著者
奥山 直弥
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2005-03

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2074号 ; 学位の種類:博士(理学) ; 授与年月日:2005/3/24 ; 早大学位記番号:新4041
著者
小坂 みゆき
出版者
北海道大学大学院文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.51-69, 2011-12-26

中国朝鮮族の社会は,本来は農村社会であり,その社会固有の儀礼・習俗を持っていた。しかし,漢族が大多数である中国社会の中での少数民族という立場から,中国社会の枠組みの中で起こる社会現象や,漢族の影響を受けることは避けられない。また,経済自由化政策による中国社会全体に広がっ た市場主義的経済観の影響をうけ,朝鮮族社会の生活環境,生活習慣は大きく変化するにいたった。 特に,中国朝鮮族の現在の特徴的な現象として,韓国等の外国への出稼ぎがあり,家族の中に出稼ぎ者のいない家庭はないと言っても過言ではない。このことは,日常生活のみならず,年中行事や婚姻儀礼などの人生儀礼の実施においても大きな影響を及ぼしている。また,出稼ぎ者の収入により,家 庭は経済的には少しずつ裕福となり,農家をやめ農村を出て都市部で暮らすようになった家庭も多数現れている。農村社会であったこれまでの中国朝鮮族社会は急激に解体の方向に向かっている。一方,日常的に出稼ぎ者不在の状況のもとで都会生活を営むようになった人々により,新たな中国朝鮮族の文化,生活と呼べるものが生み出されている。 民族固有の文化といわれたものであっても,時の経過とその時々の周りをとりまく環境によって変遷を遂げていくものであり,ゆるぎなく確立されたものではない。変化はその時々における民族を構成する人々が自らの生活のなかで選択した結果なのであって,それもまた一つの文化の姿である。 本稿では,中国朝鮮族における婚姻儀礼を動態として取り上げ,その変化を分析するものである。分析方法は,現地における経験的参与観察から得たデータを基本とし,朝鮮半島から中国に移住した後,中国での急激な社会変化を経て,中国と韓国との往来という移動を頻繁に実施している今日までの 間を比較分析した。 朝鮮族の人々の婚姻儀礼も,社会・生活環境の変化に伴い変遷を遂げているものの,婚姻儀礼を完全に放棄しているわけではない。婚姻当事者にとっては新たな家庭を築くうえで大切なものであり,民族に伝わる儀礼を行いたいという欲求は失われることはなく,変遷を遂げながらも残されていく儀礼 の1つといえる。 朝鮮族の人々が,婚姻儀礼のうち,何を大切な部分であると理解し,そのまま残そうとし,あるものは簡略化し,あるいは省略するなどしたのかという点は,近代化,社会環境の変化,生活様式のグローバル化が進むことによる要因が大きい。これは近代化の波にさらされる他の民族においても同様であり他民族における婚姻儀礼の変遷にも共通する。 本稿においては,この研究を通じて得られた資料・知見等をもとに,中国朝鮮族にとどまらず,他民族においても示唆的であると考えられる婚姻儀礼の変化要因となるものについて分析,考察しそれを指摘した。
著者
山崎 直樹
出版者
関西大学外国語学部
雑誌
関西大学外国語学部紀要 = Journal of foreign language studies (ISSN:18839355)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.79-92, 2020-03

The purpose of this paper is to examine the descriptions of can-do statements in standards for foreign language education used in Japan, from the viewpoint of universal design, and to show how they are described by the viewpoint of the majority. The majority here are foreign language learners who are generally assumed to be typical, that is, learners who hardly ever feel physical, sensory, cognitive, psychological or language barriers in classrooms.
著者
柴田 光蔵
巻号頁・発行日
2014-10

はじめに
著者
島田 秀昭 松本 直也
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 (ISSN:21881871)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.235-237, 2019-12-16

The red cabbage pigment is used as a teaching material for acid alkaline experiment in lower secondary school science. However, it is difficult to obtain the red cabbage stably throughout the year. Thus, in the present study, to develop a new teaching material for acid alkaline experiment, the extraction method of pigment from eggplant and the color development at each pH of the pigment extracted were examined. Furthermore, the color development at each pH of the pigment extracted from the several eggplants were compared.
著者
Kurahashi Hiromu Suenaga Osamu
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 Tropical medicine (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1,2, pp.1-5, 1991-06-29

Tricycleopsis paradoxa Villeneuve is newly recorded from the mainlands, Honshu, Shikoku and Kyushu, Japan. The female is redescribed in detail. The illustration of ovipositor is given for the first time. A key is provided to distinguish it from the Japanese endemic species, T. tibialis Kurahashi.
著者
鈴木 邦明
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.16-27, 2017-09

