著者
梶原 将志
出版者
北九州市立大学文学部
雑誌
北九州市立大学文学部紀要 (ISSN:13470728)
巻号頁・発行日
no.91, pp.1-18, 2021-03

Wenn Tetsuo WATSUJI durch die eingehende Analyse der einigen japanischen Wörter wie z. B. „mono" und „koto" die Besonderheit des darin ausgedrückten „japanischen Geistes" zeigen will, muss er mit einem „banalen" Stil schreiben, um seine These mit Allgemeingültigkeit und Überzeugungskraft zu versehen. Dieses rhetorische Dilemma um die japanische Sprache könnte aber ein Anlass dafür sein, einen neuen philosophischen Stil zu konzipieren, der sich mit seiner eigenen banalen Rhetorizität abfindet.
著者
平野 良憲
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.77-78, 2021-05-31 (Released:2021-06-05)
参考文献数
9
著者
中村 覚 高嶋 朋子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.56-60, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
参考文献数
11

日本社会においても、文化的資産としてのデジタルコンテンツを整備し共有することの意義が着実に認知されつつあるなかで、デジタルな研究資源を生かしたデータベース等の継続が立ち行かなくなるケースが散見される。そこで本研究では、デジタルアーカイブをいかに存続させるかという課題に対して、持続性と更には利活用性までを考慮したデジタルアーカイブ構築について、技術面に特化した手法を提案する。また実際にデジタルアーカイブを構築および活用を行うことで、提案手法の有用性を検証する。
著者
市川 寛也
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.43-56, 2015-03-20 (Released:2017-06-12)

本稿は,アートプロジェクトによる学びの有効性について考察することを目的としたものである。アートプロジェクトの現場では,鑑賞者が制作のプロセスに参加することによって,一人ひとりが創造的な主体性を獲得していく事例を見ることも少なくない。ここでは,完成された作品を視覚的に鑑賞することとは異なる新たな美的体験が生み出されている。本論では,参加型芸術の理論的な背景を明らかにするとともに,アートプロジェクト《放課後の学校クラブ》の運営を通して実践研究を行った。現代美術家の北澤潤によって構想されたこのプロジェクトでは,子どもが主人公になる「もうひとつの学校」がつくられていく。その結果として出現する場は,アートによる開かれた学びの可能性を提示する。
著者
横田 浩章
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.227-231, 2021 (Released:2021-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

The Escherichia coli UvrD protein is a superfamily 1, non-hexameric DNA helicase that plays a crucial role in repair mechanisms. Previous studies suggested that wild-type UvrD has optimal activity in its oligomeric form. Nevertheless, a conflicting monomer model was proposed using a UvrD mutant lacking the C-terminal 40 amino acids (UvrDΔ40C). Here, single-molecule direct visualization of UvrDΔ40C revealed that two or three UvrDΔ40C molecules were simultaneously involved in DNA unwinding, presumably in an oligomeric form, similar to that with wild-type UvrD. Thus, single-molecule direct visualization of nucleic acid-binding proteins provides quantitative and kinetic information to address their fundamental mechanisms.
著者
諏訪 春雄
雑誌
調査研究報告 (ISSN:09196536)
巻号頁・発行日
no.37, pp.22-36, 1992-03-01

上田秋成の名作『雨月物語』「蛇性の婬」の女主人公真名児は蛇の身でありながら、人間の男性に恋し、姿を変え、形を変えて付きまとうが、最後には紀伊国の道成寺の法海和尚の法力によって退治されてしまう。そこには蛇を忌避して、蛇と人間との恋愛など許されるはずもないとする仏教的な畜生観が反映している。このような蛇を忌避する思想はこの作の典拠となった中国明代の白話小説にもはっきりとあらわれており、秋成はその思想に共鳴して、自作に取り入れている。しかし、中国の江南地方には紀元三世紀のころまで呉、越の国が栄えており、ことに越の人々は蛇を祖神としてあがめていた。臼蛇と人間の若者との恋を主題とする白蛇伝や同じく蛇と人間との愛をあっかった蛇郎伝説などは、この越の人々によって生み出され、かれらによって中国全土にひろめられていった。それらの伝承の世界には知識人の手になる白話小説などには見られない蛇に対する崇拝の情がある。この江南の蛇信仰は呉、越の人々の日本移住とともに日本へも伝えられた可能性が強い。縄文から弥生にかけての時代に行われていた蛇巫は現在も江南の地に存在するし、中国の蛇郎伝説は日本の蛇婿入りの昔話となり、「蛇性の婬」に結晶した白蛇伝もかなり早い時期に中国から輸入され、昔話の世界で日本的に変容していたとみることができる。
著者
岸 和良
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.290-295, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

