著者
千田 睦美 水野 敏子
出版者
岩手県立大学
雑誌
岩手県立大学看護学部紀要 (ISSN:13449745)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.11-17, 2014-03

目的:本研究の目的は,認知症高齢者の看護を実践する場面における困難について明らかにすることである.方法:認知症高齢者の看護を行っている看護師26 名に半構成的面接を行い,得られたデータを質的帰納的に分析した.結果:認知症高齢者を看護する看護師の困難は,29 のサブカテゴリーから,【認知症の症状への対応】【認知・コミュニケーション障害】【患者の自律性と看護の両立】【患者同士の関係性】【患者の症状・状態の理解】【看護方針と看護の継続】の6 カテゴリーとして表された.特に,BPSD に関連した困難の内容が目立った.結論:認知症の症状に関連する困難,患者と看護師のかかわりに関連する困難,認知症患者への看護に関連する困難という,認知症看護に特有の困難が抽出された.今後は早急に認知症の理解と看護方法の模索,看護態勢の充実など,困難を乗り越える取り組みを検討する必要性が示唆された.
著者
菊池 静香
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.45-60, 2006-07

論説(Article)本稿は、学位論文「明治以降における河川にかかわる地域組織の成立と変遷に関する研究」のうち、明治期から現在までの河川にかかわるNPO活動の変遷を把握するため、基礎調査としてとりまとめた一つの章について、一部加筆したものである。一般に、NPOについては様々な分野において研究がなされている。しかし、河川にかかわるNPO活動については既往研究が限られており、明治期から現在までの組織活動を通史的に論じたものはほとんど見られない現状にある。そこで、河川をフィールドに公益活動を行なう市民活動や住民活動について、時代を象徴するような組織活動や全国的に影響を与えた運動などを整理し、時系列的な類型化を試みた。はじめに研究の目的、既往研究、考察の対象などについて述べる。次に、河川にかかわる環境運動について、運動内容により(1)河川改修促進運動、(2)反対運動、(3)自然環境保全運動の3つに大別し、それぞれ時代を象徴するようなNPO活動や全国的に影響を与えた運動などについて、その概要を整理する。そして、社会や河川施策に果たした意味を把握した上で、明治期から昭和初期、第二次世界大戦後から昭和40年代、昭和50年代から現在について類型化を行い、その特徴を明らかにした。
著者
小林 道 上田 積 千田 奈々
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.141-147, 2016 (Released:2016-11-16)
参考文献数
29

【目的】日本食パターンは,抑うつ症状に予防的であることが報告されている。しかし,知見は十分でなく,若年層を対象とした研究はほとんどない。本研究では大学生を対象として,日本食パターンと抑うつ症状の関連を明らかにすることを目的とした。【方法】研究対象者は北海道にあるA大学管理栄養士課程の学生とした。調査内容は,年齢等の基本属性及び生活習慣に関する項目,食品摂取量の評価は,簡易式食事歴質問票(BDHQ)を用いた。抑うつ症状はCES-Dを用いて,16点以上を「抑うつ症状あり」とした。日本食パターンは,11種類の食品摂取量を残差法でエネルギー調整後,得点化を行い,その合計点を日本食得点とした。日本食得点と抑うつ症状の関連は,多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した。【結果】質問紙は,女性142名のうち135名から回収した(回収率:95.5%)。そのうち,抑うつ症状が認められた者は,68名(50.3%)であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果,日本食得点の低群を1とした場合のオッズ比(95%信頼区間)は,中群でOR:0.30(95%CI:0.11~0.80),高群でOR:0.22(0.08~0.60)であった。【結論】日本食パターンと抑うつ症状の間に負の関連があることが明らかとなった。若年層においては,日本食パターンを意識した食事が,抑うつ症状の予防に役立つ可能性がある。
著者
井口 福一郎 谷口 善知 草野 純子 髙橋 由佳 村井 紀彦
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.8, pp.1108-1114, 2014-08-20 (Released:2014-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
5

唾液腺導管癌は予後不良な唾液腺悪性腫瘍であり, 遠隔転移再発後の有効な治療法はこれまで知られていなかった. HER2 過剰発現する本腫瘍へトラスツズマブを含む分子標的治療が著効した症例を経験したので報告する. 症例は69歳男性, 原発巣と所属リンパ節への手術, 術後照射の初回治療から半年後に肝, 椎骨への遠隔転移を来した. パクリタキセルとトラスツズマブによる化学療法を行ったところ, 転移巣は肝, 椎骨ともに著明に縮小した. パクリタキセルによる四肢の末梢神経障害が認められた後はトラスツズマブのみの投与を続けているが, 心障害は生じていない. 遠隔転移から3年経過するが再増大は認められず, 在宅で日常生活を送っている.
著者
Tadokoro Ryosuke Murai Hidetaka Sakai Ken-Ichiro Okui Takahiro Yokota Yasuhiro Takahashi Yoshiko
出版者
Springer Nature
雑誌
Scientific reports (ISSN:20452322)
巻号頁・発行日
vol.6, 2016-12-02
被引用文献数
28

メラニン色素が表皮細胞に運ばれる仕組みの解明 : 体表に色がつくメカニズム. 京都大学プレスリリース. 2016-12-05.