著者
藤山 千紘 小林 一郎 西本 伸志 西田 知史 麻生 英樹
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.169-170, 2017-03-16

我々は、常に次の状態を予測しながら日常生活を送っている。これは、我々がもつ脳の大脳皮質における予測符号化の機能が行っていることであり、近い将来を予測することによって生物としての個体を守っている。本研究では、この機能を模倣した深層学習により動画像から次の時刻の画像を予測することを目的とする。
著者
小林 謙一 坂本 稔
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.196, pp.23-52, 2015-12-25

本稿は,縄紋後期の生業活動において,海洋資源がどの程度利用されていたのかを見積るため,炭素の安定同位体比(δ¹³C値)と炭素14年代をもとに,時期別・地域別の検討をおこなったものである。旧稿[小林2014]において,陸稲や水田稲作が出現する弥生移行期である縄紋晩期~弥生前期の土器付着物を検討した方法を継承して分析した。そのことによって,旧稿での縄紋晩期と弥生前期との違いの比較検討という目的にも資することができると考える。土器内面の焦げや外面の吹きこぼれなど,煮炊きに用いられた痕跡と考えられる土器付着物については,δ¹³C値が-24‰より大きなものに炭素14年代が古くなる試料が多く,海洋リザーバー効果の影響とみなされてきた。一方,-20‰より大きな土器付着物については,雑穀類を含むC₄植物の煮炊きの可能性が指摘されてきた。しかし,これらの結果について,考古学的な評価が十分になされてきたとはいえない。国立歴史民俗博物館年代研究グループが集成した,AMSによる縄紋時代後期(一部に中期末葉を含む)の炭素14年代の測定値を得ている256試料(汚染試料及び型式に問題ある試料を除く)を検討した。その結果,土器付着物のδ¹³C値が-24~-20‰の試料には炭素14年代で100 ¹⁴C yr以上古い試料が多く見られることが確認され,海産物に由来する焦げである可能性が,旧稿での縄紋晩期~弥生前期の土器付着物の場合と同様に指摘できた。北海道の縄紋時代後期には海産物に由来する土器付着物が多く,その調理が多く行われていた可能性が高いことがわかった。東日本では縄紋時代後期には一定の割合で海産物の影響が認められるが,西日本では近畿・中四国地方の一部の遺跡を除いてほとんど認められない。これらは川を遡上するサケ・マスの調理の結果である可能性がある。また,C₄植物の痕跡は各地域を通じて認められなかった。以上の分析の成果として,土器付着物のδ¹³C値は,縄紋時代後期の生業形態の一端を明らかにし得る指標となることが確認できた。
著者
松本 亮介
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.734-736, 2019-07-15

私はインターネットに関する研究開発を仕事にしているため,仕事にかかわるスキルを仕事以外の時間でも勉強して習得したいという気持ちがありました.さらに,最近では企業における働きやすさや裁量のある働き方に対する取り組みが進む中で,ある意味では,私生活の中に仕事がより溶け込んでくるような時代になってきているようにも思えます.そのような時代に,スキルを成長させることと,自分や家族と過ごす時間をどのように両立していけばよいのでしょうか.そこで,私が仕事や勉強の時間,趣味の時間や家族との時間とうまく付き合うために,どのようにスキルの成長を考えたかについて紹介します.
著者
松浦 智之 當仲 寛哲 大野 浩之
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.361-362, 2018-03-13

ツイッター分析は、ニュース番組でも頻繁に用いられるなど、その需要は増加している。しかしその手法を調査しても、大企業等が大きな予算や設備を導入して行う事例が殆どであり、個人の例は殆ど報告されていない。本研究では個人等がコンピュータ1台で行える手法を研究した。第2報では2017年流行語大賞にもノミネートされた「けものフレンズ」に関連するツイートの分析方法を例示する。いずれの例にも、データベースミドルウェアは用いず、UNIXコマンド及び、結果表示のために無料で利用できる表計算ソフトのみを用いた。収集データがファイルやディデレクトリに的確に配置されていれば、専門的な分析ソフトなしでもある程度分析できることを示す。
著者
鈴木 昂太 Kota SUZUKI スズキ コウタ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.27-46, 2019-03-31

