著者
荒木 一視
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.52-68, 2010 (Released:2010-04-06)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

中国からの輸入農産物や食品は食の安全性や品質に関わって近年大きな関心を集めている.その反面,中国の農業生産や流通の実態に関する情報や知識は決して十分とはいえない.とくに巨大な国土を持つ中国の農業生産や食品流通は決して一様ではなく,それらの地域的なパターンを認識することが,中国からの輸入農産物・食品に対する理解の上で求められているのではないかと考えた.こうした観点から筆者のこれまでの中国調査で得られた情報の一端を報告する.1960年代以降中国の農業生産は拡大を続けてきたが,とくに果実や野菜,畜産物などで1990年代以降に飛躍的な伸びが認められ,その過程で短期間での新興産地の台頭,首位産地の入れ替わりなど産地の地域的なパターンにも変化が起こっている.これは主食食材や工芸作物での変化が比較的緩慢なこととは対照的である.さらに,農産物・食品の各部門,品目別の国内市場の取引額および輸出額の省別の集計からは,双方の地域的パターンと生産の地域的パターンがそれぞれ異なるものであることが明らかになった.
著者
春山 成子 辻村 晶子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-20, 2009 (Released:2010-02-24)
参考文献数
11
被引用文献数
3

河川洪水による被害を軽減するためには,堤防・ダムなどの防災施設の構造物建設を先行させる工学的手法とともに,地形条件を勘案した最適な土地利用計画を編み出すための手法を開発すること,災害時に速やかに活動しうる社会構造・社会組織母体を形成させること,これらの活動を通して災害時の避難活動を円滑にさせることも重要な課題である.減災にむけた社会組織の活動を円滑に進めるためには,ハザードマップ,リスクマップを作成し,地域住民に災害ポテンシャルを周知させるような住民参加型の防災計画の樹立が求められている.本研究では2004年豊岡洪水の現地調査から社会組織の最小レベルである地区内に設けられた「隣保」と自主防災組織に着目して,速やかな防災活動を進める地域の工夫を確認した.
著者
竹原 健 中山 良一 前田 嘉則 八田 衛明
出版者
日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.238-243, 1984-06-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

原子力発電所の運転, あるいは定期点検時における作業のロボット化が最近進められている.この一つとして, 人に代わって様々な発電所内の機器装置を点検する点検用ロボットがある.現在, 通産省補助事業である原子力発電支援システムとして「格納容器内自動点検システム」の開発が進められている.このシステムは床面走行車, 点検および運転用テレビカメラ, 各種センサ, 多関節腕形機構, 信号伝送装置およびケーブル処理装置から構成されおり, 自動および遠隔で操作できるものである.本報告では, 本システムの床面走行車について述べる.格納容器内部は, 狭あいで床はグレーチング (grating: すのこ) 床であり, また各所に階段が設置されているなど, 車の走行にとって厳しい条件となっている.これらの条件を満足する走行車として, 前後輪に操舵機構を持ち, 車体伸縮機構を車体内に持つ, 半月形4輪クローラ車を開発した.この半月形クローラ車は, 傾斜角度45.の階段 (1段高さ: 220mm) を昇降可能で, 旋回半径が小さいので狭あいな走行路を自在に走行できることを各種走行試験を行い確認した.現在システム試験を実施中である.
著者
敷島 良也 髙津 哲也 高橋 豊美 二宮 正光 坂井 伸司 一ノ瀬 寛之 森岡 泰三 佐々木 正義
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.1170-1175, 2012 (Released:2012-11-28)
参考文献数
21

えりも岬以東海域で刺網と定置網,桁網で採集したマツカワの成長特性を明らかにした。無眼側耳石の外縁は,4~7 月には不透明帯を持つ個体の割合が増加し,8~12 月には減少していた。透明帯外縁を指標として年齢群に分けたところ,夏季に全長が著しく増加したが,11~5 月にはほとんど成長しないことが判った。4 月 1 日を年齢起算日とし,全長を von Bertalanffy 式に当てはめた。えりも岬以西海域に比べて本海域の方が成長が速い要因として,夏季に成長に適した 20℃ 以下の水温に保たれることが考えられた。
著者
石田英夫著
出版者
日本労働協会
巻号頁・発行日
1985
著者
高田 礼人
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.117-124, 2006 (Released:2006-10-13)
参考文献数
16

フィロウイルス科に属するエボラウイルスは中央および西アフリカで散発的な流行を繰り返している感染症の原因ウイルスである.このウイルスはヒトを含む霊長類に重篤な出血熱を引き起こす.その致死率は極めて高く,時には90%に達する.この非常に強い病原性発現のメカニズムには不明な点が多いが,エボラウイルスの表面糖蛋白質が重要な役割を演じている事が示唆されている.

