著者
永井 友昭
出版者
部落問題研究所
雑誌
人権と部落問題 (ISSN:13474014)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.47-55, 2018-05
著者
綿村 哲
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.756-762, 2000-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
9

アインシュタインの一般相対性理論と場の量子論を統合する理論体系は,幾何学そのものの拡張を必要としているのか? 量子重力理論の最も有力な候補と思われている超弦理論の最近の発展に伴い,非可換空間または量子空間と呼ばれる拡張された"空間"が理論の中に自然に現れることが分かってきた.このことは,アインシュタイン理論におけるリーマン幾何学の役割を,量子重力においては非可換幾何学という体系で置き換えなければならないことを意味している.本稿では,非可換空間上の場の理論を見ながら,非可換幾何学とはどのようなものなのか,なぜそれを考える必要があるのかを解説する.
著者
上野 太郎 粂 和彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.145, no.3, pp.134-139, 2015 (Released:2015-03-10)
参考文献数
23

睡眠の基礎研究は古くから哺乳類を中心に行われ,その評価は脳波により生理学的に判定されてきた.近年,遺伝学のモデル動物として広く用いられるショウジョウバエにおいて,行動学的な睡眠が定義されることにより,睡眠の分子生物学が発展している.ショウジョウバエを用いた睡眠研究により,睡眠制御の分子メカニズムが昆虫と哺乳類で共通していることが示され,豊富な遺伝学的ツールを用いることで睡眠を制御する神経回路が同定されてきている.我々は,ドパミンの再取り込みを担うドパミントランスポーターの変異体(fumin変異体)が短時間睡眠を示すことを発見し,ショウジョウバエにおいてドパミンシグナルが哺乳類と同様に睡眠覚醒を制御することを明らかにしてきた.ドパミンは睡眠覚醒や学習記憶など様々な生理機能をもつが,それら複数の生理機能がどのようにして実現されているかはこれまで不明であった.ショウジョウバエの遺伝学を駆使することにより,独立したドパミン神経回路が学習記憶と睡眠覚醒を制御することが一細胞レベルで明らかにされた.ドパミンはシナプス終末から放出されると古典的なシナプス伝達に加えて,拡散性伝達により,神経間情報伝達を行うことが知られている.ドパミンの再取り込みを担うドパミントランスポーターに注目し,睡眠ならびに記憶の表現型を解析することにより,ドパミントランスポーターによる拡散性伝達制御が明らかになった.本総説では我々がこれまで明らかにしてきたドパミンによるショウジョウバエの睡眠制御機構について解説する.これまでに明らかになった睡眠の分子基盤・神経基盤をもとに,進化的に保存されてきた睡眠の共通原理の解明が進むと考えられる.
著者
諸橋 侃
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.1011-1017, 1965-09

腹壁誘導胎児心電図を定期検査とし, 慶応義塾大学病院産婦人科ME外来を訪れた妊婦より次の結果を得た. 1) 1,400例中, 胎児棘波を認めたものは1,360例 (97.1%)である. 陰性群の検討を加えた誤診率は, 0.5%であった. 2) 陽性率と妊娠週数の関係は, 諸家の報告と同様, 双峰性を示したが, その谷は, 82.2~84.6%と高値を示した. 早期診断例は, 妊娠15週の2例であった. 3) QRS振巾も, 陽性率と同様の傾向を示した. 4) QRS時間は, 妊娠週数と共に増加する傾向が認められた. 5) 胎児心拍数は, 妊娠週数が進むに従って, 減少したが, 今後尚検討を要する. 6) 低位横誘導による検出は, 切迫流早産及び妊娠末期に多く認められた. 7) 予定日超過群は, 胎盤機能不全症候群の有無により検討を加え, QRS振巾に有意の差を認めた. 8) 波型の類別を試み, qR型, Rs型, qRs型, RSR'型, RI型等臨床的に興味ある所見を得た. 9) 胎児不整脈は, 1,400例中8例に認め, 期外収縮が, ブロックよりも多く証明された. 早期証明例は, 期外収縮の妊娠23週であった. 10) この他に, 多胎, 羊水過多症, 胞状奇胎, 血液型不適合, 糖尿病, 想像妊娠, 無脳児等も記録した. また, 胎児頻脈についても述べた.
著者
得丸 公明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.236, pp.21-26, 2011-10-11
参考文献数
18

