著者
赤枝 建夫 浅川 徹也 多屋 優人 横山 浩之 林 拓世 水野(松本) 由子
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.89-94, 2013-04-10 (Released:2013-09-10)
参考文献数
21

The objective of this research is to evaluate autonomic nervous function in Holter Electrocardiogram (ECG) using smartphone under the emotional stimuli. Twenty-four healthy subjects were assessed using State Trait Anxiety Inventory (STAI) and divided into two groups:high anxiety group and low anxiety group. ECG was measured under emotionally audio-visual stimuli (relax, pleasant, and unpleasant stimuli) and emotional sentence stimuli (pleasant sentence and un-pleasant sentence stimuli) using smartphone. The RR interval from ECG was analyzed for estimating the HF% and LF/HF values. The HF% and LF/HF values among stimuli and between groups were compared using analysis of variance (ANOVA) and t-test, respectively. The LF/HF values of pleasant, unpleasant, pleasant sentence, and unpleasant sentence stimuli were significantly higher than the value of relax stimuli. The LF/HF value of unpleasant stimuli in low anxiety group was significantly higher than the value in high anxiety group. This research suggests that the autonomic nervous function would be different based on the emotional stimuli and the presence of anxiety.

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1945年03月28日, 1945-03-28
著者
植村 邦彦
出版者
関西大学経済・政治研究所
雑誌
多元的経済社会の展開
巻号頁・発行日
pp.19-48, 2003-03-31

一つの妖怪が世界をうろついている。「帝国」という妖怪が。すでに1997年には、極東の片隅でもこう言われていた。「帝国の到来をめぐる予言が今日ほどさかんだったことはない。しかもそれは、一地域における帝国の誕生ではなく、世界帝国とも言うべきものの出現である(1)」。この「世界帝国」の表象について、『帝国とは何か』の編者の一人である増田一夫は、次のように説明している。「われわれの目前で成立しつつあるかもしれないとされる帝国は、武力制覇によって成立するのでもなく、中心的な核もなく、あくまで匿名であり続けると言われている。このイメージは政治よりも経済、経済よりもコミュニケーションの分野で実際に起こっている事態を想起させる。ピラミッドや樹[ツリー]状の組織ではなく、無限に接続し合い絡み合うウェブもしくはネットワーク。あらゆる地点からのランダム・アクセスの可能性を備えた開かれたシステム。根茎[リゾーム]状の組織。これはドゥルーズとガタリの著作『資本主義と分裂症』において提示されたイメージにほかならない(2)」。そのように述べたうえで、増田は次のように結論を保留している。「そして『帝国』。その到来の予感は、一部の人々の期待を代弁しているにすぎないのかもしれない。……しかし『帝国』は、たんに、国民国家が弱体化してゆくなか、その崩壊の後に来る事態を『混沌』と呼ぶのを忌避して用いられる名にすぎないのかもしれない(3)」。このような叙述からわかるように、最近現れた「帝国」という言説は、イマニュエル・ウォーラーステインによって提起された資本主義「世界システム」論やその上部構造としての「インターステイト・システム」論に取って代わる、新しい世界認識の概念として論じられているのであって、従来の「帝国主義」論や「帝国主義の問題を『意識』に即して見ること(4)」をテーマとする「帝国意識」論とは問題関心が基本的に異なると考えるべきであろう。本論文は、このような意味での「帝国」論の最新の成果であり、2000年にアメリカで出版されるとすぐに大きな話題を呼んだマイケル・ハートとアントニオ・ネグリの共著『帝国(5)』を取り上げ、その内容を紹介したうえで、その理論的な有効性について考えようとするものである。
著者
河﨑 宜史 池谷 のぞみ
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1028-1033, 2013-09-15

