著者
中野 由章
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.412-415, 2022-07-15

本会は第81回全国大会より,全国大会併催イベントとして「中高生情報学研究コンテスト」を実施している.中高生が情報学に関して探究的に学んだ内容を1枚のポスターにまとめ,それを発表するこのコンテストは,本会の重要なイベントとして定着しつつある.そこで,このようなコンテストを本会が実施することの意義について述べる.また,実際の審査の様子を紹介するとともに,どのような課題があるかも紹介する.
著者
下楠 昌哉 シモクス マサヤ Masaya SHIMOKUSU
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-31, 2003-03-31

本論では、ブラム・ストーカー(1847-1912)の初期の小説作品である『蛇峠』(1890)、『ドラキュラ』(1897)、『海の神秘』(1902)における風景描写と、登場人物たちが利用する交通機関との関係性を扱う。鉄道の登場とその速度、および一九世紀半ばのイギリス本土における鉄道網の確立と旅行の大衆化は、ヴィクトリア時代の人々の視覚に重大な変容をもたらし、風景を見る者から隔絶した次々と移り変わる「パノラマ」として捉える感覚を、人々に遍く実装させるに至った。ストーカーの三作品はどれも旅行者を主人公としており、それらの作品における風景描写は、風景とそれをまなさす者との間の断絶と、その断絶を生み出した列車の速度の影響をはっきりと表象している。テクノロジーの発展と人間の知覚の変容との関係性を記録したメディアとして、ストーカーの小説を読み込んでゆくこと。それが本論で試みられているプラクシスである。
著者
新海 雄一 シンカイ ユウイチ Yuichi SHINKAI
出版者
総合研究大学院大学
巻号頁・発行日
2004-03-24

