3 0 0 0 OA ギヨオテ伝

著者
森鴎外 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
1913
著者
竹田 駿介 Takeda Shunsuke タケダ シュンスケ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.55-66, 2018-03-31

This paper mainly surveys the differentiation between oneself and others and based on a psychoanalytic view of relevant cases and observations of infants. It is shown that in normal development, the Me and the Not-Me is differentiated within consciousness. This study argues that people who cannot differentiate between themselves and others can be divided into two pathological types. The first type comprises people who deny the inner truth that others do not think the same way they do, and that they must endure their pain by themselves. The second type comprises people who are in the first place unable to notice or understand that other people think differently from them. To distinguish between these pathological types, the presence or absence of self-direction can be used as standard evaluation criterion. Moreover, being able to differentiate whether an individual has had a normal or pathological development is important because it influences the relationship between therapists and clients during sessions. As a guidepost to distinguish which type of development occurred in an individual, the relationship between the therapists and clients is considered complete and fulfilled when no new revelations arise in the pathological states. In short, to encourage normal development as part of the treatment, it is important that the therapy relationship involves openness especialy from the client.本研究では,症例や乳幼児の観察から導き出された精神分析的な理論をもとに,自他が分化し,発達していく様子について概観した。その中で,正常な発達では,「私」と「私でないもの」が曖昧な状態から,分化していくことが示された。そして,病理的な自他未分化の場合,他人は,自分と同じように考えることはないし,自分の痛みは結局自分で抱えるしかないという内的真実を否認している場合と,そもそも気づくことが出来ない場合に分けることが出来ると論じた。その区別として主体性の有無が水準を判断する材料になることを示した。正常な発達と病理的な発達のどちらが面接内のセラピスト―クライエント関係でおきているかを区別することが重要であると述べた。区別するための視点として,二者関係がそこで完結して満たされた場合は,新たな視点が生まれることはない病理的な状態であると示した。そして,正常な発達のためには,クライエントとセラピストの関係性が,満たされない状態について開かれているかが重要であると示した。
著者
八幡 紋子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.582, 2015

「カロリーゼロ」「ノンシュガー」.これらは今日の生活で多く見掛ける言葉である.消費者の健康指向の高まりを背景に,様々な食品や飲料に低カロリー甘味料が選ばれている.なかでも人工甘味料は砂糖に比べ甘味度が数百倍高く,カロリーを抑えて使用できることから,今後も使用量が増加すると予測されている.一方で人工甘味料を含む飲料の摂取と,高血圧,高血糖,高トリグリセリドといったメタボリックシンドロームを示すパラメータとの高い相関が報告されている.本稿では,人工甘味料によって腸内細菌叢に変動が起こり,正常な血糖コントロールができない耐糖能異常が現われるという論文を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Lutsey P. L. <i>et al</i>., <i>Circulation</i>, 117, 754-761 (2008).<br>2) Suez J. <i>et al</i>., <i>Nature</i>, 514, 181-186 (2014).<br>3) Soldavoni J. <i>et al</i>., <i>Dig. Dis. Sci</i>., 58, 2756-2766 (2013).<br>4) Schwiertz A. <i>et al</i>., <i>Obesity</i>, 18, 190-195 (2010).
著者
下畑 享良
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1047-1049, 2021-09-01

はじめに 脳神経内科学の教育には,他の診療科の教育とは異なる難しさが学ぶ側,教える側のいずれにもあるように思います。まず学ぶ側には「脳神経系は難しい」という苦手意識を持つ者が多いですし,教える側も脳神経内科学という広範な領域を限られた時間の中で「いかに教えるか,何を教えるか(how to teach,what to teach)」は非常に難しく,その教育を担当することに戸惑いを覚える医師も多いように思います。しかし,もし臨床現場で教育を担当する医師と基礎の神経科学教育を担う教官,さらに最新の臨床教育の理論や方法を研究する医学教育のエキスパートが,より密接に連携すれば,その教育効果は非常に大きなものになるのではないでしょうか。 こうした背景を踏まえつつ,神経科学の基礎・臨床教育において,学ぶ側,教える側にどのような特殊性があるのか,これからどのような教育を行っていくべきかを議論することを目的として,本連載を企画しました。連載開始にあたり本稿ではまず脳神経内科学教育を困難にしている学ぶ側の要因を検討し,本連載で取り上げるべき教育課題について議論したいと思います。
著者
高村 仁知
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

