著者
篠崎 勇二 川島 久宜 石間 経章 松村 修二 津田 康裕 不破 健雄
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.293-298, 2012

環境対応車の需要が急激に高まる中、排気系による燃費向上や排ガス浄化などの技術向上が期待されている。今回それらの性能に大きく関わるエキゾーストマニホールド内の流れを理解するため、常温非定常流を発生させ熱線風速計及びレーザー計測を行い流れの特性を明らかにする。本実験により、排気集合部の流れが計測できた。
著者
長谷 弘記
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.850-856, 2016-05-10 (Released:2017-05-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

コレステロール塞栓症を原因とする慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は増加傾向にある.その原因は血管内インターベンション治療の増加にある.動脈硬化性プラークは腹部大動脈を中心とする大動脈に好発するため,カテーテルなどが大動脈壁を擦過する際にプラークの破裂を誘発する.手技操作直後に発症する急性腎障害(acute kidney injury:AKI)以外,手技操作から数カ月~数年にわたって虚血性腎障害が進行するCKDの病態をとる頻度が増加傾向にある.

1 0 0 0 OA 本朝悪狐伝

著者
玉田玉照 口演
出版者
駸々堂
巻号頁・発行日
1893
著者
羽賀 育子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.381-385, 1999-11-30
被引用文献数
1

私たちは, 未来から借りている地球環境をこれ以上悪化させてはならないと考えている。しかし, 利便性を追い求める力は強く, あらゆる面で生態系を崩し, 環境を悪化させているのが現状である。<BR>この象徴ともいえるペットボトルをなんとか食品容器から外したい。今, 環境ホルモンの害が解明されつつある中で, 添加された化学物質は自然界に溶け出ている。使用をできるだけ減らすことが急務である。<BR>人間の遺伝子まで変化させてしまうかもしれないフタル酸エステルが至る所から検出されている現実を見据え, 永い年月使い続け安全性を確認しているガラスびんをリユースして使い続けたいと運動している。次に活動の一部を紹介する。
著者
形井 秀一 北川 龍一
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.210-219, 1992-08-20 (Released:2014-11-18)
参考文献数
36

著者らは慢性前立腺炎 (非細菌性前立腺炎およびProstatodynia) 患者100例に対し, 前立腺局所およびその周囲の循環改善を目的として, 低周波鍼通電療法 (EAT) を行った. 検査は尿検・前立腺直腸診・超音波診断・東洋医学的体表触診・心理テスト・自覚症状の自己採点等を行った. EATによるEPS中のWBC数, および前立腺直腸診時の圧痛の改善率はそれぞれ64.7%・82.1%であり, またEPS中のWBC数の陽性群は, 陰性群に比べて有意に (P<0.05) 有効率が低かったが, 70.6%の有効率であり, EATが慢性前立腺炎の炎症の改善に一定程度影響していることが示唆された. またSTDの既往の有無で有効率の差はなく, EATは器質的病変のある可能性を持つ病態にも一定の効果があることが示唆された. 自覚症状の出現率および改善率は部位間に差はなかった. さらにEATは, 慢性前立腺炎患者のうち, 炎症所見や消化器症状・神経症・うつ傾向が強くない症例に対して有効率が高かった. 自覚症状と他覚所見の両者に対する総合評価では, EATの有効率は79.3%であった. 以上のことより, EATは薬物が無効であったり, 通常の泌尿器科的治療法では効果の現われにくい慢性前立腺炎の治療に有用であると考えられる.
著者
金野菊三郎編
出版者
大船渡市芸術文化協会
巻号頁・発行日
1978
著者
片山 昇
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.324-333, 2007-11-30 (Released:2016-09-16)
参考文献数
112

