著者
澤田 純男 土岐 憲三 飛田 哲男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.598, pp.287-298, 1998-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
1

墓石の転倒に関する研究は古くから行われているが, 墓石の回転現象と地震動特性との関係を明らかにした研究はほとんど見当たらない. そこで本研究では, 強震時の直方剛体の動的挙動, 特にその鉛直軸まわりの回転挙動が生じる原因を, 振動台模型実験及び3次元DEM解析を通して検討した. 直方剛体の回転挙動は, 振動の卓越する方向に回転する挙動と, 入力波の粒子軌跡が回転することによって剛体が逆方向に回転する挙動の2つに分類できることがわかった. さらに, 三陸はるか沖地震の際に回転した墓石の極く近傍で観測された加速度記録を用いてその回転挙動を再現した. これらの検討の結果, 特殊な場合を除けば, 墓石の回転方向は地震動の加速度粒子軌跡の回転の逆方向を表わしていると結論された.
著者
米満 文哉 山田 祐樹
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.134, 2019 (Released:2019-10-28)

心の中を他人に見透かされていると感じる現象を透明性の錯覚と呼ぶ。この現象は,係留と調整のヒューリスティックを用いる際の調整が不十分になることで生起する。この一因に覚醒度の上昇があげられるが,先行研究では不快かつ高覚醒を喚起する操作をしており,感情価と覚醒度のどちらが透明性の錯覚を上昇させるのか不明である。そこで,本研究は高覚醒で快感情を喚起する性的な画像を用いて検討した。参加者は画像内容が他者に分からないよう無表情で性的・中性画像を観察した後,参加者が見た画像の内容を当てると思われる人数と自身の表情表出強度を推定させたところ,中性より性的画像の観察時の方が透明性の錯覚が強く生じた。本研究により覚醒度の高い快感情によっても透明性の錯覚が強化されることが示唆されたが,錯覚生起における覚醒度の具体的な役割についてはさらなる検討を必要とする。
著者
髙宮 優実
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.90-107, 2021-12-31 (Released:2021-12-31)
参考文献数
17

近年、多様性の進む日本において、「ブラック企業」という語は差別語なのではないかという議論がなされている。アメリカで日本語を学ぶ大学生134名に、2年間にわたり、このテーマに関連した多数の新聞記事や動画を紹介し、その後、学習システム上のディスカッションボード(電子掲示板)を使用して学習者同士が議論する場を設けた。そのディスカッションボードで行われた学習者同士の議論を分析した結果、この語は差別語ではなく使い続けることに問題がないという学習者が51%、問題であるという学習者が28%、どちらとも言えないという学習者が21%いて、立場が分かれることがわかった。また、どの立場の学習者からも、変更するとしたらどのような語が考えられるかという代替案が提示されていた。投稿の分析からは、いずれの立場の学習者も、他者の意見を肯定しつつ自分の立場を表明しており、それが外国語教育の目的である相互コミュニケーション能力の獲得につながる第三次社会化の過程となっていることが確認された。
著者
森田 十誉子 山崎 洋治 湯之上 志保 細久保 和美 武儀山 みさき 藤井 由希 石井 孝典 高田 康二 冨士谷 盛興 千田 彰
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.255-264, 2012-08-31 (Released:2018-03-15)
参考文献数
34

目的:集団健診における歯周病のスクリーニングには,CPIが通常用いられているが,検査に時間を要し,受診者の負担も大きいことから,簡易な検査法が求められている.本研究では,検査紙を用いた唾液検査と自覚症状を尋ねる質問紙調査との組合せによる歯周病スクリーニング法の有効性を検討した.材料および方法:対象は,某事業所の歯科健診を受診した成人のうち,本試験への参加に同意が得られた468名(平均年齢36.6歳,男性362名,女性106名)とした.唾液検査に用いた試料は,蒸留水で軽く洗口した後の吐出液とし,検査指標はヘモグロビン,タンパク質,白血球および濁度とした.ヘモグロビン,タンパク質および白血球は,検査紙を用いて専用反射率計により測定し,濁度は660nmの吸光度により求めた.質問紙調査項目としては,自覚症状(12項目),喫煙習慣および年齢とした.歯周病の臨床検査はCPI測定により行い,歯周ポケットの有無により分類し評価した.各唾液検査指標については,t検定により歯周ポケット有無との関連性を検討し,さらに,ROC曲線から感度,特異度を算出して検出感度(感度+特異度)の高い唾液検査指標を検討した.自覚症状の項目については,χ2検定により歯周ポケット有無と関連がある項目を検討した.さらに,唾液検査と質問紙調査を組合せたときの感度および特異度を算出することにより,最適な組合せを検索した.結果:1.唾液検査指標のヘモグロビン,タンパク質,白血球および濁度のいずれにも歯周ポケット有無と有意な関連性が認められ,ヘモグロビンが最も高い検出感度を示した.2.自覚症状12項目のうち,「歯をみがくと歯ぐきから血がでることがある」「歯ぐきが赤っぽい,または黒っぽい」「歯と歯の間に食べものがはさまりやすい」「ぐらぐらする歯がある」「固いものが噛みにくい」の5項目を組合せることにより高い検出感度を認めた.さらに,喫煙習慣,年齢を加えることにより検出感度は高まった.3.唾液検査と質問紙調査の組合せでは,ヘモグロビンが陽性,または,自覚症状5項目,喫煙習慣,年齢の計7項目のうち,4項目以上該当の場合に最も高い検出感度を示した.結論:検査紙を用いた唾液検査と自覚症状を尋ねる質問紙調査の組合せは,産業歯科保健活動の現場で活用できる簡易な歯周病スクリーニング法として有効であることが示唆された.
著者
安永 朋喜
出版者
三重県立大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
原田道寛 著
出版者
春秋社
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1941
著者
佐藤寛 編
出版者
庚寅新誌社
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1892
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001696, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論IIでは,疾患ごとに脳神経内科領域を分類し,各分野の専門家がわかりやすく解説するとともに,最近のトピックスについて冒頭に取り上げた.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
和泉 洋人
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.18, pp.78-89, 1997-06-30 (Released:2012-08-01)
参考文献数
24
被引用文献数
2

After the introduction of FAR (Floor Area Ratio) regulation in accordance with the zoning, the city planning and building regulation system in Japan has introduced various kind of FAR deregulation measures. The purpose of this paper is to examine the significance of District Plan with Different FAR by Use. The results are as follows;(1) District Plan with Different FAR by Use is an epoch making measure in comparison with the other FAR regulation measures.(2) Therefore, it is widely applied in urban areas around CBD for the purpose of improvement of urban environment.