著者
岡田 聡
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.127-151, 2010-06-30 (Released:2017-07-14)

サルトルによれば、実存主義は実存を強調するので「私が代表する無神論的実存主義はより論旨が一貫している」。ヤスパースは、どのような論理で、実存を強調するにもかかわらず超越者について語ったのか。本稿では、一性という点での実存と超越者の相即性について考察する。多なるものから一なるものを選択するという主体的で自由な決断を下す者は、自己存在を散漫状態から一性へともたらすことによって自己自身を獲得する。一性は実存それ自身の根本特徴である。また、超越者とは「あらゆるものの根拠としての一なる存在」であり、一性は超越者の根本特徴でもある。ヤスパースによれば、「私は超越者の一なるものにおいて私の本来的な自己存在を見出す」のであり、実存するとき、一性という点での実存と超越者の相即性が示される。しかし、実存の一性と超越者の一性とは本質的には異なるのであり、実存と超越者の相即性は、両者の最大の近さと最大の遠さの矛盾のうちに成り立つものなのである。
著者
辻 孝三
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.256, 1991-04-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
9
著者
宮下 和喜
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.177-186, 1992 (Released:2007-03-29)
参考文献数
13
被引用文献数
7 10

母グモの網より分散する少し前の幼生 (若虫) を半自然条件下で個体飼育したところ, 雄は8~9回脱皮をし, 生まれてから3年目の春に成体になった. 雌では, 9~11回脱皮をして3年目の春と秋および4年目の春に成体になるものが生じた. 飼育開始から3年目の春までの巣網の直径の成長を調べたところ, 雄では2.3mmより13.3mmに, 雌では2.3mmより13.7mmに成長した. 雌の網の直径はこの後も成長をつづけ, 5年目には15.9mmに達した. また, 雌は成体になってからも毎年春に1回脱皮を繰り返した. 幼生と成体の1週間当りの排泄回数を1年間にわたって調べたところ, 排泄回数は夏に増加し冬には減少したが, 排泄が完全に停止してしまう訳ではなかった. これらの調査結果と, これらに平行して行なった野外調査の結果とを合わせ, このクモの生活環を考察した.

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著者
梅原真隆 述
出版者
道発行所
巻号頁・発行日
1944
著者
西尾 啓
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.197-202, 2020-04-01 (Released:2020-04-01)

最近,特許分析の比重が高まり,かつ扱うデータの量と種類が多くなっているのを実感している。それに伴い,使うツールもエクセルやパテントマップ作成ソフトから,Pythonといったプログラミング言語に移る必要が出てきた。これらのツールは高速にデータを処理でき,自動化に役立つだけでなく,毎回の手作業を排除することができ,分析の再現性,信頼性を高めることができる。そのため,今回はデータ分析によく用いられるプログラミング言語である「Python」,特にその中のデータ分析ライブラリである「pandas」を用いた特許データの処理(前処理,集計,可視化)について紹介する。
著者
井出 明
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.96(2006-DPS-128), pp.115-120, 2006-09-15

近年、高度情報化社会の進展に伴って、ネットワーク上のストーキング行為が多数報告されつつある。リアルスペースでのストーキング行為に関する規制法は、既に立法化され、不十分ではあるものの一定の効果を上げつつある。本稿では、リアルスペースとサイバースペースにおけるストーキング行為を比較しながら、サイバーストーカー(=ネットストーカー)の特性について検討し、行為主体と行為客体に基づいて類型化を図る。その上で、可能な対策についても類型別に提示した後、将来的な展望にも言及する。
著者
神崎 寛子 秋山 尚範 金本 昭紀子 阿部 能子 山田 琢 荒田 次郎 梅村 茂夫 池田 政身
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.507, 1989 (Released:2014-08-11)