本稿では、備後奴可郡(現広島県庄原市東城・西城町)における神職の中世末から近世にかけての歴史的変遷を明らかにするとともに、奴可郡における神職の組織・階層について論じた。その結果、中世から近世への時代変化が、奴可郡の神職にいくつかの変転を起こさせたことが判明した。その一つが、神職としての立場を保障する方法の変化である。中世末の備北地方における社役の安堵は、備後一宮において開催される座直りへの出席と、在地領主からの宛行状の発行により行われていた。その後近世になると、京都の吉田家から神道裁許状を取得するようになる。こうした変化に伴い、神職の職名・立場を表す言葉として「太夫」という言葉が公の資料に現れることはなくなり、吉田家から取得した官途・受領名が名乗られるようになった。二つ目は、中世に淵源を持つと考えられる備後国一宮の権威や機能の変化である。近世初期には、一宮の祭祀組織の再編、広島藩と福山藩という二つの政治体制の構築、近世中期以降には、京都吉田家による備後国内の神職支配の拡大が起こった。これにより、備後国内の神職に対する一宮の影響力が低下する。その結果、備後国内の広島藩領の神職は、藩内神職の惣頭役を務める広島城下の社家野上氏の統制下に入ることになり、広島藩の支配をより強く受けるようになった。三つ目は、奴可郡における神職組織の在り方の変化である。中世末には、在地領主が広大な領地の産土社(鎮守社)を定め、神職を任じ、祭祀を経済的に支えていた。その後、中世末の在地領主の領土が近世の村切りにより分割されることで、かつての在地領主の領地と一致する広い氏子圏を持つ社格の高い大氏神と、一つの近世村を氏子圏とする小宮が生まれたと思われる。近世初期には、郡内に数社存在する「大氏神」を単位として、共同で神事を執行する神職組織がいくつか形成されていた。その後近世中期になると、吉田家の影響により広島藩の神職組織が整備され、その末端として「郡」を単位とする神職組織が新たに形成される。こうした近世の奴可郡において神社祭祀に関わる者の間には、吉田家から神道裁許状を取得し祭祀を担当する「吉田殿裁許の官」と、日常神社の管理を担った「鍵取(地神主)」の違いがあった。さらに、「吉田殿裁許の官」の間には、大宮の社家(幣頭)/小宮の社家(一本幣)/抱えの小宮を持つ下社家/抱えの小宮を持たず裁許状を取得していない下社家という、中世以来の家格に基づく階層があった。
著者
栗田 太郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.506-513, 2008-05-15

筆者らは,携帯電話組込み用モバイルFeliCa IC チップファームウェアの開発に,形式仕様記述手法を適用し,手法導入の目的である,(1)厳密な仕様の記述,(2) 仕様の段階的な記述と検証を中心とした,開発スキーム,プロセス,フレームワークの検討と導入,(3)記述精度の向上とテストによる,開発の上流工程における品質の確保,(4) 仕様を活用した徹底的なテスト,(5)コミュニケーションの活性化,を達成し,開発の成果を上げると同時に,手法適用の効果を確認した.
著者
月村 麗子
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際日本文学研究集会会議録 = PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON JAPANESE LITERATURE (ISSN:03877280)
巻号頁・発行日
no.11, pp.87-102, 1988-03-01

The poetry of Hagiwara Sakutaro suggests some of Surrealist paintings.The title image of a baying dog of Hagiwara's epoch-making book, The Howling at the Moon (1917), anticipated Joan Miro's Dog Barking at the Moon (1926). This correspondence indicates that both the poet and the painter used Surrealistically the canine image to express their concept of the creative process: aspiration for and discovery of the unseen reality hidden in the actual world."A Murder Case" (1914) of Hagiwara and Threatened Assasin (c.1926- 27) of Rene Magritte, both influenced by popular detective films in the 1910s and 1920s, are metaphorically violent variations of the works dealing with a dog howling at the moon. Furthermore, the remaining comparisons this study offers show Hagiwara's and Magritte's ironical meditations of the barren existence of modern man. Here again the Japanese poet's "From Within the Shell of a Landscape "(1923) and "To Fire a Cannon", Published in (1923), preceeds Magritte's The Song of Love (1948) and The Old Gunner (1947).Hagiwara's remarks dating from his formative years , 1914-15, suggest that the role of the unconscious in the creative process is a common ground where Hagiwara and Surrealists meet, though he did not formulate it into a theory of Surrealism. Thus, the Surrealistic feature in Hagiwara can be regarded as an accidental product of both his diverse and keen interest in western cultures and of his passionate and deeply solitary search for a style expressing his jikkan (true feeling), but not of such well-defined systematic activities as in the Surrealist movement in which both Miro and Magritte took part.Despite these differences, the remarkable parallels presented here allow us to place Hagiwara in the international arena of avant-garde art and literature as a major poet of our times whose appeal goes beyond national boundaries.
著者
鳥居 聖 Kiyoshi TORII
雑誌
大学アドミニストレーション研究 = Journal of higher education administration (ISSN:2185968X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.110-124, 2011-03-20

2010年、桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科は専攻設置から10年を経過している。この専攻は、既存専攻の科目群を基礎として、大学改革に必要な科目を新たな授業科目として追加し、日本の大学が今日直面している諸課題を解決することを目的に設置され、本学教員の他に高等教育界の重鎮といわれている方々が教員として勢ぞろいした日本で初めての専攻でもあった。 2008年度、研究科への独立に伴い授業科目の見直しが行われたが、アカデミックな科目と時代の変遷にも対応できる実務を行う為のドリル的な科目、そして未だ配置されていない経営の根幹に係わる資源(ヒト・モノ・カネ)に関する事項を体系的に修得させる科目や論理的かつ構造的に考えられる力を身に付ける科目を融合したカリキュラムが、今後とも必要になっていくのではないかと考えている。