著者
佐藤 智敬
出版者
成城大学
雑誌
常民文化 (ISSN:03888908)
巻号頁・発行日
no.25, pp.122-98, 2002-03
著者
内田 充範
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-11, 2020-03-31

2015年4月から、生活困窮者自立支援法に基づく支援事業がスタートした。この生活困窮者自立支援事業に、学習支援をはじめ、日常的な生活習慣の修得や仲間と出会い活動ができる居場所づくり等、子どもと保護者の双方に必要な支援を行う「生活困窮世帯の子どもの生活・学習支援」がある。本稿は、この生活困窮者自立支援事業の「生活困窮世帯の子どもの生活・学習支援」を実施している独立型社会福祉士へのインタビューから、独立型社会福祉士によるソーシャルワーク実践の価値について明らかにした。独立型社会福祉士によるソーシャルワーク実践も社会福祉士の業務実践の専門性と守るべき規範を広く社会に宣言した『社会福祉士の倫理綱領・行動規範』をよりどころとしている。この『社会福祉士の倫理綱領・行動規範』の基盤とされたのが、国際ソーシャルワーカー連盟による『ソーシャルワークのグローバル定義』である。この定義から、社会変革、社会開発、社会的結束、エンパワメント、解放、社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重の9つのキーワードを抽出し、独立型社会福祉士の実践と照合したところ、そのソーシャルワーク実践は、『ソーシャルワークのグローバル定義』の具現化に他ならないものであった。当事者主体の基本姿勢を基盤としながら、自身のソーシャルワーク技術を向上させるべく、日々研鑽に努めている姿勢こそが、『ソーシャルワークの価値』の自覚であり、この独立型社会福祉士のソーシャルワーク実践が、「社会が危機的状況にある時代」に変革を起こし、新たな社会を構築していくと考える。
著者
連 温卿
出版者
立教大学
雑誌
史苑 (ISSN:03869318)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.p61-83, 1975-03
著者
藤崎 智礼 宮下 智
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.41-46, 2021-01-25 (Released:2021-02-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1

米国ニューヨーク市では,新型コロナウイルスの爆発的な感染力と,強力な病原性により多くの方が犠牲となった.医療崩壊が目前まで迫る中で,患者の尊厳を守り,充実したものにするために,Advance Care Planning(ACP)やインフォームド・アセントをはじめとした緩和医療分野の重要性に焦点が当てられた.新型コロナウイルス世界的大流行を契機として,今後,日本でもACPをはじめとした緩和医療の重要性が増してくると予想される.
著者
福田 治久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.387-395, 2014 (Released:2015-01-26)
参考文献数
22

医療経済評価は医療技術,医薬品,医療材料,対策活動などの効率性を評価する技法であり,効率性とは,費用と有効性の双方の観点から評価されるものである.本稿では,医療関連感染領域における費用の評価方法について紹介する.取り上げる費用は,「対策費用」,「健康状態の変化による医療費」,「生産性損失費用」の3 点である.   「対策費用」および「健康状態の変化による医療費」の測定は,DPC データやレセプトデータを活用することができることから,最初に,DPC データを用いた評価方法について解説する.次に,「健康状態の変化による医療費」の代表的な測定方法である,(1) カルテレビュー,(2) マッチング法,(3) 回帰分析,の3 つの方法について解説する.また,これらの方法を用いて推計された,本邦における医療関連感染発生による追加的医療費の報告結果について紹介する.最後に,「生産性損失費用」について,医療経済評価ガイドラインにおいて推奨されている評価方法について紹介する.
著者
福田 治久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.396-404, 2014 (Released:2015-01-26)
参考文献数
21

医療経済評価は医療技術,医薬品,医療材料,対策活動などの効率性を評価する技法であり,効率性とは,費用と有効性の双方の観点から評価されるものである.本稿では,医療関連感染領域における有効性の評価方法と医療経済評価の実例について紹介する.   本稿では,医療経済評価に必要な有効性データについて,(1) 医療関連感染領域の医療経済評価に利活用 可能なアウトカム指標のデータ例,(2) 有効性データ算出時の患者重症度調整に使用可能なデータ例につい て紹介する.さらに,「非皮下トンネル型中心静脈カテーテル」と「末梢挿入型中心静脈カテーテル」の比較 事例をとりあげ,医療経済評価における分析モデルの概要と具体的な検討手順について紹介する.
著者
髙木 康文 福田 治久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.173-180, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

本研究の目的は,MRSA感染症における追加的医療資源(入院日数・出来高換算医療費)の推計である.  対象は調査病院を2012年12月~2014年12月に退院した患者で,解析手法はMRSA感染有無を目的変数にしたロジスティック回帰によって推定される傾向スコアによるマッチング法を用いた.傾向スコア推定後,DPC10桁が同一でスコアが近似するMRSA感染者と非感染者を1対1でマッチングした.また,時間依存バイアスに対処したマッチング法も併せて行った.両者の医療資源の差異の平均から追加医療資源を算出し有意差の検定は対応のあるt検定を用いた.  解析対象症例数は24,538例で,感染者数は47名であった.MRSA感染症による入院日数の延長は時間依存バイアスに対処した場合:13.1日(95%信頼区間3.7日–22.4日,p=0.008)および医療費の増加は107.0万円(31.7万円–182.2万円,p=0.007)であり,時間依存バイアスに対処しない場合:21.2日(95%信頼区間11.7日–30.8日,p<0.001)および医療費の増加は160.7万円(64.3万円–257.0万円,p=0.001)と算出された.  本研究は,傾向スコアを用い時間依存バイアスに対処したマッチング法でMRSA感染症による追加的医療費を推計した.結果,時間依存バイアスに対処しなければ結果を過大評価することが明らかとなった.本推計値は感染制御における費用対効果を計る資料として活用できる.
著者
加藤 彰彦
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.68, pp.123-154, 2019-09-25

ジル・ドゥルーズの『シネマ』において示されている映画に対する姿勢とは、何かの理論によってそれを解釈・分析するのではなく、それをそのまま鑑賞するというものであるが、対象に向かうあり方が果たしてそれで可能かをアンドレ・ブルトンのシュルレアリスムの研究のあり方において検証したのが本論考である。我々の基本的態度は、何ものにも依らずに分析・解釈できるとするとそこに俗流心理学が入り込んでくることをロラン・バルトによって示した上で、ジャック・ラカンの精神分析によりシュルレアリスムの分析・解釈が可能となると考えることにある。まず第一部においてドゥルーズとラカンを対比させ、シュルレアリスム的手法、シュルレアリスム的時間、シュルレアリスム的存在、シュルレアリスム的精神の一点、シュルレアリスムの非順応主義、シュルレアリスムが目指すところ、シュルレアリスムの小説について検討し、ドゥルーズの有効性を認めつつも、最後にどうしても残ってしまう欲望の問題をラカンの精神分析によって捉えていくしかないことを明らかにした。次に第二部において、ラカンのみを取り上げ、シュルレアリスムにおける自由、ブルトンの自己同一性、シュルレアリスム的倫理、シュルレアリスム的言語、芸術としてのシュルレアリスムについて検討し、現実変革というブルトンの欲望を維持し続けるものはラカンの言う対象a であると考えられることから、シュルレアリスムの分析・解釈手段としてのラカンの精神分析の有効性を示した。