出版者
筑波大学農林学系
雑誌
筑波大学農林社会経済研究 = Memoirs of Institute of Agriculture and Forestry, the University of Tsukuba. Rural economics and sociology (ISSN:09140271)
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-43, 2008-03

敗戦直後の農地改革を末端農村で実行したのは市町村農地委員会であった。農地委員会は、制度上は「行政庁」であり「一種ノ国家機関」とされたが、他方で農政担当者は農村民の自主的組織であることを強調した。つまり農地委員会の業務は法令により規定されていたにもかかわらず、一定の枠内で法令を運用する自由裁量の余地が与えられていた。このことは農地委員会が法令を執行する「行政作用」とともに「準立法的作用」、「準司法的作用」を行使する行政委員会の一つであったことを示している。本稿は、小作地引上げ、耕作権移動を中心に農地調整の意味内容を村の改革実行体制、とくに農地委員会運営をめぐる農民団体と地主団体との関係に焦点を絞って検討しようとする試みである。取上げる対象地は長野県南佐久郡桜井村であるが、ここは改革当時、農民組合と地主会の対立激化から地主委員がリコールされた村として注目された。しかし紛糾を見た本村ですら、当時の社会経済的混乱や村の農地・農家事情に即した農地調整が図られ、一見して急進的な農民組合運動にも耕作者利益とともに農村民全体の利益の確保と調整をめぐる地道な活動が伏在していた。改革遂行過程に埋め込まれていた「共に生きる」ことを目指す農地調整の意味内容を、その限界も含めて明らかにしたい。
著者
清水 雅仁
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

我々は本研究で、インスリン抵抗性、IGF/IGF-1受容体シグナルの過剰活性、アディポカインの不均衡、慢性炎症状態の惹起等、肥満や糖尿病に関連した様々な病態・分子異常が、大腸および肝発癌に深く関与していること(発癌高危険群のスクリーニングに有用であること)、また分岐鎖アミノ酸製剤等の薬剤投与や栄養学的介入によって、これらの分子異常を改善・制御することが、肥満や糖尿病合併患者の大腸および肝発癌予防に繋がる可能性を明らかにした。

1 0 0 0 OA 松屋筆記

著者
小山田与清
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻94,
著者
井上胡蝶 編
出版者
箏曲通信教授所
巻号頁・発行日
vol.巻1, 1913
著者
井上胡蝶 著
出版者
箏曲通信教授所
巻号頁・発行日
vol.第1集, 1913
著者
佃 栄吉 粟田 泰夫 吉岡 敏和 EMRE Omer DUMAN Tamer Yigit KUSCU Ismail
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.XXI-XXII, 1999-11-15

1999年8月17日の未明に発生したマグニチュード 7.4(米国地質調査所による)のイズミット(Ismit)地震は, トルコ北西部一帯に大きな被害をもたらし, 死者は1万7千人以上(10月14日現在, トルコ危機管理センターによる)に達した. この地震は北アナトリア断層の活動により引き起こされたもので, 被害の分布もおおよそそれに沿って東西に広がっている. 筆者らは9月14日より現地に入り, 地震後のトルコ鉱物資源調査開発総局(MTA)の調査結果をもとに, 陸域に出現した地震断層(約100km)の約60地点で, 断層運動による変位量を正確に計測した. 調査にあたっては最新の2万5千分の1の地形図と地震後に撮影された約1万分の1の航空写真を使用した. その結果, 今回の地震では走向, 変位量分布, 長さがそれぞれ異なる大小7つの断層が活動したこと(Fig. 2), 右ずれ変位が卓越し, その最大変位量は4. 9mであることなどが明らかになった. イズミット湾やサパンジャ(Sapanca)湖域の地震断層については今のところ情報がないが, 今後の陸域の詳細調査と併せて水域の調査を実施し, 地震断層の全体像を明らかにしたいと考えている. 結果は大縮尺の地震断層図として公表することにしている. この地震断層の詳細な記録は断層のセグメント構造に関する研究においてきわめて重要な情報となる. また, トルコにおいては将来の土地利用計画のための基礎資料として利活用されるものと期待している. ここでは今回の緊急現地調査で観察した地表地震断層の一部について紹介する.