地球磁気圏では様々な電磁流体波が存在する。この中で、周期が10秒~150秒(6.6mHz~100mHz)の脈動はPc3-4地磁気脈動に分類され、昼側の磁気圏および地上で頻繁に観測される現象である。頻繁に観測されるこの脈動を本論文では古典的Pc3-4脈動と呼ぶ。古典的Pc3-4脈動は地球磁気圏前面のBowshock上流のイオンサイクロトロン不安定性によって発生し、それが磁気圏シース領域を経て、地球磁気圏内に伝播してきていると考えられている。しかし、磁気圏シース領域内でのPc3-4脈動の特性はあまり明らかになっていない。また、地上の磁力計や電離圏の観測から、Pc3-4脈動の強度が磁気圏シース領域とつながっていると考えられる高緯度カスプ域で最大となることが報告されているが、その伝播機構についてもあまり明らかにされていない。本研究では、磁気圏シース領域と電離圏カスプ域を含む高緯度電離圏でのPc3-4脈動を同時に観測し、その現象の特性を詳しく解析・研究することにより、Pc3-4脈動の発生・伝播機構を明らかにすることを目的としている。<br /> この目的の為に、南北両極域の広域電離圏を観測するSuperDARN HFレーダーと磁気圏シース領域を観測するGEOTAIL衛星との同時特別観測を企画・実施した。この特別観測では、SuperDARN HFレーダーはPc3-4脈動を検出するために特定のビームのみを高時間分解能モードで観測した。特別観測は2002年1月から2003年3月までの間、GEOTAIL衛星がSuperDARN HFレーダーの視野下を通過する軌道に合わせて7回実施した。また、2003年からは、CUTLASSレーダーではステレオモードを用い、グローバルスキャン観測も同時に実施している。その結果、2002年2月12日と2003年2月17日に明瞭なPc3-4脈動を観測することができ、その詳細な解析・研究を行った。<br /> 2002年2月12日の観測では、これまでのHFレーダー観測では報告されていないPc3-4脈動現象がCUTLASS Iceland Eastレーダーで観測された。この脈動の周波数は16.4mHz~19.7mHz(約50秒~60秒)であり、波数は5~9と小さかった。波数が小さい脈動は地上でも同様な地磁気脈動が観測されることが知られている。しかし、地上に存在する地磁気観測点では同じ周期の磁場変動は観測されなかった。また、エコーパワーがドップラー速度と同様に周期的に変動し、相互の位相差が90゜であった。この脈動現象に、過去の研究でPc3-4脈動の発生・伝播機構であると考えられている磁力線共鳴を適用した場合には、本観測で得られている脈動の特徴を十分に説明することはできなかった。そのため、エコーパワーが周期的な変動をしていることと、1keV以下の電子のフラックスがエコー領域内で増加したことから、本観測で得られた電離圏電場脈動は、Pc3-4脈動によってmodulateされた電子フラックスの振込みによって励起された電離圏電場の変動であると考えた。その結果、地上磁場との相関や、エコーパワーとドップラー速度の位相差、および脈動の伝播方向について説明することができた。このため、観測された電離圏電場脈動は、古典的なPc3-4脈動ではなく、電子の振込みによって発生した電場変動であると結論した。<br /> 2003年2月17日に行われた観測では、より明瞭なエコーを得るために、CUTLASS HFレーダーの視野内にあるEISCATヒーターによる電離圏加熱実験も合わせて行った。その結果、地磁気の南北方向を視野とするCUTLASS Finlandレーダーにおいては周波数が13.1mHz~16.4mHz(約60秒~75秒)の明瞭なPc3-4脈動が観測された。一方、地磁気の東西方向を視野とするCUTLASS Iceland Eastレーダーでは、同じ加熱領域から周波数が~4.7mHz(約212秒)のPc5脈動が同時に観測された。この特性は、Pc3-4脈動は南北方向に偏った振動を、Pc5脈動は東西方向に偏った振動をしていることを示唆している。このPc3-4脈動は波数が50~100と大きく、この電離圏脈動に対応する地磁気脈動は地上の地磁気観測点で観測されていなかった。一方、Pc5脈動は波数が~10であり、多くの地磁気観測点で観測されていた。また、この二つの脈動の開始時刻にはずれがあり、異なる発生機構による脈動が同一磁力線上に存在していたことを示唆している。このPc3-4脈動の発生機構は、脈動の特性がGiant Pulsation(Pg)とよく似ていることから、pgと同じドリフト共鳴が候補にあげられる。この脈動は、位相の空間的変動が、ある時間を境に、位相遅れが低緯度側方向から高緯度側方向へと変化が逆転する特徴を持っていた。この位相変化の特性に関しては、同時に観測されたPc5脈動の位相変化から、プラズマ圏境界付近における急激なプラズマ密度の増加によるAlfven速度の減少によって説明できる。<br /> 以上のことから、本研究によって観測された2例の高緯度電離圏電場Pc3-4脈動は、これまでに地上や衛星で多くの観測・研究が行われてきている発生頻度の高い古典的なPc3-4脈動とは異なった特徴を持つ別なタイプの脈動であることが、電離圏でのHFレーダーの観測によって初めて明らかになった。<br /> 以下、本論文の構成について述べる。論文は5章から構成されている。第1章では、地球磁気圏における脈動現象、および、これまでのPc3-4脈動に関する研究結果について概説し、本論文の目的と意義を述べた。第2章では、本研究に使用した観測機器について述べた。本論文で使用している極域電離圏の電場データは、CUTLASSレーダー、SENSU Syowa Eastレーダー、Kerguelenレーダーによって観測されたものである。さらに、宇宙空間でのデータとしてGEOTAIL衛星を使用し、地上磁場データとしてIMAGE磁場観測チェーン、SAMNET磁場観測チェーン、Iceland Tjornes観測点、Jan Mayen観測点、南極Davis基地観測点を使用した。第3章では、観測の詳細と得られたデータの解析結果、および、観測された脈動現象の特徴について述べた。第4章では、本観測で得られたPc3-4脈動の考察を行った。第5章は、本研究のまとめである。
著者
鈴木 崇雅 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.16, pp.1-6, 2019-03-01

デジタルゲームAIのコンペティションを開催するWeb上のプラットフォームRiddles.ioでは,二人零和有限確定完全情報ゲームであるGame Of Life And Death(GOLAD)のAIコンペティションが行われている.GOLADは,AIに許容される思考時間が非常に短い上に分岐が非常に多いため,乱数対戦を行うだけの単純なモンテカルロ木探索では十分なシミュレーション回数が得られなかった.本研究では,Bitboard計算を用いて局面計算の高速化を行うとともに,プレイアウトに工夫を加えることでモンテカルロ木探索の効率化を図ることで,少ない計算量で妥当な探索ができるシステムを提案した.その結果、単純なモンテカルロ木探索のAIに対して有意に強くなることを確認した.また,現在CNNを用いた改良も行っており,発表までに間に合えば,その結果についても言及する.
出版者
専修大学学会
雑誌
専修人文論集 (ISSN:03864367)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.xiii-xxiii, 2013-03-15
著者
高 巖 Iwao Taka
出版者
麗澤大学経済学会
雑誌
麗澤経済研究 = Reitaku International Journal of Economic Studies (ISSN:09196706)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.57-66, 2010-03-10

