- 著者
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高田 肇
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.1, pp.71-76, 1991-02-25 (Released:2009-02-12)
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
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ヌルデシロアブラムシの虫えいの発育と有翅虫の虫えいからの脱出について,京都の山地および圃場のヌルデで調査し,次の結果を得た。1) 虫えいは5月中旬から6月上旬に形成され,10月中旬から11月初めに裂開した。3個の虫えいについて,最大長・幅・高を定期的に測定した。その値から求めた「表面積指数」は,虫えい形成後9月初めまで指数的に上昇し,その後増加率はやや低下したが,9月末まで上昇をつづけた。10月にはいると発育は停止した。幹母(虫えい内第一世代)は6月下旬に,第二世代無翅胎生雌は7月末にそれぞれ産子を開始し,最終世代の有翅胎生雌は9月中旬に3齢幼虫になった。8月中に少なくとも1世代は経過すると思われるので,虫えい内では4世代を経ると考えられる。2) 10月に調査した15個の虫えいは,最少1,343匹,最多8,438匹の有翅虫を包含していた。観察した2個の虫えいから,有翅虫はそれぞれ11日,13日間にわたって脱出した。脱出は9∼17時に見られた。時間別脱出虫数は調査した6日のうち5日については,12∼13時をピークとする一山型の消長を示した。