著者
小川 誠司 明石 真言 鈴木 元 前川 和彦 牧 和宏
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高線量の中性子線被爆がヒトの染色体および遺伝子におよぼす影響について、1999年9月30日茨城県東海村核燃料施設で発生した臨界事故において、中性子線を大量に含む放射線被爆を受けた患者2名を対象として以下の検討を行った。生物学的および物理学的な予測被爆線量は18Gy(Pt1)および8Gy(Pt2)であった。被爆後の末梢血および骨髄血の染色体分析においては、両名ともに著しい染色体の断片化と構造異常が観察された。被爆後両患者ともに造血幹細胞移植が施行され、一名については持続的な造血系が再構築された(Pt1)が、もう一名に関しては一時的に混合キメラの状態になったがもののDayに自己造血が回復し、移植片の拒絶が確認された。興味深いことに、理論的には二次被爆の影響は殆ど無視出来ると考えられる時期に移植が行われたにも関わらず、Pt1においては再構築された造血細胞においても染色体のランダムな異常が20分裂細胞中3細胞に観察され、大量の中性子線被爆後においては、直接的な放射線障害以外に染色体を障害する、細胞を隔てて作用するメカニズムが存在する可能性が示唆された。こ自己の造血が回復したPt2においては、染色体分析において、分裂細胞の60%ないし80%の細胞に細胞ごとに異なるランダムな染色体の異常が観察され、放射線被爆による染色体の異常が自己造血の回復ののちも再生した造血組織に維持されることが明らかとなった。しかし、これらの異常が最終的に造血器腫瘍を誘発するか否かについては、患者が被爆後早期に多臓器不全により死亡したため、検討不能であった。一方、剖検後に患者の遺族の同意を得て検討された被爆組織の遺伝子の突然変異をras遺伝子、p53遺伝子およびp16INK4A遺伝子について検討したが、これらの遺伝子における突然変異率の上昇は証明されなかった。
著者
木村圭裕 吉田侑矢 米澤朋子
出版者
[情報処理学会関西支部]
雑誌
2014年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014-09-10

通常のライブ演奏では、観客の存在による演奏者の緊張や興奮など様々な感情への影響があると考えられる。本研究では、3DCGを用いたVRライブシミュレーションにおいて、観客エージェントを介した視聴者の存在が演奏者に対して与える影響を検討する。
著者
鷹野 敦史 安留 道也 鈴木 修 井上 慎吾 藤井 秀樹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.421-424, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
12

症例は42歳,女性.平成19年9月(月経2日目)に腹痛を主訴に当院を受診し,腹部CTで小腸の拡張と腫瘤性病変が認められ,腸閉塞の診断で入院となった.保存的治療施行後,入院8日目の腹部CTで腫瘤性病変は消失し腸閉塞の所見も認められないため一時退院となった.平成20年1月(月経2日目)に再び腸閉塞で再入院し,月経時に繰り返す腸閉塞とCTで認められる腫瘤性病変から異所性子宮内膜症が疑われた.MRIでも子宮内膜症を疑わせる腫瘤性病変が認められた.平成20年3月(月経3日目)に3度目の腸閉塞を発症し,開腹手術を行った.回腸末端に炎症性の癒着が存在し,小腸部分切除術を施行した.また5mm大の白色結節が口側腸管に散在していた.病理組織検査では子宮内膜症の診断であった.月経時に繰り返す腸閉塞と画像診断で術前より異所性子宮内膜症を疑った1例を経験したので報告する.
著者
鈴木 康文
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.565-570, 2010-11-30 (Released:2011-03-01)
参考文献数
12
被引用文献数
5 5

3 0 0 0 OA 続日本紀 40巻

著者
藤原継縄
巻号頁・発行日
vol.[20], 1657

3 0 0 0 OA 日本古典全集

著者
与謝野寛 等編
出版者
日本古典全集刊行会
巻号頁・発行日
vol.懷風藻、凌雲集、文華秀麗集、經國集、本朝麗藻, 1926
著者
細萱 敦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.683-690, 1993

