著者
佐々木 光子
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.128-135, 1996-03

学術情報センター目録所在情報サービス(NACSIS-CAT)の利用開始から10年を経て、総合目録データベースの書誌レコード数は、和図書 1,104,623件、洋図書 1,556,801件、Recon 736,766('95.12.8)と膨大な書誌ユーティリティーに発展してきた。これは、NACSIS-CAT に参加している全国420('96.1.10)の利用機関の目録業務に携わるカタロガーの協力、共同分担目録システム(Shared Cataloging)の成果でもあろう。NACSIS-CATによる目録業務データを言語別・出版年別のコピーカタロギング、オリジナルカタロギング率から検討して言語の問題を指摘し、書誌調整記録データの分析からその効率的軽減・軽量化について述べる。
著者
大倉 韻 守 如子 羽渕 一代
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.11-32, 2019-03-31

本稿は、2011年に行われた第7回青少年の性行動全国調査(JASE)のデータに基づき、日本の若者の性行動の現状を明らかにすることを目的としている。この調査は、7640人から回答を得ており、若者が性的関心をもたなくなってきたのはなぜかといった問題に焦点をあててきた。本稿は、この調査の項目のうちから、「あなたがいま、性について知りたいことは何ですか」という質問に着目して分析を行った。分析から得られた第一の結果は、性情報のニーズは、性別と学校段階によって、いくつかのタイプに分けることができるという点である。第二の結果は、性情報のニーズは、「性行為と妊娠」「性的な悩み」「性病」「恋愛」という4つのカテゴリーに収斂していくプロセスとみることができるという点である。特に、日本の若者にとって、「セックス(性交)」は、恋愛としてよりもむしろ妊娠に関わるものとして意識されているということ、その一方で性交によって生じる別種のリスクである「性感染症」や「エイズ」のリスクは性交とは独立したものとして意識されていることが明らかになった。また、第三に、性的関心が性情報ニーズと正の相関がみられたことから、性的関心が性情報ニーズに強い影響を与えていることが明らかになった。
著者
加藤 幸治
出版者
神奈川大学 国際常民文化研究機構
雑誌
国際常民文化研究叢書13 -戦前の渋沢水産史研究室の活動に関する調査研究- =International Center for Folk Culture Studies Monographs 13 -Research on the Activities of Shibusawa Fisheries History Laboratory in the Prewar Period- = International Center for Folk Culture Studies Monographs 13 -Research on the Activities of Shibusawa Fisheries History Laboratory in the Prewar Period-
巻号頁・発行日
vol.13, pp.57-193, 2019-02-25

アチック・ミューゼアムには、「未完の筌研究」として語られる研究がある。残存する筌研究にかんする基礎データの調査は、戦後の日本常民文化研究所に引き継がれ、筌研究会の枠組みで河岡武春らを中心とした追跡調査が行われた。今回の共同研究においては基礎データ類の翻刻作業や整理作業、標本資料の熟覧調査を行った。「未完の筌研究」関連資料には、戦前の調査の資料として、①通信調査による「筌調査資料」、②筌に関する通信調査の発受信簿、③筌の実物の標本資料、③地図化や分類を試みた下図や手紙、調査メモ等がある。今回の調査では、①の通信調査と、③の民具との関係を調査したが、そのふたつには結びつく要素が乏しいことがわかった。渋沢水産史研究室は、海を舞台とした漁撈にのみ焦点をあてていたのではなく、農山村における河川や湖沼での内水面漁撈や氷上漁撈なども対象に含んでいた。筌研究は、民具研究としての内容以上に、田や水路、池などで行われてきた内水面漁撈の調査の一環とも位置付けられる。 筌研究は、郵便を活用した通信調査(アンケート調査)による方言調査とその分析を中心としながら、構造や部位の数の違いによる形態分類と分布の調査、漁撈の対象や場所のバリエーションの把握を中心とした内容であった。通信調査は、アチック・ミューゼアムの特徴ある調査法のひとつであり、水産史研究の「鯨肉食通信調査」「鵜飼調査」にも適用された。筌の通信調査は、これに「民具蒐集調査要目」や「喜界島生活誌調査要目」のような項目立てによる比較研究のための「筌調査要目」を立てたうえで行われた。 本稿では、「未完の筌研究」で残された資料の整理作業から見えてきた、アチック・ミューゼアムの方法論的実験について紹介したい。
著者
佐藤 喜和 中下 留美子 坪田 敏男 中島 亜美
出版者
日本クマネットワーク
巻号頁・発行日
pp.4-13, 2014-03

「ツキノワグマおよびヒグマの分布域拡縮の現況把握と軋轢防止および危機個体群回復のための支援事業」報告書 (日本クマネットワーク編)
著者
小野 郁 今 清佳 森 菜穂子 太田 誠耕
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.92, pp.133-145, 2004-10-15

