」を収集して、その意味を整理し、その変化を追求する。それらの本来の語義は平安時代以降から挨拶詞として定着したように見えるのである。したがって、これらの大和詞には共通した総括的な変容が著しく生じて、新たな意味(感謝、呼び掛けなど)が追加された。そういった「恐れ」の表現の性質を検討するに当たって、手掛かりを仮に書簡の修辞法(文書形式や書札・書札礼)に求める。それに二つの方面から光を照らし合せてみたい。一つには二節において文化歴史上の比較でもってその世界的普遍性の有無を確認したい。果たして古代地中海のレトリックを組む欧州弁術法にも「恐怖」が型となっているのだろうか。二つには斯かる言葉遣いの独特な由来の検討を三節の旨とする。即ち中国の漢・唐時代の修辞法に溯って、『獨斷』を始め、書儀類などを検討し、その結果、「恐怖の修辞」は古代地中海都市広場でもなく、都市裁判の場でもなく、漢国家体制或いはそれ以前の帝・天使の朝廷と中国士族の祖先崇拝へ溯る特徴が判明する。いわゆる「啓」と「状」とが唐に広く書簡として使用されるようになり、士身分以外にも、つまり庶民に浸透すると同時に「恐怖の修辞」も多くの人の身についたことは想像に難くない。礼儀作法書且つ書礼規範書として流行った書儀にも同様な傾向が反映している。書儀伝承と木簡出土などが雄弁にかたるように、文書主義の一面として「恐怖の修辞」も渡日した。日本における書札礼儀の展開における「恐怖の修辞」の変遷・推移を四節で具体的に分析する。『正倉院文書』を始め書簡手跡の実例に配慮する一方、中心的に『雲州消息』『高山寺本古往来』『弘安禮節』『庭訓往来』『書札調法記』『不斷重寶記大全』『書禮口訣』等々の主な礼書を分析する。儀礼に溯る思想もしくは表現が礼学の文脈で多く日本に伝わっており、「恐れ」を意味する仕種や語彙が少なからず含まれている。「恐々」「恐惶」等々の漢語を規範書から検出して、其の使用法や機能・連想に光を当てて、またそれらが中国よりも徹底的に市民の間に普及した様子を描く。最後にかかる漢語の訳語として大和詞の「かしこ」を例に、中国の修辞法に由来する使用法の転換を明らかにする。「めでたくかしこ・かしこ」はそれなりに世俗化や日常化や大衆化と滑稽化ともいうべき変遷を遂げた、現代まで日本で影響力を保っている「恐怖の修辞」を代表するといってよい。延いては礼儀の一系統への理解を深めるのに好適なこの一例をもって、拙論を結ぶ。
著者
佐野 三枝子
出版者
関西大学外国語教育研究機構
雑誌
関西大学外国語教育フォーラム (ISSN:13472925)
巻号頁・発行日
no.13, pp.29-44, 2014-03

本稿에서는 , 朝鮮 総督府에서 編纂된『普通 學校 朝鮮語 讀本』本文과 「漢字解」에보이는 語彙를 對象으로 , '山뫼 , 江 , 百온 , 千즈믄 , 兄' 등 , 그 釋이 消失된 單語와現代에 이르러서 單語 自體가 交替한 것을 어떻게 記錄하였는가 그 樣相을 考察하였다 .本考察을 通해 다음과 같은 事實을 얻을 수 있었다 . 먼저「漢字解」에서 '山뫼 , 兄' 은古語를 維持하였으나 本文에서는 漢字語로 記錄되었다. '江 , 百온' 도 漢字語로 代替되었고 釋 '온' 은 意味 變化를 일으켰다 . 다음에 漢字語와 固有語 두 가지가 共存하는單語가 있었고 , 또 '아우 , 交椅, 掃除, 日氣, 生徒' 등 單語가 現代 韓國語에서는 '同生, 椅子, 淸掃, 學生' 등으로 交替하였다 . 이러한 點을 通해서 現代 韓國語의 変化 様相에 대해 具體的으로 確認할 수 있었다 .研究報告
著者
後藤 弘樹
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.49, pp.515-548, 2017

現在でもアメリカの口語,俗語,方言の中にはイギリスの古い時代の英語語法が多数残存しているのが見うけられる。本稿で取り上げた動詞の活用変化の中には地域によって,例えば,アメリカの南部諸地域では古い時代(主に17世紀,18世紀)のイギリス英語の姿が垣間見られることがよくある。それも当時,極めて交通の便が悪く,文化の流入も滞りがちな人里遠く離れた南部の奥深い山間部では,特にそうである。現在も尚,イギリスのかつては正用法として用いられていた古い時代の英語語法が,急激な社会情勢の大変革から時代にそぐわなくなり,本国イギリスでは既に廃語廃用となった所謂古語がアメリカに多数残存していて,それが日常庶民の発話の中で今も尚用いられている。本稿では特に言葉の根幹をなす古い時代の動詞の活用変化(現在,過去,過去分詞)を英米の文学作品を通して検証することにする。