著者
Masanori OIGAWA Eugenio REALINI Hiromu SEKO Toshitaka TSUDA
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.189-205, 2014 (Released:2014-07-04)
参考文献数
24
被引用文献数
4

A simulation study was conducted to investigate the retrieval of meso-γ scale precipitable water vapor (PWV) distribution with the Quasi-Zenith Satellite System (QZSS) using output from a non-hydrostatic model (JMA NHM). The evaluation was performed on PWV values obtained by simulating three different methods: using all GPS satellites above an elevation angle higher than 10° (PWVG) (conventional Global Navigation Satellite System (GNSS) meteorology method), using only the QZSS satellite at the highest elevation (PWVQ), and using only the GPS satellite at the highest elevation (PWVHG). The three methods were compared by assuming the vertically integrated water vapor amounts of the model as true PWV. As a result, the root mean square errors of PWVG, PWVQ, and PWVHG were 2.78, 0.13, and 0.59 mm, respectively, 5 min before the rainfall. The time series of PWVHG had a large discontinuity (˜ 2 mm) when the GPS satellite with the highest elevation changed, while that of PWVQ was small because the elevation at which the highest QZSS satellites change was much higher. The standard deviation of PWVQ was smaller than those of PWVG and PWVHG, which vary significantly depending on GPS satellite geometry. When the spatial distributions of PWVG and PWVQ were compared to the meso-γ scale distribution of the reference PWV, PWVG smoothed out the PWV fluctuations, whereas PWVQ captured them well, due to the higher spatial resolution achievable using only high-elevation slant paths. These results suggest that meso-γ scale water vapor fluctuations associated with a thunderstorm can be retrieved using a dense GNSS receiver network and analyzing PWV from a single high-elevation GNSS satellite. In this study, we focus on QZSS, since this constellation would be especially promising in this context, and it would provide nearly continuous PWV observations as its highest satellite changes, contrary to using the highest satellites from multiple GNSS constellations.
著者
酒井 泰文
出版者
広島県立農業技術センター
雑誌
広島県立農業技術センタ-研究報告 (ISSN:09184848)
巻号頁・発行日
no.76, pp.27-35, 2004-05

広島市安佐南区祇園町・安古市町のシュンギク(Chrysanthemum coronarium L.)栽培地域で,1979年の初秋に日本で始めてべと病(Peronospora Chrysanthemicoronarii (Sawada) S. Ito et Tokunaga)の発生が確認され,その後1982年にかけて大発生し大きな被害をもたらした。べと病が激発した1980年に現地ほ場を調査した結果,発病程度にほ場間差が認められた。この事実に着目し,ヒロシマナの白さび病(酒井,2004)と同様に抵抗性系統の利用による防除法を検討し,以下の結果を得た。1)べと病の発生が少ない農家の種子を供試し,1981年に農業試験場においてべと病菌の接種条件下で抵抗性の程度を判定した。その結果,べと病に抵抗性を持つ系統の存在を明らかにした。2)接種により発病しなかった抵抗性株を供試し,1982年から1986年にかけて農業試験場において抵抗性系統選抜のための交配をくり返した。その結果,1984年(第3世代)に中程度の抵抗性を持つ系統を選抜できた。3)各農家においても1982年から抵抗性系統の選抜に取り組んだ。その結果,各農家とも1985年(第4世代)に中程度の抵抗性を持つ系統を選抜した。4)抵抗性系統の選抜と栽培に取り組んだ結果,現地におけるべと病の発生は1982年から減少し始め,1984年以降,本病による実質的な被害はほとんどみられなくなった。
著者
重本 直樹 桑田 祐二 平尾 晃
出版者
広島県立農業技術センター
雑誌
広島県立農業技術センタ-研究報告 (ISSN:09184848)
巻号頁・発行日
no.76, pp.85-90, 2004-05

