著者
Norio Niwa 丹羽 典生
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.189-268, 2018-10-31

本稿は,日本の四年制大学における応援団を事例として,応援組織の変化と現状を分析するものである。依拠するデータは,各大学応援団が刊行する印刷物や大学の学友会関連の情報,応援団関係者が運営するホームページやソーシャル・ネットワーキング・サービスなどに散在する各種の情報を中心に筆者が集約・整理した。それらの分析を通じて,以下3 点のことを示した。ひとつめが応援団の起源と拡大について。国公立大学応援団のほとんどが戦後の大学改革と時期を同じくして第二次世界大戦後に起源をもつのに対して,私立大学の古くからある応援団はそうした断絶の影響をあまり受けていないこと。また,ベビーブーム世代の進学期に大学の量的増大に合わせて多くの大学で作られるようになったこと。ふたつめは,応援団の質的変化で,応援団の典型的な型とされることもある三部構成(リーダー部,チアリーダー部,吹奏楽部)は,もとの多機能的な応援団が機能分化とジェンダー構成の変化を経た結果,比較的近年生み出されたものであること。そしてみっつめに,応援団の多くは体育会所属であるが,一定数が独立団体的な位置づけにあることである。
著者
木村 沙也加 三輪 奈緒子 宇野 真由奈 金森 千香 高崎 摩依子 田中 美子 竹内 実
雑誌
京都産業大学先端科学技術研究所所報 = The bulletin of the Research Institute of Advanced Technology Kyoto Sangyo University (ISSN:13473980)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-11, 2016-07

蜂蜜は、天然に生産される保存性の高い食品として親しまれているが、創傷治癒などの伝統的な薬としても世界各国で利用されている。また、蜂蜜には免疫作用として好中球遊走を促進することが知られている。好中球は抗腫瘍活性を示すことが知られているが、蜂蜜の好中球を介する抗腫瘍作用についての報告は非常に少なく、詳細な解明はされていない。そこで、蜂蜜による好中球の抗腫瘍作用と貪食機能への影響について検討した。抗腫瘍作用の指標のLL/2腫瘍増殖体積は、コントロール群と比較して蜂蜜2mg、20mg投与群で有意な減少を示し、蜂蜜に抗腫瘍作用が認められた。蜂蜜投与によるLL/2腫瘍移植マウスの末梢血白血球のDot Plot は、FSC値200~600、SSC値400~960に正常マウスには認められない細胞集団が出現し、Gr‒1陽性細胞比率の増加から、この細胞集団は好中球であることが認められた。好中球の出現が認められたため、好中球の抗腫瘍活性について検討した。LL/2腫瘍細胞増殖に対してコントロール群、蜂蜜投与群の好中球は有意な増殖抑制を示し、好中球に抗腫瘍活性があることが認められ、また蜂蜜20mg投与群でコントロール群と比較して有意な腫瘍増殖の抑制を示した。これらの結果より、好中球にLL/2腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性があることが認められ、その抗腫瘍活性は蜂蜜投与により増強されることが認められた。好中球の貪食機能は、腫瘍移植マウスで有意な増強が認められた。以上より、蜂蜜が好中球を介して抗腫瘍作用を示したことから、蜂蜜の癌治療への応用が期待できる。
著者
石田 靖彦
出版者
愛知教育大学教育臨床総合センター
雑誌
愛知教育大学教育臨床総合センター紀要 (ISSN:21860475)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.17-23, 2017-07

本研究では,大学生117名を対象に小学校から高校までの学級内の人間関係を回想させた上で,グループ間における非公式なステイタスの序列として定義される「スクールカースト」が,(1)各学校段階でどの程度あったか,(2)序列があった場合は,その序列の内容や理由を自由記述により回答を求めた。同性グループに対する序列化の認識率は,中学校でもっとも高く男子で77%,女子で87%が少しはあったと回答した。小学校でも男子で54%,女子で72%が少しはあったと回答しており,女子では小学校でもグループ間の序列化が行われていることが示された。高校では男子で67%,女子で62%で中学校よりも低下していた。一方,異性グループに対する序列化の認識は,同性グループに対する序列化の認識とは異なるとともに,その理由についても,男女で異なることが示された。以上の結果から,男女においてグループ間の序列が認識として共有されているのかどうか,また実態としてスクールカーストが存在するのかどうかについて議論した。
著者
浅田 政広
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.79-101, 1987-06
著者
坂本 進
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2007-12

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2514号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2007/12/6 ; 早大学位記番号:新4642
著者
Dang Jianwu Wei Jianguo Honda Kiyoshi Nakai Takayoshi
出版者
Acoustical Society of America
雑誌
The Journal of the Acoustical Society of America (ISSN:00014966)
巻号頁・発行日
vol.139, no.1, pp.441-454, 2016-01
被引用文献数
4

Previous studies have found that the velum in speech production may not only serve as a binaryswitch with on-off states for nasal and non-nasal sounds、 but also partially alter the acousticcharacteristics of non-nasalized sounds. The present study investigated the unique functions ofthe velum in the production of non-nasalized sounds by using morphological、 mechanical、 andacoustical measurements. Magnetic resonance imaging movies obtained from three Japanesespeakers were used to measure the behaviors of the velum and dynamic changes in the pseudo-volumeof the pharyngeal cavity during utterances of voiced stops and vowels. The measurements revealed nosignificant enlargements in the supraglottal cavity as subjects uttered voiced stops. It is found that thevelum thickness varied across utterances in a way that depended on vowels、 but not on consonants.The mechanical and acoustical observations in the study suggested that the velum is actively controlledto augment the voice bars of voiced stops、 and nostril-radiated sound is one of the most important sourcesfor voice bars、 just as is laryngeal wall vibration. This study also proposed a two-layer diaphragmmodel that simulates transvelar coupling during the production of non-nasalized speech sounds. Thesimulation demonstrated that the model accurately represented the basic velar functions involved inspeech production.
著者
中澤 信彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3-4, pp.249-271, 2015-03-10

本稿の課題は、ハイエクがバークをどのように読んだのか、その読解の詳細を追跡することによって、ハイエクの保守主義観の特質と意義を明確化することにある。ハイエクが残したバークへの言及は分量的に決して少なくないが、断片的なものばかりである。そこで本稿では、ハイエクがバークの膨大なテクスト群のうちの何を参照したのかにとりわけ着目しつつ、ハイエクの主要著作におけるバークへの言及の有様を時系列的に整理する。本稿の構成は以下の通りである。第1節では論文「真の個人主義と偽りの個人主義」におけるバークへの言及を検討する。第2節では壮年期の主著『自由の条件』を検討し、第3節では『自由の条件』の補論「なぜ私は保守主義者ではないのか」を検討する。第4節では『自由の条件』と並ぶ後年の主著『法と立法と自由』を検討する。最後にこれまでの議論を整理し、「つまるところ、ハイエクはバークをどのように読んだのか?」という問いに、できるだけ明快な答えを与えたい。