著者
伊藤 喜彦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.605, pp.223-228, 2006
被引用文献数
1 1

The church of Santiago de Penalba, generally known as an example of mozarabic architecture, is the only remains of an hermitage which Saint Gennadius founded in El Bierzo, Leon, at the beginning of the 10^<th> century. It is also one of the best preserved monuments from the Repoblacion period of the Duero basin. Besides its fancy horseshoe arches which show certain influence of Cordoban aesthetics, the structural characteristics of this small church demonstrate conservative tendencies still valid since Roman Hispania.
著者
井上 学 田中 健作
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

<u>1.はじめに</u><br><br> 乗合バス事業は、明治期の末頃から大正期にかけて始まった。1923(大正12)年の関東大震災の復興に際し、東京市で大規模な路線網によって運行されたことが契機となり、全国的に乗合バス事業が拡大したといわれている。ただし、それら路線網の展開や事業者の参入などの状況については、事業者が発行した社史や事業沿革などの資料に限られ、全国的な事業の開始と展開は明らかにされているとは言い難い。これは、事業開始当初から現在に至るまで、日本全国の事業者や路線網がほぼ明らかにされている鉄道事業と大きく異なる。そこで、乗合バス事業の初期段階における路線網の復原とその特性を明らかにすることを本発表では試みる。くわえて、当時の資料の有用性についても言及したい。<br><br><u>2.使用した資料の特徴</u><br><br> 乗合バス事業の許可については、実質的に各府県が扱っていたが、事業者間競争が激しくなったため、1931年の自動車交通事業法の制定によって鉄道大臣が管理することになった。そのような背景を持って発行されたのが鉄道省編による『全国乗合自動車総覧』(1933)である。本資料は全国のバス事業者と路線、事業規模等などが収められている。路線の空間情報として、起終点については地番までの住所が記載されているものの、経由地は数カ所の地名のみである。路線図についても簡略化された図が添付されているがすべての事業者が記載されているわけではない。<br><br> 一方、大阪毎日新聞社発行の『日本交通分県地図』は東宮御成婚記念として1923年の大阪府から1930年の新潟県まで北海道を除く府県版が発行された。バス路線も記載されているが、事業者名は記載されていない。また、各府県版が同時期に発行されたのではないし、発行順序も地域ごとにまとまって発行されていない。そのため、資料の統一性には欠けるものの、当時の道路網や鉄道路線などバス路線網と比較検討しやすい特徴を持つ。<br><br> そこで、本発表では両資料を用いて当時の路線網の復原を試みた。今回は中部地方の4県(長野県、岐阜県、静岡県、愛知県)を対象とした。<br><br><u>3.バス路線網の特性と資料の有用性</u><br><br> 『日本交通分県地図』の発行時期は長野県・岐阜県(1926年)、愛知県(1924年)、静岡県(1923年)と近接しているが、路線網は各県によって大きく異なった。岐阜県や愛知県では路線網が全県的に広がっているが、長野県や静岡県は局所的にとどまる。『全国乗合自動車総覧』で路線の開設時期を検討すると、静岡県では昭和に入ってから路線の新設が相次いでいる。つまり、乗合バス事業の普及と展開は全国均一に広まったのではなく、地域や時期によって大きく異なる点が想定される。<br><br> 路線網については都市や集落間、街道で運行される路線、鉄道駅から周辺集落への路線、鉄道駅同士を短絡する路線や鉄道と競合する路線も見られた。鉄道にくらべてバスは細かい地域を回ることができるという特性が、すでにこの時点で活かされていたといえよう。<br><br> このように、発行時期の不一致と事業者名がない『日本交通分県地図』と空間情報の解釈が難しい『全国乗合自動車総覧』の2つの資料を用いることで、当時のバス路線網の復原には一定程度有用である点が認められた。ただし、『全国乗合自動車総覧』には消滅した事業者がないため、記載されている事業者が必ずしも運行開始時点からその事業者名であったかについては明らかにできないという限界も見られた。この手法を用いて今後は全国的な路線網の復原を目指す。
著者
千葉 立也
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.257-269, 1981-02-28
著者
柳井 雅也
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.291-305, 1988-12-28
被引用文献数
1
著者
丹羽 芳樹 新田 義彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.94, no.63, pp.49-56, 1994-07-21
被引用文献数
3