病院などの医療組織では,異なる専門性を持つスタッフによる複雑な協働を通して成り立っている.それぞれの専門性を最大限に発揮することで高度な医療を提供することが可能となるが,それを実現し,促進するようなしくみがこれまでになく求められている.しかし医療は高度に専門化され,複雑な協働によって成り立っているため,革新的なシステムをデザインするには,人々が複雑に作業をしている医療の現場に入ることで業務を深く理解する必要がある.事例として提示する検体検査業務のエスノグラフィ調査と分析を通じて,検査業務を始めとする病院業務における協働を支援するシステムデザインの問題といかに結びつけることができるかを示す.
著者
勅使河原 三保子 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.291, pp.39-44, 2005-09-09
被引用文献数
1

本研究では日本のアニメにおける善玉と悪玉の音声の比較を行った.不快感情を表すことが多い悪玉の声は, 不快感情が持つ音声的特徴を反映するという仮説が立てられ, Laverの声質記述の枠組みを用いた受聴による分析により, 悪玉の声には咽頭部分の狭めまたは拡張が聴覚的に認められた.咽頭部分の狭めやそれに伴う調音的特徴は, 不快感情を表す音声に予測された特徴であった.日本語母語話者を対象とした聴取実験において, 咽頭部分の形状について対比させた刺激音を用い, 咽頭部分の形状が人物の印象(外見, 性格, 感情)を左右することが確認された.
著者
Robert B. Cody
出版者
The Mass Spectrometry Society of Japan
雑誌
Mass Spectrometry (ISSN:2187137X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.Special_Issue, pp.S0007, 2013-04-15 (Released:2013-05-03)
参考文献数
33
被引用文献数
4 9

The introduction of DART and DESI sources approximately seven years ago led to the development of a new series of atmospheric pressure ion sources referred to as “ambient ionization” sources. These fall into two major categories: spray techniques like DESI or plasma techniques like DART. The selectivity of “direct ionization,” meaning analysis without chromatography and with little or no sample preparation, depends on the mass spectrometer selectivity. Although high resolution and tandem mass spectrometry are valuable tools, rapid and simple sample preparation methods can improve the utility of ambient ionization methods. The concept of ambient ionization has led to the realization that there are many more ways to form ions than might be expected. An interesting example is the use of a flint-and-steel spark source to generate ions from compounds such as phenolphthalein and Gramicidin S.
著者
権藤 愛順
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.143-190, 2011-03

本稿では、明治期のわが国における感情移入美学の受容とその展開について、文学の場から論じることを目標とする。明治三一年(一八九八)~明治三二年(一八九九)に森鷗外によって翻訳されたフォルケルト(Johannes Volkelt 1848-1930)の『審美新説』は、その後の文壇の様々な分野に多大な影響を与えている。また、世紀転換期のドイツに留学した島村抱月が、明治三九年(一九〇六)すぐに日本の文壇に紹介したのも、リップス(Theodor Lipps 1851-1914)やフォルケルトの感情移入美学を理論的根拠の一つとした「新自然主義」であった。西洋では、象徴主義と深い関わりをもつ感情移入美学であるが、わが国では、自然主義の中で多様なひろがりをみせるというところに特徴がある。本論では、島村抱月を中心に、「新自然主義」の議論を追うことで、いかに、感情移入美学が機能しているのかを検討した。感情移入美学の受容とともに、<Stimmung>という、人間の知的判断、認識以前の本源的な「情調」に対する関心が作家たちの間にひろがりをもつ。そして、文学表現の場で、<Stimmung>をいかに表すかという表現の方法も盛んに議論されている。本稿では、感情移入美学がもたらした描写法の一つの展開として、印象主義的な表現のあり方に着目し当時の議論を追っている。さらに、感情移入美学と当時の「生の哲学」などの受容があいまって、<生命の象徴>ということが、自然派の作家たちの間で盛んに説かれるようになる。<生命の象徴>ということと感情移入美学は切り離せない関係にある。感情移入美学が展開していくなかで、<生命の象徴>ということにどのような価値が与えられているのかを論じている。また、感情移入美学の大きな特徴である主客融合という概念は、作家たちが近代を乗り越える際の重要な方向性を示すことになる。ドイツの<モデルネ>という概念と合わせて、明治期のわが国の流れを追っている。
著者
澤田 昭三 中村 典 田中 公夫 重田 千晴 李 俊益 佐藤 幸男
出版者
広島大学
雑誌
核融合特別研究
巻号頁・発行日
1987

