著者
冨田 宣光 皆川 鉄雄 大越 悠数 田中 崇裕
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2012年年会
巻号頁・発行日
pp.56, 2012 (Released:2014-06-10)

NordenskiöldineとはBrögger(1887)により報告されたCaとSn4+のBoratesである。三方晶系に属する。本邦では未報告であったが、Vonsenite, hulsiteなどのboratesの産出で知られる宮崎県千軒平スカルン鉱床から見出した。Nordenskiöldineは無色透明, 葉片状あるいは板状集合体を成している。得られた実験式は(Ca0.94Fe2+0.02)Sn1.02(BO3)2であり、ほぼ端成分組成である。
著者
新井 幸佳 星野 恭子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.55-56, 2015 (Released:2015-03-20)
参考文献数
7

症例は7歳女児, 自閉性障害と診断, Wechsler intelligence scale for children-IIIの結果, full scale intelligence quotient 57・verbal intelligence quotient 58・performance intelligence quotient 64, 特別支援学級に所属. 初診時こだわりが強く会話はほとんどできなかった. 受診1カ月後から前頭葉機能改善を目的に少量L-ドパ療法開始, 2カ月後から心理士がsocial skill training (SST) 開始.  初回は同じ質問が多く会話が困難, 視線が合わず無表情であったが, 2回目以降目線を合わせた会話ができ, 4回目頃からやり取りが可能となる. 課題に集中でき物事への意欲も向上. 現在は語彙が増え, 喜怒哀楽を表現できる等コミュニケーションの幅は広がっている. 1年半後の知能検査は改善し, 2年後の神経学的診察所見の改善を認めた. また, 保護者の児への理解も深まった.  本児の変化は, 少量L-ドパ療法とSSTの併用により前頭葉症状を含めた広範囲の高次脳機能が改善したことによると考えられ, 自閉性障害の社会性の改善に有用な治療であると考えられた.

2 0 0 0 OA 南海の栞

著者
村上義久 編
出版者
成巧社
巻号頁・発行日
1912
出版者
大阪国税局
巻号頁・発行日
vol.昭和36年分 3の1,
著者
Keiko KOBAYASHI Yuki ISHIZAKI Shosuke KOJO Hiroe KIKUZAKI
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.123-129, 2016 (Released:2016-06-03)
参考文献数
30
被引用文献数
3 6

Sphingomyelinases (SMases) are key enzymes involved in many diseases which are caused by oxidative stress, such as atherosclerosis, diabetes mellitus, nonalcoholic fatty liver disease, and Alzheimer’s disease. SMases hydrolyze sphingomyelin to generate ceramide, a well-known pro-apoptotic lipid. SMases are classified into five types based on pH optimum, subcellular localization, and cation dependence. Previously, we demonstrated that elevation of secretory sphingomyelinase (sSMase) activity increased the plasma ceramide concentration under oxidative stress induced by diabetes and atherosclerosis in murine models. These results suggest that sSMase inhibitors can prevent the progress of these diseases. The present study demonstrated that sSMase activity was activated by oxidation and inhibited by reduction. Furthermore, we examined whether catechins inhibited the sSMase activity in a physiological plasma concentration. Among catechins, (−)-epicatechin 3-O-gallate (ECg) exhibited strong inhibitory effect on sSMase (IC50=25.7 μM). This effect was attenuated by methylation at the 3″- or 4″-position. On the other hand, (−)-epigallocatechin 3-O-gallate (EGCg) and (−)-catechin 3-O-gallate (Cg) exhibited weaker inhibitory activity than ECg, and (−)-epicatechin and (−)-epigallocatechin did not affect sSMase activity. Additionally, one synthetic catechin, (−)-3′-O-methylepigallocatechin 3-O-gallate (EGCg-3′-O-Me), showed the strongest inhibitory effect (IC50=1.7 μM) on sSMase. This phenomenon was not observed for (−)-4′-O-methylepigallocatechin 3-O-gallate. These results suggest that the reduction potential, the presence of the galloyl residue at the C-3 position, and the steric requirement to interact with sSMase protein are important for effective inhibition of sSMase.
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.637, pp.1-175, 2005-01
著者
山口 幸祐
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.29-42, 1992

《暗夜行路・前篇第一》に関しては、従来、作者志賀直哉と親友里見[トン]の生活史に即して読まれることが多かったが、《阪口の小説》を中心にした謙作と阪口の関係は作品固有の論理に支えられた意味と機能を担っていることを冒頭文の《下らない人物》と《清々しい気持》に注目することによって考え、また、それに関連して、「暗夜行路」成立の重要な契機になったと作者自ら言う《不義の児》設定には、青春の性の罪に対する処罰の意味があることを論じた。
著者
山内 繁
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.344-350, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1
著者
平山 弘 ひらやま ひろし
雑誌
阪南論集. 社会科学編
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.55-66, 2013-10
著者
谷 謙二
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100007, 2016 (Released:2016-04-08)

