著者
浅野 博文 橋本 陽介 間瀬 憲一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.14, pp.37-42, 2003-04-11

本論文では,ブルートゥースマルチホップ無線ネットワークの実験システムを構築し,データ配信に関して実験的な検討を行う.ネットワーク構築方法として,3通りの方法を考える. PAN(Personal Area Networking)プロファイルを用いて各端末をデータリンクレベルのブリッジとして動作させる場合,PAN Profileを用いて各端末をルータとして動作させる場合,LAN Access Profileを用いる場合である.実験のネットワーク構成は,マスター/スレーブブリッジを介する4ホップのストリング型ネットワークである.各端末をルータとして動作させる場合において,AODV(Ad hoc on Demand Distance Vector)のルーテイングプロトコルを実装した.それぞれのネットワーク構成において,1〜4ホップのPingによるRTT測定,品質測定ツールNetperfによるスループット測定によって性能評価を行った.これにより,安定した通信を行うためのマルチホップ無線ネットワーク実現条件を明らかにした.
著者
小野澤 郁佳 久米 朋宣 小松 光 鶴田 健二 大槻 恭一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.366-370, 2009-10-01
参考文献数
25
被引用文献数
1 10

林分蒸散量の算定において樹液流計測は有力な手法だが,竹に樹液流計測が適用可能であるかは明らかでなかった。本研究では竹林蒸散量算定の第一歩として,樹液流計測による竹の個体レベルでの蒸散量の算出方法の確立を目的とし,モウソウチクにおいて自作の長さ1cmのGranierセンサーによる樹液流計測,切り竹による吸水量計測を行った。その結果,自作センサーにより桿内の水の上昇(以下,樹液流と呼ぶ)の検出が可能であり,計測された樹液流と吸水量の時系列変化は良好に対応した。量的には,従来の樹液流速換算式によって計算される単木あたりの樹液流量が吸水量より過小となることが示され,新たな樹液流速換算式を提示した。以上より,樹液流計測によるモウソウチクの個体レベルでの蒸散量の測定が可能となった。
著者
望月 栄治 矢島 善次郎 岸 陽一 清水 謙一 吉田 敏樹
出版者
Japan Foundry Engineering Society
雑誌
鋳造工学 (ISSN:13420429)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.345-350, 2006-07-25 (Released:2012-12-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

The machinability of gray cast iron is well-knwn to depend on its graphite morphology and matrix structure. However, machinablility occasionally changes even if graphite morphology or matrix structure has not varied. We have therefore focused attention on seasoning and stress relief annealing known to improve machinability without changing the graphite morphology or matrix structure, and carried out machining tests and a series of ultrasonic transmission speed measurements, tensile test, hardness test and structure evaluation while varying the conditions for seasoning and stress relief annealing. As a result, it was found that seasoning applied specimens subject to seasoning greatly vary in machinability despite small changes in the ultrasonic transmission speed, tensile strength, and hardness. Furthermore correlation between ultrasonic transmission speed and amount of machining tool wear was seen in some parts of the stress-relief-annealed specimens with little changes in the optical microstructure and mechanical properties.
著者
馬場 哲生
出版者
東京学芸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

大学生を対象として速聴タスクの効果を検証した。学習内容としては英語の音声変化を取り上げ、タスクとしては音声識別の可否を詳細に判定出来る書き取りを用いた。各被験者の使用したマテリアルは、2枚のCD-R、27頁の問題タスク冊子(7日分)、9頁の解答用紙からなる。前半の3日間が弱形・同化・連結などの性質を持つ音声素材(1日約30分)による学習であり、後半の3日間が各種リダクションを扱ったより高難易度の音声素材(1日約40分)による学習である。調査は、1)プリテスト→2)6日間のリスニング学習→3)7日目のポストテスト、からなる。前半の3日間におけるタスクは、「a)書き取りテスト⇒b)学習タスク⇒c)書き取りテスト⇒d)学習タスク⇒e)書き取りテスト」を1セットとした。後半の3日間は、「a)書き取りテスト1⇒b)学習タスク1⇒c)書き取りテスト1⇒d)書き取りテスト2⇒e)学習タスク2⇒f)書き取りテスト2」を1セットとした。学習タスクは、実験群においては、「i)スクリプトを見ながら通常スピード音声の口頭反復→ii)スクリプトを見ながら1.5倍速の口頭反復→iii)スクリプトを見ないで1.5倍速のリスニング→iv)スクリプトを見ながら2倍速の口頭反復→v)スクリプトを見ないで2倍速のリスニング」を1セットとした。統制群においては、タスクはすべて通常スピードであり、「i)スクリプトを見ないでリスニング→ii)スクリプトを見ながら口頭反復→iii)スクリプトを見ないで口頭反復→iv)スクリプトを見ながらシャドーイング」を1セットとした。タスク前後の書き取りのパフォーマンスを実験群・統制群で比較することによって、学習の効果を検証した。実験群の明確な優位性は認められず、速聴は比較的効果の実感されやすい学習直後の音声認識においても必ずしも有用であるとは言えないことが示唆された。
著者
岡田 美弥子
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.229-258, 2014-01-24

