著者
小野寺 夏生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.273-277, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)

電子ジャーナルサイトJ-STAGEのアクセス統計データを用いて,このサイトから公開されている『情報の科学と技術』に掲載された記事の本文ダウンロードデータを分析した。延べダウンロード数は漸次上昇しており,最近は月3万件程度で推移している。特集記事や連載記事など,非会員に6か月のエンバーゴ期間を設定している記事の多くは,発行当月多くのダウンロードがあった後大きく減少し,6か月経過後に急上昇に転ずる。この推移の分析から,会員と非会員の閲読傾向について考察した。
著者
若林 三千男 大場 秀章
出版者
Japanese Society for Plant Systematics
雑誌
植物分類,地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-27, 1995-07-28 (Released:2017-09-25)
参考文献数
16

ホクリクネコノメの仲間(ホクリクネコノメ群)のホクリクネコノメとボタンネコノメソウは深山の渓流沿いなどの湿った場所に生え, 春先に花を咲かせる多年性草本で, 主として本州の日本海側寄りに分布している。ボタンネコノメソウはホクリクネコノメの分布域よりやや南側に生育し, 大井次三郎博士によって1933年, 種として記載されたが, 現在ホクリクネコノメの変種として扱われている。両者は主に, 花柱と雄しべが萼片より超出するか, またはそれより短いかで識別されるが, それらの変異についてはまだ詳しい解析はなされておらず, 変種関係とする理由も明らかにされていない。また両者の分布についても, 原(1957)および原と金井(1959)によって当時点での概略が示されているが, その後の詳しい研究はなされていない。最近, 岐阜県高山市在住の長瀬秀雄氏は, 飛騨地方一帯に変わったボタンネコノメソウがあることを発見された。私達はその実態を把握するため, 氏の案内で現地調査をする機会を得た。その結果, 花柱や雄しべが萼片より超出しない点はボタンネコノメソウに似ているが, 花はそれよりかなり大きく, 葯は赤色で萼が黄色を帝びるなとボタンネコノメソウとはかなり異なる特徴を示すことが確認された。さらにこの植物の分類学的位置づけを明確にするため, ホクリクネコノメ群全般にわたり, 花, 〓果, 種子表面の形態, 及び核型の変異を解析するとともに, 詳細な分布調査を行った。その結果, 上記の植物は, ホクリクネコノメとボタンネコノメソウと同様に2倍体(2n=22)で倍数性の変化はみられなかったが, 核型では一対の次端部動原体型染色体に付随体がある点でそれらと異なっていた(Fig.7)。また形態的には雌しべの形状や長さ, 雄しべの長さや葯と花糸の長さの比率など(Figs.1-3)でホクリクネコノメやボタンネコノメソウと明確なギャップがあり, 新分類群と認められた。特に〓果の形態では, 宿存する花糸は萼片と同長かわずかに短い点(Fig.4)で乾燥標本でも容易に識別できる。私達はこれにヒダボタンという和名をつけた。ヒダボタンのこれらの特徴はこれまで見過ごされてきたもので, ボタンネコノメソウと混同されていたと考えられる。また, ホクリクネコノメとボタンネコノメソウの間には上記の特徴では著しい差異があり, それぞれを変種関係とする形態学的証拠は見当たらなかった。さらに両者は異所的な分布圏をもち, まれにそれらが接する所では同所的に生育していることが分かった。これは生殖的隔離の存在を示唆するもので, 形態的ギャップと考え合わせると両者は既に種レベルまで十分分化したものと考えられる。ボタンネコノメソウは種として扱うべきだろう。これに伴い, ヒダボタンも種として扱うのが自然である。ヒダボタンも, ボタンネコノメソウとまれに混在して生育している所があり, まれに雑種と思われるものがあってもその花粉稔性は低い。ホクリクネコノメと同所的に生育している所でもそれぞれの種の特徴ははっきり維持されている。生殖的隔離が存在していると考えられる。最初に発見した長瀬氏の名にちなみ, ヒダボタンを新種Chrysosplenium nagaseiと命名・記載した。ヒダボタンは地域によって変異がみられるが, 種としては岐阜県中部を中心にした地域及び伊吹・鈴鹿山地に沿って南は三重県の野登山まで生育しており, 中国地方の山地にも散在的に分布する(Fig.8b)。岐阜県の西北部や滋賀県東北部(伊吹山地の西麓)には, 葯が黄色で萼も黄色または黄緑色で, 外観はボタンネコノメソウの品種キンシベボタンネコノメソウに似ているが, はっきりとしたヒダボタンの仲間が分布する。ヒダボタンより花がやや小さく, 分布的にもまとまっているのでこれを新変種ヒメヒダボタンvar.luteoflorumとした。また, 岐阜県西部の伊吹山地東麓, 養老山地, および霊山から野登山までの鈴鹿山地に分布しているものは, 外観は典型的なボタンネコノメソウとよく似るが, これもはっきりとしたヒダボタンの仲間である。ヒダボタンとは萼が赤褐色で花はそれよりずっと小さい点で異なっており, 新変種アカヒダボタンvar.porphyranthesと命名・記載した。中国地方に散在的に分布しているヒダボタンは, 現時点では標本によってのみ検討されたものなので, その実態については今後の調査を待ちたい。ヒダボタンの花や〓果は, ボタンネコノメソウとホクリクネコノメのものとの中間的な形態である。また, ヒダボタンは, ボタンネコノメソウとホクリクネコノメの分布域の間に位置するような分布をしている。これは, ヒダボタンがボタンネコノメソウとホクリクネコノメの間の雑種起源であるという可能性を示唆するものであるが, このことについてはさらに詳細な遺伝的解析が必要である。今回の研究でボタンネコノメソウとホクリクネコノメについても従来より詳細な分布状況を把握することができた。ボタンネコノメ
著者
富田 美穂子 江崎 友紀
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.199-204, 2003-12-31 (Released:2014-02-26)
参考文献数
17

