著者
林 恭平 根来 圭一 岩本 和也
出版者
和歌山県農林水産総合技術センター
巻号頁・発行日
no.5, pp.67-73, 2004 (Released:2011-03-05)

本研究はウメ品種のS遺伝子型をPCR法により識別した。1.供試したウメ50品種から少なくとも10の遺伝子座を識別し、22以上の遺伝子型があることを認識した。2.和歌山県各地の‘南高’79樹のS遺伝子型はS1S7であったが、異なるS遺伝子型示す‘南高’が2系統あった。3.‘小粒南高’5系統のS遺伝子型はそれぞれが違う遺伝子型を示し、‘小粒南高’は遺伝的に様々な系統があると考えられた。4.‘南高’と自家和合性個体(‘地蔵’と‘剣先’)の交雑個体の中で、自家和合性個体をSf遺伝子の有無で識別することができたことから、S-RNase遺伝子は自家和合性個体判別の分子マーカーとして利用できることがわかった。
著者
林田 達也 片山 貴雄 尾形 武文
出版者
福岡県農業総合試験場
巻号頁・発行日
no.21, pp.67-71, 2002 (Released:2011-03-05)

茎葉を主として利用する葉ゴボウの品種‘恩智極早生白茎’の栽培法を確立するために、休眠や抽だいの特性および播種時期と保温施設、保温資材が異なる場合の生育、収量について明らかにした。1.葉ゴボウ品種‘恩智極早生白茎’を秋播きした場合、冬期にも葉が展開し、休眠は認められなかった。2.‘恩智極早生白茎’を秋播きした場合、3月中旬より抽だいが認められた。抽だいは根径が太いほど起こりやすく、16時間の長日条件により促進された。3.葉ゴボウ品種‘恩智極早生白茎’を北部九州において栽培する場合、9月下旬から10月下旬に播種し、大型ハウスや小型ハウス、トンネルおよび露地で栽培することが可能であり、これらの栽培法を組み合わせることにより、2月中旬から4月上旬までの長期収穫が可能である。
著者
勝崎 裕隆
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.396-402, 2018 (Released:2018-07-18)
著者
永井 久美子 佐藤 塁 纐纈 雄三
出版者
明治大学農学部
巻号頁・発行日
no.140, pp.9-23, 2004 (Released:2010-04-05)

本研究の目的は、滞在型の農業動物介在教育(FAAE)による体験が、都市生活を営む農学部学生の農業動物への認識や意見、そして気分や生理指標に及ぼす影響について検証することであった。このFAAEは、明治大学農学科の畜産実習・学生実験の一部として行われた。豚約50頭と他に肉牛と羊を持つ明治大学付属農場で実施されたFAAEの前後で2回、履修学生を被験者として調査をおこなった。FAAEは、大学寮での2泊3日で飼料給与、豚の体重測定や行動観察等を行った。さらに無作為に選ばれた学生については、血圧、体験の前・中・後で心電モニター図、脳波、気分を検査した。自己記入式質問紙法のPOMSで、6つの気分尺度、すなわち、活気、抑うつ?落ち込み、混乱、緊張?不安、怒り?敵意、疲労を測定した。有効被験者97人のうち、体験前後で農業動物が好きという回答が51.5%から62.5%に増加し、約75%が畜産に興味を持ったと回答した。彼等の農業動物と畜産への認識は体験で変化した。90%以上の学生がFAAEは農業と食育の重要性の理解、人格の形成に役立つと回答した。POMSでは体験前後と比較して、積極的な気分を表わす「活気」が体験中に上昇した。否定的な気分を表わす他の尺度は体験中に減少したが、体験後も変化はなかった。血圧と脳アルファ波占有割合は体験前後で変化しなかった。心電モニターからのR-R間隔は変化した。これらの結果から、FAAEは農業動物への認識、気分や生理にも影響があることが示唆された。
著者
浦島 匡 福田 健二
出版者
日本応用糖質科学会
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.155-163, 2018 (Released:2018-08-22)