我々は1987年1月より1988年10月の間に分離された204株の黄色ブドウ球菌のフシジン酸(FA)に対するMICを測定し,また高知医大で1987年9月から1988年9月に分離された123株の黄色ブ菌のFAに対するMICと比較した.1987年1月から1988年3月の分離菌では5/123(4.1%)に耐性菌(MIC≧12.5μg/ml)が認められたのみであったが,1988年4月より10月の分離菌では42/81(51.9%)の耐性菌が認められた.高度FA耐性株は全てメチシリン耐性菌であった.高知医大ではMIC1.56~3.13μg/mlの株が少数認められたのみであった.高知医大の結果で耐性株が認められていないことよりFA耐性菌の出現には現在のところ地域差があるものと思われた.FAは現在外用剤としてのみ使用されているが,耐性出現の早い薬剤として知られており,このような薬剤を外用剤として使用することは耐性菌を増加させる可能性を強く示唆した.
著者
Masanao ICHIMATA Shinichiro NISHIYAMA Fukiko MATSUYAMA Eri FUKAZAWA Kei HARADA Ryuzo KATAYAMA Atsushi TOSHIMA Yumiko KAGAWA Tetsushi YAMAGAMI Tetsuya KOBAYASHI
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.21-0254, (Released:2021-08-17)
被引用文献数
2

Primary hepatic neuroendocrine tumors (PHNETs) are rare in dogs, and limited information exists about the treatment of these tumors. A 12-year-old castrated male French bulldog was presented to our clinic with gastrointestinal signs. Diagnostic tests revealed increased hepatic enzyme levels, a mass in the hepatic quadrate lobe, multiple intrahepatic nodules, and enlarged hepatic hilar lymph nodes. The liver mass was diagnosed cytologically as a malignant epithelial tumor suspected to be of neuroendocrine origin. The dog was treated with single-agent toceranib phosphate (TOC) and survived 25.1 months after the initial presentation. On necropsy, a liver mass was found and was subsequently diagnosed as a PHNET on histopathology. To the best of our knowledge, this is the first report of long-term survival in a dog with PHNET treated with TOC.
著者
鶴崎 展巨
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

アカサビザトウムシGagrellula ferruginea(クモガタ綱ザトウムシ目)では,これまでに2カ所(長野県北アルプス周辺と香川県讃岐山地)で環状重複とみられる現象が生じている。これら両地域で染色体や色斑の調査を進め,両地域でのその様相の詳細を追跡した。北アルプスの同所的集団では相互に数も核型も大きく異なる。両者の交配前生殖隔離機構が不完全で,繁殖干渉により同所的になれない可能性が高い。讃岐山地では同所的集団は竜王山山頂付近のごく狭い範囲に限定されており,周辺はすべて2n=12の集団で固められていることがわかった。
著者
浜渕 久志
出版者
北海道情報大学
雑誌
北海道情報大学紀要 (ISSN:09156658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.111-132, 1998-03

Earning differentials were so large in Japan before the Second World War that there were many profoundly rich families. Their economic power can be measured by the amount of land they owned in addition to their share holdings and others things. As much of this data is incomplete or unobtainable, accurate comparisons among the profoundly wealthy of that era are difficult. This is a major reason why few papers have been written giving a historically comprehensive view of wealthy Japanese families. The primary object of this paper is to further investigate this pre-war period and these affluent families. Our data was primarily obtained from Teikoku Koshinsho : the databank of a private credit research foundation. They estimated the values of the properties and made the consequent following ranking. Their list comprised some 151 families who had a net worth of ten million yen or more in 1933. Observing their origins and businesses, we can classify them as 28 families stemming form the big four Zaibatsu, 20 peers of daimyo descent, 23 merchants, 14 shipowners, 6 bankers, 21 landlords, 12 mine-owners, 10 manufacturers, 6 Japanese saki and 1 soy sauce-brewers, 8 salaried managers and 2 others.
著者
佐々木 武彦
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.15-21, 2009 (Released:2011-03-05)