1 0 0 0 OA 赤穂四十七士

著者
凝香園 著
出版者
博多成象堂
巻号頁・発行日
1912
著者
庄司 真理子
出版者
敬愛大学・千葉敬愛短期大学
雑誌
国際教養学論集 (ISSN:09177299)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.21-56, 1992-10

The purpose of this paper is to study the behaviors of miniinternational organizations in the face of intervention in Grenada. The four international organizations related to this case are the United Nations (UN), the Organization of American States (OAS), the Caribbean Community, the Organization of Eastern Carribean States (OECS). After World War II these two reasons to set up the mini-international organizations could be found: One was decolonization and the other was the institutionalization of international societies. In the Carribean basin, many mini-states which became independent from England could not, however, reach full independence. The various remaining colonial institutions became international organs in mini-international organizations. For example the member states of the OECS share the common organs of this international organization. Thus a political accident in one of these member states means an accident for all the member of the OECS immediately. When OECS invaded Grenada, the Caribbean Community could not take any action on it. Because some of the member states participated in invading Grenada, while the other states protested against this invasion. The OAS did not adopt any resolution, and they did not give any support to this invasion. In the UN, the majority of member states criticized this invasion, and then adopted a resolution to condemn this invasion. In the process of conflict resolution, each international organization showed different reactions. These organizations took actions based on political judgement, further they distributed their political roles. To endanger the roles of these international organizations was out of order. From the view point of a theory of International Organizations, the role of the mini-international organizations in the international conflict should be positively estimated. It would be important, however, to consider mini-international organizations in the process of conflict resolution by all the international organizations.
著者
ホサイン M. A. 石嶺 行男 倉持 仁志 赤嶺 光 村山 盛一 近内 誠登
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.197-205, 1997-11-25
被引用文献数
3

ハイキビ(Panicum repens L.)は熱帯・亜熱帯に分布するイネ科の多年生雑草で, その主な繁殖型が地下茎であるため, 防除困難な雑草の1つとして教えられており, 熱帯・亜熱帯の農耕地, ゴルフ場ならびに休耕地等でその雑草害が報告されている。今回は沖縄市高原のハイキビ自生地はおいて, 既存の薬剤でハイキビ防除に有望と考えられた作用性の異なる除草剤計27剤を選抜し(Table. 1), それらの使用基準薬量の上下に試験薬量を設定し, ハイキビの生育期において有効な薬剤の選抜試験を行った結果, 以下の知見が得られた。薬剤処理後21日目の調査時で, ハイキビの茎葉部に対して高い除草剤活性を示した薬剤はヘキサジノン, アシュラム, グリホサート, ビアラホスおよびグルホシネートの5剤であり, それぞれ47〜60, 60〜87, 40〜67, 57〜67, 80〜90%の除草活性を示した(Table 1 2)。次にこの5剤のハイキビに対する再生抑制効果を調べるために薬剤処理後35日目に地下茎と球茎を掘上げ, シャーレ試験を行った。まず地下茎を用いた試験では, ヘキサジノンで95〜100%, アシュラムで92〜95%, グリホサートで82〜97%, ビアラホスで56〜72%, グルホシネートで91〜100%の発芽阻害活性を示した(Table 3, 4)。また球茎を用いた試験では, ヘキサジノンで48〜59%, アシュラムで90〜92%, グリホサートで62〜65%, ビアラホスで25〜50%, グルホシネートで49〜88%の発芽阻害活性を示し(Table 3, 4), この5剤がハイキビに対して有効な薬剤であることが示された。