著者
水野 忠雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.68-73, 2011-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
5

オゾンと聞けば,まず「オゾン層」を思い浮かべる方は多いだろう。オゾン層については,その人為的な破壊が問題となっているが,なぜ問題となるのか?それは,オゾンが生態に影響を与える紫外線を吸収する性質を持っているからである。この性質は,オゾンの濃度測定にも利用される。また,オゾン層が生成する理由は,紫外線により酸素からオゾンが生成するからである。この事実は,オゾンの製造に利用される。ただし,現在では高濃度・大容量のオゾンを発生させるためには放電や水の電気分解を利用している。本ヘッドラインでは,このようにして発生させたオゾンが非常に身近もしくは幅広い分野で用いられていることが紹介されている。ここでは,オゾンの強い酸化力が利用されている。本稿では,まずオゾンに関する基礎知識として,物理化学的特性,反応などについて紹介する。そしてオゾンを利用するための,オゾンの発生方法,濃度測定方法を紹介する。最後に,オゾンを用いた素晴らしい技術は,適切な使用によるものであるとの観点から,オゾンの動物や人体への影響・安全基準をまとめ,安全な利用を促した。
著者
湯川 夏子 前田 佐江子 明神 千穂 平川 美奈子 寺田 弘美 村山 由美 久保 陽子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】料理活動は対象者の認知症の行動・心理症状(BPSD)の緩和や生活の質(QOL)の向上など様々な療法的効果が期待できる。我々はこれを「料理療法」として提唱し、実践的研究を行ってきた<sup>1)</sup>。<br />本研究の目的は、高齢者にとって懐かしい「粉もん」(小麦粉)メニューを開発し、効果を検証することである。今回は軽度認知障害(MCI)および軽度の認知症高齢者を対象とした実践結果を報告する。<br />【方法】2016年年7月~12月、有料老人ホーム一般居室入居者を対象に「おやつの会」を月1回、合計6回実施した。参加者は1回7-9名、スタッフは3-5名であった。各回約2週間前に参加者3名スタッフ2名で試作した。介入前後に認知症程度をCDRと「物忘れ相談プログラム」、QOL評価を高齢者用多元観察尺度(MOSES)およびPGCモラールスケールにて評価した。スタッフにより各回の全体評価(支援方法等)に加え観察調査を行った。京都教育大学研究倫理委員会の承認を受け実施した。<br />【結果】事前の聞き取りより、洋菓子を取り上げ、試作時の参加者からの提案を加味したレシピを作成した。初回は準備や支援方法に関して全体評価が低かったが2回目以降高評価であった。参加者への効果では、継続参加した7名中5名に認知症程度の改善がみられた。特に試作も含め全回参加した1名はMCIから健康な状態に回復し、MOSESによるQOLの向上、スタッフや参加者とのコミュニケーションの増加、表情の変化がみられた。他4名はMOSESや観察評価が向上し、他のアクティビティへの参加も増加した。また自室における料理回数が増加した参加者もいるなど日常生活の質の向上にも効果が見られた。<br /><sup>1)</sup> 湯川, 前田, 明神:認知症ケアと予防に役立つ料理療法, クリエイツかもがわ (2014).
著者
進藤 宗洋 池田 正春 黒岩 中 清永 明 田中 宏暁
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

高齢者を対象に、適度な運動習慣が免疫機能に及ぼす影響を、以下の視点から検討し知見を得た。1.中高齢者の非特異的免疫能に対する定量的運動の影響:運動習慣のない健常な高齢者を対象にして、ザイモザン刺激に反応した好中球の活性酸素(ROS)産生能は80%LTとLTの軽強度長時間有酸素性運動によってのみ一過性に高められる可能性が示唆された。次に、LTとほぼ同等である50%V02max強度のトレーニングを定期的に継続している高齢者と運動習慣のない高齢者を対象にして、安静時とLT強度で1時間の一過性の運動を負荷して、運動中と運動終了直後、運動終了1時間後のROS産生能を検討し、この軽強度の有酸素性運動の長期間継続が高齢者の非特異的免疫能を高め得る可能性を明らかにした。次に、健常高齢者を対象に縦断的研究を行ったところ、トレーニング効果はLT強度で1回1時間、週3回の頻度では5週間以上で有酸素性作業能を、10週間以上では非特異的免疫機構の中心を担う好中球の機能を十分に高め得る可能性が示唆された。2.中高齢者の習慣的運動がT,Bリンパ球およびNK細胞におよぼす影響:若年(20-39才)、中年(40-59才)、高齢(60才以上)の年代でジョギングやサイクリング、テニス、水泳など運動習慣を持つ運動群と持っていない非運動群のリンパ球サブセットと好中球のROS産生能及び貪食能を測定比較した結果、自然免疫については、NK細胞の割合は年齢によっても運動習慣によっても変わらないが、好中球のROS産生能及び貪食能は高齢非運動群に比べて高齢運動群の方が高かった。3.中高齢者のストレスと免疫能〜若年者および運動群非運動群での比較:ストレスで起きる免疫能への悪影響も防ぐ可能性を、2と同じ対象についてSTAI心理テストによるストレスレベルとリンパ球サブセットを測定し検討した。適度な運動はストレスを軽減し免疫機能を改善する可能性が示唆された。
著者
小野 孝彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.10-15, 2013
被引用文献数
2

