著者
山長 功 佐藤 高史
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第26回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.94-97, 2012 (Released:2014-07-17)

電源インピーダンスの反共振は、EMIや電源電圧変動を引き起こし、LSIの性能や安定性を悪化させる。近年、電源電圧変動の許容値が低下しており、反共振の抑制は電源設計における重要な課題となっている。そこで、本論文では、低ESRと高ESRコンデンサを組み合わせた効果的な反共振抑制手法を提案する。2種類のコンデンサを組み合わせることで、それぞれを単体で使う場合のデメリットを改善し、高帯域に電源インピーダンスを低減することを実験により示す。
著者
宮川 和也 齋藤 淳美 宮岸 寛子 武田 弘太郎 辻 稔 武田 弘志
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.4, pp.212-218, 2016 (Released:2016-04-09)
参考文献数
46
被引用文献数
1

脳機能の発達過程において,最も外界から影響を受けやすい時期は胎生期であり,この時期に過剰なストレス刺激に曝露されることにより,中枢神経の発達や成長後の情動性の異常が惹起される可能性が考えられる.実際,妊娠期に母体が過度のストレス刺激に曝露されることにより,子の成長後のストレス反応に異常が生じるという臨床報告がなされている.本稿ではまず,胎生期ストレス研究について,臨床的側面と実験動物を用いた基礎研究の両面から概説する.また,近年著者らは,胎生期ストレスが惹起する子のストレス脆弱性の病態生理の解明に加え,その治療法の提案を期した薬理学的研究を行っている.その結果,行動学的検討において,妊娠期に強度のストレス刺激に曝露された親マウスから生まれた子マウスでは,成長後の一般情動行動の低下,不安感受性の増強およびストレス適応形成の障害が認められた.また,生化学的検討の結果,その発症機構の基盤として,脳内5-HT神経系の器質的あるいは機能的障害が関係している可能性が示唆された.さらに,胎生期ストレス刺激により惹起される情動障害に対する抑肝散の幼少期投与の効果について検討した結果,胎生期ストレス刺激により誘発される不安感受性の亢進は,抑肝散を生後3週齢から6週齢にかけて処置することにより改善した.本稿では,これらの著者らの研究成果を交え,胎生期におけるストレス刺激が子の精神機能障害を誘発する科学的根拠をまとめるとともに,子の安全かつ有効な薬物療法について議論する.
著者
文 公 輝
出版者
北海道大学アイヌ・先住民研究センター
雑誌
アイヌ・先住民研究 (ISSN:24361763)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.83-98, 2021-03-01

2019年5月に施行された「パワーハラスメント防止法」に関連して示された指針と行政通達は、法の運用にあたって「外国人である」属性が考慮要件とされることを明示している。つまり、職場におけるレイシャルハラスメントのうち、一定の人種差別言動が、事業所による措置義務の対象になった。「身体的な攻撃(暴行・傷害)」、「精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)」、「個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)」など、指針が示すパワーハラスメントの類型ごとに、外国人であることを理由としたハラスメントの具体的内容を検討・例示した。また、措置義務対象となるパワーハラスメントを構成する3つの要件、事業主が講ずるべき措置、講ずることが望ましい措置について、人種差別問題の観点から考察した。これら、措置義務対象となるパワーハラスメントを予防するためには、「グレーゾーン」のレイシャルハラスメントを把握し、適切対応を行うことが重要である。本稿は外国人であることを理由としたハラスメントに関する考察だが、ミックスルーツ/マルチルーツの人たち、アイヌの人たちに対するハラスメントも、パワーハラスメント防止法の措置義務対象となり得る。全ての人種的マイノリティの働く権利を増進するために、法に基づく措置義務を企業が積極的に果たしていくことが重要である。
著者
成嶋 理恵 笛吹 達史 小川 孝 嶋崎 智章
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.630-633, 2010-08-20 (Released:2016-09-07)
参考文献数
8
被引用文献数
5 5

