著者
稲川 郁子
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.2027-2034, 2022

This study examined the background of roller coaster accidents at amusement parks and the related safety measures based on a study of the “Do Dodonpa” accidents, a coaster-type attraction owned by Fujikyu Highland. Since 2019, multiple accidents involving fractures and other injuries to passengers’ spines have been attributed to “Do Dodonpa”, which has become a serious hazard. From several news articles, I could know that the most important measure by which passengers could avoid accidents was to hold the back of their heads against the head restraint during in starting, since “Do Dodonpa” is characterized by rapid acceleration at the time. Furthermore, although roller coasters are installed and operated in accordance with strict safety standards, both owners and passengers need to be fully aware of the dangers inherent in them. Therefore, I consider it important for owners to thoroughly implement safety measures including not only the maintenance and management of equipment but also the issue of in-depth warnings; passengers must also take the owners’ warnings seriously while enjoying the attractions.
著者
板垣 正敏 河野 一隆 藤田 晴啓 Masatoshi ITAGAKI Kazutaka KAWANO Haruhiro Fujita
出版者
考古文化財ディープラーニング研究会

本研究では高精細の文化財画像に無相関ストレッチおよび機械学習による図像解析を加え、褪色して見えなくなった文字や文様などのモチーフを鮮明化する、文化財に特化した画像解析技術の理論構築と実践を目的とする.デジタル画像の利用が一般化してからは、画像の鮮明化には画像編集ソフトウェアを用いてトーンカーブを修正するなどの手法や、ヒストグラム平坦化などによるコントラスト強調の手法が採られてきた.手動によるトーンカーブ修正などの方法は、経験や試行錯誤による職人的なもので一般化は困難な一方、ヒストグラム平坦化では一定の効果は得られるものの、鮮明な復元は困難である. 本研究では、人工衛星による資源探索などの領域で開発され、考古学でもロックアートなどの分野で活用されている無相関ストレッチと呼ばれる手法を用いて画像の鮮明化を行うとともに、深層学習技術を活用したCycleGANと呼ばれる手法で無相関ストレッチ手法によって生じた色相の変化の復元を試みた. 無相関ストレッチは,主成分変換とKarhunen-Loeve変換という2つの密接に関連したデータ変換技術を適応,拡張したものである.Karhunen-Loeve変換は,多次元空間における線形変換(回転)であり,変換ベクトルは元のデータの共分散行列の固有ベクトルとして定義される.本研究では、オープンソースの画像編集ソフトImageJのプラグインDStretchを利用する.DStretchでは画像のRGB色空間を別の色空間に変換してから無相関ストレッチを適用することで画像の鮮明化の効果を強化しているが、結果として色空間に変化が生じるため、画像復元の目的にはそのまま用いることができない.そこで我々は深層学習を用いた画像生成技術であるCycleGANに注目した.深層学習による画像生成は、画像の高精細度化や白黒画像のカラー化などにも活用されているが、pix2pixなどこれまで利用されている技術では、その学習に変換元の画像と変換後の画像のペアが必要であった.しかしながら、文化財復元の目的では、褪色前後の画像をペアで用意することはほぼ不可能である.CycleGANは順方向と逆方向の変換器を同時に学習させることで、学習に1対1の対応画像を不要にしたものである. 最初の対象物としては木簡を使用した.汚れや褪色などによって判読不可能となっている木簡から文字を判読可能な状態に復元できれば意義が大きいだけではなく、本研究の手法の有効性を判断するのに適していると考えたからである.今回は、少量の木簡画像を用いて、無相関ストレッチによる画像鮮明化の効果を確認し、CycleGANによって色相の復元が可能かどうかの実験を行い、その効果と課題を検証した.
著者
樽野 博幸 河村 善也 石田 克 奧村 潔
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.17-142, 2017-03-31

中部日本に位置する熊石洞は,数多くの後期更新世の哺乳類化石を産出している.その中には,ヤベオオツノジカ(Sinomegaceros yabei)とヘラジカ(Alces alces)の2種の大型シカ化石が多量に含まれている.本稿では,体骨の詳細な記載と計測を行い,ヤベオオツノジカとヘラジカの体骨の識別点を初めて明確に示した.またヤベオオツノジカの肢骨を中国産のSinomegaceros 属の種,ならびにアイルランド産のMegaloceros giganteusの骨と比較した.その結果,ヤベオオツノジカは中国産のSinomegacerosよりもはるかに大きく,M. giganteus と同程度の大きさであることを明らかにした.
著者
デュトゲ グンナー 海老澤 侑 鈴木 彰雄 谷井 悟司 鄭 翔 根津 洸希
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.47-73, 2018-12-30

