著者
Yoshimasa SUZUKI Minoru MIZUHATA
出版者
The Electrochemical Society of Japan
雑誌
Electrochemistry (ISSN:13443542)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.103001, 2022-07-11 (Released:2022-07-11)
参考文献数
40
被引用文献数
1 3

We have established a method for measuring the zeta potential generated at the interface between a nonaqueous electrolyte solution utilized in LiClO4/propylene carbonate (PC) electrolyte and lithium cobalt oxide (LiCoO2) by the streaming potential method. Since the surface potential of the metal oxide dispersed in the aprotic nonaqueous solvent contains only a very small amount of water-based potential-determining ions such as H+ and OH−, the potential is determined by the adsorption of the solvated electrolyte itself. Unlike aqueous systems with potential-determining ions that exhibit specific adsorption, it took a very long time until the equilibrium state of the ion distribution near the solid surface was reached and the potential stabilized, with a time constant that amounted to about 5 minutes. Therefore, a detailed analysis of the change over time of the potential after the pressure setting showed that the predictive potential showed a change over time with almost a single relaxation having certain time constant. The measurement time of the streaming potential was corresponded to about the time constant, and the resulting zeta potential showed an anomalous concentration dependence as a maximum around 1.0 mol L−1 PC and a minimum at 1.5 mol L−1 PC for the concentration of each solution.
著者
神人 正寿
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.275-278, 2023-01-15 (Released:2023-01-15)
参考文献数
15

本邦でも乳児血管腫に対してプロプラノロールが使用可能となり,それまで治療に難渋してきた生命や機能を脅かす病変,多発・広範囲の病変,増殖が急激な病変,皮下型の病変,潰瘍を形成する病変などに対する治療選択肢が広がった.一方,生後5.5~7.5週でもっとも急速に増大し,5ヶ月までにピーク時の80%の大きさに達するとされる本腫瘍に対し,プロプラノロール治療介入のタイミングに関してはいまだ臨床現場において完全には意見が定まっていない.本稿では乳児血管腫に対するプロプラノロール治療の考え方とそのタイミングについて,最新の議論を紹介したい.
著者
丸山 茂
出版者
国立女性教育会館
雑誌
国立女性教育会館研究紀要 = Journal of the National Women's Education Center of Japan
巻号頁・発行日
vol.8, pp.3-12, 2004-08-01

多様な要因が絡み合う次世代再生産の問題を家族の視点だけから解明することにはもちろん限界がある。そのことをふまえた上で、出生行動に影響する家族慣行の変化を「排他的親子関係」「嫡出性の基礎としての婚姻家族の衰退」「職業生活と家族生活」「世代間の連帯」について考察していくと、以下の事実が明らかになる。現在の出生行動や子育て環境は、婚姻家族規範の強制と動揺の中で、新たな指標も見いだせずに方向性を失った状態にあるということである。「排他的親子関係」は、嫡出家族における父母と子どもという閉じられた関係を子どもの育成の基本とすることを意味している。この排他的親子関係は、子育てのネットワークを社会的に開いていく契機を持たないところに特徴があるが、再編家族や特別養子をとおして、排他性を見直すべき現実が拡大していることがみえてくる。日本社会の強固な嫡出性の原理の存在についてみると、婚姻内で子どもを産むという規範を強いることによって、性行動と生殖行動がライフサイクルの中でいっそう分断され、晩婚化と相まって子どもを産みにくくしているとみることができる。また女性労働の社会的重要性にもかかわらず、職業生活と子育てとを両立させるための社会的な措置が、働くものの具体的なニーズに応じて作られているかも問題であり、フランスとの比較をとおしてみれば、それが不十分であることも明らかである。さらに、世代間の連帯を祖父母と孫との関係でみると、父系性が衰退し、夫方、妻方の双方が孫との関係を親密に形成することが多くなっている。その親密さは、子どものしつけには介入しないという距離を置いた連帯関係となっている。これらの家族慣行の変化をとおして読み取れることは、象徴としての婚姻家族の衰退であり、新しい象徴体系としての家族像が求められているということである。次世代再生産の問題もまた、この文化の革新の中で解明されていかなければならない。

2 0 0 0 OA 泊り舟

著者
北原 白秋[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1932-06
著者
高橋 由典
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.3-21, 2019-02-01 (Released:2021-07-10)
参考文献数
10

本稿は一九六〇年代初頭に少年たちを主たる担い手として生じたモデルガンブームを取り上げ、それを正確に記述することを通して、このブームの社会学的な含意を明らかにすることをめざす。 一九六〇年代初頭、少年週刊誌を主たる舞台として、戦争ブームが起こった。戦後十数年を経て突如生じたこの戦争への熱狂は、戦後史の観点からも社会学の観点からも興味深いものであり、研究者の関心を引いてきた。モデルガンブームはこの戦争ブームとほぼ同時期に生じたものであり、両者を合わせて考えると、この時期に、人間を殺傷する暴力への関心が少年たちの間で異様に高まったようにみえる。この文脈でモデルガンブームを考えることが、本稿の課題である。 モデルガンは収集を目的としてあるいは審美的理由で欲望されたのではなく、それを使って遊ぶために欲望された。 モデルガンブームの中心には、モデルガン遊びがある。モデルガンへのそのような一時的かつ集合的な熱狂は、当時国民的人気を博していたテレビ西部劇をきっかけとして生じた。モデルガン遊びとは、テレビ西部劇を再現する遊びにほかならない。その際の焦点は暴力なので、それは暴力の上演とよびうる。むろん暴力の上演には多様なものがある。モデルガン遊びという暴力の上演に固有の特徴は何か。この問いに対し、本稿は、作田啓一の虚構の重層化に関する議論、あるいは見立て忘却、体験選択といった筆者独自の概念に依拠しつつ、また上述の戦争ブームについての分析を深化させることを通して、鍵となるのは「アメリカ」ではないかという仮説を提示している。
著者
南部 博彦
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.713-718, 1980-07-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
23