1.はじめに 日本の大都市圏の発展過程に関しては,すでに多くの研究がなされてきたが,戦前から戦後への継続性については十分に検討されていない。戦時期をはさむこの間には,軍需産業を中心として重化学工業化が進展したが,その立地についても大きな変化が起こったと考えられる。そこで本研究では,1930年から40年にかけての東京市を対象として,工業立地の変化,人口郊外化さらに通勤流動の変化の関係を明らかにする。区間通勤データとして1930年は「東京市昼間移動調査(昭和五年国勢調査)」を用い,1940年は「東京市昼間移動人口(昭和十五年市民調査)」を国勢調査で補って用いた。工業に関しては,「東京市統計年表」の区別工業統計を用いた。2.東京市の人口増加と工業立地 東京市内での人口増加の推移をみると,1930年,35年,40年の人口は,それぞれ499万人,591万人,678万人と,10年間で189万人もの急激な増加を示した。旧市域は,1930年時点で既に大部分市街化していた。1930年には旧市域・新市域の人口はそれぞれ207万人,292万人だったが,1940年にはそれぞれ223万人,455万人と,新市域の人口が圧倒的に多くなった。1930年代には人口の郊外化が進展したことがわかる。次に工業の立地について1932年,36年,40年の工場従業者数の変化を検討したところ,この間の東京市の工場従業者数は,23万人,39万人,67万人と増加し,特に36年以降の増加が著しいのは日中戦争の進展により軍需産業が急拡大したためである。人口と同様,旧市域での増加は小さく,蒲田区など城南地域を中心とした新市域での増加が顕著である。3.通勤流動の変化 従業地ベースでの就業者数の変化を検討すると,1930年時点では,旧市域での就業者が多かった。特に流入超過数が多い区は,現在の都心三区に含まれる麹町区,神田区,日本橋区,京橋区,芝区である。特にビジネス街の丸の内や官庁街の霞ヶ関を抱える麹町区は,11万5千人の就業者のうち区外からの流入者が9万3千人を占め,流入超過数は8万9千人を数える。一方新市域では流入超過を示す区は見られない。1940年になると,周辺部での就業者の増加が著しく(図6),中でも蒲田区の増加率は300%を超えている。その結果,就業者数をみると旧市域で133万人,新市域で143万人と,新市域と旧市域の就業者数が逆転し,人口に続いて雇用の郊外化が進展した。新市域においては,工場の増加した城東区,品川区,蒲田区で流入超過に転じた。1930年代は都心へ向かう通勤者も増加したが,それ以上に新市域での工場の立地が進んでそこへの通勤者も増加し,通勤流動は複雑化した。 これを男女別にみると,男性就業者が新市域で増加した工場に向かったのに対し,女性就業者は都心方向に向かっており,男女間で異なる傾向を示している(図1)。4.おわりに 1920年代は,郊外住宅地の開発が工業の郊外化よりも早く進んだ時期だったが,1930年代で,特に日中戦争が始まって以降は,工業の立地の郊外化が住宅地の郊外化よりも進んだことが明らかとなった。そのため,通勤流動では都心に向かう通勤者だけでなく,郊外間の通勤者や郊外に向かう通勤者も増加して複雑化した。また,男性では新市域に向かう通勤者が顕著に増加したのに対し,女性は都心へ向かう通勤者が増加した点が特徴的である。
著者
高谷 知佳
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.143-169,en9, 2015-03-30 (Released:2021-03-20)