In this article, we describe how management philosophy affects corporate performance.For this purpose, we conducted experimental and statistical analyses on two corporations and clarified causal relationships between management philosophy and members’ performance(their commitment, motivation, contribution, etc.).At the beginning, we introduced three variables, which make it easier for us to understand how individuals treat management philosophy: (1) reflecting philosophy on actual behavior, (2)knowing and understanding philosophy, and (3) having sympathy for philosophy.Using the results of the experimental research, we explore a persuasive model, which satisfactorily explains how those variables indirectly affect corporate performance via other factors. Second, with this model, we describe, for example, the way senior officers treat management philosophy influences the extent to which followers accept the philosophy. We also suggest that a sense of unity and solidarity helps members take the philosophy seriously. Third, we discuss how management philosophy triggers innovative behavior in organizations.The point we have tried to make in this article is that the more deeply and widely management philosophy permeates an organization, the higher and the stronger performance (of individuals) could be achieved.
著者
宮崎 正浩
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.34, pp.5-23, 2022-08

コンゴ民主共和国東部など紛争地域においては、企業は、深刻な人権侵害など、重大な悪影響に手を貸すことになったり、巻き込まれたりする危険にも晒されている。OECDは2011年に「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」を制定し、企業が紛争地域における人権侵害や紛争に手を貸してしまうことを回避するための枠組みを提示した。これを受け、米国及びEUでは、企業が使用する紛争鉱物が紛争地域において軍事組織に対し資金又は利益を与えていないかをデュー・ディリジェンスを用いて調査し、その結果を公表することを義務化する法規制が導入された。日本においては、法的措置は導入されていないが、企業の社会的責任(CSR)として紛争鉱物に関する調査が行われている。 本研究は、OECDガイダンスを基にした米国とEUの法規制が導入されることによって、コンゴ東部において紛争鉱物に係る人権侵害などにどのような影響を与えたのか、今後日本としての紛争鉱物に対しどのように取り組むべきかを明らかにすることを目的とする。 本研究では、紛争鉱物に関する米国とEU 規制の概要、これらに関する先行研究の概要をレビューした後、日本企業の紛争鉱物に対する取り組みの調査を行い、その成果を基に考察した。 日本では、紛争鉱物に関する法規制はなく、企業の社会的責任として自主的な取り組みがされているため、日本企業は欧米企業に比較して取り組みが遅れている可能性がある。このため、日本企業の紛争鉱物に関する取り組みを欧米企業と比較して客観的に評価するとともに、日本において紛争鉱物に関するデュー・ディリジェンスを法的義務化することを含め、今後の対策についての検討が強く望まれる、と結論付けた。
著者
中園 宏幸 廣瀬 喜貴
出版者
同志社大学学習支援・教育開発センター
雑誌
同志社大学学習支援・教育開発センター年報 = Doshisha University annual report of Center for Learning Support and Faculty Development
巻号頁・発行日
no.6, pp.28-50, 2015-10-23

本稿は、滞在型ラーニング・アシスタント(LA)の設置にともなって生じる待機時間を効果的に活用するためにはどうすればよいのかを明らかにする。この目的に対して、同志社大学のLAを対象に質問紙調査を行うことにより、広報活動を積極的に行っているLAは勤務満足度が高いということを実証した。広報活動はLAが自律的に創りだした業務であるという点から、LAの自己統治を尊重することが重要となる可能性が示唆された。
著者
大島 千佳 西本 一志 鈴木 雅実
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.157-171, 2005-01-15

本論文では,演奏初心者の親が,初級者の子どもと容易にピアノ連弾できるようにするシステム“Family Ensemble” を提案する.近年,ピアノ・レッスンに連弾が取り入れられ,連弾を通じて生徒の練習意欲が高まったという報告がある.さらに連弾には,パートナーと呼吸を合わせることで,音楽性を育てるという効果がある.しかし子どもが,家庭内で演奏経験の乏しい家族と連弾を行うことは難しい.そこで,本研究で提案するFamily Ensemble では,子どもの親が担当する連弾のパートを,正確な音高列を出力する機能と,子供の演奏位置を追従する機能により支援することで,まったくの初心者の親が,演奏誤りの多い初級者の子どもとでも連弾できるようにした.Family Ensemble を使用する場合としない場合の両方について,合同練習を5 組の被験者ペアに行ってもらったところ,使用した合同練習では,連弾の回数とFamily Ensemble に支援されていない子供の独奏による練習回数が大幅に増加した.この結果から,Family Ensemble によりまったくの初心者と初級者によるピアノ連弾が可能になることだけでなく,支援されていない子どもの練習意欲が増すことが示された.さらに,初心者と初級者のペアでありながら,お互いに音楽的なアイデアや演奏技術について意見をかわしている様子が見られた.
著者
西 喜士
出版者
東京都市大学
巻号頁・発行日
2021-03-19

2020年度(令和2年)