近年,糖尿病性腎症,慢性腎炎,腎硬化症など各種の腎疾患をひとまとめにして慢性腎臓病と呼んでいる。レニン・アンジオテンシン系に働く治療薬は慢性腎臓病治療の第1選択とされているが,七物降下湯は併用効果が期待される。基礎的研究では糖尿病性腎症の進展に八味地黄丸の抑制効果がある。近年の研究から腎炎や一次性ネフローゼ症候群において,柴苓湯はステロイドや免疫抑制薬の減量効果が期待される。慢性腎炎やネフローゼ症候群の背景となる病態として,柴朴湯の治療は頻回の上気道炎を減少させ,柴苓湯はアレルギーの関与が考えられるネフローゼ症候群に対して効果的な場合が見られる。小児の IgA 腎症に対して,前向きの臨床試験による柴苓湯効果のエビデンスも得られている。透析に至る前の慢性腎不全に対して温脾湯は,透析導入への延長効果が知られている。五苓散は血液透析時の透析困難を改善し,腹膜透析においては腹膜線維化の問題点に対して柴苓湯の改善効果が期待される。
著者
小林 弘尚 最上 晴太 高橋 希実 馬場 長 近藤 英治 小西 郁生
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.405-409, 2015 (Released:2015-11-27)
参考文献数
13

リステリア感染症は主にグラム陽性桿菌のListeria monocytogenesにより引き起こされる.この比較的まれな感染症は,周産期では時に流産,早産,子宮内胎児死亡を生じ,予後不良の疾患である.症例は35歳の初産婦,妊娠5週ごろに生ハムとチーズを海外で摂取した既往がある.妊娠9週で39.5℃の発熱を認め受診した.血液培養ではListeria monocytogenesが検出され,直ちに抗生剤による治療を開始した.母体はしばらく弛張熱が続いたが徐々に症状は改善された.しかし稽留流産となった.子宮内容物の病理診断では,多数の好中球浸潤と絨毛の壊死が著明であった.グラム染色では菌体を検出できなかった.妊婦が高熱を発症したときはリステリア感染症を鑑別に入れ,血液培養がその診断に必須である.ペニシリン系の抗生剤を迅速に使用することで母体の予後を改善することができる.〔産婦の進歩67(4):405-409,2015(平成27年10月)〕
著者
宗 健 新井 優太
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.103, pp.126-131, 2018 (Released:2019-11-01)
参考文献数
9

In Japan, income disparity is expanding, and the population is continuing to age. Therefore, it is an important policy challenge to secure housing for low-income elderly people whose population is likely to increase in the future. We analyzed the influence of the accumulation of wealthy residents and public housing estates clusters on rent as foundational information when considering the supply and arrangement of housing for low-income people. Analysis results indicate that there are many cases in which the accumulation of wealthy residents has an upward influence on rents, while the accumulation of public housing estates clusters has a downward influence on rents.

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著者
逓信省郵務局 編
出版者
逓信協会
巻号頁・発行日
vol.1巻, 1931
著者
武村 雅之 虎谷 健司
出版者
JAPAN ASSOCIATION FOR EARTHQUAKE ENGINEERING
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.7_2-7_21, 2015
被引用文献数
2

1944年東南海地震(M<sub>J</sub>=7.9)の被害統計資料の整理と震度分布の評価を行った。その結果従来のデータの誤りを正し集計値と整合のある市区町村データを新たに整備することができた。それらに基づいて震度分布図を作成し地域毎の揺れの特徴をわかり易く表現することができた。またそれらのデータを用いて東南海地震の人的被害の要因を検討した。合計1183名の死者数のうち、静岡県袋井市周辺や愛知県西尾市の旧矢作川流域など震度7になった地域での住家倒潰による犠牲者ならびに三重県の熊野灘沿岸のリアス式海岸地域における津波による犠牲者が多くを占めることが分かった。それに加えて愛知県半田市や名古屋市南区では揺れは震度6弱程度であったにも係らず市区町村別の死者数ランキングで1位と3位の犠牲者が出ていることが分かった。両者を合わせるとその数は279名となり、愛知県全体の435名の実に64%に当る。その原因は、耐震性の欠如を放置して飛行機組立工場へと転用された紡績工場の存在があった。このような行為は場合によって、津波にも勝るとも劣らない被害要因となることが分る。
著者
玉那覇 康二
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.55-65, 2013-01-31 (Released:2013-04-25)
参考文献数
21

沖縄県は,日本列島の南に位置しており亜熱帯気候による自然毒食中毒は,気候や自然環境が反映されており,全国と異なっている. 沖縄県で発生している2001年から2010年までの 10年間の食中毒事例を見ると,自然毒食中毒の年平均は24%であり,更に自然毒食中毒のうち,動物性自然毒食中毒が91%と大半を占めている. 動物性自然毒のほとんどがサンゴ礁に生息する魚介類によるシガテラ食中毒である.シガテラ以外にも,ウリ科植物によるククルビタシン中毒,熱帯性キノコであるオオシロカラカサタケや麻薬成分を含有する幻覚性キノコによる食中毒も発生しており,これらについても事例を紹介する.
著者
松下 浩一 小宮山 恆 細川 明
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.190-194, 1993 (Released:2011-03-05)