相利共生とは、相互に関係する生物種が互いに相手から利益を受ける関係であり、あらゆる生態系にみられる。しかし、相利共生は状況に応じて変化し、時として解消される。相利共生は多様な生物種を生み出してきた大きな要因であるため、相利共生の動態を解明することは生態学や進化学の重要な課題となってきた。アリとアブラムシの関係は、アブラムシが甘露を提供するかわりに、アリがアブラムシの天敵を排除するという、良く知られた相利共生の一つである。しかし、アリ-アブラムシの関係は生態的あるいは進化的に変化しやすく、相利から片利、さらには敵対にいたるまで多様な形態が存在する。このようなアリ-アブラムシ系における関係の変異の創出や相利共生の維持機構について、これまでの研究ではアブラムシがアリに随伴されることに対するコストと利益を考慮した最適化理論が用いられてきたが、その範疇に収まらない例が多い。一方で、(1)アブラムシの内部共生細菌は宿主の形質を変化させる、(2)アリは局所的な昆虫の群集構造を決める、ということが明らかにされてきた。そこで本稿では、アリ-アブラムシ系を複数の生物が関わる相互作用として捉え直し、相利共生の動態について議論する。特に、(1)アリ-アブラムシ-内部共生細菌による複合共生系の存在と、(2)アリ-アブラムシの相利共生とアブラムシ天敵の群集動態とのフィードバックについて仮説を提唱する。
著者
ISHAKU Utek Grace MATSUMOTO Mariko
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 心理発達科学 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
no.65, pp.1-20, 2018-12-28

The problem of untreated mental disorders is serious and appears to be worsening in university student populations, especially in developing countries. Although resources are considerably scarce in low-income societies, there appear to be other challenges to mental health help-seeking on university campuses. The present study employed face-to-face semi-structured interviews to explore the array of factors that impede and promote help-seeking behavior among university students in Nigeria. The participants were 16 mentally distressed students at a public university in the central region of Nigeria. The interview schedule addressed the key study variables as well as the students' perceptions of their current mental state, treatment need, and intentions to seek help. The collated data revealed that all the participants were either moderately or severely mentally distressed. Even though the majority of the students (94%) were willing to seek help for a mental disorder, only 50% indicated that they currently need help for their mental distress. Of the latter, only about 13% had initiated actual attempts to seek professional guidance. Qualitative content analysis of the interview transcripts highlighted three major barriers to help-seeking, namely: individual factors, confidentiality issues, and institutional inadequacies. Similarly, three sets of support were relevant for facilitating help-seeking including intrapersonal support, interpersonal support and institutional support. Interpreting these findings in accordance with the ecological systems theory suggested that the barriers and facilitators to mental health help-seeking are multifaceted and encompass individual, social and institutional domains. Interventions targeting the micro and macro level barriers in university and support for students' help-seeking needs through a top-down strategy which prioritizes the provision of better mental health infrastructure, adequate number of professionals, effective mental health policies, and gatekeeper training for members of the university community are potentially beneficial for improving treatment rates among students in developing countries.
著者
清雅堂 編
出版者
清雅堂
巻号頁・発行日
1938
著者
梅田 克樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