魚臭の主成分は、トリメチルアミンなどのアミン類であるとされている。しかし、アミン類のが魚のにおいを決定しているのではない。実際に生成する魚臭にはアミン類以外の成分も多く含まれている。しかも、実際に食卓にのぽる魚料理ではアミン臭は全くなく、他の成分が「魚くさい」においに寄与していると考えられる。本研究は、魚の持つにおい成分について、ガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフー質量分析計などの機器分析法とガスクロマトグラフーオルファクトメトリー(においかぎ)法によるにおい判別法とを用いて、真の魚臭成分の構造や生成量を明らかにするとともに、それらの生成機構、生成条件を解明すること、さらに調理によってこれらを抑制する方法を明らかにすることを目的として遂行した。試料として、「マイワシ」を用い、新鮮魚、および室温放置により劣化された魚について、固相微量抽出法を用いてにおい成分を吸着させ、ガスクロマトグラフ-質量分析計およびガスクロマトグラフ-オルファクトメトリー(においかぎ)により、におい成分の解析を行った。その結果、魚の劣化過程において、トリメチルアミンは確かに生成するものの、pHを塩基性にしない限り、揮発性が乏しいため、いわゆる「魚臭い」においの原因ではないことを明らかにした。また、においかぎ分析により、多くの非アミン化合物、特に脂質に由来すると考えられるカルボニル化合物等が、不快なにおいを有し、これらが魚臭いにおいの主要な原因物質であることを明らかにし、特に2,3-pentanedione、hexanal、1-penten-3-o1が多く存在することを見いだした。これらはいずれも脂質に由来する化合物と考えられる。従って、抗酸化成分を有する調味料や食素材とともに調理することで、魚臭を抑制することができると考えられる。
著者
小林 祥泰
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-8, 2014-03-31 (Released:2015-04-01)
参考文献数
26
被引用文献数
2

脳卒中後アパシーは,長い間脳卒中の一つの精神症状すなわち「自発性低下」としてのみ注目され,かつて脳卒中に汎用された脳循環代謝改善薬の多くは自発性低下を治療の標的としていた。その後 Robinson らにより post-stroke depression(脳卒中後うつ状態)が報告され注目された。血管性うつ状態の定義も発表されたがうつ病の中核症状を欠くものであったこと,抗うつ薬の効果が認められなかったことから最近では関心が遠のいていた。今から思えばこれがまさに脳卒中後アパシーであったといえる。脳卒中後アパシーは脳卒中後にもっとも多い神経心理学的症状とされているが,血管性認知症の一症状とみなすのではなく,アパシーが先行して廃用症候群を介して血管性認知症自体を引き起こす重要な因子であることを認識すべきである。
著者
何 芳
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.129-146, 2018 (Released:2018-09-30)
参考文献数
15

本稿は、厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」の個票データを用いて、女性の稼得能力と結婚選択との関係について分析を行った。分析では、学歴などの同じ属性のグループ内の賃金格差が存在することに配慮し、パネル固定効果モデルで推定した対数賃金率を稼得能力の代理変数として用いた。さらに、結婚選択と稼得能力の内生性をコントロールするため、結婚意欲をコントロールした。結果の頑健性の確認のため、OLSで推定した対数賃金率、対数年間労働所得、パネル固定効果モデルで推定した対数年間労働所得が結婚選択に与える影響についても分析し、パネル固定効果モデルで推定した対数賃金率を用いた場合の推定結果との比較を行った。 稼得能力が結婚選択に与える影響については、Cox比例ハザードモデルを利用した。以上の分析の結果、女性の稼得能力が高いほど、結婚する確率が高くなっていることが確認された。また、推定した対数賃金率と年齢階級ダミーの交差項で、稼得能力が与える結婚選択の年齢階級による効果の違いを確認した結果、稼得能力が与える結婚選択へのプラスの効果は、大学・大学院卒女性にとって年齢の上昇に伴い逓減していることが確認された。
著者
佐藤 憲昭
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢大学文化 (ISSN:02896613)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.209-241, 1987-03
著者
米陀 正英 井脇 俊 小泉 真理 今野 奈津子 高野 奈菜子 原田 雅子 山根 深一 宮城島 匡章
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.282-288, 2016-06-01 (Released:2016-06-01)

企業の経営課題解決において,企業内部で解決が困難な場合に外部の第三者が依頼を受けて問題を解決するケースがある。その場合,社外の立場ならではの既存概念に縛られない提案力が求められる。そこで我々は,社外コンサルタントとしてドラッグストアA社から依頼を受けた想定で,データベースと分析ツール等を利用して情報収集および課題整理を行い,課題解決を支援することを試みた。実施範囲は,①調査・情報収集,②課題の明確化,③仮説構築,④仮説検証,⑤解決策提案までとした。現状分析のための情報をデータベースから収集することで,業界,自社,競合の状況が整理される。次に分析ツールにより財務や経営戦略の観点から企業課題を明確化し,公開情報のみに基づくシナリオ分析で課題解決策を提案した。
著者
横田 正 加藤 久喜 宮下 知也 衛藤 英男
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.121-126, 2014 (Released:2015-01-06)
被引用文献数
1

現在、コーヒーは様々な疾患のリスクの減少や予防などの研究が報告されており、非常に機能性のある嗜好性飲料といえる。亜臨界水を用いて、生コーヒー豆を抽出することで、より多くの成分を抽出できることが期待される。そこで、熱水抽出サンプル(通常のコーヒー)と亜臨界水抽出サンプルとの官能評価、各成分の比較を行った。官能評価では3 MPa、200 ℃、3分の抽出が最も熱水抽出サンプルに近かった。凍結乾燥物重量は、熱水抽出サンプルよりも2倍以上を示した。タンパク質、総アミノ酸、グルコース、全糖、クロロゲン酸類、桂皮酸類、カフェイン、トリゴネリン、およびメラノイジンにおいても高抽出量であった。さらに、抗酸化活性も高くなり、機能性が期待できるコーヒー様エキスが製造できた。