日本語で「漫画」というと,政治や社会を風刺するポンチ絵のようなものから劇画までその表わすところは多様であり,その出版部数は諸外国に例を見ないほど他のジャンルを圧倒している。また,そのうちの多くの作品が,テレビや映画でアニメーション化されたり,実写ドラマ化されている。これらの作品の特質,主題,読者や他の作家への影響を研究する場合,作品を映像的に分析することは有効な1方法といえる。川崎市民ミュージアムの漫画部門は,元々漫画の美術館としてのみ発想されたものではあるが,こうした漫画に関する研究を行っていくには,美術館の機能に加え,画像データベースシステムなどを備えた図書館的機能が必要となっている。
著者
大庭 裕貴 光来 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.3, pp.1-10, 2015-02-19

仮想化システムには状態が時間とともに劣化していくソフトウェア・エージングが発生しやすいが,この現象にはソフトウェア若化と呼ばれる手法で対処することができる.ソフトウェア若化の際の仮想マシン (VM) のダウンタイムを削減するには,VM をあらかじめマイグレーションしておく必要がある.しかし,VM マイグレーションはシステムに大きな負荷をかけてしまい,そのシステム上で動作する VM の性能にも影響を及ぼす.そこで本稿では,ゼロコピー・マイグレーションを用いて,仮想化システムの軽量なソフトウェア若化を実現する VMBeam を提案する.VMBeam では,仮想化システムをソフトウェア若化する際には,ネストした仮想化を用いて同一ホスト上で別の仮想化システムを動作させ,その仮想化システム上にすべての VM をマイグレーションする.この際に,VMBeam は VM のメモリをコピーすることなく直接新たな仮想化システム上に再配置する.VMBeam を Xen に実装し,マイグレーションの時間の短縮およびシステム負荷の削減を確認した.
著者
国民図書株式会社 編
出版者
国民図書
巻号頁・発行日
vol.第13巻, 1929
著者
山本 智子
巻号頁・発行日
2009-03-24

授与大学:弘前大学; 学位種類:修士(教育学); 授与年月日:平成21年3月24日; 学位記番号:修第444号
著者
篠田 道子
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.142, pp.99-112, 2020-03-31

フランスとイタリアの医療・介護制度は異なっているものの,終末期ケアについては国主導のインフラ整備により,量・質ともに大きく進んだ.本人の意思決定を支えるために,後見人や事前指示書を位置付け,多職種で支える体制を整えている.本論文では,フランスとイタリアの終末期ケアに関する基本法を概説し,事前指示書による意思決定支援の取り組みと課題を整理する. 特に事前指示書については,わが国でも取り組んでいるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に引き付けながら光と影について論じる.また,両国ともネットワーク形成を推奨するなど,終末期ケアを点で支えるのではなく,制度や場所を越えて多職種・他機関で支える仕組みづくりに舵を切っている.このような取り組みは地域包括ケアシステムを構築するうえで参考になる.
著者
石松 成子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.227-233, 1988 (Released:2010-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2 2

1985年北九州地区の食事調査の結果から成人男女6名の3日間の日常食を分析試料としてニッケル含有量を測定した。また料理の原材料となった食品39品目とさらに米は九州各県・山口県各地から71種収集して測定した。この分析値から1日のニッケル摂取量を推定した。得られた結果はつぎのとおりである。1) 主食である米中のニッケル含有量の分布は対数正規分布を示し, 算術平均22μg/100g, 幾何平均14μg/100gで試料間に差がみられた。2) 大多数の食品中のニッケル含有量は10.0μg/100g以下であったが, ある種の食品たとえば大豆・しょうゆ・米・ほうれん草・キャベツはニッケル含有量が高かった。全体的に植物性食品が動物性食品よりニッケルの含有が高値であった。3) 1人1日当たりのニッケル摂取量は, 男280±90μg, 女190±40μgであった。4) 1日に摂取するニッケル量のうち, 主食である米からの摂取が30%, 米以外の植物性食品から65%, 動物性食品から5%の割合であった。