口腔機能と全身との関係が明らかとなり, 咀嚼行為が健康維持に対して重要な役割を持つことが証明されてきた。咀嚼行為は脳内血流量を増やし脳神経に活性化を与えることから, 適切な咀嚼を可能にする口腔機能を維持する事が痴呆予防に最良で簡易な方法ではないかと推定される。それを証明するために痴呆の初期に惹起される前頭葉の機能減退と口腔状態の関係を調べた。私たちは多数歯欠損や不適合義歯のため正常な咀嚼機能を有していないと診断された患者29名を対象に, 補綴処置前 (1回目) と補綴処置後 (2回目: 咀嚼時に不快感がなくなった時期) に, 前頭葉機能の測定に広く利用されているかなひろいテストを施行した。被験者全員のテストの得点は, 1回目の平均値±SDが24.2±11.8, 2回目は28.1±13.2であり, 23名の患者において補綴処置後のテストで高得点を示した。さらに, 2回の得点の差を年代別に比較すると40歳代以下, 50歳代, 60歳代, 70歳代, 80歳代以上において, それぞれ10.5, 8.0, 2.5, 3.7, 1.8点となり若い患者の方が得点の相違が著しいことが明らかとなった。これらの結果から補綴処置による咬合の改善が物事に対する意欲, 集中力を高めたといえ, すなわち咀嚼機能を回復させると前頭葉機能が向上することがわかった。さらに, 年齢別の得点の相違から若年期の欠損歯の放置は高齢者に比べ脳機能に対しての影響力が強いことが示唆された。

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出版者
吉寿堂
巻号頁・発行日
1776
著者
陣内 正敬
出版者
関西学院大学
雑誌
言語と文化 = 語言与文化 (ISSN:13438530)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.47-60, 2008-03