人乳には常乳で12~13g/Lの濃度でミルクオリゴ糖が含まれている。ヒトミルクオリゴ糖(HMOs)は若干の例外を除いて,還元末端にラクトース(Gal(β1-4)Glc)を含み,それにガラクトース(Gal),N-アセチルグルコサミン(GlcNAc),フコース(Fuc),N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)が結合した化学構造を有する。人乳には240種類ものHMOsの存在が報告されているが,現在までに162の化学構造が決定されている。それは母乳栄養児の小腸内で大部分は消化・吸収を受けないで大腸に到達し,そこで有用性腸内細菌の増殖・定着を促進する,病原性細菌・ウイルスが宿主腸管上皮に付着するのを防止する,腸管バリア機能を持つ,壊死性腸炎を予防する,などの機能を発揮する。また一部のHMOsは吸収され,血液とともに体内循環する過程で,免疫を調整し抗炎症性を発揮する,脳神経系の成分の合成材料として利用される,などの機能も報告されている。HMOsと同一の化学構造を有するオリゴ糖を産業レベルで利用するためには,大量に合成する技術がネックとなっていたが,近年少数のHMOsのグラム単位での合成方法が開発された。それに伴って,合成HMOsを使用したin vivoでの機能探索研究を行った論文が多数報告されるようになり,糖質科学の中でもっとも活発な研究領域になっている。合成2'-フコシルラクトース(2'-FL)を添加した育児用調合乳の製造販売も開始され,今後HMOs関連糖質を使用した食品素材や医薬品素材の開発によって新たな産業が立ち上がってくることが予想される。本総説では,近年報告されたHMOsの機能研究の中でも,脳神経機能への刺激,腸管での吸収と体内動態,腸内細菌叢の調整に関わる例とともに,少数のHMOsを添加した人工調合乳を摂取させたヒト乳児への介入試験例を紹介する。その中で,HMOsの機能研究や利用に関わる将来を展望する。
著者
小野寺 政行 須田 達也 荒木 英晴 木村 篤 草野 裕子 下田 星児 小南 靖弘 広田 知良 中辻 敏朗
出版者
北海道農事試驗場北農會
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.122-130, 2019 (Released:2019-11-14)

雪踏みは雪割りと同じく,土壌凍結を促進でき,野良イモ防除に有効である。雪踏みは雪割りに比べ使用機が安価で共同利用しやすいが,積雪が深い場合や傾斜地などでの実施にやや難があるため,立地条件や作付体系等を考慮して凍結深制御手法を選択する。雪踏み,雪割りに関わらず,土壌凍結深30cmを目標に制御すると,土壌物理性の改善や窒素溶脱抑制を介して圃場の生産性は向上する。土壌凍結深推定計算システムは汎用性を高め,広域で活用できるように改良した。
著者
名取 貴光 中川 裕子 桜林 ひかる 福井 智 野田 聖子 窪島 愛華 戸澤 一宏 仲尾 玲子
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.91-102, 2015 (Released:2015-11-24)