自由都市論克服以降、多くの地域や時代の都市論において、法や制度のみならず、文化や情報など多様な特徴が「都市性」とみなされ、着目されるようになった。しかし一方で、改めて「都市はなぜ都市であるのか」という問い、都市に不可欠な特徴としての「都市性」を求める問いも浮かび上がっている。こうした研究状況の中で、都市における法や制度はいかに位置づけられるべきか。 日本中世史の研究動向を振り返ると、第一に、法や制度については、行政的な都市・農村の区分がなく、領域的に規律する都市法も少なく、特に京都や畿内先進地域にはほとんどないため、研究も少ない。第二に、網野善彦氏の「都市的な場」論とその後のブームがあるが、京都をはじめ、多様な利害の錯雑する大規模な都市についての研究は立ち遅れた。第三に、中近世移行期の町共同体の研究、さらに遡って中世の多様なネットワークの研究があるが、共同体やネットワークによっては解決しきれない問題に対する都市全体の権力についての研究はみられない。第四に、京都については、政治史の観点から、首都に一極集中した政治・法制・経済・文化のあり方について研究が深まったが、都市史との有機的関連が薄い。また、これらの動向のほとんどに共通して、中世前期と後期の連続した研究が少ない。 こうした研究を踏まえて、われわれが取り組まなければならないのは、多様な利害が交錯し共同体やネットワークをも越えるような紛争解決や危機管理についての研究である。これらは、都市のもっとも本質的な特徴であり、かつ都市が大規模になればなるほどに問題となる。そしてこうした問題にこそ、法や制度が深くかかわる。 日本中世都市においてこの問題に取り組む一つの方向性として、本論では都市の紛争解決の多面的な分析を提示したい。裁判やネットワークへのアクセサビリティ、用いられる法や先例の実態、徳政令や関所など領域的支配との関係、時代を経た変化などを分析することによって、「都市性」の普遍性と多様性を明らかにしたいと考える。
著者
平塚 聖一 澤田 敏雄 長谷川 薫
出版者
静岡県水産試験場
巻号頁・発行日
no.35, pp.23-27, 2000 (Released:2011-03-05)

1991年から1996年までの6年間に、静岡水試の調査船が近海、東沖及び南方漁場において漁獲したカツオ41漁獲群、4,114尾について石ガツオの出現状況を調査し、以下の結果を得た。 1)41漁獲群中、87.8%に当たる36漁獲群において石ガツオの出現が見られた。また、1漁獲群当たりの石ガツオの出現率は0~16.8%であったが、群間で大きな差が認められた。 2)石ガツオは近海、東沖及び南方漁場のいずれの漁獲物においても出現した。また、漁獲後処理のうち水氷、ブライン凍結両方の貯蔵方法においても石ガツオの出現が確認された。 3)石ガツオは漁獲後の処理方法によって発生するのではなく、生存中からすでに存在している可能性が高いと考えられた。 4)石ガツオは一部の漁場において特異的に出現するのではなく、広範囲に亘る漁場で出現する可能性が高いと考えられた。
著者
倉矢 匠
出版者
東洋大学大学院
雑誌
東洋大学大学院紀要 = Bulletin of the Graduate School, Toyo University (ISSN:02890445)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.121-140, 2017

世間には,心理的な側面における男女の違いを強調した常套句(i.e., ジェンダー常套句)が数多く流布している。本研究の目的は,そのように男女を,心理的特徴の面ではっきりと異なったカテゴリーに分けて捉えることを是認する程度を調査することであった。特に,異性に対する2種類の性差別的態度(敵意的性差別と慈愛的性差別)によりそうした情報の受け入れやすさが予測されるか否かが検証された。女子学生174名を対象に調査を実施した結果,男性に対する慈愛的性差別態度が強い女子学生ほどジェンダー常套句の内容を是認する程度が高いことが示された。さらに,慈愛的差別が強い一方で同時に敵意的差別は弱いという場合には,常套句を是認する程度が高いことが示された。これとは対照的に,慈愛的差別が弱いと同時に敵意的差別も弱いという場合には,常套句を是認しにくいことも示唆された。最後に今後の課題として,社会の中で自らの性別を受容している程度が,男女の心理的違いを強調した情報の受容に影響を与える可能性について議論がなされた。Throughout the world, we find many gender clichés that exaggerate the psychological differences between men and women. In this study, a survey was conducted on the degree to which female students (N = 174) endorse gender clichés that reflect psychological gender dichotomization. In particular, the focus was whether two types of sexism (i.e., hostile sexism [HS] and benevolent sexism [BS]) predicted endorsement. The results showed that the higher they scored on BS toward men, the more they endorsed gender clichés. Moreover, among female students who scored high on BS, those who scored higher on HS endorsed gender clichés weakly compared to those who scored lower on HS. Also, high BS women who scored higher on gender system-justification beliefs endorsed gender clichés strongly. Finally, implications for identification effects with one's own gender or gender self-esteem on endorsement of gender dichotomization and gender cliché were discussed.
著者
旗 薫
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.69-80, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
48

2009 年から2019 年にかけて,宮城県内の河川で暖水性魚類4 種を採集した.テングヨウジMicrophis (Oostethus) brachyurus brachyurus,オオクチユゴイKuhlia rupestris,クロホシマンジュウダイScatophagus argus は宮城県初記録ならびに標本に基づく北限記録となる.これらは黒潮がもたらした無効分散による出現であったと考えられる.一方,複数河川から採集されたボウズハゼSicyopterus japonicus には越冬個体が含まれた.