本稿はProfessor Dr. Gunnar Duttge, Die „geschäftsmäßige Suizidassistenz“ (§217 StGB): Paradebeispiel für illegitimen Paternalismus!, in: ZStW 2017; 129(2), S. 448-466を筆者の許諾を得て翻訳したものである。 ドイツでは,近年,刑法217条「業としての自殺援助」の規定について,学問の枠を超えた議論が活発に行われている。本規定は,ドイツにおける自殺援助団体の活動が顕在化した際に成立したものであり,その点で,自殺の手助けが一種の「通常の健全なサービスの提供」になってしまうことや,「一定の(場合によってはたとえ無料でも)業務モデル」として定着してしまうことを防ごうとしたものといえる。しかし,近時下されたOLG Hamburg決定は,現実が真逆であることを物語っている。 本規定に自殺防止の目に見える効果が認められずまた,自殺を希望する者は,ドイツ以外の自殺援助サービスを用いるようになる。そのため,本規定は,自殺の予防につながるものではなく,結局のところ,自殺傾向というものは,個々人を具体的に分析してはじめて,治療的介入による緩和が可能となるのである。 刑法217条は,価値合理性の観点からは自由侵害性が高く,目的合理性の観点からは適切でないどころか,大きな害にすらなるとまとめざるを得ない。本来,刑罰を正当化するためには,問題となる行為に現実的な侵害リスクが内在していなければならない。また,自殺の意思決定を何らかの方法で容易にすることがただちに当罰的不法とされてはならない。加えて,「業務性」の著しい曖昧さを排除することも,今後同条を適用するにあたって重要となるであろう。
著者
奥平 志づ江
出版者
文教大学女子短期大学部家政科
雑誌
家政研究
巻号頁・発行日
vol.18, pp.31-38, 1987-01-01
著者
柴田 武男
雑誌
キリスト教と諸学 : 論集 (ISSN:13452487)
巻号頁・発行日
vol.Volume30, pp.(47)-(60), 2017-03
著者
原田 克彦 小林 茂
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.129(2005-MUS-063), pp.7-11, 2005-12-23

PCと外部のセンサやアクチュエータを接続するI/Oインタフェースモジュールは、既にさまざまなものが存在している。本稿では、開発したI/Oモジュールgainerについて説明する。gainerでは、デジタル/アナログ混載マイコンPSoCを使用することにより、機能の再構成が可能(リコンフィギャブル)となっている。また、プログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)による使用者のユーザビリティ向上も期待できる。これらがもたらす使用部品数の減少や低価格でのキット化は、教育用途向けの使用として優位性を発揮できる。一例としてgainerを使用したワークショップについて報告する。
著者
福井 七子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-45, 1996-03-31

ベネディクトは、文化は個人や社会変化に対する可能性と開放を含むものであり、ひとたび人間が文化の力を意識し始めると、社会の要求に合うように修正され得るもので、文化は望まれる将来の世界への鍵のようなものと考えていた。
著者
石毛 弓 野波 侑里 本田 直也 淺谷 豊 藤森 圭子 ISHIGE Yumi NONAMI Yuri HONDA Naoya ASATANI Yutaka FUJIMORI Keiko
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.149-167, 2022-07-31

大手前大学学修サポートセンターに対する学生の動向を知り、かつ利用学生への学修効果を調べる目的でアンケート調査を実施することとなった。そのために、まず2021年度春学期にパイロット調査を実施した。本論ではその結果について考察する。なお当該調査を実施するに至った大きな要因に、2021年度からいたみ稲野キャンパスが閉鎖され、同キャンパスに通学していた学生がすべてさくら夙川キャンパスに所属したことが挙げられる。両キャンパスの学生がひとつの場所で学修支援を受けるのは大手前大学にとって初めてのことである。この統合を受けて、学修サポートセンターもまた大きく変容することとなった。これをきっかけとして、変化のあった2021年度を起点に継続的なアンケート調査を開始するべきだという機運が高まったのである。本論では、最初に授業外学修へのサポートの必要性を検証したのち、大手前大学における学修サポートセンターの概要を述べ、パイロット調査の結果について分析する。考察として、学生の動向については、利用回数と考え方や行動の変化に関連があること、また学修における自律性が弱いといった特徴がみえたことが挙げられる。またパイロット調査として、設問の妥当性や今後の課題について有用なデータを得ることができた。