著者
辰巳正明著
出版者
新典社
巻号頁・発行日
1990
著者
松崎 丈
出版者
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター
雑誌
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀要
巻号頁・発行日
no.8, pp.15-32, 2013-06

本稿は、平時における聴覚障害者の情報アクセスの実状を概観し、東日本大震災で被災した聴覚障害者が発災直後から復旧期までの時期に直面した問題状況を情報アクセスの観点から検討するとともに、今後、災害時における聴覚障害者の情報アクセスで求められる方策と課題を検討した。その結果、東日本大震災で直面した問題状況は、自然災害による直接的な被害だけでなく、平時の情報アクセスに関する制度と体制の不備にも起因していることが示唆された。今後の防災・減災対策として、聴覚障害者自身が災害時の情報アクセスへの行動や手段を拡げること、情報提供者となる家族や地域の人々とのつながりを作ること、通信インフラの耐災害性の強化とICTアクセシビリティの向上・改良などが挙げられた。
著者
河府 賢治 越智 光昭 武居 昌宏 田所 誠
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.66-66, 2007

静止粒子充填層の内部を流体が通過する充填層透過流動現象において,流体の流速と圧力損失の関係を知ることは極めて重要である。この関係式の一つにErgun式がありよく用いられている。ところが条件により,この式による圧力損失計算値と実験値とに大きな誤差が生じることも知られている。そのため修正Ergun式が各種提案されているが,その適用範囲は極めて狭く,実用的ではない。そこで本研究では既存研究における壁面の影響を考慮するとともに,粒子形状因子として直線率を新たに定義し,適用範囲の広い修正Ergun式を提案し,実験値と比較を行った。その結果7種類の形状粒子および空気速度0~6.0m/sの広範囲において,この式による誤差が6%以内に収まることが分かった。
著者
糸数 健 柴 喜崇 大渕 修一 上出 直人 酒井 美園
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.7, 2003

【はじめに】 固有受容器強調トレーニング(Enhanced Proprioception Training: EPT)は動作時のバランス機能向上を目的としているにもかかわらず静的バランスについてのみが報告されてきた。そこで我々は歩行時のバランス機能を測定する装置を用いて、EPTが動的バランス機能に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。【対象】 下肢に整形外科的疾患の既往がなく、日常的に運動習慣のない健常大学生20名(平均年齢19.1±0.55歳,男性10名,女性10名)として事前に実験協力に同意を得た。【トレーニング内容】 5段階の異なる難易度の不安定板を用意した。被験者が遂行可能なレベルに応じて不安定板を選択し難易度レベルを上げた。板上で1分間5セット、片脚立位制動を左側のみをトレーニングさせた。【方法】 対象者を無作為にEPT群と対照群に分け、EPT群(n=10)にのみEPTによる介入を週3回の頻度で1ヶ月間の計12回実施した。対照群には研究期間中運動習慣を変えないように指示した。EPT群、対照群ともに介入前,介入後,介入終了3ヵ月後の計3回評価を行った。評価項目は足関節背屈最大等尺性筋力、歩行時の外乱刺激から前脛骨筋(Tibial Anterior; TA)が反応するまでの時間をTA反応潜時とした。外乱刺激は、左右の歩行ベルトが分離したトレッドミルを用いて2km/hで歩行中に片側ベルトのみを急激に停止させ、500msec後に2km/hに戻すことで発生させた。左ベルト停止時の左TA反応潜時と右ベルト停止時の右TA反応潜時をそれぞれ測定した。統計処理は、EPT群、対照群の介入前における潜時、足関節背屈筋力の検定には対応のないt検定を用い、EPT群、対照群それぞれに対して被験者と評価時期の2要因による分散分析を用いた。【結果】 EPT群は非トレーニング側TA反応潜時、足関節背屈筋力における介入前、介入後、3ヶ月後の間に有意な差はみられなかったが(n.s.)、その一方でトレーニング側TA反応潜時においては介入前と比して介入後に反応時間短縮され(P<.01)、3ヶ月後でもその効果が有意に持続していた。対照群においては左右ともにTA反応潜時、足関節背屈筋力における介入前、介入後、3ヶ月後の間に有意な差はなかった(n.s.)。尚、EPT群、対照群の介入前のTA反応潜時、足関節背屈筋力には差がなかった(n.s.)。【考察】 トレーニング側の足関節背屈筋力に有意な差はなかったが、トレーニング側のTA反応潜時には即時効果が認められた。さらに即時効果だけでなく3ヵ月後も効果が持続することが明らかになった。 我々は外乱刺激側にみられるTA反応潜時は、動的バランス機能である立ち直り反応と相応することを報告している。EPTは立位、歩行における立ち直り反応に関与する神経回路に特異的に作用し、即時的かつ長期的な効果を及ぼすトレーニングであることが明らかになった。

1 0 0 0 OA 乾也粉本

巻号頁・発行日
vol.[20], 1800
著者
岩永 省三
出版者
九州大学
雑誌
Bulletin of the Kyushu University Museum (ISSN:13483080)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-22, 2005-03
被引用文献数
1

国立歴史民俗博物館が、弥生土器付着炭化物のAMS法による年代測定を用いた弥生時代開始年代論を発表した。それを支持する中国考古学者による遼寧地域・朝鮮半島における青銅器文化の年代論を検討した。磨製石剣の編年と年代、遼寧式銅剣1式の年代幅、「遼寧式銅剣I式」と「V式」の関係、遼寧式銅剣と細形銅剣の関係-細形銅剣の出現年代、細形銅剣・鋼矛・銅戈のセットの上限年代、の諸点について再検討した結果、対象とした中国考古学者の年代論は、いずれも未検証仮説を積み重ねたきわめて無理が多い議論であり、従来の年代観で大枠では問題が無いことが判明した。この観点から、出土人骨を用いたAMS法による年代測定結果(田中・溝口・岩永・Higham2004)を検討すると、歴博年代論に比してはるかに妥当であるものの、なお50〜200年は古く出ており、依然として海洋リザーヴァー効果による年代の遡上を十分に補正できていないと判定できることから、さらに内陸部出土の人骨やシカなどの草食動物骨を用いたAMS法の実施と、より有効な海洋リザーヴァー効果補正法の開発が急務となる。