1 0 0 0 OA 滋野井家記録

出版者
巻号頁・発行日
vol.[143],
著者
角田 多加雄
出版者
慶應義塾大学大学院社会学研究科
雑誌
慶応義塾大学大学院社会学研究科紀要 (ISSN:0912456X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.p87-92, 1984

論文まえがき六諭の成立清初における六諭衍義の成立中国から琉球へ日本への伝来六諭衍義の和訳あとがき

1 0 0 0 OA 令集解

著者
[惟宗直本] [著]
出版者
清原秀賢[ほか]写
巻号頁・発行日
vol.巻30, 1597
著者
佐藤 幸三
出版者
筑波大学哲学・思想学会
雑誌
哲学・思想論叢 (ISSN:02873702)
巻号頁・発行日
no.20, pp.63-72, 2002-01-31

フッサール現象学は初め直感の普遍的な妥当基礎づけを問題にした。そして、不明瞭な所与を明瞭にする方法論的な根拠づけを論じた。しかし、後に構成作用に時間概念が導入されるに至って、現象がどのように発生するかが問われることになる。 ...

1 0 0 0 OA 松亭反故嚢

著者
松亭金水
出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],

1 0 0 0 OA 佩文韻府

著者
蔡升元 等編
出版者
鳳文館
巻号頁・発行日
vol.[38], 1800
著者
松尾 信一 森下 芳臣 大島 浩二
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.59-90, 1984-07

