- 著者
-
平石 賢二
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学年報 (ISSN:04529650)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, pp.15-39, 2018-03-30 (Released:2018-09-14)
- 参考文献数
- 216
- 被引用文献数
-
5
本稿は,日本において2016年7月から2017年6月までの1年間に公刊された国内学会誌5誌と2017年10月に開催された日本教育心理学会第59回総会で発表された青年期から成人期,老年期までの発達研究を概観し,その現状と課題について論じることを目的とした。対象となった研究は日本教育心理学会第59回総会での研究発表と学会誌論文とに分けて研究の動向を分析した。また,分析の対象として選出した研究はそれぞれ青年期と成人期以降に分け,青年期に関する研究はさらに学校段階に応じて分類した。そして,それぞれの研究については,テーマ別に分類し,研究内容やテーマを要約して記載した。 動向分析の結果,成人期以降の研究が少ないこと,青年期研究の中では高校生に関する研究が少ないことが判明した。また,大学生研究におけるサンプリングやサンプルサイズの問題と研究知見の再現性と頑健性に関する問題を指摘した。他方で,モデルとなる大規模研究の存在や縦断研究,実践研究の増加もわが国における発達研究の望ましい傾向として取りあげられた。 また,今後の展望として,生物-心理-社会モデルや理論生成の重要性について論じた。