Na, K-ATPaseはNa-ポンプあるいはNa,K-ポンプと呼ばれる生理機能を担う酵素である.ほぼすべての動物細胞の形質膜に存在し,ATPの加水分解エネルギーを用いてNa+とK+の能動輸送をおこなう.その結果,細胞内外のNa+とK+の濃度勾配および電位差の維持を担い,細胞レベルでは細胞の容積や浸透圧の維持に関与する.特殊化した機能としては,神経や筋肉細胞の興奮性の維持,腎臓での水やNa+の再吸収に関与する.また,Na, K-ATPaseの形成したNa+の濃度勾配を利用して,小腸における糖やアミノ酸の吸収が行われる.その消費エネルギーは,安静時の代謝エネルギーの3割,神経系においては7割を占めるとされる. Na-ポンプ機能の実体がNa, K-ATPaseであると認められた頃から,ATPの持つ化学エネルギーを,どのようにNa+とK+の能動輸送という物理的なエネルギーに変換するのか,その機構の解明がNa, K-ATPase研究の焦点の一つであり,Na,K-ATPaseの反応機構の解明が進められた.20世紀後半には,Na,K-ATPaseの反応機構はほぼ確立され,その解析に大きな貢献のあった二人の研究者の名前をとってPost-Albersの反応機構と呼ばれる.この反応機構は,ATP加水分解中にATPの末端のリン酸を結合したリン酸化反応中間体(EP)を形成するのが特徴である.この反応機構では,EPの分子構造変化を中心に据えて,ATPの加水分解による,細胞内から細胞外へのNa+,細胞外から細胞内へのK+の輸送,すなわちNa-ポンプ機能をきれいに説明することができる.Na, K-ATPaseはEPを形成することからP型ATPaseと呼ばれる.Post-Albersの反応機構は,同じくP型ATPaseである筋小胞体や細胞の形質膜に存在するCa -ATPase,また,胃粘膜において胃酸分泌を担うH, K-ATPaseの反応機構の解析に大きな影響を与えた. 強心配糖体であるジギタリス(digitalis)やウアバイン(ouabain)がNa-ポンプ機能を抑制することが知られていたが,これらの薬物はその実体であるNa, K-ATPase活性を抑制する.Na, K-ATPaseの研究においてはouabainを使用することが多く,uabainはNa, K-ATPaseの特異的な阻害薬とされる.Na, K-ATPaseの反応機構の研究過程で,ouabainが不可逆的にEPに結合してNa, K-ATPase活性を抑制することが明らかにされ,強心配糖体による強心作用もNa, K-ATPase活性の抑制をもとに説明された.Na, K-ATPaseが全身の細胞に存在し重要な機能を担っているわりには,20世紀末の段階では,Na,K-ATPaseを標的とする重要な薬物は強心配糖体以外には知られていなかった.また,Na, K-ATPaseの反応機構に関する研究も終了した感があった. しかし,21世紀に入り,ここ20年くらいの間にNa, K-ATPaseとouabainを巡って大きな研究の進展があった.それまで,Na, K-ATPaseの機能はNa+とK+の濃度勾配形成の結果に基づくものであったが,その機構とは別に,Na, K-ATPaseが細胞内情報伝達系に作用することが明らかになり,高血圧症や発癌との関係で新たな展開があった.また,生体内にouabainあるいは類似した物質が存在することが明らかになった.これら内在性のouabain関連物質は,ホルモンとしてNa, K-ATPase活性を調節することにより高血圧症や発癌に関与する.また,強心作用薬であるouabainは,現在では,抗がん薬としても期待されている. 本特集では,Na, K-ATPaseおよび関連する薬物の現状と,筆者らが行ってきた研究を紹介したい.
著者
神垣 享介
出版者
関西大学フランス語フランス文学会
雑誌
仏語仏文学 (ISSN:02880067)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.61-76, 2001-02-28

前原昌仁教授退職記念号
著者
藤井 學
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.520-541, 1958-11-01

近世初頭の京都町衆の法華信仰について、 (一) その信仰形態 (二) この信仰が彼等の生活や意識に如何に投影されるかを紹介したいのが本稿の趣旨である。信者の例として本阿弥・狩野・後藤・茶屋・尾形・佐野家等を取上げる。彼等は何れも代表的な京都上層町衆であり、宗門規制が影響して互に姻戚であり、一族「皆法華」であつた。法華宗寺は彼等「惣族」団結の精神的支柱として存し、実生活の規範もここに求められた。彼等は宗義を理論的に理解し、一族中より碩僧を輩出させた。町衆は教化する側に上昇したのである。本阿弥一門が支配経営した洛北鷹ヶ峰は、芸術家聚落であると共に町衆信者の集りであり、住民は実生活と合致した信仰生活を送り、此地は法華経支配の地域=「常寂光土」なる宗義的意義を持つていたのである。かかる町衆の法華信仰或はその止揚であつた鷹ヶ峰は、内には反幕府的要素を多分に含み乍らも、その存在した社会的条件と宗門宗義の変質によつて、質的変化を遂げ、近世封建社会の中に次第に解消して行つた。
著者
小原 久治
出版者
富山大学日本海経済研究所
雑誌
研究年報, 富山大学日本海経済研究所 (ISSN:03851958)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.39-99, 1993-03

この小論の目的は,地場産業・産地とその産地中小企業の活動が地域経済といかなる経済的連関を持ち,地場産業・産地の再生や振興,ひいては地域経済の発展にいかなる役割を果たしているかについて明らかにしようとすることである。その場合,産業組織論や中小企業論の分析方法を地場産業・産地の現状分析と政策分析に適用して方法論的叙述を試みるとともに,代表的な地場産業・産地への実地踏査に基づく具体的事例を示すことによって明らかにしようとした。