Ⅰ はじめに インドは世界最大の酪農国である。3億頭におよぶ牛や水牛から、年間1.2億tもの生乳が生産されている。特に、デリー首都圏の周辺には、インド有数の酪農地域が広がっている。本報告では、インド酪農の最新動向について整理するとともに、生乳流通の地域的多様性について概観する。また、世界第4位の都市圏人口(2,224万人)を擁し、インド最大のメガ・リージョンであるデリー首都圏を事例に、生乳供給システムの現状と課題を明らかにする。Ⅱ 高度経済成長とインド酪農の発展 1980年代後半以降、インドは急速な経済成長を遂げてきた。とりわけ、可処分所得20万ルピー(約30万円)をこえる中間層人口の急増が、需要拡大に与えたインパクトは大きい。生乳生産についても、2005年から2011年までの間に生産量が3割増えるなど、需要拡大を受けた積極的な増産が図られている。しかし、同期間の乳価上昇率は5割に達している。増産ペースを上回る勢いで需要が増え続けているため、生乳需給は今後ますます逼迫するものと見込まれている。2020年の需給ギャップ(供給不足量)は、5,000万tに達するとの予測もある。 インド国民の8割はヒンドゥー教徒である。ヒンドゥー教において牛は神聖な生き物とされており、ベジタリアンも数多い。そのため食肉消費量は少なく、畜産生産額の7割を乳が占めている。ギーやダーヒなどの伝統的乳製品も広く食されている。こうした強固な乳食文化を支える酪農部門は、インドにおける農業生産額の2割を占め、穀物に次ぐ基幹的部門をなしているのである。その一方、牛乳の7割に、不純物が含まれていたり混入物が加えられていたりするなど、品質向上に向けた課題も多く残されている。Ⅲ 生乳生産の地域的偏在とその要因 酪農がさかんなのは北部諸州である。生乳生産量が最も多いのはウッタル・プラデーシュ州(2,100万t)であり、その量はニュージーランド一国の生乳生産量に匹敵する。そのほか、ラジャスタン州(2位、1,320t)やパンジャブ州(3位、940t)、ハリヤーナ州(10位、630t)なども、上位に顔を出している。デリー首都圏を取り囲むように、酪農主産地が分布しているのである。逆に、東部諸州の生乳生産量は少なく、深刻な生乳不足にしばしば陥りがちである。 生乳生産の地域的偏在が生じる最大の理由は、気候条件の違いにある。降水量が少ない地域では草が成長しにくく、飼料調達に支障が出る。一年中高温多湿が続く地域では牛が弱ってしまうし、交雑種を導入することも難しい。欧米からの輸入牛との交雑種は、年間乳量が1,000~2,000㎏とインド在来牛(300~600㎏)に比べて多いものの、耐暑性が大きく劣るのである。その点、明確な冬があり適度な降水も得られる北部諸州ならば、草地資源も豊かであるし、交雑種を導入することも容易である。 そのほか、冷蔵輸送システムが整えられていないことや、種雄牛の導入状況が州によって異なることも、地域的偏在を生じさせる副次的要因として挙げられる。Ⅳ 生乳生産の地域的偏在とその要因 インドの牛乳流通において、organized milkが占める割合は18%にすぎない。自家消費や伝統的流通などのインフォーマル流通が卓越するものの、その全容はほとんど解明されていない。しかし、インド経済の中枢を担う大都市については、やや事情が異なる。デリー首都圏においては、Delhi Milk Scheme (DMS)に基づく流通システムが整えられ、毎日380万リットルものpackaged milkが消費者に届けられている。連邦政府農業省内に事務局を置くDMSが、近隣州の酪農連合会や酪農協などから買い取った生乳を、各乳業者に一元的に販売するのである。デリー市民に牛乳・乳製品を安価に供給するとともに、生乳生産者に対して有利な乳価を確保するための制度である。DMSは、Operation Flood (OF)に基づいて1959年に策定された枠組みである。DMSにおける主な生乳調達源もまた、OFに基づいて普及が図られてきた協同組合酪農である。OF推進のためにNDDB(インド酪農開発委員会)が設けられ、アナンド型酪農協を普及させてきた。アナンド型酪農協の集乳率は8%程度と高くないとはいえ、インド農村の社会経済開発モデルとしての意味は大きい。また、DMSの生乳販売先の多くは、NDDBの傘下におかれている。NDDBが100%出資するMother Dairy社は、DMSによる生乳販売量の66%を占めており、デリー市乳市場における支配力を確保している。デリー大都市圏内に1,000カ所の専売ブースと1,400カ所の契約小売店を設け、牛乳・乳製品をはじめとする多種多様な食品を販売している同社は、インド大都市部において構築すべき安価かつ安定的な食料供給システムの国家的モデルと位置付けられている。こうしたモデルが普及すれば、インドの酪農・乳業が大きな変革を遂げる可能性があるだろう。