DX(Digital Transformation)は客との良好な関係の維持,企業や団体の業績向上,将来に向けた継続成長に必要である。しかし,日本ではDX導入に成功している事例はまだ少ない。今後成功事例を増やすためには,DXの成功要素を見つけることが重要である。DXが成功するか失敗するかは,DXの本質を理解しているかに依存する。DXの手段と目的を混同しないようにすることが重要である。DX成功要素は,客や社員に価値を提供する経営面での課題解決を実施すること,企業や団体の上層部が深く関与すること,適切な組織を設定すること,DX人材の能力定義を行うこと,適切な人材育成を行うことが必要である。
著者
佐竹 久仁子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.54-71, 2019-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
13

絵本というメディアでは、主人公に男が多いことや男女の描かれかたに違いがあることなど、ジェンダーバイアスが存在することが先行研究により指摘されている。本稿では、これに加えて、登場キャラクターのことばづかいの性差も大きいことを、自称代名詞と文末形式の調査から明らかにした。それは、日本語概説書などでとりあげられる「ことばの男女差」どおりのものである。絵本のジェンダーバイアスはことばにも存在し、絵本はこどもに日本語の〈女ことば/男ことば〉規範を教えるメディアとなっているといえる。
著者
北尾 高嶺
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.533-536,a1, 1996-06-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

大規模な下水道がヨーロッパで建設されはじめた事情を振返り, 日本の置かれている事情とは異なっていること, 今日小規模であっても十分な処理効果が得られるような技術が開発されたという状況のもとでは, 小規模施設には種々の点で大規模施設に見られない利点も多いことを述べた。また, 地球環境問題や技術論的視点からも時代の要請に対応した処理システムであることについて私見を開陳し, 今後の生活排水方策として小規模システムをもっと重視すべきであることを論じた。
著者
田辺 信介 立川 涼 河野 公栄 日高 秀夫
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.137-148, 1982
被引用文献数
111

西部太平洋, 東部インド洋および南極海の大気と表層海水に残留するHCH異性体とDDT化合物を測定した.世界的に広く使用されているHCH(BHC)やDDTなどの有機塩素系農薬が, 南極周辺の大気や海水にも検出可能な濃度で存在するすとが今回見出されたが, その他南北両半球の外洋環境からも検出され, 地球規模で汚染の進行していることが明らかとなった.<BR>大気および表層海水に残留するHCH異性体は, 南半球に比べて北半球の濃度が高い.一方, DDT化合物は, 熱帯域で高濃度分布が認められたものの, 南北両半球間の濃度差は少く, HCHの分布とは明らかな違いが認められた.さらにDDT化合物組成はρ, ρ'-DDTが50%以上を占め, 海域間の差はほとんど認められなかったが, HCH異性体の組成は, 北半球では酢HCH>γ-HCH>β-HCH, 南半球ではγ-HCH>α-HCH>β-HCHであった。<BR>海域問で物質の分布に差が見られ, あるいは物質の種類間でも分布に特徴が認められることは, 世界における農薬の使用状況および物質の物理化学性に加え, 地球規模での大気の大循環, とくにハドレーセルやフェレルセルなどの空気塊の存在も関与していることが示唆された.
著者
清水 一
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.165-180, 2021 (Released:2021-07-28)

理工系学部(約240学部)のデータを分析した結果,①学部卒業後の進路として,偏差値の低い大学ほど就職を選び,偏差値の高い大学では進学を選ぶ確率が高いこと,②退学率,進学率とST 比率は有意な相関があるものの実質的な効果は小さいこと,進学率と就職率の和である決定率はST 比率と有意な関係がないこと,③理学部と工学部の比較では,退学率には有意な違いがないが,進学率,進路の決定率は工学部のほうが有意に高いことが分かった。 また,社会科学系と理工系の比較では,①どちらも退学率,就職率,進路決定率に対して偏差値の影響が大きいこと,②退学率の全体の平均値は同程度で,国公立・私立別・偏差値階級別の退学率の傾向も両方の学部系統で似ていること,③理工系では国公立は私立より退学率が有意に低く,就職率,進路の決定率は有意に高い。一方,社会科学系では国公立と私立に有意な差はない。