本稿の目的は,コミックとアニメ,キャラクター商品の事業間関係に焦点を当てて,日本のマンガビジネスがどのように発展していったのかを明らかにすることである。本稿で提示したアニメ製作会社およびキャラクター商品企業の事例に加えて,本稿に先駆けて行ったコミック事業の分析をもとに考察した結果,日本のマンガビジネスは,3つの事業がそれぞれの強みと制約を補完し合うことでもたらされたシナジーによって発展してきたことが解明された。このシナジーを生み出したのは,コミック事業を担う出版社とアニメ製作会社,キャラクター商品企業が,マンガという資源を用いた事業で試行錯誤を繰り返しながら築き上げていった相互依存関係,すなわちマンガのビジネスシステムである。
著者
二ツ木 高志
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.98, 2009-02-01 (Released:2009-10-09)
参考文献数
8
被引用文献数
2
著者
谷口 孝介
出版者
Society of Japanese Language and Literature, University of Tsukuba
雑誌
日本語と日本文学 (ISSN:02856352)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.1-11, 2019-12-28

〔付記〕本稿は、和漢比較文学会第十回特別例会(二〇一七年八月三一日、中国、西北大学)における口頭発表に基づいている。席上貴重なご意見を賜った各位に感謝する。また科研費(基盤研究(C)17K02423、研究代表者:白井伊津子氏)による研究成果の一部である。
著者
吉田 京子
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.423-444, 2004-09-30 (Released:2017-07-14)

イスラーム世界全般に見られる(聖者)廟参詣は、これまで専ら文化人類学的研究の対象とされてきた。それらは、廟参詣を「公的」イスラームとは異なるものとして捉え、一般信者による「民衆的」行為として語ることが多い。しかしながら、イスラームには廟参詣を教義的イスラームと深く関わるものとして捉える事例も存在している。その一例として本論が採りあげるのが、十二イマーム・シーア派のイマーム廟参詣理論である。同派のイマーム廟参詣は、単なる墓参りではなく、「原初的過去からの伝統の継承」であり、「イマーム性の原理の確認行為」であり、そこから得られる報酬は、シーア派信者としての義務を果たした結果得られる正当な権利と理解されている。同派のイマーム廟参詣は、民衆による自発的実践行為であると同時に、「イマーム」に関わる点において、知識人側からも綿密な理論化を受けたものであり、正式なイスラームの信仰行為として展開されているものである。
著者
VERA Alonso H. SIMON Herbert A.
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 = Cognitive studies : bulletin of the Japanese Cognitive Science Society (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.5-15, 1995-02-25
参考文献数
11

本論文では, 状況的行為 (Situated Action: 以下SA) アプローチと記号処理アプローチとの違いについて, 記号の概念, 表象, プラン, インタラクションの4点で検討する.<br>第一に, SA派は物理記号系仮説が人間の日常の認知には不適切だと主張しているが, 彼らは記号概念を誤解している. 物理記号系においては, 記号とは「何かを指示するパターン」である. それは感覚刺激から形成され, 記憶に貯えられ, 処理され, 運動を生じるものである. ところがSA派は, 物理記号系の「記号」は言語のような明示的な意味解釈を受けるものに限られており, 道の曲がり具合や温度計の水銀柱の高さといった日常生活で扱われている非言語的な「信号」を扱うことができないと誤解している.<br>第二に, SA派は表象が不要であると主張する. 確かにある種の状況においては行為者の持つ表象は単純なもので間に合うが, 表象を持たずに知的な行為をするシステムは未だかつて記述されたことがない. 少なくとも行為が合目的的である限り, 目標や目標と状況や行為との関係については表象されていなければならない. さもなければ, 行動主義心理学に戻ってしまう. また, 生態学的アプローチでは, 行為者と環境との関係である「アフォーダンス」は直接に知覚され, 何のプロセスも必要としないという. しかし, メンタル・プロセスが無意識あるいは意識下で生じるということは, それらが記号処理プロセスでないという証拠にはならない. また, 行為が柔軟であるということは, すべてが新しく生成されていることを意味しない.<br>第三に, SA派の言うように行為はしばしばプランなしに行われる. しかし, それは人間がプランを全く用いていないことを意味しない. プランは常に抽象的であり, 実行時に下位レベルの実装を必要とする. また, プラン通りに遂行されるかどうかは, その遂行途中で生じる出来事に依存している. プランの重要な特徴は, 状況的な行為を必要とするような機会を最小化することにある. ゆえに, 人間がプランを形成し, 行動がそれに影響されることと, 多くの行為が状況的であることとの間には, 何の矛盾もない.<br>第四に, SA派はインタラクションを重視し, アフォーダンスを引き出して適切に反応することによって, 環境に適応できるのだと主張する. しかし, それは環境が比較的独立な構成要素に分割でき, システムが備える方略で間に合うほど環境が単純である場合に限られる. 方略が用意されていない状況は無視されてしまうため, システムは不適応な行動をとることになる.<br>結局, SA派のように, もし研究の目的がSuchmanらが研究したようなコピーをとるというような課題を活動として理解することならば, 活動に注目するのは適切であり, 人間は活動の中の相互作用的構成要素として研究されれば十分である. しかし, その状況の中で人間は思考している. われわれの目的が, 人間が外界とどのように相互作用するかを理解することであるなら, 思考のプロセスに注目することが重要である. 記号派とSA派を分けているのは異なる課題と行動への注目である. 問題は両者の知見をどう統合するかであり, 両者を共約不可能なパラダイムと考えていては認知の理解は進まない.
著者
やく みつる 鈴木 亮
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.334, pp.102-104, 2010-09

それは手前が勝手に作った説なんです。先達を見ますと大御所の方も含め60歳前後で亡くなってます。漫画家の60歳が世間の90歳に相当するのかなと。そこから1・5倍説を導き出し、おのれは40歳のときに60歳ではないかと。生前葬があるなら、事前還暦祝いがあったもいいだろうと担当の編集さんを集め、自分の方から強制的に祝っていただきました(笑)。