1)母親の胎内で原爆破爆した子供の多くに極度の知能発育遅滞がみられ, 大きな社会問題となっている. そこで知能発育に対するトリチウムのリスクを推定するためマウスによる基礎実験を行なった. その結果, ガンマ線の急照射では脳細胞死は容易に検出されたが, 緩照射では死亡率が大幅に低下した. 一般にトリチウムは緩照射のため脳細胞死の検出方法を今後検討しなくてはならぬ(佐藤).2)マウスの卵母細胞に対するトリチウムの致死効果が妊性にどの程度影響するか調べたところ, トリチウムを16ラド以上照射すると対照群に比べて明らかに妊性が低下するが, ガンマ線ではもっと多量の線量を照射しないと低下しない(李).3)マウス皮膚創傷部からのトリチウム水の吸収速度は傷の種類によって異なるが, 傷の組織学的な観察を行なったところ, 傷害度と吸収速度がよい一致を示すことがわかった. また, すり傷からのトリチウム水の吸収は脂溶性塗布剤では完全に抑制できなかった(澤田).4)ヒト骨髄細胞のうち赤芽球幹細胞BFUーEに対するトリチウムの致死効果を調べ, ガンマ線に対するRBEとして1.3を得た(重田・大北).5)ヒトのリンパ球の染色体異常と小核出現率を指標としたトリチウム水のRBEはそれぞれ2.8と2.6が得られた(田中). また, リンパ球の致死を指標とするとRBEは2.8となった(中村).6)トヒ精子染色体に対するトリチウム水の影響を調べ, X線に対するRBEとして2.3が植られた(美甘ら).7)マウス3T3細胞に対するトリチウム水の影響を生存率, 癌化率及び突然変異率を指標としてRBEを求めたが, 生存率では1.0,癌化率では1.7が得られ, 突然変異に関しては十分な結果が得られなかった(榎本).8)マウス受精卵の胚盤胞形成を指標として有機結合型トリチウムの影響を試験管内で定量的に調べ, トリチウム水に比べ100〜10000倍も強い影響を与えることがわかった(山田).
著者
伊達 仁美
出版者
京都造形芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、膨大な量の民俗資料に対し、安全にかつ容易に施工できる防錆処理として、椿油による防錆処理の普及が目的である。様々な条件を持つ収蔵施設に試験試料を設置し、油の差異による効果や経年変化の確認を行なった。その結果、防錆効果は油の差異により若干見受けられたが、処理後の保管環境によるところが大きいことがわかった。また、本研究の成果をふまえて、「博物館等民俗資料収蔵施設における簡易的な資料保存と修復マニュアル」を作成した。
著者
増原 英彦 松岡 聡 渡部 卓雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.175-192, 1994-05-16
参考文献数
31
被引用文献数
5

並行オブジェクトの間で共有される計算資源の概念をとり入れた自己反映計算モデルであるHybrid Group Architectureと,その記述言語ABCL/R2を提案した.ABCL/R2では,オブジェクト単位の自己反映計算と,オブジェクトグループ単位での自己反映計算の両方が可能なため,スケジューリングのような,並列・分散システムにおける共有計算資源に関する制御を,本来の計算から隠蔽された形をとりつつ,言語の枠内から柔軟に記述できる.また,自己反映システムの効率的な処理系は,作成が困難とされていたが,部分コンパイル・段階的なメタレベル生成・軽量オブジェクトなどの技法による効率的な処理系の作成方法を示した.実際に共有記憶型並列計算機上に作成したABCL/R2処理系では,自己反映計算を行うことによる速度低下を,行わない場合の10倍以下に抑えられ,非自己反映計算の実行速度は,非自己反映処理系とほぼ同等であるというベンチマーク結果を得た.