著者
中山 佑輝 稲場 太郎 芝口 誠仁 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.31-36, 2009-01-15

情報化社会の進展による情報の電子ファイル化によって,機密データが漏洩してしまう危険性が急激に増大した.ゆえに,情報を扱う各組織の管理者にとって,機密データを所持するホストや機密データの送受信・複製を把握するなどの漏洩対策を講じることが重要となっている.そこで,本稿では機密データの伝搬経路を可視化する手法を提案する.本提案手法はスケールの異なる 5 つの可視化手法を併用することによって,スケーラブルでかつ多様な伝搬方途に対応した可視化を実現した.本手法を用いることによって,管理者は常日頃から機密データの所在を容易に把握でき,それによって漏洩を事前に防止することが可能となる.更には,漏洩が発覚してしまった際の解析作業を支援するツールとしての利用も可能であり,デジタルフオレンジックにおける解析・;征拠提示の分野においても本提案手法は漏洩対策に貢献する.This paper describes a visualization technique for use in tracing confidential data. In recent years, the damage by information leakage is extensive because anyone can copy electoric files, even confidential documents, very easily. Our proposal technique is able to counteract the damage. Concretely speaking, our system enables administrators to figure out that which host has confidential data and how secret information is transmitted, received and duplicated. We also aim to work out a method of a scalable and capable visualization framework, i.e. That can meet the diverse size of companies and ways of propagations. As a result, our technique enables to forestall leakage, to analyze transmission routes and to adduce evidences. And this method contributes a countermeasure against information leakage.
著者
影山 太郎
出版者
関西学院大学
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.45-61, 2006-09
著者
小川 義博
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.85-93, 1974-03-29

肢体不自由児の教育を考える時、普通学校で教育されるべきか、養護学校で教育されるべきかの決定は非常に難しく、そして児童の将来にとって重要な問題であると考えられる。特に脳性まひ児は合併障害のため、その決定は一層複雑で、困難な問題である。そこで、普通学校で教育を受けている脳性まひ児の実態とその問題点を調査し、今後の脳性まひ児の教育を考える一助としたい。調査方法は普通学校に通学している脳性まひ児61名の父兄に入学期の問題、家庭生活、日常生活動作能力、学校生活についての調査用紙を現在の担任教師に学校生活全般についての調査用紙を配布して行なった。調査は昭和48年7月から9月の期間であった。主な調査結果は以下のとおりであった。1.回答率は父兄77%、担任教師62%であった。2.児童の病型はSpastic型75%で、Athetotic型25%であった。入学時の能力は平均IQ99.6、下肢運動能力年令35.2ヵ月であり、障害は非常に軽度であった。3.多くの父兄は障害が軽度であることを理由に、普通学校入学を希望したが、学校側は障害程度に関係なく53%に拒否的で、58%に入学を認めるための条件を求めた。4.日常生活動作能力は歩行・書字が劣っているが、他の面はほとんど自立していた。しかし70%の児童が通学、校外行事等に父兄の附添いを必要としていた。5.健康状態に問題なく、89%の父兄が児童の精神面での成長を評価し、普通学校の生活に満足していたが、機能訓練、障害の診察を受けていない児童がほとんどであった。6.教師の95%が危険の防止を理由にかなり負担を感じており、そして機能障害だけでなく精神発達遅滞を教師の34%が問題であると判断していた。7.学習成績は知的能力と関係があったが、下肢障害の程度とは関係なかった。学習場面では下肢の障害より、上肢障害と随伴障害が問題となっていた。8.教師は脳性まひ児の存在を学級経営上で悪い影響より、他人への態度、障害者への関心での良い影響の方が多いと判断していた。9.ほとんどの児童は今後も普通学校で教育を受けた方が良いと判断されていたが、IQ90以下の児童は養護学校、特殊学級の方が望ましいと判断されていた。このように障害が軽度の脳性まひ児であったにもかかわらず、その学校生活には多くの問題をもっていた。今後より多くの脳性まひ児が普通学校で教育されるために、身体の機能障害の面には当然のこと精神発達の面に充分な配慮がなされなければならないと考えられる。
著者
白石 淳
出版者
北翔大学
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.7-21, 2003-10-01