野山に自生する山菜の多くは古くより食用として好まれてきた。また,これら山菜は様々な効能をもつことから民間療法として薬用にも用いられている。山菜由来成分には,抗腫瘍効果や抗酸化作用,抗菌活性,抗肥満作用などが報告されており,多種多様な生理活性物質が含まれている。本研究では,山梨県内で採取される山菜の機能性成分と生理活性について検討を行った。試料は,山梨県総合農業技術センター,八ヶ岳薬用植物園で採取した山菜を使用した。14種類の山菜の総ポリフェノール量およびDPPHラジカル消去活性を測定したところ,ミツバアケビ,ワレモコウ,メグスリノキにポリフェノールが多く含まれており,抗酸化活性が高いことが確認され,ポリフェノール含量と抗酸化活性に高い相関がみとめられた。次に,これらサンプルのC6 glioma株に対する抗腫瘍効果について検討を行ったところ,アケビ,ワラビ,ツリガネニンジン,モミジガサ,ギヨウジャニンニク,オオバギボウシ,ヒメツルニチニチソウ,メグスリノキに濃度依存的な抗腫瘍効果が認められた。特に,オオバギボウシとヒメツルニチニチソウにおいては低濃度で顕著な抗腫瘍効果が確認された。また,カルセイン-AMおよびプロピディウムイオダイドを用いた生死細胞の判定を行ったところ,アケビおよびワラビ,メグスリノキにおいて顕著な細胞死が誘導されており,アポトーシスの指標であるCaspase-3の活性の上昇や細胞膜成分の転移が確認されたことから,これら山菜による抗腫瘍効果はアポトーシスであると考えられる。一方,ギョウジャニンニク,オオバギボウシ,ヒメツルニチニチソウにはG2/M期における細胞周期に異常がみとめられた。今回供試した山菜による抗腫瘍効果はアポトーシスおよび細胞周期の異常であると考えられる。
著者
渡辺 隆幸
出版者
秋田県総合食品研究センター
巻号頁・発行日
no.12, pp.33-46, 2010 (Released:2012-12-06)
著者
伊藤 龍星
出版者
大分県農林水産研究指導センター水産研究部
巻号頁・発行日
no.1, pp.7-10, 2011 (Released:2012-12-06)

2009年3月下旬に大分県杵築市で採集され、素干し乾燥されたワカメの表面に、白い斑点を多数生じたものがあったので、原因について調査した。1 乾燥ワカメを海水に戻して顕微鏡観察したところ、藻体表面にある毛巣から伸長している毛に、大量のリクモフォラ属珪藻が付着していることが判明した。2 この珪藻が乾燥により白く変色し、斑点として見えたものと判断された。
著者
根来 宏明
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.694-700, 2016 (Released:2017-04-06)
著者
古田 良一
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.44, pp.41-46, 1965 (Released:2016-07-05)
著者
重田 利拓 薄 浩則
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-19, 2012 (Released:2013-10-08)

野外での魚類によるアサリ食害実態に関する知見を取りまとめレビューするとともに,食害魚種に閧するリストを作成した。トビエイ科からフグ科の12科23種がリストアップされた。このうち,日本には12科21種が,瀬戸内海には12科18種が生息する。アサリの被食4部位区分では,稚貝を食害する魚種が多く,このうち,ナルトビエイ,クロダイ,キチヌ,キュウセン,クサフグの5種が親貝をも食害すること,イシガレイやマコガレイの稚魚・未成魚など8種が水管を食害すること,クロダイとキュウセンは,足を除く,全ての区分で食害が認められること等を明らかにした。
著者
前橋 健二 大戸 亜梨花 山本 達彦 浅利 妙峰 柏木 豊
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.290-296, 2015 (Released:2015-11-24)

(1) 市販塩麹製品14点の成分の平均値は,水分50.2%,食塩11.0%,還元糖21.9%,ホルモール窒素0.07%であった。酵素活性は全く検出されないものも見られたが多くの製品にデンプン分解系酵素やタンパク質分解系酵素が検出された。(2) 塩麹の製造条件として,還元糖およびホルモール窒素量の消長の点では60℃で6時間以上の消化が必要であるが,残存酵素活性を考慮すると50℃~60℃で6時間程度の短時間消化による方が適当であると判断された。(3) 麹抽出液での試験では,10%食塩の存在でα-アミラーゼ活性の熱安定性は低下しプロテアーゼの熱安定性は若干向上する傾向が見られた。また,10%グルコースの存在ではプロテアーゼ活性の熱安定性がさらに向上する傾向が見られた。
著者
守田 康太郎
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.22, pp.134-146, 1961 (Released:2016-05-23)