著者
片山 善博
出版者
日本福祉大学福祉社会開発研究所
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 = Journal of Culture in our Time (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
no.142, pp.63-78, 2021-03-31

これまで,さまざまに検討がなされてきた社会福祉の理念(人権,尊厳,社会正義など)を考える上で,「人格」あるいは「主体」概念は重要な役割を果たしてきた.しかし,この概念は,その曖昧性から,抽象的・形式的,あるいは人間の選別につながるなど,社会福祉の領域だけでなく,さまざまな領域から批判を受けてきた.本論の目的は,これらの批判を踏まえ,人格概念再構築を通じて,社会福祉の諸理念を具体的に考察することである.そのために,ヘーゲル法哲学で展開されている人格論を参照する.ヘーゲルは,人格を個人に内在する理性や意志に還元することなく,身体や,生命,倫理的なものと関連づけて捉えている.このような視点から社会福祉の諸理念を改めて検討し,社会福祉の理論に貢献できる論点を示していく.
著者
松本 行弘
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.27-36, 2009-03-23

多くのスクリプト言語において多言語テキスト処理は Unicode を固定的な内部文字コードとして採用しているが,その場合,Unicode 以外の文字集合で表現されたテキストを処理するためには文字集合間の変換が必要になり,文字集合間の互換性や文字集合における歴史的な事情などによりさまざまな問題を引き起こす可能性がある.そこで筆者が開発しているスクリプト言語 Ruby に対して,固定的な内部文字集合を持たない文字集合独立方式を採用し,文字集合間の変換をできるだけ行わないテキスト処理機能を実装した.本論文で述べる Ruby の多言語テキスト処理機能は,Unicode を固定的な内部文字集合とする他スクリプト言語 (Perl および Python) と比べて,テキスト処理におけるプログラムの簡潔さおよび性能において劣らない実用的なものであることを示す.本論文で述べる多言語テキスト処理機能は Ruby バージョン 1.9 として公開されている.
著者
林 潔 ハヤシ キヨシ Kiyoshi HAYASHI
雑誌
白梅学園短期大学紀要
巻号頁・発行日
vol.15, pp.17-28, 1979

学校カウンセリングについて,この分野で先駆的役割をはたしているアメリカと,戦後教育の中にとり入れたオーストラリアとを対比して考える。そしてわが国のこの分野の方向について考えたい。
著者
惠良 友彦 松枝 美智子 江上 千代美 増滿 誠
雑誌
福岡県立大学看護学研究紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.5-15, 2020-03-31

【目的】抑うつ状態に対するアロマセラピーを用いた介入研究の現状を明らかにし、今後の研究課題を考察することを目的とした。【方法】研究デザインはマトリックス法を用いた文献研究である。医学中央雑誌Web版Ver.5を使用し、「原著論文」and「アロマ」and「抑うつ」or「うつ病」のキーワードで検索し、31件を対象とした。マトリックスの横軸には、研究デザイン、研究目的、抑うつ状態の評価尺度、施術者、施術方法など14項目を設定した。【結果】研究デザインは、実験研究が9%と少なく、研究目的は生理的・心理的効果の検討が全体の38%で最も多かった。抑うつ状態の評価尺度は、POMSまたはPOMS短縮版が全体の59%で最も多かった。研究対象者自身が施術者となりセルフケアを行った研究は13%と少なく、その場合の施術方法は一定していなかった。【考察】抑うつ状態の軽減を目的に、抑うつ状態の評価に特化した尺度を用いたシングルケースデザインやランダム化比較試験等エビデンスレベルの高い研究の必要性が示唆された。また、うつ病の発症や再発予防を視野に入れた、アロマセラピーによるセルフケア方法の確立が必要だと考える。
著者
大﨑 晴地
出版者
東京藝術大学
巻号頁・発行日
2014-03-25

平成25年度
著者
伊藤 有気 長尾 智晴
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.239-240, 2019-02-28

少ない試行回数でも効率的に最適解を発見できる手法として,ベイズ最適化が近年注目を集めている.しかし,既知の探索点が極端に少ない場合には探索性能が悪化するという欠点がある.本研究では,実験コストが高く試行回数に強い制約があるケースに対して,次の探索点を既知の探索点の周辺に制限する改良手法を提案する.ベンチマーク関数を対象とした実験ではより安定して高精度な解を獲得することに成功した.また,本手法を人工光型植物工場での作物の重量最大化問題に適用した.6変数で約10試行という限られた実験回数ながら,従来よりも成長量の大きい環境条件を発見することに成功した.
著者
遠藤 孝
出版者
中央大学社会科学研究所
雑誌
中央大学社会科学研究所年報 (ISSN:13432125)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.179-197, 2017-09-30

The concept of “multitude” occupies an important position in Antonio Negri’s theory.This concept is hard to understanding. Negri discusses that multitude is related to post-Fordism, real subsumption of society under capital, immaterial labor, bio-politics and bio-power. In his discusses bio-politics connects real subsumption and immaterial labor, moreover, it makes multitude as political subjects. The multitude is not classified in the existing social category. Pursuing his writings, for instance Empire, Multitude, and Commonwealth, this article aims to clear the concept of “multitude”.
著者
内海 舞子 栗原 一貴
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-163, no.11, pp.1-6, 2015-05-07

日々の生活で自分の外見的印象を良くしたい場面は多くある.そこで,印象を変える手段として色と眼鏡に注目する.色彩学では色ごとに象徴するイメージがあり,色によって自分の印象を変化させることができる.また,着用者本人にも日常生活で有利となる心理的効果が期待できる.一方で眼鏡は,錯視が発生し目を大きく見せる効果がある.また近年では,単なる視力矯正用の道具だけではなく,ファッションの一部として使用されることが増え,男女関係なく身につけられ安価で手に入る装飾品となった.本研究では色の変化と眼鏡の効果を組み合わせた,色によって印象を変化させる眼鏡型 HMD(Head Mounted Display) である HMC(Head Mounted Cosmetics) メガネを提案する.ユーザ評価の結果,システムに肯定的な意見が多く,また改善,機能の追加が必要であるとわかった.そして,眼鏡型 HMD としての新たな可能性を示すことができた.