日本語学習者がカタカナ語(外来語)を学習する際、どのような点にその困難を感じているかを探る目的で、全国的なアンケート調査を行った。調査は2006年7月から10月にかけて、全国の主な日本語教育機関(日本語学校、研修施設、大学、大学院など)に配布し、総計479人の外国人日本語学習者から回答を得た。彼らの母語別の内訳は、中国語49.7%、韓国・朝鮮語20.0%、英語4.2%、その他の言語26.1%であった。この調査から以下のことが明らかになった。1)カタカナ語の習得に困難さを感じるのは、学習者の母語によって大いに異なる。中国語を母語とする学習者が最も困難さを感じ、韓国・朝鮮語とその他の言語がほぼ同程度でそれに次、英語母語話者は最も抵抗が少ないことがわかった。これは、学習者の母語における語彙が、カタカナ語の由来となっている英語をはじめとする西洋語と、どの程度共通しているかによると思われる。2)カタカナ語学習要望は、学習者の英語学習期間の長短と関連が見られた。特に中国語母語話者に関しては、英語学習歴を3〜5年、6〜9年、10年以上と3つのグループに分けて比較すると、期間が短いほど熱烈な学習要望が出た。これまで日本語教育においては、カタカナ語教育はまともに扱われてこなかった。ただ、近年のカタカナ語の急増ぶりと日本語語彙の語種割合の変化を考えれば、カタカナ語教育の充実は緊急の課題といえるだろう。
著者
Shuhei Matsugishi Hiroaki Miura Tomoe Nasuno Masaki Satoh
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
pp.16A-003, (Released:2020-05-21)
被引用文献数
6

We show that a modification to the latent heat flux (LHF) formulation in Non-hydrostatic Icosahedral Atmospheric Model (NICAM) impacts the representation of a Madden–Julian oscillation (MJO) event during the Pre-Years of the Maritime Continent (Pre-YMC) field campaign in 2015. First, we compare the LHFs computed by the standard NICAM setting with those estimated from the ship observation during Pre-YMC. In this comparison, the NICAM LHF is smaller than observation in the low wind speed region and larger in the high wind speed region. Consequently, the MJO signal weakens when it passes over the Maritime Continent (MC). Next, sensitivity experiments are conducted with a modification to the threshold minimum wind speed in the bulk formula, to enhance the LHFs in the low wind speed region. With this modification, propagation of the MJO is better simulated over the MC, although a bias still remains without corrections in the high wind speed regions. This result indicates that increasing the LHF in the low wind speed region likely contributes to a more effective accumulation of moisture over the eastern MC region and consequently allows the MJO to pass over the MC in the model.
著者
大井 一弥
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.12, pp.1553-1556, 2019-12-01 (Released:2019-12-01)
参考文献数
10

The skin is the largest human organ, comprising the epidermis that is composed of epithelial tissue, the dermis composed of connective tissue, and the innermost subcutaneous tissue. Generally, skin conditions are due to aging and the influence of the external environment, but empirically patients with gastrointestinal diseases are more prone to pruritus and inflammation caused by dry skin. A decrease in the skin barrier function, involving immunocompetent mast cells and oxidative stress, was noted in indomethacin-induced small intestine inflammation, dextran sodium sulfate (DSS)-induced ulcerative colitis, and azoxymethane+DSS-induced colorectal cancer. A possible correlation was found to exist between inflammatory gastrointestinal diseases and the skin, and this correlation was investigated using a rheumatoid arthritis model as representative of inflammatory diseases. Similar to previously reported results, deterioration of the skin barrier function was observed, and new information was obtained by analyzing changes in inflammatory markers in the blood and skin tissues. Understanding the underlying mechanism of decreased skin barrier function will help in establishing effective prophylaxis and treatment methods and clarify the importance of crosstalk between organs. It will also help accelerate drug development.
著者
的場 輝佳
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.538-546, 2005-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

昔から関東のこい口文化, 関西のうす口文化といわれ, それは何故? また東海道ではどのあたりに境目があるの, 関が原? 筆者は東海道沿いのうどんのだし汁を実際に分析調査し, 東西の食文化の境目を明らかにした。参考にされたい。