ヒロシマナは広島県の特産野菜で,主として漬物に加工されている。近年,ヒロシマナの産地では,長年の連作により根こぶ病が発生し,土壌消毒や耕種的防除等の技術を利用しても栽培が困難となっており,抵抗性品種の育成が要望されてきた。そこで,ヒロシマナと根こぶ病抵抗性のハクサイおよびツケナ類との交配育種により根こぶ病抵抗性ヒロシマナ品種'CR広島1号'を育成した。'CR広島1号'の特性は以下のとおりである。1.形態特性は,主要な市販品種の'交配2号広島菜'より葉数が2枚程度少ない以外は,草丈,葉長,葉肉の厚さ,葉柄の長さ,中助の幅,株重についてはほぼ同等である。2.'CR広島1号'は,広島市安佐南区および庄原市の根こぶ病発生圃場においても発症はほとんど認められず,強度の根こぶ病抵抗性を示す。3.漬物加工後の特性は,外観,味覚,香気,歯切れ,総合の評価項目について,いずれも従来の広島菜と比較して差は認められず,同等の漬物品質を示す。
著者
佐野 理
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.粒状体中に空洞のような不均一な領域があると,そこに流れが集中して力学的な平衡状態が壊れ,流動化する可能性がある.本年度は,これまでの2次元の空洞相互作用の実験を再現する数値シミュレーションを行い,空洞崩壊の進行速度や崩壊領域の成長について実験との定性的な一致を得た.現在,これをさらに3次元空洞に拡張している.これらの素過程の土砂崩れ発生機構の解明や地下水による汚染物質の異常拡散の予測,あるいは肝臓等における腫瘍近傍に発生する血管新生の問題への応用について国内外の学会で発表した.2.粒状体界面の粒子が流れによって運ばれ,巨視的な界面が変形する過程の長時間観測を行った.とくに,流れ場と界面形状の時間変化を定量的に明らかにし,乾燥地域の拡大や海浜浸食などに伴う環境予測への応用も含め,関連学会の原著論文2編および研究所報1編で公表した.3.渦輪は運動量やエネルギーを携えながら粒子のように個性を保ったまま移動する流体運動であるが,これが粒状体の表面に衝突すると,渦輪の崩壊や界面の変形を起こす.本年度は,渦輪の強さと界面切削パターンの関係を定量的に観測した.渦輪を崩壊させる技術として,あるいはまた海底堆積物の撹拌による生物活駐化技術などへの応用が期待される.4.粒状体薄層を鉛直に加振すると,条件によっては層全体に弾性体の撓み波や流体的なさざ波が観測される.これはエネルギー散逸の大きな系でありながら粒子の配置変化と排除体積効果によって長距離秩序の現れる特異な挙動であり,ミクロな粒子間相互作用とマクロな流動を結びつけるメソスコピック物理構築の鍵となる現象である.本年度はとくに波長や加振条件,粒子の材質などを含む普遍的な関係式を模索し関連学会で発表した.
著者
Diehl Roland Siegert Thomas Hillebrandt Wolfgang Grebenev Sergei A Greiner Jochen Krause Martin Kromer Markus Maeda Keiichi Röpke Friedrich Taubenberger Stefan
出版者
American Association for the Advancement of Science
雑誌
Science (ISSN:00368075)
巻号頁・発行日
vol.345, no.6201, pp.1162-1165, 2014-07-31
被引用文献数
102

「目に見えない光」でIa型超新星の爆発機構を探る-予想外に早かったガンマ線放出をとらえた-.京都大学プレスリリース. 2014-08-01.
著者
江 涛 コウ トウ ジャン タオ JIANG Tao
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.28, pp.218-227, 2014-03

香港は急速な高齢化社会が進んでいるため、成年後見制度の整備が導入されている。香港の成年後見制度は、法定後見と任意後見との2つの制度からなる。この2つの制度は、主に成年の意思無能力者の財産管理に対応するため、成年の意思無能力者の治療及び介護に対応するのは、代行決定と事前指示に委ねる。本研究は、香港成年後見制度の法的枠組について検証し、法律関係規定を引用することにより成年後見制度の基本的構成及び法技術を確認し、その動向を考察するのを目的とする。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.278, pp.30-31, 2001-04-27

広島県や山口県などの山間部では,道路沿いの斜面からの土砂崩れや落石によって,道路が通行不能になる被害が発生した。 例えば,広島県河内町の国道432号では,沿道の斜面が高さ約10m,幅約8mにわたって崩れ,路面が崩落した土砂に覆われた。広島県三原市の海岸線を走る国道185号線でも斜面が崩壊し,通行止めが続いた。
著者
中原 聰 芦田 恒雄 衛藤 幸男 吉川 恒男 井手 武 田端 司郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.104-109, 1990
被引用文献数
6

オオバヤシャブシによる本邦最初の花粉症が, 昭和62年4月, われわれの診療所で発見された.患者は54歳の主婦で, 15年来現住所の表六甲山麓に住み, 3年前から春季に花粉症症状に悩まされるようになった.六甲山系には古くより土砂崩れ防止の目的で, オオバヤシャブシが多数植林されており, 患者の住宅地一帯はオオバヤシャブシ林に囲まれて, 濃厚な花粉飛散の環境下にあった.したがって, 同地域住民のオオバヤシャブシ花粉症の多発が推測されたので, 翌63年春に花粉症疫学調査を実施した.その結果, 同地域とくに1丁目の住民には, オオバヤシャブシ花粉症の高い有病率が認められた.