Thirty years have elapsed since the initial phenol manufacturing process by the auto-oxidation technology was commercialized in Canada, and today, the annual world-wide production of phenol from cumene has reached approximately 3 million tons.Subsequently, the technology of the hydroperoxide process was successfully applied to industrial production of such phenols as cresol and hydroquinone in the 1970's. Furthermore, the commercial manufacture of resorcin using the said technology will be realized in Japan in 1980.Various developments covering the manufacturing process for phenols mentioned above were discussed mainly focussing on the chemical reactions of the respective processes.
著者
和嶋 浩一 井川 雅子 矢崎 篤 三田 雅彦 住井 裕 木津 真庭 小飼 英紀 鈴木 彰 藤岡 健 野本 種邦
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.764-772, 1988-07-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
10

The purpose of this study was to clinicaly evaluate the efficacy of an antianxiety Etizolam (Depas®) on temporomandibular joint disorders. The subjects were 33 patients (10 males and 23 females, average 34 years 5 months) with myogeneous complaints. Etizolam was administered in a daily dose of 1.5 mg (0.5 mg × 3 times), and all subjects didn't take any other treatment for 2 weeks.1. The efficacy rate of all subjects was 76%.2. As a result of analysing efficacy according to chief complaints, the efficacy rate was a high 100% for a group suffering from stiff neck and shoulder, 92% and for a group with opening pain at the TMJ.3. As a result of analysing improvements of each sign and symptom, the efficacy rate was a high 92 % for headache, a high 88%, 81%, and 80% respectively, for tenderness of the temporal muscle, masseter muscle, and sternocleidomastoid muscle, and a high 84% for mouth opening pain.Statistically significant differences (p<0.01) were found in the above signs and symptom between before and after treatment.4. The efficacy rates of joint sound and trismus were a low 43% and 40%, because some cases of joint sound and trismus were caused by the internal derangement of the TMJ, and generally, internal derangement of the TMJ doesn't respond to drug treatment.5. Side effects were observed in 3 cases, such as slight sleepiness.6. It is suggested that Etizolam is a usefull drug for treatment of temporomandibular joint disorders, except in cases of chronic internal derangement of the TMJ
著者
武田 信明
出版者
島根大学
雑誌
島大国文 (ISSN:02892286)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.108-118, 1993-03-01
著者
岩田 惠美子 後藤 昌弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2022年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.113, 2022 (Released:2022-09-02)

【目的】ブロッコリーやコマツナなどのアブラナ科野菜を低温スチーミング加熱した場合,アスコルビン酸含量が増加することをこれまでに報告した。他のアブラナ科植物でも同様の作用が見られるかを検討するため,同じアブラナ科で,奈良県の伝統野菜の一つである『大和まな』を低温スチーミングで加熱し,アスコルビン酸含量の変化を調査した。【方法】『大和まな』は仲卸業者から購入し,外葉部と内葉部ならびに葉身部と葉柄部に分けてオーブンレンジ(東芝製ER-SD5000)の低温蒸し機能を用いて60℃と80℃加熱を行った。加熱前と加熱5,10,15分時の総アスコルビン酸含量と酸化型アスコルビン酸含量の測定は,ジニトロフェニルヒドラジン法を用いた。検定は一元配置分散分析の後,Tukeyの多重解析を行いp<0.05を有意とした。【結果・考察】総アスコルビン酸含量は,60℃加熱ではすべての部位で加熱前より有意に増加した。80℃加熱ではすべての部位で加熱前より有意に減少したが,内葉・葉柄部のみ15分加熱で増加し,加熱前と差が無くなった。酸化型アスコルビン酸含量は,60℃加熱ではすべての部位で加熱前より有意に増加した。80℃加熱では,外葉・葉柄部で加熱前と5分加熱で差がなかったものの,他の部位では加熱後5分で増加し,その後はすべての部位で減少した。還元型アスコルビン酸含量は,60℃加熱ではすべての部位で加熱前より有意に減少した。80℃加熱では内葉・葉柄部で5分と10分加熱で減少したが、加熱15分では増加して加熱前と差が無くなった。しかし,その他の部位では加熱により有意に減少した。本研究は,JSPS科研費(JP18K02197)の助成を受けたものである。
著者
水本 篤
出版者
統計数理研究所
雑誌
統計数理研究所共同研究リポート238 「言語コーパス分析における数理データの統計的処理手法の検討」
巻号頁・発行日
pp.1-14, 2010

本研究では,サンプルサイズが小さい場合に使用される統計的検定の比較を行った。特に,従来から使用されることが多いパラメトリック検定とノンパラメトリック検定,そして,並べ替え検定とフィッシャーの正確確率検定という正確なp値を得ることができる方法を比較することを目的とした。