実用的な自然言語処理に求められる頑健性を確保するためには,ルールに基づく解析を補う数値計算的手段が有効である.単語ベクトルとは単語の意味を反映した座標表現であり,文脈の類似度計算や単語例からの学習など幅広い応用が期待される.本研究では2種類の単語ベクトルを用い,多義語の意味推定問題での効果を比較した.一つは大規模テキストから共起統計により得られる共起ベクトル,もう一つは辞書の語義から計算される単語間距離を用いる定義距離ベクトルである.9種類の多義語に関する実験結果では共起ベクトルの方が高い正解率が得られた.従って文脈の類似度に基づく多義性解消問題に関しては共起ベクトルを用いた方が有利である.
著者
小林 寛 金 河守
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.63-76, 2014
著者
宮内 輝武
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎女子短大論集 (ISSN:03874125)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.61-92, 1990-03
著者
上原 明 直井 岳人 飯島 祥二
出版者
人間・環境学会
雑誌
人間・環境学会誌
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.1-10, 2017

本研究は、観光目的地となっている商業空間における場面の特性とそこで促されうる観光活動の関係性を明らかにすること目的としている。調査では、沖縄県那覇市国際通り周辺の 10 場面に関する 60 名の県内大学生を被験者としたスライド評定実験を行い、その評定平均値を基にクラスター分析を行った。次に、分類された当該研究対象地に関して現地で 31 名の県内大学生に自由記述式の調査を行った。その結果、対象場面は、「観光者向けの場面」及び「地元の生活を感じられる場面」に区分されることが示唆された。また、「観光者向けの場面」では、「お土産を買うこと」、「よく知られた沖縄の観光情報を知ること」、「お土産店の店員との交流」という観光活動が促されうることが示唆された一方、「地元の生活が感じられる場面」では、「落ち着いた雰囲気の中で」、「観光者が地元の生活を感じながら」、「観光者が地元の人々と交流する」という観光活動が促されうる可能性が示唆された。以上のように対象商業空間の場面における印象評価の差が認められ、各場面の特性とそこで促されうる観光活動の関係性が検証された。本研究の結果は、観光目的地の場面における観光活動の特徴を分類・整理するための枠組みを構築するための有用なアプローチを示したと考えられる。
著者
宮城 豊彦 内山 庄一郎 渡辺 信
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

沖縄県西表島の大規模なマングローブ林を対象に新しい技術と分析手法を用いて、地生態系の形成過程を分析する可能性を検討した。
著者
佐久真 沙也加
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