猫内在性レトロウイルス(RD114ウイルス)はすべての猫の体細胞と生殖細胞内に内在化していることから,猫由来培養細胞を用いて製造される猫用混合生ワクチンに混入することが懸念される. 最近,Miyazawaらはいくつかの猫用弱毒生ワクチンにRD114ウイルスが混入していることを報告した[Journal of Virology]. そこで,国内既承認ワクチンにおけるその混入状況をLacZ マーカーレスキュー法によって調査した結果,供試ワクチン(4製剤,計30製品)の30%から感染性RD114ウイルスが検出された. 今回の報告はわれわれがワクチン中に感染性RD114ウイルスが存在することを実証したものである. これまでRD114ウイルスの猫に対する病原性およびRD114ウイルスの混入する当該ワクチンの接種による副作用については,いまだ明確ではない. また,同一のワクチンが製造販売されている欧米においても特段の規制措置は講じられていないことから,われわれは,現段階ではこれらのワクチンに対して緊急的な措置を講じる必要はないと結論付け,今後とも有用情報収集に努めることとした.
著者
諏訪 きぬ
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.46-56, 2017 (Released:2018-03-16)
参考文献数
15

子どもの生活に対する家庭の役割は押しなべて脆弱化し,社会的な支援が必要不可欠となっている。学童期の子どもの場合も例外ではない。小学校における学習・遊び・生活(学校給食)による子どもの生活権・発達権保障の役割は大きいし,放課後の学童の生活を学童保育によって守られている子どもも100万人を超えている。ここでは学童保育の運営に着手して日の浅い学童保育のフィールドワークとアンケート調査を通して,学童保育がどう家庭・学校・地域と連携しようとしているか,事例的にその実態を明らかにする。
著者
伊澤 幸洋 小嶋 知幸
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.16-28, 2018-03-25 (Released:2018-04-28)
参考文献数
19

まず,失語症候学における流暢/非流暢のdichotomyの源流に遡って,その概念成立の歴史的経緯を確認し,続いてBoston学派の諸家を中心に考案された「流暢性尺度」をめぐるいくつかの問題を論じた.また,流暢/非流暢の問題に関連する言語学からのコミットメントであるJakobson(1963)による選択/結合についても触れた.さらに,症例を提示しつつ,「流暢性尺度プロフィール」での評定と実際の障害構造の推定の間で齟齬をきたす事例を通していくつかの問題を提起した.最後に,失語学における流暢/非流暢のdichotomyが成立した歴史的意義は十分に理解しつつも,今日的視点に立つと,とりわけ訓練法立案という立場からみた場合,流暢/非流暢を参照枠として失語を捉えるアプローチはそろそろ収束すべき時期に来ているのではないかと述べた.
著者
横田 陽子
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.59, no.293, pp.1-17, 2020 (Released:2021-01-24)

This paper examines controversy during the safety examination of the first commercial nuclear power plant (NPP) in Japan, the Tokai Nuclear Power Plant, focusing on the issue of major accidents. Politicians, bureaucrats, business leaders, and engineers generally pushed for the plantʼs construction, while scientists̶mainly physicists̶opposed it. At the time, nuclear power technology was a rapidly growing field, with the knowledge of its safety yet to be established. The controversy revolved around four key issues: 1) how to develop NPP technology; 2) how to mitigate the risk of a major accident; 3) how to estimate the potential effects of such an accident on people; and 4) how to determine the "safety" of NPPs. In addressing these issues, scientists consistently upheld the three basic principles on nuclear research and development in Japan, namely democracy, independence, and public disclosure, emphasizing the importance of free discussion and rigorous scientific standards. By contrast, advocates of power plants opposed such an approach and supported the approval of the construction plan on the basis of administrative procedures. In this way, the knowledge on reactor and radiation safety offered by scientists was intentionally and politically disregarded.
著者
Kunihiro OGATA Tomoki MITA Takeshi SHIMIZU Nobuya YAMASAKI
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E98.D, no.11, pp.1916-1922, 2015-11-01 (Released:2015-11-01)
参考文献数
19
被引用文献数
5

Some unilateral lower-limb amputees, have through continued exertion, increase the foot reaction force of the sound leg. The asymmetric gait with a prosthetic leg may thus negatively affect the musculoskeletal health of the leg on the healthy side. Therefore, it is important for these amputees to learn how to adjust the balance of each foot load in training. The aim of this study is to develop a training support system visualizing floor-reaction forces using a color-depth sensor. The pose of the entire body of the amputee is measured by the depth sensor, and the floor reaction force is estimated based on Zero Moment Point (ZMP), which is calculated using the center of mass of the amputee. Evaluation experiments of the proposed method were performed and they confirmed the effectiveness of the estimation method and the training with the visualization of reaction force.

3 0 0 0 OA 西蝦夷日誌

著者
松浦武四郎 著
出版者
多気志楼
巻号頁・発行日
vol.初,2編, 1872