この調査研究の目的は,身体障害のある生徒が高校へ入学できない原因を,初等教育学校・前期中等教育学校の学校生活の分析から,明らかにすることである。身体障害のある生徒は,高校への入学の希望を持っているが,実際に高校へ入学することは少ない。この原因は,生徒本人にあるのではなく,学校施設や教員の身体障害に対する理解不足などの生徒本人を取り巻く環境にある。すなわち,身体障害のある生徒が持つ入学に対する否定的な意識は,その高校入学前における学校生活に関わる環境から生成されているものと考えられる。その意識は高校への入学を困難にするなど,その後の学校生活における将来展望に影響を与えている。このように,高校の入学の問題は,小学校や中学校の学校生活から大きな影響を受けている。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.84-87, 2010-04-20

自分にとってどんな情報が本当に良い情報なのかを分かっている人は少ない。経営コンサルタントの斎藤顕一さんは「良い情報を入手するには、情報の持つ2つの性質を知ることが大事」と言う。数値で表せない"定性情報"と、数値がベースとなる"定量情報"だ。「近年、特に重要性が増しているのは定性情報だ」(斎藤さん)。
著者
渡辺 創 ATTRAPADUNG Nuttapong
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、今後、来たるユビキタス時代においても、高い安全性を持つ高機能的な暗号方式を提案することである。具体的に「汎用的結合可能性を持つ高機能な公開鍵暗号」を提案することにある。本研究では、安全性の理論的な定義を探ることから始め、具体的な構成方法を提案し、その実装も行い、現在利用されている暗号プロトコルとの比較を理論面、実験面から行う。結果としては、次のように述べられる。1.「放送型暗号」と「追跡可能機能」の組み合わせ方式を提案し、その安全性を理論的に証明した。この提案方式の応用例の一つとして、次世代DVDシステムのコンテンツ保護が考えられる。具体的には、ある次世代DVDデコーダー(再生機)の秘密鍵が漏洩し、新しいパイレーツデコーダー(海賊版再生機)がその鍵を用いて作られた状況においても、もし、このパイレーツデコーダーが一つでも発見されれば、「追跡可能機能」によってどの鍵から作られたかを判断することができ、「放送型暗号」の機能でその鍵を無効化することが可能となる。このような研究は近年さまざまな研究者によって提案されているが、今回の提案方式が理論的にもっとも効率の良いものとなっている(平成20年4月現在)。この結果は「Fully Collusion Resistant Black-Box Traitor Revocable Broadcast Encryption with Short Private Keys」という題名の論文で、国際学術研究集会「International Colloquium on Automata, Languages and Programming(ICALP2007)」で発表を行った。この研究はNECの古川潤博士との共同研究である。2.「放送型暗号」と「属性に基づく公開鍵暗号」を組み合わせた方式である「Broadcast-Conjunctive Attribute-based Encryption」の概念と理論的な安全性を定義し、具体的な構成方法を提案し、その構成方法の安全性も理論的に証明した。「属性に基づく公開鍵暗号」は属性情報による柔軟なアクセス制限を定義できる公開鍵暗号で、暗号化された共有データベースや、柔軟なアクセス制御機構をもつコンテンツ配信など、幅広い応用が考えられる。しかしこれまでは、本プリミティブにおいて漏洩した鍵を無効化できる技術が提案されていなかった。今回の提案方式はまさにこの問題を解決する技術である。この結果は「Broadcast-Conjunctive Attribute-based Encryption」という論文で、国内学会の「2008年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2008)」で発表を行った。現在は国際会議と国際誌に投稿の準備をしている段階である。採用期間中のその他の結果は「Efficient Identity-Based Encryption with Tight Security Reduction」という論文が「IEICE Transactions90-A(9)」という英文論文誌に採録された。
著者
大田 一久 山村 陽一 森澤 好臣
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.69(1987-PRO-042), pp.1-9, 1987-09-25

LispマシンKS-301 (Explorer)で日本語Common Lisp環境(NCL)を実現した.Common Lispで日本語文字が使用できるのみならず,Explorerのプログラミング環境全体を通して日本語文字の使用を可能にした.Common Lispで日本語文字を英数字とできる限り同等に取り扱おうとする方法は既に提案されている.これは文字コードの上限を大きくすることによって日本語文字を表現し,また文字列の表現を2種類用意することにより日本語文字を含まない場合に記憶領域の消費が増大することを避けている.筆者らの実現法もほぼこれと同等であり,日本語文字をCommon Lispのひとつの文字型オブジェクトとして扱い,文字列,シンボルにも日本語文字を使用できる.日本語文字の文字集合に含まれる英数字などの取り扱いにも考慮した.ウィンドゥ・システム,ファイル・システム,ネットワークでも日本語の使用を一部を除いて可能にした.