1990年代以降日本では自然とのふれあいや保全を商品化した観光活動が推奨されるようになった。本発表では日本でエコツーリズムが発展してきた過程を整理することを目的とし2008年に制定されたエコツーリズム推進基本法に着目する。背景となる国内の観光開発およびエコツーリズムの意義づけに関してポリティカルエコロジー(political ecology)の視点を参考に考察する。エコツーリズムが国内で紹介され始める90年以降の新聞記事や推進基本方針に関する資料を基にエコツーリズムが推進されてきた過程に関してまとめる。&nbsp;<br> <br> 資源管理をとりまくアクター間の衝突など、ポリティカルエコロジーの分野は幅広いテーマを含み統一した定義づけは困難であるとされる。しかしその中でも自然環境の変化を分析することで政治や権力を読み解く取り組みは多くなされている。自然という存在がいかに概念化されまた資源管理の対象として位置づけられているのかを問い、自然という従来は非政治なものとして捉えられてきた存在が大いに政治や権力によって影響されるもののひとつであると唱える研究は多々ある。特に統治性(governmentality)という概念を用いて政治と権力の仕組みについて説いたFoucaultに続き、Agrawal(2005)やLuke(1995)は環境保全と権力という点に着目した研究を行った。 &nbsp;&nbsp;<br> <br> Agrawal (2005) はインドで森林の資源保全が政治手法であると捉え異なるアクターがいかに森林に対して無関心の状態から保全対象として意識を変えたか政策や行政、NGOといった組織そして人々のアイデンティティといった点に着目することで分析した。またLuke (1995) はWorldwatchと呼ばれる国際的な環境保全に関する研究機関と環境に関する知識(eco-knowledge)が形成される過程を分析しいかに特定の情報が資源保全の規範となっていくかを議論した。さらに環境保全を開発の手法として説いたWest (2006) は環境保全の意義や動機付けはアクター間により柔軟に変わりうることを強調する。 本発表では理論的な枠組みとして政治と環境保全との関わりを議論するポリティカルエコロジーの分野における上述のエコ・ガバメンタリティ(eco governmentality)やエンバイロンメンタリティ(environmentality)の視点から、日常生活のなかで自然保全の意義付けにおいて観光政策が果たす役割について考える。<br> <br> 観光を学ぶ中で、上述の自然資源保全と同様に観光を政治手法として捉える研究も多く行われている。「なぜ政府は自国の観光の在り方を気にするのか?」という問いを通しLeheny (2003)は日本国内における観光の発展を議論した。その主な目的は経済大国としての日本の位置づけを強調するため(Leheny 2003)であり、また「民主的で文化的な国家」(Carlile 1996, 2008)としての日本を国内外に広めるためであった。実際に観光政策は江戸時代の頃より外国人の行動を制限する手法や(Soshiroda 2005)他国との輸出入取引のインバランスを調整する仕組みとして用いられてきた。80年代には日本列島のリゾート化が進み、ゴルフコースの建設やリゾート用地開発などリゾート開発が地方経済の火付け役としての期待を担うことも珍しくはなかった(Rimmer 1992, Funck 1999)。しかしゴルフ場建設等に伴う農薬利用など周辺環境への影響が懸念されはじめ、また従来のマスツーリズムのようにツアーを中心とした周遊型ではなく旅先での経験などを重視する滞在型への関心の高まりから(Tada 2015)、観光開発の分野においても「持続可能性」という概念が90年代以降見られるようになってきた。 &nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;<br> <br> エコツーリズムはそのような中で台頭してきた観光のありかたといえるであろう。例えば朝日新聞の過去の記事を見ると、国内でエコツーリズムが新しい概念として紹介されている記事は90年代から2000年代にかけて著しく増加し、当時発展途上国の自然観察観光として紹介されたエコツーリズムは今日では国内の地方活性化のツールとして捉えられつつある。西洋と異なる過程の中で80‐90年代の高度経済成長とバブル経済の崩壊、加速したリゾート開発を顧みる存在としてエコツーリズムが提唱されてきたのだとすれば、自然保全を開発として捉えるエコツーリズムもエンバイロンメンタリティの構築の一例であり、環境問題のみならず経済や行政のつながりから派生する様々な要因が影響してきたものであると言える。今後の調査課題としては地域レベルでこのような政策がいかに具体化されているかを知ることが挙げられる。
著者
比嘉 浩太郎 池間 康成 小浜 博太 島袋 孝尚 米田 晋 立花 真理 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.387-390, 2017

当院では前十字靭帯(以下ACL)損傷に対して解剖学的二重束再建を行っており,大腿骨孔はtranstibial法で作成している.H22年4月からH25年3月までに施行した解剖学的二重束ACL再建術を施行した16例中,術中に起きた合併症3例について報告する.症例1.大腿骨骨孔作成時にガイドピンの先端が大腿骨内で折損した.ガイドピンをハンマーで叩いて刺入したため髄内釘になってしまい,大腿骨内で折損した.症例2.術後のX線像にて大腿骨の前内側骨孔外に金属粉と思われる陰影を認めた.ガイドピンが弯曲したままドリルした事が原因と考えられた.症例3.脛骨の後外側骨孔を作成時,骨孔作成ガイドを倒しすぎたため顆間隆起を損傷した.【まとめ】解剖学的二重束ACL再建術において術中合併症を生じた3例を報告した.transtibial法で大腿骨孔を作成する場合は,ガイドピンが適切に挿入されていることと脛骨骨孔作成時は関節面の軟骨損傷を防ぐため骨孔刺入角度に注意する必要がある.
著者
小浜 博太 新垣 寛 知念 弘 山口 浩 大城 亙 森山 朝裕 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.319-321, 2017

鎖骨遠位端骨折に対するフックプレート(HP)と非フックプレート(n-HP)の術後経過を比較した.HP群は14例(男性12例,女性2例,平均年齢47.8歳,術後平均観察期間9.7カ月)で全例LCP clavicle hook plateを使用した.n-HP群は12例(男性10例,女性2例,平均年齢41.2歳,術後平均観察期間9.9カ月)でClavicle Wiring plate 6例,Tension band wiring, Scorpion plate, Now J, Distal clavicle locking plate, LCPクラビクルプレートラテラルエクステンション,髄内釘をそれぞれに使用した.最終観察時の平均JOA ROMスコア(30満点)はHP群22点,非HP群28点で,n-HP群で良好であった.全例で骨癒合を認め,HP群で肩峰下のびらんを13例,偽関節を1例に認めた.肩峰を跨がないHP以外の内固定では術後肩関節可動域が良好な傾向であった.