筆者は情報理論の一般通信モデルにもとついて,言語通信システムを,情報源,送信機,回線,雑音,受信機,宛て先という要素に分け,それらの要素間を音節というデジタル信号によって組み立てられたシンボルが流通するものとして分析してきた.以下では,神経細胞のもつ感覚・記憶(記銘と保持)・想起(再生と再認)・評価(二分法)・判断(二元論)・運動制御などの生命体のもつ基本的な生得の神経機能(量子スイッチ機能)だけで言語機能はすべて説明できることを示す.言語はヒトだけがもつため,ヒトには言語や文法を生みだす固有の言語獲得装置(Language Acquisition Device)や文法遺伝子が存在するという説もあるが,もしかすると存在しないのではないか.デジタル信号入出力のために,母音を発声するための喉頭降下と運動制御,ウェルニッケ野に母語音素痕跡記憶がヒト固有の身体的特徴である。言語の効率よい情報伝達は,脳の進化や新たな遺伝子の出現ではなく,ヒトが獲得したデジタル信号にもとつくシンボルと,それに最適化した自然発生的・自己創出的な神経細胞ネットワークのおかげである.チンパンジーにくらべて約4倍大きな脳は,膨大な語彙記憶の保持装置である.デジタル信号の順列によって生みだされる無限の語彙(単語)が,体験記憶と結びつけば具象概念であり,論理記憶と結びつくのが文法や抽象概念である.これらもすべて基本的な神経作用として説明できる.そうであるなら,人の本性は善である.
著者
斎藤 拓朗 大石 明雄 管野 隆三 菅野 智之 井上 仁 元木 良一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.573-578, 1991-08-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

HCG産生肺扁平上皮癌の1症例を報告する.症例は47歳の女性で, 胸部X線異常陰影を主訴に来院した.血中, 尿中HCGが高値で, 胞状奇胎の既往歴があることから子宮絨毛癌の肺転移を疑い, 化学療法及び単純子宮全摘術, 肺楔状切除術を施行した.摘出子宮には異常無く, 肺切除標本の病理学的検査からHCG産生肺扁平上皮癌の診断を得たため左肺切除術及び縦隔リンパ節郭清を追加した.術後1年8カ月を経た現在も再発の兆候は認められない.
著者
横山 眞樹 北山 哲士 河本 基一郎 野田 拓也 宮坂 卓嗣 越後 雄斗
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.863, pp.18-00162, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2

In sheet forming, the blank holder force (BHF) has a direct influence on product quality. A high BHF leads to tearing, whereas a low one results in wrinkling. For successful sheet forming, the BHF should be adjusted. Recently, the variable BHF (VBHF) that the BHF varies through stroke is recognized as one of the advanced sheet forming technologies. On the other hand, slide velocity (SV) that controls the die velocity is rarely discussed in the literature, and the SV should also be taken into account for the successful sheet forming. A high SV can achieve the high productivity, but wrinkling occurs. The VBHF trajectory and SV are unknown in advance, and the trial and error method is widely used. In this paper, design optimization approach using computational intelligence is adopted to determine them for achieving the high productivity. The processing time is taken as the objective function to be minimized for the high productivity. Numerical simulation in sheet forming is so intensive that a sequential approximate optimization using radial basis function network is adopted to determine the optimal solution. Based on the numerical result, the experiment using AC servo press (H1F200-2, Komatsu Industries Corp.) is carried out. Through the numerical and experimental result, the validity of proposed approach is examined.