ニホンカモシカの骨格の形態学的研究の一環として,前肢骨格に引き続き,今回は,後肢骨格について調査研究を行なった。1.カモシカの後肢骨は,寛骨(腸骨,坐骨,恥骨),大腿骨,膝蓋骨,脛骨,腓骨,足根骨,中足骨,趾骨,種子骨および副蹄内の2個の小骨片から成り,それらの骨の各部位を確認し,図譜を作成した。2.カモシカの後肢骨格は,反芻動物の一般的な特徴を備え,概観的には,ヤギやヒツジの骨格に類似していた。また,ウシとは,骨格の大きさで区別できた。3.カモシカの寛骨では,次の部位でヤギやヒツジと区別できた。閉鎖孔,寛骨臼,大腿直筋外側野,腸歩翼,腸骨稜,寛結節,仙結節,殿筋面と殿筋線,大坐骨切痕,坐骨体,坐骨板,坐骨結節,小坐骨切痕,恥骨櫛,閉鎖溝および大腿骨副靱帯溝。カモシカの閉鎖孔の周縁に家畜解剖学用語には使用されていない背側閉鎖結節と腹側閉鎖結節の存在を発見し,靱帯解剖学用語を参照して命名した。4.カモシカの骨盤では,雌雄差について調査した。また,骨盤腔の形でヤギやヒツジと区別できた。5.カモシカの大腿骨では,次の部位でヤギやヒツジと区別できた。大腿骨頭,頭窩,大腿骨頸,転子窩,転子間稜,大転子,大腿骨粗面,顆上窩,顆間窩および栄養孔の位置。6.カモシカの膝蓋骨は,概観的にウシと異なり,ヤギやヒツジと類似していた。7.カモシカの下腿骨では,次の部位でヤギやヒツジと区別できた。脛骨では,外側顆,膝窩切痕,顆間区,顆間隆起,脛骨粗面,脛骨体,前縁,外側面および遠位端。また,腓骨は,腓骨頭と外果より成り,ヤギやヒツジのものによく類似していた。8.カモシカの長骨では,脛骨が最も長く,次に尺骨,大腿骨,上腕骨,橈骨,中足骨,中手骨の順であった。9.カモシカの足根骨は,ヤギやヒツジのものと類似しており,一部,ウシのものとは異なっていた。10.カモシカの中足骨では,退化している第二中足骨が,第三・四中足骨の近位(上端)の後内側に小突起として付着していた。一方,ヤギやヒツジでは,第三・四中足骨の近位には,第二中足骨との関節面が存在していた。さらに,中足骨と中手骨の形態的差異についても,カモシカとヤギでは異なっていた。11.カモシカの趾骨は,ヤギやヒツジのものに類似して細長かった。一方,ウシのものは,太くて短かった。さらに,カモシカでは前肢の指骨の方が,後肢の趾骨よりも太くて短かった。12.カモシカの四肢骨における雌雄差は,寛骨と骨盤においてのみ認められた。
著者
鈴木 裕二 守川 恵助 乾 亮介 芳野 広和 田平 一行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Da0999, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 起立性低血圧は目眩や失神などの症状を引き起こし、日常生活の大きな妨げになる。この対策として下肢弾性ストッキングが有用とされており、血圧低下を軽減することができる。しかし使用すべき圧迫力に一致した見解は得られていない。今回、3種類のストッキングを使用し、起立時の血行動態の変化について比較、検討を行った。【方法】 対象は健常男性20名(年齢24.9±3.2歳)。足首に対してそれぞれ、弱圧(18-21mmHg)、中圧(23-32mmHg)、強圧(34-46mmHg)の圧迫力が加わる3種類の下肢弾性ストッキングを着用した状態と、着用しない状態(Control)の計4条件でそれぞれ起立負荷を行った。起立負荷は安静座位の後、4分間のスクワット姿勢となり、その後に起立を行う方法で行った。この際、非侵襲的連続血圧測定装置(portapres,FMS社)を使用し、SBP:収縮期血圧、DBP:拡張期血圧、SV:一回拍出量、HR:心拍数、CO:心拍出量、TPR:総末梢血管抵抗を測定し、血行動態指標とした。測定時期は安静座位をRest期、起立直前の10秒間のスクワット状態をSquat期、起立後10秒間をSt10期、11秒~20秒間をSt20期、21秒~30秒間をSt30期とした。また3種類のストッキング着用に対する不快感をVAS(Visual Analogue Scale:0=全く不快感を感じない、10=最大の不快感を感じる)にて評価した。統計方法は、各測定時期における4条件間における各血行動態指標及び、VASに対して反復測定分散分析を行い、多重比較にBonferroni法を用いた。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、協力していただいた施設の倫理委員会の承認を得ると同時に、ヘルシンキ宣言に基づいて被験者に本研究内容を説明し、署名によって同意を得た。【結果】 SBPではSquat期からSt10期にかけて、Control(150.9±15.3→112.5±11.4mmHg)、弱圧(153.0±16.5→119.5±14.8mmHg)、中圧(151.4±15.4→115.7±12.7)、強圧(151.9±16.0→120.2±13.8mmHg)とそれぞれ起立により低下がみられた。Squat期では4条件間に有意差はみられなかったが、St10期ではControlに比べて弱圧(p<0.05)と強圧(p<0.01)が有意に高値を示し、弱圧と強圧との間には有意差がみられなかった。このSt10期において、SVでは強圧(83.1±11.8ml)がControl(72.7±10.1ml)に比べて有意に高値を示し(p<0.01)、COでも強圧(7.9±1.2L/min) がControl(7.2±1.1L/min) に比べて有意に高値を示した(p<0.001)。弱圧はSt10においてControlに比べて、SV、HR、CO、TPRを高値に保つことができたが、有意差はみられなかった。VASでは強圧(3.9±0.5)が弱圧(2.4±0.4)、中圧(2.7±0.5)に比べてストッキング着用の不快感がそれぞれ有意に高値であり(p<0.01)、弱圧と中圧の間では有意差はみられなかった。【考察】 St10期に弱圧と強圧がControlに比べてSBPを有意に高値に保つことができたのは、ストッキングの圧迫により、起立時の下肢への血液貯留を軽減でき、SVが上昇し、COを高値に保てたことが大きな要因と考えられる。しかし、弱圧ではSV、COにおいてControlとの間に有意差がみられなかった。しかし、血圧の決定因子である、CO(SV×HR)、TPRのすべてが有意差はないものの、Controlに比べて高値を示していたことから、これらの因子の相乗効果により、SBPを有意に高値に保つことができたと考えられる。VASでは強圧の不快感が有意に高値であった。Rongらは本研究の弱圧レベルのストッキングの使用が最も快適であると報告している。このことから、強圧の過度の下肢への圧迫が被験者の不快感を増大させたと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 下肢弾性ストッキング着用の不快感は日常生活の着用において大きな問題となる。今回の研究において起立性低血圧の予防に不快感の少ない弱圧のストッキングが十分に効果的であることが示唆された。これは使用者が快適な日常生活を送る上で大きな意義がある。