著者
吉野 耕作
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.392-407,505, 1987-03-31 (Released:2009-11-11)
参考文献数
45

近代社会学の予測に反して民族の復活、活性化が世界各地で起こったが、その理由、背景を説明するために、民族の概念・理論の洗い直しをめぐり激しい論争が展開されてきた。しかしながら、同論争は必ずしも建設的な成果をあげている訳ではない。分析次元の違いを認識することなく相互批判を繰返す結果、議論が?み合わない形で進んできた。本稿では、民族をめぐる論争の三つの異なる分析次元を判別し、各次元で対立する視点を論理整合的に組み合わせることにより論争の流れを批判的に整理する。具体的には、<原初主義-境界主義>、<表出主義-手段主義>、<永続主義-近代主義>の三つの対立視点の対にまとめ、また諸視点間の適合性を明らかにすることにより、多元的な諸理論を整理する枠組を提示する。その過程で「民族の復活」をめぐる議論に内在する弱点を幾つか発見することになるが、そのひとつは、民族の絆の耐久性を説明する上で時・空のいずれか一方の次元に固執するために説明を不十分に終わらせている点にある。本稿では、この根本的と思われる論点に限定した上で、両説明方法の補完性、結び付きを示す視角を「伝統の創造」の過程に求め、論点の補充を行う。
著者
衛藤 吉則
出版者
広島大学倫理学研究会
雑誌
倫理学研究 (ISSN:0916247X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.91-111, 1997

Gibon Sengai (1750-1837) was one of the great Zen masters in Edo period. He was famous and popular as a Zen master who produced ink-drawings and calligraphies satirically and humorously.Against such a Sengai's image, this thesis aims to describe new Sengai's image as an academic priest through the analysis of many of his books nobody has studied thoroughly yet. Particularly, I chose one of his ink-drawings "□△○" as a material for this study, and pursued the profundity of his Zen thought. In a word his thought can be found in the word of Eisai who was the first patriarch of Japanese Rinzai's Zenthat is "How great a mind is!" Namely he didn't grasp the essence of the world in things that are relative and limited, but grasped the great essence in "mind."
著者
石毛 宏典
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1197, pp.143-146, 2003-06-23

プロ野球「オリックス・ブルーウェーブ」の監督として、1年目の昨シーズンは50勝87敗3分でパシフィック・リーグ最下位に終わりました。2年目の今シーズンは20試合を消化したところで、7勝12敗1分と最下位に低迷。4月23日に球団が私の監督解任を発表するに至りました。 球団が解任を考えていることは、昨年10月の契約更新時に感じていました。
著者
芳賀 恵 玄 武岩
出版者
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院
雑誌
国際広報メディア・観光学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.26, pp.3-19, 2018-03-20

This article examines the narrow path to de-nationalisation in South Korean films dealing with the Japanese colonial period since the 2000s that we call ‘colonial pieces’. Based on Ryu Seung-wan’s “Battleship Island” (Gunhamdo, 2017) situated during Korean mobilization under colonial rule, we argue that it is possible to clarify the style and strategy of visual representation used to replace the dichotomy of victimizers (Japan) and victims (Korea) in recent ‘colonial piece’ films. By focusing on the representation and its stylistic aspects of “Battleship Island” in relation to the empire of Japan through the periodical transition of political, social and cultural meaning, this article explores the way in which these films act on the process of reproducing colonial memories in Korean society and the historical issue between Japan and Korea, as a postcolonial problem of cultural and social politics.
著者
小杉 正人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.359-374, 1989-05-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
46
被引用文献数
8 10

縄文海進によって形成された古奥東京湾において, 13地点から得られた珪藻化石群集の層位分布の検討により,各地の前浜-海岸線-後浜の環境系列の変=遷を復原し,完新世における海岸線の形態,移動,周囲の環境などの特徴を明らかにした. 海進期 (10,000-6,500年前)には,地形勾配が急であったため,谷の形状に規制された細長く,入り組んだ海岸線がみられた.海進最盛期 (6,500-5,300年前)の海岸線は,現在の海岸線から50km以上奥部の館林~古河付近に達した.海退期(5,300年前~現在)には,湾の浅海化が進んでいたため,前後に広い後浜干潟・前浜干潟を伴う単調な形態を呈する海岸線がみられた.

