著者
板垣 貴志
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.2-12, 2015 (Released:2017-03-23)

In this article, a few issues related to the history of stock raising in modern Japan were evaluated through a study of domestic animal deposition custom. Even in the modern era, domestic animal raising in Japan is not conducted as a form of modern industry. Domestic animal raising was conducted as a "custom," which functioned as a life security for rural community members. Because the wealth generated from domestic animal raising was not subject to taxation traditionally, a unique idea on the domestic animal ownership based on the life security function of domestic animal raising was formed. This idea of ownership seems to have transformed into an individualistic one in the process of modernization. The history of domestic animal raising in modern Japan comprises several specific aspects. By pursuing each specific aspect consciously, we can find relationships with various other historical phenomena and can construct a broader history of domestic animal raising.
著者
三枝 俊亮
出版者
分子シミュレーション学会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.125-128, 2013-04-30 (Released:2014-04-30)
参考文献数
7

ペプチド中におけるアミノ酸残基の双極子モーメントを,ab initio MO 法を用いて計算した.αヘリックスとβシートについて独自モデルを用い,主鎖間水素結合や隣接する残基の影響を考慮に入れた双極子モーメントを計算し,重み付き平均化により構造異性体の双極子モーメントも考慮した.計算したアミノ酸残基の双極子モーメントを組み合わせることで,ペプチド全体の双極子モーメントを再現できることを確認した.また,光学異性体であるL-アミノ酸とD-アミノ酸で双極子モーメントが異なることを見出し,双極子モーメントを主鎖部と側鎖部に分割することで,その理由を解析した.
著者
岡元 晃一 Koichi Okamoto
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2016-03-25

近年では, 健康的至高の高まりにより食事記録を付ける人が増えてきている. それに伴い食事記録支援システムが多く公開され始めているが, 既存のシステムのほとんどが正確にカロリー量を推定することができない. そこで本論文では食品を基準物体と撮影することで, 食品の認識を行い, さらに大きさを推定することでその食品のカロリー量を推定するシステムを提案する. システムはユーザーの携帯性や利便性を考えスマートフォンアプリという形での実装を行う. システムは画像中より食品領域及び基準物体領域を抽出し, その大きさを比較する. 基準物体は事前に面積がわかっていること以外には制約はなく, ユーザーが各々常に携帯しているものを使用することが出来る. 食品認識部分の手法には高精度な認識が可能なディープラーニングを用いた. 一般にディープラーニングによる画像認識は計算量が多くモバイルでの利用は難しいが, パラメータ数が少ないネットワークを選択したりなどの工夫により, サーバを介さずモバイル上での実行ながら約0.2 秒程度での実行速度で高精度な認識を可能にした. 実験ではカロリー量推定実験とユーザー評価実験の2 つを行い結果としてカロリー量推定実験での誤差の平均は52.231kcal, 相対誤差の平均は0.213 となった.ユーザー評価実験でも既存システムよりも記録を取りやすいという評価を得た. このことから提案システムの有効性が確認できた.
著者
伊藤 順吉
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.243-246, 1965-07-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
古河 幸雄 藤田 龍之 坂田 正純 村田 吉晴 渡辺 英彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.750, pp.159-170, 2003-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
19

阿武隈高地のまさ土を対象にして, コンクリート用細骨材への利用について検討した. 細骨材としての品質を評価すると, 規定値をすべて満足するのは絶乾密度, 粘土塊量, 有機不純物量, 吸水率および塩化物に対する安定性は強熱減量Li≦2.5%の場合, 洗い試験はすべてのまさ土で満足しないことがわかった. まさ土を骨材としたときの圧縮強度はセメントの物理試験による強さ試験で行い, 粒度分布を自然粒度と細骨材として規定されている粒度範囲の中央粒度の2種類, 水セメント比は3種類で行つた. その結果, 圧縮強度は粒度分布より水セメント比の影響を強く受けることが明らかになつた. また, 配合設計により強度試験を実施した結果, 設定した圧縮強度の60~110%程度の強度発現が得られ, 圧縮強度はLiに強い影響を受けることがわかった.
著者
中山 義久 西田 一彦 西形 達明 井上 啓司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.638, pp.207-215, 1999-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16
被引用文献数
2

非常に幅広い物理・強度特性を有するまさ土の液状化特性を総合的に把握することを目的として, 関西地区で産する複数のまさ土を対象として繰返し三軸試験機で液状化試験を実施した. 液状化強度に及ぼすまさ土の物性値として粒度特性 (細粒分含有率, 50%通過粒径, 均等係数), 風化度 (強熱減量), コンシステンシー特性 (流動限界) を選び, それぞれの物性値と液状化強度との関連を調べた. その結果, まさ土の液状化特性はその採取場所によって大きく異なるが, コンシステンシー特性 (流動限界) と圧密後の間隙比を用いて簡易的に液状化強度を推定できることが明らかになった.
著者
沖本 富貴子 おきもと ふきこ OKIMOTO Fukiko 沖縄大学地域研究所特別研究員
出版者
沖縄大学地域研究所
雑誌
地域研究 = Regional studies (ISSN:18812082)
巻号頁・発行日
no.20, pp.29-53, 2017-12

竹内康人(2012年)によって沖縄戦に動員された朝鮮人軍人軍属が配置された部隊と、その人数が初めて明らかにされた。日本政府が韓国政府に渡した朝鮮人名簿をもとに分析を進め発表したものである。この研究をより沖縄に近づけて解釈し紹介した。その結果、特設水上勤務隊以外にも32軍防衛築城隊、歩兵隊、海軍の設営隊など65部隊以上にわたって少なくとも3,500人余が動員されていたことが分かった。部隊別に死亡者数と時期と場所を集計した結果、本島においては首里の攻防や南部に追い詰められて犠牲になったものが多かった。海軍においては小禄、豊見城で6月14日前後に命を落としている。 こうした研究によって「沖縄戦には『朝鮮人軍夫』が『1~2万人』動員され、『雑役』を担った」とする定説が検証され、実態に即して書き換えられていく契機になることを意図した。さらに「朝鮮人軍夫」という表現が妥当であるかについても検討を加えた。 朝鮮人部隊であった特設水上勤務隊について戦時資料や留守名簿、陣中日誌に照らし、編成から沖縄での港湾作業につくまでを詳細に見た。また港湾作業がどのようなものであったか、その実態について当時の陣中日誌及び住民の証言も交えて具体的に示した。本稿は地上戦が始まるまでのいわば序盤までを一区切りとしている。