大学生410名を対象とし,500mlのペットボトル飲料の利用状況について調査を行った。また,開栓後の500mlのペットボトル飲料の細菌の繁殖状況を一般生菌法で測定した。その結果,ほとんどの大学生がペットボトル飲料を利用しており,保存によって細菌が大量に繁殖することが明らかになった。特に直接口をつけて飲んだ場合には,長期間の保存が可能とは苦いがたく,開栓後は冷蔵庫内で保存し,開栓当日遅くても1日後に飲みきることが必要である。また,飲用後のペットボトル容器に別の飲料を移し香え水筒として再利用することは衛生上安全であるとは言いがたい。
著者
上田 望
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.(43)-(90), 1999-03

波瀾壮闊的五代史故事従古至今,一直吸引着中国人。五代史故事的小説《残唐五代史演義》是中国古典小説当中傑作之一。雖説這篇小説是与《五代史平話》分別独自成書的英雄伝奇,但《演義》巻6以後的許多叙述部分根拠《通鑑綱目》編写,全篇的評語依拠《通鑑節要》而成。我認為作這些増補修訂的是明朝万暦期以暢銷書聞名中外的福建建陽書賈之一楊麗泉。在修改《演義》的過程中,他模倣《三国演義》的叙述假称“羅貫中原本”,参考《節要》乃至《綱鑑》中的諸家史評偽造了李贄評語,這無疑是他的老花招,与《両朝史伝》作一比較的話,這一点就更清楚了。但未見建陽刊行的《演義》,疑現存的早期刊本都係印刷精美的蘇州刊本,這也許与明末建陽刻書業日趨衰落的趨勢有着密切関連。以南宋時期為題材的小説中刊行時期最早的小説就是《南宋志伝》一本,它由《五代史平話》、飛龍平話、楊家将平話、歴史書的叙述這四箇基本成分構成。可見《南宋志伝》中的飛龍平話与其它明代小説之間在情節結構上有着不少共同点。這様看来,可以説両者的関係是来自同一源頭“民間説唱”的。然而《南宋志伝》并不認為是趙匡胤故事的英雄伝奇,它根拠《通鑑節要続編》或《綱鑑》増補訂正并附入了史評,是進一歩向“史実”化方向推進的本子。作者一定是想把它編成“歴史演義”而加以伝播。另外,可以看到《続通鑑綱目》文字的痕跡,従而可窺見其或許首先根拠《続綱目》所進行的修改工作。但《南宋志伝》与《北宋志伝》相比之下虚構成分欠乏,或許不太合当時読者的興趣罢。到了清代,有人将它与較新的飛龍平話相組合而編成愈加通俗,煥然一新的小説《飛龍全傳》。
著者
菊田 琢也
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:21873372)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.37-45, 2014-01-31

現代社会において、「自分らしさ」の表示や自己形成は無数に存在する商品をいかに取捨選択するかといった消費行動と大きく関係している。アンジェラ・マクロビーらは、少女たちが自分の部屋や身体といった私的領域を雑多なアイテムによって装飾することを通じて独自の文化を形成していく様子について言及しているが、その際に注目されたものの1 つが「雑貨」である。購入しやすく、所有しやすいという特徴を持つ雑貨は、「自分らしさ」を表現する上で容易に選択することができる消費対象として位置付けられる。本稿は、雑誌『オリーブ』における雑貨の取り上げられ方を考察することで、少女たちの自己形成と消費行動との関係について論じたものである。誌面のなかで「おしゃれ小物(おしゃれ生活小物)」として取り上げられる雑貨は、『オリーブ』が80 年代に「リセエンヌ」なる少女像を通して積極的に提案していた「チープ・シック」というスタイルを象徴するものとして位置付けられていた。そしてそれは、『オリーブ』の主要な読者層である中高生の女子という経済的に自立する前段階の「少女」という状況下と結びついた価値の創出でもあったのだ。
著者
石井 花
出版者
富山大学ヘルン(小泉八雲)研究会
雑誌
ヘルン研究 (ISSN:24328383)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.54-84, 2019-03-31

小泉八雲の再話文学の中には特殊な形態で出版されたものがある。それは、ちりめん本である。八雲のちりめん本は長谷川弘文社から5冊刊行されており、よく知られたものとしては楊枝の妖精が登場する『ちんちん小袴』(Chin Chin Kobakama)が挙げられ、八雲の再話文学を研究するにあたってこれらちりめん本は無視できない重要な作品であるといえる。本稿では、第1章でまず八雲がちりめん本に惹きつけられ、実際に長谷川弘文社から自身のちりめん本を刊行するまでの経緯について書簡を引用しながら整理し、第2章で『若返りの泉』が成立した過程を明らかにしていく。
著者
三木 麻子
出版者
関西大学国文学会
雑誌
國文學 (ISSN:03898628)
巻号頁・発行日
vol.83-84, pp.204-218, 2002-01-31

片桐洋一教授古稀記念特集
著者
平高 典子
雑誌
芸術研究:玉川大学芸術学部研究紀要 (ISSN:18816517)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-14, 2018-03-31

幸田延(1870明治3―1946昭和21)は音楽教育家として知られているが、ウィーン留学時以来、作曲活動も鋭意行っていた。本稿では、演奏や印刷されていないと考えられるものも含め、残された作品を紹介・解説したうえで、幸田の作風や作曲活動の意義と限界について考察する。
著者
田村 達久
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.525-550, 2020-03-30