2 0 0 0 OA 手札版写真

著者
Elliot&Fry
巻号頁・発行日
vol.写真(田辺太一、安藤太郎、大島圭介), 0000-08-09
著者
左地 亮子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.470-491, 2014-03-31 (Released:2017-04-03)

近年、人文社会科学の諸領域において、「語り」が意味生成に関与し、個人と他者や共同体との関係を架橋する社会的行為として注目されてきたのに対して、「語らないこと」や「沈黙」は、共同性に対立する孤立や孤独と結びつけられ中心的に扱われてこなかった。本論文は、こうした研究動向に新たな視座を提示すべく、フランスに暮らすマヌーシュの死者をとりまく「沈黙の敬意」を事例に、沈黙の共同性を明らかにすることを試みた。その際に注目したのは、服喪のあいだに死者をめぐって生じるマヌーシュの沈黙が、これまでの「死の人類学」において指摘されてきた、「個別特異な死者から集合匿名的な祖先への移行」を妨げる側面である。マヌーシュは死者の名前や記憶を口にすることを避け、遺品を廃棄する。先行研究は、この死者に属し死者を喚起するあらゆる有形無形の事物を共同体から排除するマヌーシュの態度を、死者の「忘却」を導き、死者を「集団の永続性」を保障する「匿名の祖先」に変換する手続きとみなしていた。しかし本論文では、マヌーシュの沈黙が、むしろ死者や遺族という共同体内部の個人の存在や体験の「特異性=単独性」を保護するために「敬意」という価値を与えられること、そしてそれがゆえに、個の体験を全体性の中に解消することを阻み、死者から祖先への移行が果たされる服喪の終了を先延ばしにすることを指摘した。マヌーシュの沈黙は、「個の全体への統合」を志向する調和的な儀礼モデルに抗いながら、差異の「分有」としての共同性を開示するのだ。
著者
林 真一郎 水野 正樹 佐藤 匠 神山 嬢子 岡本 敦 吉川 知弘 鵜殿 俊昭 横田 浩 野田 敦夫 吉川 和男
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.32-39, 2013-09-15 (Released:2015-11-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

We tried to establish the detection methodology by viewing single high resolution synthetic aperture radar (SAR) satellite images which are now available. At first, a check list was made to qualitatively evaluate if it is or is not possible to detect landslide dams. By using that check list, high resolution SAR satellite images (TerraSAR-X, COSMO-SkyMed, RADARSAT-2) of Talas disaster in the Kii Peninsula have been evaluated. We confirmed conditions suitable for satellite as follows. All direction radar can detect landslide dams. The radar angle range suitable for obtaining images is from 35 to 50 degrees. Suitable image resolution is 3m. All sensors and bands are capable of detecting landslide dams.
著者
甘利 俊一
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.828-831, 1986-09-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
梅永 雄二
出版者
日本職業リハビリテーション学会
雑誌
職業リハビリテーション (ISSN:09150870)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.41-48, 1995-03-31 (Released:2011-03-23)
参考文献数
9

表出言語が困難な場面 (選択性) 緘黙症者に対し, 職域開発援助事業を通してハンバーガーショップM社において職業指導を行った。場面緘黙症者はコミュニケーションに障害があるため, 作業指示に対する反応として身ぶりサインによる指導を行った。また, 作業理解のために, 作業工程を課題分析し, その課題分析に視覚的JIG (補助具) を利用した。その結果, ハンバーガー等の注文に対する受け答えに対しては, 身ぶりサインによりコミュニケーションがとれるようになり, 作業工程も問題なく理解できるようになった。このように, 事業所環境を本人のわかりやすいように「構造化」することによって, 作業が遂行できるようになることが明らかになったことは, 今後の職業指導に一つのをもたらすことができたものと考える。